茨城県で不動産の売却や土地活用を検討する際、「この土地は市街化区域なのか、それとも調整区域なのか」という土地利用の区分は、資産価値や将来の使い道を大きく左右する重要な情報です。茨城県公式サイトの統計データによれば、令和6年1月1日現在の茨城県の主な土地利用は山林が25.3%と最も多く、次いで畑が15.2%、田が15.0%となっており、この3つの地目だけで県全体の面積の約6割を占めています(茨城県統計課「統計キッズ-農業」)。本記事では茨城県の土地利用の全体像と、市街化調整区域の背景を一次情報から整理し、不動産売却・活用における実務的な視点をお届けします。
茨城県の土地利用の全体像(一次情報)
茨城県政策企画部地域振興課が公表する「いばらきの土地」(第2章 土地利用に関する動向)によれば、農地と森林を合わせた「農林業的土地利用」は茨城県全体の面積の57.8%、宅地と道路を合わせた「都市的土地利用」は19.6%を占めています。つまり茨城県はまだ半分以上が農地・森林で構成されており、都市的な土地利用は2割程度にとどまっているという構造です。
地目別の内訳
茨城県統計課「統計キッズ-農業」によれば、令和6年1月1日現在の主な地目別面積の割合は、山林25.3%・畑15.2%・田15.0%の順に多く、この3地目で県全体の約6割を占めます。茨城県は全国でも有数の農業県であり、総農家数は約7万2千戸(全国第2位)、農業産出額は4,536億円(全国第3位)とされています(同資料)。耕地面積は約16万1千ヘクタールにのぼり、ピーマン・白菜・レンコン・チンゲン菜などで全国一の生産量を誇る品目も複数あります。

茨城県内の地域差|農地が多いエリア・都市化が進むエリア
茨城県は44市町村で構成されますが、土地利用の性格は地域によって大きく異なります。つくばエクスプレス沿線(つくば市・守谷市・つくばみらい市)や県南のベッドタウンエリアでは宅地化が進み都市的土地利用の割合が高い一方、県北・県西・鹿行エリアの多くの市町村では農地・山林が土地利用の中心を占めています。茨城県が「農業産出額全国3位」でありながら「県南は宅地開発が活発」という、農業県と都市近郊が同居する構造こそが茨城県の土地利用の最大の特徴といえます。
都市計画区域と非線引き区域
茨城県内の土地は都市計画法に基づき「都市計画区域」と「都市計画区域外」に大別され、都市計画区域はさらに「市街化区域」「市街化調整区域」に線引きされている地域と、線引きされていない「非線引き都市計画区域」に分かれます。県南のTX沿線や主要都市では線引きが行われている一方、県北・鹿行エリアの一部市町村では非線引きのまま運用されている地域もあり、この違いが土地の開発可能性・資産価値に直結します。
市街化調整区域とは|制度の背景
市街化調整区域は、都市計画法に基づき「市街化を抑制すべき区域」として指定される区域です。無秩序な市街地の拡大(スプロール化)を防ぎ、良好な都市環境と農林業の生産基盤を計画的に保全する目的で、昭和43年の都市計画法制定以降、全国の都市計画区域で線引き制度が導入されてきました。市街化調整区域内では、原則として住宅や店舗などの建築が制限され、開発行為には都市計画法に基づく許可が必要になります。
茨城県内での市街化調整区域の広がり
茨城県内でも県南のつくば市・土浦市・守谷市などの都市計画区域では市街化区域と市街化調整区域の線引きが行われており、市街化調整区域内の土地は農地や山林としての利用が中心となります。市街化調整区域内の既存住宅を売却する場合、購入者が住宅ローンを組みにくい、建て替えに制約があるなど、市街化区域の土地とは異なる留意点が生じます。
国土利用計画法に基づく届出制度
茨城県公式サイト「国土利用計画法に基づく届出制度」によれば、一定面積以上の土地取引を行った場合、権利取得者(譲受人)は契約締結日を含めて2週間以内に、土地の利用目的などについて知事への届出が必要です。届出が必要な面積要件は都市計画区域か否かで異なり、市街化区域では2,000m²以上、市街化調整区域・非線引き都市計画区域では5,000m²以上、都市計画区域外では10,000m²以上が対象とされています(同ページ)。大規模な土地の売買を検討する際は、この届出制度の対象になるかどうかも事前に確認しておく必要があります。
茨城県の土地利用はどう変化してきたか
茨城県の土地利用は、高度経済成長期以降の宅地開発と、農業県としての基盤維持がせめぎ合いながら形成されてきました。茨城県公式資料「第2章 土地利用に関する動向」では、昭和57年以降の各土地利用区分の推移が示されており、都市的土地利用(宅地・道路)の割合は緩やかに拡大してきた一方、農林業的土地利用(農地・森林)は依然として県土の半分以上を占め続けています。
つくばエクスプレス開業がもたらした変化
2005年のつくばエクスプレス開業は、守谷市・つくばみらい市・つくば市沿線の土地利用に大きな影響を与えました。これらの沿線エリアでは市街化区域への編入や土地区画整理事業が進み、農地・山林から宅地への転換が加速しました。一方で沿線から離れた地域では、農地・山林としての土地利用が引き続き中心となっており、県内でも「都市化が進むエリア」と「農業的土地利用が続くエリア」の差が拡大する傾向にあります。
人口減少時代における土地利用の課題
茨城県は令和8年時点で人口減少局面にあり、都市計画区域内でも人口密度の低下が課題となっています。国土交通省が推進する「コンパクトシティ」の考え方のもと、市街化区域内であっても将来的な用途の見直しが議論される可能性があり、土地の所有者にとっては「今の区分がずっと続くとは限らない」という視点も持っておく必要があります。
生活者・所有者から見た土地利用区分の意味
「自分の土地が市街化区域か調整区域か」は、日常生活ではあまり意識されない情報かもしれません。しかし相続や売却のタイミングになると、この違いが土地の資産価値・売りやすさに直結します。市街化区域の宅地は住宅ローンが利用しやすく買い手がつきやすい一方、市街化調整区域の農地・山林は用途が制限されるため、売却先が限られたり、価格が伸び悩んだりする傾向があります。
相続した農地・山林をどうするか
茨城県の土地利用の57.8%を占める農地・森林(農林業的土地利用)は、相続時に「農地法上の制約」という追加のハードルも抱えています。農地を農地のまま売却する場合は農地法3条の許可、転用して売却する場合は農地法4条・5条の届出や許可が必要になるなど、宅地とは異なる手続きが求められます。相続した実家が農地付きだった場合や、山林を含む土地を相続した場合は、早い段階で専門家に相談することをおすすめします。
茨城県の土地利用と住まい・不動産への接点
茨城県の土地利用データは、単なる統計情報にとどまらず「どのエリアの不動産が売りやすいか」「相続した土地がどう扱われるか」を判断するための基礎情報でもあります。都市的土地利用が19.6%にとどまる茨城県では、宅地として流通しやすい土地は県土の一部に集中しており、エリアによって売却のしやすさに差が生まれやすい構造です。
売却・相続のご相談は担当エリアの店舗へ
ハウスドゥ茨城県グループは、つくば市・水戸市・取手市・守谷市の4店舗で地域に根ざした売却・買取・査定サービスを提供しています。市街化調整区域の土地や農地付きの不動産など、通常の宅地とは異なる判断が必要な物件についても、地域の実情を踏まえたご提案が可能です。お住まいのエリアに応じてつくば市・housedo.jp、水戸市・mito-housedo.com、取手市・housedo.life、守谷市・moriya-housedo.comをご覧ください。空き家や解体でお困りの場合は解体Do!(kaitai-ibaraki.com)もあわせてご活用ください。
関連する茨城県の地域情報
茨城県の人口動態については茨城県の人口推移と将来推計、公示地価の動向については茨城県の公示地価の推移もあわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 茨城県の土地利用で最も多いのは何ですか?
茨城県統計課「統計キッズ-農業」によれば、令和6年1月1日現在で山林が25.3%と最も多く、次いで畑15.2%・田15.0%の順です。この3地目で県全体の約6割を占めます。
Q2. 市街化調整区域とはどういう意味ですか?
都市計画法に基づき「市街化を抑制すべき区域」として指定される区域です。原則として住宅や店舗などの建築が制限され、開発行為には都市計画法上の許可が必要になります。
Q3. 自分の土地が市街化区域か調整区域かはどこで確認できますか?
各市町村の都市計画課や、都市計画情報を公開しているオンライン地図(都市計画情報システム)で確認できます。詳細は所在地の市町村窓口への確認をおすすめします。
Q4. 市街化調整区域の土地は売却しにくいですか?
市街化区域の宅地と比べると、建築制限があるため買い手が限られる傾向があります。ただし農地としての需要や、既存宅地としての売却など、区域や物件の状況によって選択肢は異なります。
Q5. 農地を相続した場合、そのまま売却できますか?
農地のまま売却する場合は農地法3条の許可、宅地等に転用して売却する場合は農地法4条・5条の届出や許可が必要になるなど、宅地とは異なる手続きが求められます。
Q6. 茨城県で宅地化が進んでいるのはどのエリアですか?
つくばエクスプレス沿線(つくば市・守谷市・つくばみらい市)や県南のベッドタウンエリアで宅地化が進んでいる傾向があります。詳しくは各エリアの地価公示データもあわせてご確認ください。
Q7. 国土利用計画法の届出はどんな場合に必要ですか?
市街化区域で2,000m²以上、市街化調整区域・非線引き都市計画区域で5,000m²以上、都市計画区域外で10,000m²以上の土地取引を行った場合、契約締結日を含めて2週間以内に知事への届出が必要です(茨城県公式サイト)。
産業構造と雇用の全体像は茨城県の産業構造と雇用|製造業・農業・研究都市で詳しく解説しています。
まとめ
茨城県は農林業的土地利用が57.8%を占める一方、都市的土地利用は19.6%にとどまり、県内でも都市化が進むエリアと農業的土地利用が続くエリアの差が広がっています。市街化区域か調整区域かという土地利用区分は、相続・売却時の資産価値や手続きの複雑さに直結する重要な情報です。ご自身やご家族が所有する土地がどちらに該当するか分からない場合は、まず市町村の都市計画課で確認し、売却や活用を検討する際は地域事情に詳しい不動産会社へご相談することをおすすめします。




