目次
  1. 茨城県の水害・ハザードマップと不動産売却|まず押さえておきたい全体像
  2. そもそも「水害ハザードマップ」とは何か
    1. 洪水ハザードマップ
    2. 内水(雨水出水)ハザードマップ
    3. 高潮・津波ハザードマップ
    4. 土砂災害ハザードマップ
  3. 茨城県内でハザードマップを確認する方法
    1. 方法1:わがまちハザードマップ(ハザードマップポータルサイト内)
    2. 方法2:ハザードマップポータルサイトの重ねるハザードマップ
    3. いばらきデジタルまっぷ
  4. 不動産取引における水害リスクの説明義務|制度の正確な内容
    1. 義務化されたのは「説明」であって「移転」や「売却禁止」ではない
    2. 重要事項説明で具体的に何が示されるか
    3. 売主側が事前に準備しておきたいこと
  5. 茨城県内で過去に大きな浸水被害があった地域の記録
    1. 2015年(平成27年)関東・東北豪雨における常総市の浸水被害
    2. 令和元年東日本台風(台風19号、2019年10月)
    3. 過去の被災歴と告知義務の関係
  6. 水害リスクがあるとされる家は「売れない」のか
    1. 浸水想定区域内でも取引は行われている
    2. 影響が出やすいのは「価格」より「金融・保険の条件」であることが多い
    3. 想定浸水深の違いで説明の重みが変わる
  7. 売却を検討するときに確認しておきたい実務ポイント
    1. ポイント1:ハザードマップ上の区分を印刷・保存しておく
    2. ポイント2:浸水経験の有無を正直に整理する
    3. ポイント3:治水対策の状況もあわせて確認する
    4. ポイント4:買取という選択肢も含めて検討する
  8. 茨城県内のエリア特性と水害リスクの考え方
    1. 県南(つくば市・土浦市・常総市・龍ケ崎市など)
    2. 県央(水戸市・ひたちなか市など)
    3. 鹿行(鹿嶋市・神栖市・潮来市・行方市・鉾田市)
    4. 県北(日立市・高萩市・北茨城市など)
  9. よくある質問
    1. Q1. 浸水想定区域にある家は住宅ローンの審査に影響しますか?
    2. Q2. ハザードマップの説明を受けたら、その場で契約をやめることはできますか?
    3. Q3. 過去に浸水した家だと分かった場合、必ず買主に伝えなければいけませんか?
    4. Q4. ハザードマップは今後変わることがありますか?
    5. Q5. 内水(雨水出水)ハザードマップも確認すべきですか?
    6. Q6. 茨城県内で水害ハザードマップの説明義務について問い合わせる窓口はありますか?
  10. あわせて読みたい|茨城県の不動産売却コラム
  11. 茨城県内4店舗のご案内(ハウスドゥ)
  12. まとめ|水害ハザードマップは「隠す情報」ではなく「正しく伝える情報」

茨城県の水害・ハザードマップと不動産売却|まず押さえておきたい全体像

茨城県内で家や土地の売却・購入を考えるとき、「この場所は水害のリスクがあるのか」「重要事項説明で何を聞かれるのか」という疑問を持つ方が増えています。背景には、2020年(令和2年)8月28日に施行された宅地建物取引業法施行規則の改正があります。この改正により、不動産取引の重要事項説明において、水害ハザードマップ上の対象物件の所在地を説明することが宅地建物取引業者に義務付けられました(出典:茨城県「不動産取引時の重要事項説明における水害リスクの説明義務について」)。

この記事では、茨城県内で不動産の売却・購入に関わる方向けに、水害ハザードマップの仕組み、重要事項説明での扱い、実際に浸水被害を経験した地域の事例、そして水害リスクがある家を売却するときに何を準備すればよいかを、一次情報にもとづいて整理します。

そもそも「水害ハザードマップ」とは何か

水害ハザードマップは、大雨や台風によって河川が氾濫した場合や、下水道の排水が追いつかない場合に、どの範囲がどの程度浸水すると想定されるかを地図上に示したものです。市町村ごとに作成・公表されており、主に次の種類があります。

洪水ハザードマップ

河川が氾濫した場合の浸水想定区域と浸水深を示す地図です。茨城県内では那珂川・久慈川・鬼怒川・小貝川・利根川など、県を流れる主要河川ごとに浸水想定区域図が作成されています。

内水(雨水出水)ハザードマップ

河川の氾濫ではなく、市街地に降った雨が下水道や水路の排水能力を超えてあふれる「内水氾濫」を示す地図です。河川から離れた市街地でも浸水することがあるため、洪水ハザードマップだけでは分からないリスクがあります。

高潮・津波ハザードマップ

茨城県は太平洋に面しており、鹿嶋市・神栖市・大洗町・北茨城市など沿岸部の市町村では高潮・津波のハザードマップも公表されています。

土砂災害ハザードマップ

県北の山間部を中心に、土砂災害警戒区域・特別警戒区域を示すハザードマップも別途作成されています。売却物件が山際にある場合はあわせて確認が必要です。

茨城県内でハザードマップを確認する方法

茨城県公式サイトでは、水害ハザードマップの入手方法として次の2つを案内しています(出典:茨城県土木部建築指導課)。

方法1:わがまちハザードマップ(ハザードマップポータルサイト内)

国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」内のコンテンツで、地図上で茨城県、次に該当する市町村を選択すると、その市町村が公開している各種ハザードマップへのリンクが一覧表示されます。

方法2:ハザードマップポータルサイトの重ねるハザードマップ

住所や地名を入力して検索すると、その地点の洪水・土砂災害・高潮などの想定を地図上に重ねて確認できます。

いばらきデジタルまっぷ

茨城県が提供する地図情報サービスでも、市町村ごとの各種ハザード情報を閲覧できます。売却を検討している物件の住所が分かっている場合は、まずこの2つのサイトで自分の目で確認しておくことをおすすめします。

不動産取引における水害リスクの説明義務|制度の正確な内容

ここが最も誤解されやすいポイントです。制度の内容を正確に整理します。

義務化されたのは「説明」であって「移転」や「売却禁止」ではない

2020年7月17日に宅地建物取引業法施行規則の一部を改正する命令が公布され、同年8月28日に施行されました。これにより、宅地建物取引業者は重要事項説明の際に、水害ハザードマップにおける対象物件の所在地を説明することが義務付けられています(出典:茨城県公式サイト、国土交通省)。

つまり義務化されたのは「ハザードマップ上の位置を買主・借主に説明すること」であり、「浸水想定区域にある物件を売ってはいけない」という意味ではありません。この点を正しく理解していない売主の方も多いため、最初に明確にしておきます。

重要事項説明で具体的に何が示されるか

実務では、宅地建物取引士が水害ハザードマップ上に対象物件の所在地を示し、その地点が浸水想定区域に該当するか、該当する場合はどの程度の浸水深が想定されているかを買主・借主に提示したうえで説明します。区域外であっても「ハザードマップ上には物件が表示されている」という事実自体を説明する運用が一般的です。

売主側が事前に準備しておきたいこと

売主自身が事前にハザードマップを確認し、自分の物件がどの区分に該当するかを把握しておくと、査定や内覧時の説明がスムーズになります。「知らなかった」状態で仲介を依頼するより、事前に一次情報を確認しておくほうが、結果的に売却活動全体が円滑に進みます。

不動産取引での水害ハザードマップ説明3ステップ 茨城県
重要事項説明における水害ハザードマップ説明の3ステップ(出典:茨城県公式サイト)

茨城県内で過去に大きな浸水被害があった地域の記録

ハザードマップは「想定」ですが、実際に被害が発生した記録も、地域のリスクを理解するうえで重要な一次情報です。

2015年(平成27年)関東・東北豪雨における常総市の浸水被害

2015年9月、鬼怒川の堤防が決壊し、常総市では市域の約3分の1にあたる広範囲が浸水しました。住家被害は全壊・半壊をあわせて7,171棟にのぼったと記録されています(出典:内閣府防災情報のページ)。この被害は、茨城県内において「河川の近くだから危険」という漠然とした認識ではなく、具体的にどの範囲がどの程度浸水したかを検証する契機になりました。

令和元年東日本台風(台風19号、2019年10月)

2019年10月の台風19号では、茨城県内の複数の河川で氾濫や越水が発生し、水戸市を含む県内各地で浸水被害が確認されています。この台風を機に、市町村のハザードマップが更新された地域も少なくありません(水戸市のハザードマップも改訂の経緯が公表されています)。

過去の被災歴と告知義務の関係

物件が過去に浸水被害を受けた事実がある場合、それは買主の判断に影響を与える可能性がある情報として、心理的瑕疵に類する告知の対象になり得ます。正確な記録が無い場合に断定的な記載をすることは避けるべきですが、市町村や近隣に確認できる情報がある場合は、売主・仲介業者ともに正直に取り扱う姿勢が信頼につながります。

水害リスクがあるとされる家は「売れない」のか

この点は多くの売主が不安に感じる部分です。結論から言うと、浸水想定区域に該当すること自体が売却を不可能にするわけではありません。

浸水想定区域内でも取引は行われている

洪水浸水想定区域は河川沿いの広い範囲に設定されることが多く、区域内には多数の住宅・マンション・商業施設が存在します。区域指定イコール取引不可ではなく、正確な情報を開示したうえで通常どおり取引が行われています。

影響が出やすいのは「価格」より「金融・保険の条件」であることが多い

断定的な相場データは確認できていませんが、一般的に浸水リスクが高いとされる地域では、火災保険の水災補償部分の保険料水準や、金融機関の融資審査における評価に影響が出る場合があるとされています。個別の金額・条件は金融機関・保険会社ごとに異なるため、正確な影響は各社への確認が必要です。

想定浸水深の違いで説明の重みが変わる

ハザードマップでは浸水深が「0.5m未満」「0.5m以上3.0m未満」「3.0m以上」などの段階で色分けされていることが一般的です。浸水深が浅い区分と深い区分では、買主に与える印象や必要な説明の丁寧さが変わってきます。自分の物件がどの段階に該当するかを事前に確認しておくことが重要です。

浸水リスクがある家の売却前に確認する4つの視点 茨城県
浸水リスクがある家、売却前に確認したい4つの視点

売却を検討するときに確認しておきたい実務ポイント

ポイント1:ハザードマップ上の区分を印刷・保存しておく

査定や内覧の際に、ハザードマップポータルサイトで自分の物件の位置を確認したスクリーンショットや印刷物を用意しておくと、買主への説明や仲介業者との情報共有がスムーズになります。

ポイント2:浸水経験の有無を正直に整理する

過去に浸水した経験がある場合、床上・床下の別、何年に発生したか、その後の対策(止水板の設置など)を実施したかどうかを整理しておくと、告知の際に正確な説明ができます。

ポイント3:治水対策の状況もあわせて確認する

河川改修や排水機場の整備など、行政による治水対策が進んでいる地域もあります。ハザードマップの想定は最新の対策を反映して更新されることがあるため、公開日(更新日)も確認しておくとよいでしょう。

ポイント4:買取という選択肢も含めて検討する

「買主に水害リスクをどう説明すればよいか分からない」「早期に現金化したい」という場合は、不動産会社による直接買取も選択肢のひとつです。買取では宅地建物取引業者自身が買主になるため、個人の買主に対する心理的な負担を考えずに手続きを進められる場合があります。

茨城県内のエリア特性と水害リスクの考え方

茨城県は南北に広く、河川・沿岸部・内陸部で地形が大きく異なります。エリアごとの一般的な傾向を整理します(個別地点のリスクは必ずハザードマップで確認してください)。

県南(つくば市・土浦市・常総市・龍ケ崎市など)

利根川・鬼怒川・小貝川など複数の河川が流れる地域で、洪水ハザードマップの対象範囲が広く設定されている市町村があります。常総市は2015年の浸水被害の記録があるエリアです。

県央(水戸市・ひたちなか市など)

那珂川・桜川が流れており、令和元年東日本台風の際に浸水被害が確認された地域が含まれます。

鹿行(鹿嶋市・神栖市・潮来市・行方市・鉾田市)

太平洋沿岸部にあたるため、高潮・津波ハザードマップも洪水ハザードマップとあわせて確認が必要な地域です。

県北(日立市・高萩市・北茨城市など)

山間部を含むため、洪水だけでなく土砂災害ハザードマップの確認も重要になるエリアです。

よくある質問

Q1. 浸水想定区域にある家は住宅ローンの審査に影響しますか?

金融機関ごとに審査基準が異なるため、一律に「影響する・しない」と断定することはできません。気になる場合は、事前に金融機関へ直接確認することをおすすめします。

Q2. ハザードマップの説明を受けたら、その場で契約をやめることはできますか?

重要事項説明は契約前に行われるものであり、説明内容に納得できない場合は契約しないという判断も可能です。重要事項説明は「契約するかどうかを判断するための情報提供」という位置づけです。

Q3. 過去に浸水した家だと分かった場合、必ず買主に伝えなければいけませんか?

物件の判断に重要な影響を与えると考えられる事実については、正確に伝えることが望まれます。個別の判断に迷う場合は、宅地建物取引士や弁護士など専門家に確認することをおすすめします。

Q4. ハザードマップは今後変わることがありますか?

河川改修の進捗や新たな想定条件の反映により、ハザードマップは更新されることがあります。売却時点の最新版を確認することが重要です。

Q5. 内水(雨水出水)ハザードマップも確認すべきですか?

河川から離れていても内水氾濫のリスクがある地域は存在するため、洪水ハザードマップとあわせて確認することをおすすめします。

Q6. 茨城県内で水害ハザードマップの説明義務について問い合わせる窓口はありますか?

茨城県土木部建築指導課監察・免許(電話:029-301-4722)が、宅地建物取引業者向けの制度に関する問い合わせ窓口として公表されています。

あわせて読みたい|茨城県の不動産売却コラム

茨城県内4店舗のご案内(ハウスドゥ)

お住まいの地域を担当する店舗、または県内全域対応の当グループ窓口へお気軽にご相談ください。

まとめ|水害ハザードマップは「隠す情報」ではなく「正しく伝える情報」

水害ハザードマップの説明義務化は、売主にとって不利な制度ではありません。正確な情報を事前に整理し、買主に正直に伝えることで、かえって信頼される取引につながります。茨城県内で水害リスクが気になる物件の売却をお考えの場合は、ハウスドゥの茨城県内4店舗(つくば・水戸・取手戸頭・守谷)または当グループの無料相談窓口へお気軽にご相談ください。