「茨城県の人口は減っているのに、実家の周りの家はむしろ増えている気がする」——不動産のご相談の中で、こうした感覚的な違和感をお聞きすることがあります。実はこれは錯覚ではありません。茨城県は人口が減少する一方で、世帯数はむしろ増え続けているという、一見矛盾した状況が続いています。この記事では、茨城県統計課「令和7年国勢調査人口速報集計結果」および総務省「令和2年国勢調査」の一次データをもとに、茨城県の世帯数・世帯構成がどう変化しているのかを整理し、その先にある「単身高齢世帯の増加」という不動産・相続の観点で見過ごせない事実を解説します。
茨城県の世帯数の全体像|人口減少でも世帯数は増えている
茨城県統計課が2026年5月に公表した「令和7年国勢調査人口速報集計結果」によると、令和7年(2025年)10月1日現在の茨城県の総世帯数は1,221,422世帯でした。前回調査(令和2年)と比較すると37,289世帯の増加(+3.1%)です(茨城県統計課「令和7年国勢調査人口速報集計結果」より)。
一方で同じ期間、茨城県の総人口は2,867,009人から2,791,207人へと75,802人減少(-2.6%)しています。つまり、人口は減っているのに世帯数は増えているというねじれが茨城県で起きているのです。
世帯数は大正9年以来ほぼ一貫して増加
茨城県統計課の資料によれば、世帯数は大正9年(1920年)の第1回国勢調査以降、昭和25年を除きほぼ一貫して増加を続けており、当時の約27万世帯と比べると約4.5倍に達しています。人口の増減とは別の動きとして、世帯という単位そのものが増え続けてきた歴史があります。
1世帯当たり人員は2.29人へ縮小
同じ資料では、令和7年の1世帯当たり人員は2.29人で、前回調査(令和2年)の2.42人から0.13人減少したことも示されています。1世帯当たり人員は昭和30年以降、一貫して減少が続いており、ピーク時(昭和15年)の約半分の水準です。これが「世帯数は増えるのに人口は減る」という現象の正体で、専門的には世帯の小規模化と呼ばれます。
不動産の観点で見ると、これは重要な意味を持ちます。世帯数が増えるということは、住宅需要そのものはすぐには急減しないということです。ただしその内実は、大家族が減り、単身世帯・少人数世帯が増えるという構成の変化によって支えられている点に注意が必要です。
茨城県内の地域差|1世帯当たり人員が多い市町村・少ない市町村
世帯の小規模化のペースは、茨城県内でも市町村によって大きな差があります。茨城県統計課「令和7年国勢調査人口速報集計結果」の市町村別データから、1世帯当たり人員が多い(大家族が残っている)市町村と少ない(単身・少人数世帯が多い)市町村を一覧で見てみましょう。
1世帯当たり人員が多い市町村(令和7年)
| 順位 | 市町村名 | 1世帯当たり人員 | 令和2年 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 桜川市 | 2.68人 | 2.91人 |
| 2位 | 八千代町 | 2.64人 | 3.00人 |
| 3位 | 行方市 | 2.61人 | 2.89人 |
| 4位 | 河内町 | 2.61人 | 2.84人 |
| 5位 | 境町 | 2.57人 | 2.77人 |
1世帯当たり人員が少ない市町村(令和7年)
| 順位 | 市町村名 | 1世帯当たり人員 | 令和2年 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 水戸市 | 2.10人 | 2.21人 |
| 2位 | 神栖市 | 2.13人 | 2.36人 |
| 3位 | 日立市 | 2.14人 | 2.24人 |
| 4位 | つくば市 | 2.15人 | 2.19人 |
| 5位 | 土浦市 | 2.15人 | 2.25人 |
(出典:茨城県統計課「令和7年国勢調査人口速報集計結果」表4)
この一覧から見えてくるのは、県西・鹿行の農村部(桜川市・八千代町・行方市など)では複数世代が同居する世帯がまだ多く残っている一方、水戸市やつくば市、日立市、土浦市、神栖市といった都市部・中心市街地では単身・夫婦のみの小規模世帯が中心になっているという構図です。すべての市町村で前回調査より1世帯当たり人員は減少しており、程度の差こそあれ「世帯の小規模化」は県内全域で進行している現象だといえます。
高齢者のいる世帯の割合が高い市町村・低い市町村
総務省「令和2年国勢調査」の茨城県分集計(茨城県統計課公表)によると、一般世帯に占める65歳以上世帯員のいる世帯の割合が最も高いのは大子町(71.7%)で、次いで河内町(69.6%)、利根町(68.5%)、行方市(64.0%)、桜川市(62.5%)と続きます。反対に最も低いのはつくば市(25.4%)で、守谷市・神栖市(ともに36.3%)、水戸市(37.7%)、東海村(38.0%)が続きます。
県北・県西の中山間地域ほど高齢者のいる世帯の割合が高く、つくばエクスプレス沿線や工業都市など若い世代の流入が続くエリアほど低いという、明確な地域差が茨城県内に存在しています。
世帯構成の推移とその背景|単身化・核家族化・小規模化
「世帯数が増えて1世帯当たり人員が減る」という現象の中身を、総務省「令和2年国勢調査」の家族類型別データ(茨城県統計課公表)で詳しく見てみましょう。
茨城県の一般世帯の内訳(令和2年時点)
令和2年(2020年)時点の茨城県の一般世帯数は1,181,598世帯で、これを世帯主との続き柄による「家族類型」で区分すると次のようになります(茨城県統計課「茨城県の人口」令和2年国勢調査基本集計より)。
| 家族類型 | 世帯数 | 一般世帯に占める割合 |
|---|---|---|
| 親族のみの世帯 | 783,821世帯 | 66.4% |
| うち核家族世帯 | 664,239世帯 | 56.3% |
| 非親族を含む世帯 | 10,074世帯 | 0.9% |
| 単独世帯(一人暮らし) | 385,760世帯 | 32.7% |
茨城県内の一般世帯のおよそ3世帯に1世帯が、すでに単独世帯(一人暮らし)だということが分かります。同資料では「単独世帯の増加率及び一般世帯に占める割合は、引き続き上昇している」と明記されており、単身化のすう勢は今後も続くと見込まれます。
核家族世帯も増加、ただし内訳が変化
核家族世帯(夫婦のみ・夫婦と子・ひとり親と子)は664,239世帯で、一般世帯の56.3%を占め、2010年から2020年にかけて増加率も2.7%→3.1%へと拡大しました。ただし内訳を見ると、「夫婦のみの世帯」「男親と子供の世帯」「女親と子供の世帯」の割合が上昇する一方、「夫婦と子供の世帯」の割合は低下しています。かつて標準的だった「夫婦と子」という核家族像から、より少人数の核家族へと重心が移っていることが読み取れます。
単身高齢世帯の急増|相続予備軍が増えている
不動産・相続の観点で最も注目すべきなのが、高齢者のいる世帯における単独世帯の増え方です。茨城県統計課の集計によると、65歳以上の世帯員がいる一般世帯は530,311世帯(一般世帯全体の45.0%)で、2010年から2020年にかけて94,394世帯(+21.7%)増加しました。
このうち単独世帯(高齢者の一人暮らし)は125,596世帯で、10年前と比べて25,479世帯増加(+25.4%)と、高齢者世帯全体の伸び率をさらに上回るペースで増えています。同じ期間、65歳以上のいる世帯のうち「核家族以外の世帯」(三世代同居など)は106,003世帯へと21,301世帯減少(-16.7%)しており、「大家族で高齢者を支える世帯」から「高齢者が一人で暮らす世帯」へと構造そのものが移り変わっていることが一次データから裏付けられます。
一人暮らしの高齢者が増えるということは、その世帯の住まいがいずれ相続財産になる可能性が高まるということでもあります。子や親族と同居していない分、本人が亡くなった後・施設に入居した後に「誰も住まなくなる家」が生まれやすい構造だといえます。

生活者から見た意味|単身高齢世帯が増えると何が起きるか
単身高齢世帯の増加は、統計上の数字にとどまらず、暮らしの現場でさまざまな影響を及ぼします。
1. 見守り・生活支援のニーズが高まる
同居家族がいない一人暮らし高齢者は、体調の変化や生活上のトラブルに気づく人が身近にいません。市町村や地域包括支援センターによる見守りサービス、緊急通報システムの利用が増える背景には、こうした世帯構成の変化があります。
2. 家の管理・維持が本人一人の負担になる
庭木の手入れ、屋根や外壁の修繕、除雪など、これまで家族で分担していた住まいの維持管理が、単身高齢者一人にのしかかります。体力的に難しくなった住まいの管理を諦めた結果、空き家化・老朽化が進むケースは少なくありません。
3. 「もしも」の時に家がどうなるか、決まっていないことが多い
単身高齢者本人が施設に入居したり、亡くなったりした後、その家をどうするかを事前に決めている世帯は多くありません。同居家族がいれば自然と引き継がれていた住まいの管理が、単身世帯では「相続人が遠方に住んでいて分からない」「誰も住む予定がない」という宙に浮いた状態になりやすいのです。
住まい・不動産への接点|単身高齢世帯の増加と相続・空き家の関係
ここまで見てきた茨城県の世帯データを不動産の視点でまとめると、次のような流れが浮かび上がります。
- 高齢者のいる世帯のうち単独世帯が10年で25.4%増加(125,596世帯)
- 大家族・三世代同居型の世帯(核家族以外)は10年で16.7%減少
- 単独世帯は一般世帯全体の32.7%を占め、引き続き上昇傾向
つまり、「実家に一人で暮らす親」という状態にある世帯が、茨城県内で確実に増えているということです。これは将来、相続によってその住まいの扱いを考えなければならないご家族が増えていくことを意味します。実際、当社(ハウスドゥ茨城県4店舗グループ)へのご相談でも、「親が一人暮らしをしている実家を将来どうするか」「すでに空き家になった親の家を売却したい」というご相談は年々増えている実感があります。
茨城県は総務省「住宅・土地統計調査」でも空き家率が全国平均をやや上回る水準にあり(詳しくは「茨城県の空き家率・世帯数データ」の記事で解説しています)、世帯構成の変化はその背景要因の一つと考えられます。単身高齢世帯が増える市町村ほど、将来的に「相続した実家をどうするか」という相談が増えていく可能性が高いといえるでしょう。
市町村ごとの高齢化率そのものや、地域別の将来推計は「茨城県の高齢化率|44市町村の地域差【2026】」で詳しく解説しています。
実家の売却・相続・空き家の活用でお悩みの場合は、早めに地域の不動産会社へご相談いただくことで、選択肢を広く検討することができます。ハウスドゥでは茨城県内4店舗(つくば・水戸・取手戸頭・守谷)で、県内全域の売却・査定・相続のご相談に対応しています。
お住まいのエリアの店舗にご相談いただくこともできます。つくば市周辺はハウスドゥ つくば研究学園都市、水戸市周辺はハウスドゥ 水戸、取手市周辺はハウスドゥ 取手戸頭、守谷市周辺はハウスドゥ 守谷が、それぞれ地域に密着して対応しています。
よくある質問
Q1. 茨城県の世帯数は今後も増え続けますか?
A. 令和7年国勢調査では前回比+3.1%(37,289世帯増)と増加していますが、人口減少が続く中での増加は世帯の小規模化(単身化)に支えられています。総務省・社人研の将来推計では、全国的に世帯数の増加はいずれピークを迎え減少に転じるとされており、茨城県も同様の流れをたどると考えられます。
Q2. 茨城県で1世帯当たり人員が最も少ない市はどこですか?
A. 令和7年国勢調査人口速報集計によると、水戸市が2.10人で県内最少です。次いで神栖市(2.13人)、日立市(2.14人)、つくば市(2.15人)、土浦市(2.15人)の順となっています(茨城県統計課調べ)。
Q3. 単独世帯(一人暮らし)は茨城県内でどのくらいの割合ですか?
A. 令和2年国勢調査(茨城県統計課公表)によると、一般世帯1,181,598世帯のうち単独世帯は385,760世帯で、全体の32.7%を占めています。この割合は上昇傾向が続いています。
Q4. 高齢者の一人暮らし世帯はどのくらい増えていますか?
A. 65歳以上の世帯員がいる一般世帯のうち単独世帯は2020年時点で125,596世帯となり、2010年からの10年間で25,479世帯増加(+25.4%)しました(茨城県統計課「茨城県の人口」令和2年国勢調査基本集計より)。同じ期間、三世代同居など「核家族以外の世帯」は16.7%減少しており、対照的な動きとなっています。
Q5. 世帯構成の変化は空き家の増加とどう関係していますか?
A. 直接の因果関係を示す統計はありませんが、単身高齢世帯が増えるほど、本人の施設入居や死亡後に住み手のいない家が生まれやすくなる構造的な背景があります。茨城県の空き家率・世帯数データについては別記事「茨城県の空き家率・世帯数データ」もあわせてご覧ください。
Q6. 核家族世帯と単独世帯はどちらが多いですか?
A. 令和2年時点では核家族世帯が664,239世帯(56.3%)で最も多く、次いで単独世帯385,760世帯(32.7%)です。ただし核家族世帯は「夫婦のみ」「ひとり親と子」の割合が伸びており、単独世帯とあわせて世帯規模の縮小という同じ方向の変化が起きています。
Q7. 実家が単身高齢世帯の状態です。将来に備えて今できることはありますか?
A. 早い段階で家族間の話し合いを行い、将来の住まいの方針(売却・活用・そのまま維持など)を共有しておくことが有効です。あわせて不動産会社に現状の資産価値を把握してもらう無料査定を受けておくと、いざという時の判断材料になります。
関連記事として、茨城県の平均世帯年収と住宅取得力【2026年】もあわせてご覧ください。
まとめ
茨城県統計課「令和7年国勢調査人口速報集計結果」と「令和2年国勢調査」の一次データから、次のことが確認できました。
- 茨城県の総世帯数は1,221,422世帯(前回比+3.1%)と、人口減少下でも増加している
- 1世帯当たり人員は2.29人まで縮小し、世帯の小規模化が県内全域で進行している
- 一般世帯の32.7%はすでに単独世帯(一人暮らし)で、割合は上昇傾向が続いている
- 65歳以上のいる世帯のうち単独世帯は10年で25.4%増加し、核家族以外(三世代同居等)の世帯は16.7%減少している
これらの数字が示すのは、「実家に一人で暮らす高齢の親」という状況が茨城県内で確実に増えているという事実です。人口減少や空き家の増加という現象の背景に、こうした世帯構成の変化が静かに進行しています。ご実家の将来について考え始めるタイミングは、早いに越したことはありません。まずは現状を知ることから始めてみませんか。
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