「実家がある地域は、高齢化がどのくらい進んでいるのだろう」——茨城県内で不動産のご相談を受けていると、こうした不安を口にされる方が年々増えています。高齢化率は単なる統計上の数字ではなく、その地域で今後どれだけ相続や空き家が発生しやすくなるかを映す先行指標でもあります。本記事では、茨城県統計課と総務省統計局の公表データをもとに、県全体の高齢化率の推移、44市町村別の地域差、そして高齢化が相続・空き家にどうつながっていくのかを整理しました。
- 茨城県の高齢化率、令和7年10月時点の全体像
- 高齢化率の推移|昭和50年から半世紀での変化
- 全国との比較|茨城県は全国平均より高齢化が進んでいる
- 県内5地域別の高齢化率|県北と県南で10ポイント近い差
- 44市町村別 高齢化率ランキング|高い市町村トップ10
- 44市町村別 高齢化率ランキング|低い市町村トップ10
- なぜ市町村ごとにこれほど差が生まれるのか
- 高齢化率の将来推計|令和32年(2050年)には40.0%へ
- 高齢化が空き家発生に直結する仕組み
- 高齢化が相続発生に直結する仕組み|「相続予備軍」という視点
- 単身高齢世帯との関係|高齢化率だけでは見えない側面
- 認知症高齢者数の将来推計も増加傾向
- 人口推移・人口ランキングとあわせて見る茨城県の姿
- 高齢化率が高い地域にお住まいの方へ|今からできる備え
- 茨城県の高齢化率データの調べ方
- よくある質問
- まとめ
茨城県の高齢化率、令和7年10月時点の全体像
茨城県統計課「常住人口調査」および総務省統計局「人口推計」を基にした暫定値によると、令和7年10月1日現在の茨城県の高齢化率(65歳以上人口の割合)は31.2%です。全国平均の29.4%を1.8ポイント上回っており、県民のおよそ3人に1人が65歳以上という状況になっています。75歳以上人口の割合も17.7%(全国17.3%)と、後期高齢者の比率でも全国を上回っています。
総人口2,791,231人のうち、65歳以上人口は852,794人。年齢不詳人口(55,195人)を除いた数値で高齢化率が算出されている点は、統計を見る際の目安として押さえておくとよいでしょう。
高齢化率の推移|昭和50年から半世紀での変化
50年間で高齢化率は約3.7倍に
茨城県の高齢化率は、昭和50年(1975年)時点ではわずか8.4%でした。それが平成12年(2000年)に16.6%、平成27年(2015年)に26.8%、そして令和7年(2025年)には31.2%まで上昇しています。50年間でおよそ3.7倍に拡大した計算です。
老年人口指数・従属人口指数も上昇傾向
生産年齢人口(15~64歳)に対する65歳以上人口の比率を示す「老年人口指数」は、昭和50年の12.5%から令和7年には53.7%まで上昇しました。これは、現役世代1.9人で高齢者1人を支える計算に相当します。年少人口も含めた「従属人口指数」は72.2%です。
全国との比較|茨城県は全国平均より高齢化が進んでいる
令和7年10月時点で、茨城県の高齢化率31.2%は全国平均29.4%を上回っています。都道府県別で見ると、内閣府「令和7年版高齢社会白書」によれば令和6年時点で最も高齢化率が高いのは秋田県(39.5%)、最も低いのは東京都(22.7%)とされ、茨城県はその中間よりやや高齢化が進んだ位置にあります。首都圏に隣接し人口規模も大きい県でありながら、県内格差が大きいのが茨城県の特徴です。
県内5地域別の高齢化率|県北と県南で10ポイント近い差
茨城県統計課は県内を「県北」「県央」「鹿行」「県南」「県西」の5地域に分けて高齢化率を公表しています。令和7年10月1日時点の地域別高齢化率は以下の通りです。
- 県北地域:38.4%(日立市・常陸太田市・高萩市・北茨城市など)
- 県西地域:32.1%(古河市・筑西市・結城市・下妻市など)
- 鹿行地域:31.7%(鹿嶋市・神栖市・潮来市・行方市など)
- 県央地域:30.1%(水戸市・つくば市・ひたちなか市・那珂市・東海村など)
- 県南地域:28.9%(土浦市・取手市・守谷市・つくば市周辺など)
最も高齢化が進む県北地域と、最も低い県南地域との差は9.5ポイントに達します。県北は昭和50年時点で県内最も高齢化率が低かった地域でしたが、人口流出と若年層の減少が重なり、半世紀で最も高齢化が進んだ地域へと変化しました。

44市町村別 高齢化率ランキング|高い市町村トップ10
茨城県「市町村別高齢化率」(令和7年10月1日現在)によると、県内で高齢化率が最も高いのは大子町の51.8%です。人口の半数以上が65歳以上という状況で、県内で唯一50%を超えています。
- 大子町 51.8%
- 利根町 44.3%
- 常陸太田市 43.4%
- 河内町 42.7%
- 城里町 42.3%
- 常陸大宮市 41.3%
- 稲敷市 40.6%
- 高萩市 39.7%
- 行方市 39.4%
- 茨城町 37.4%
上位10市町村のうち7つが県北・県西・鹿行の中山間部や農村部に集中しています。共通するのは、若年層の進学・就職に伴う転出が続き、高齢世代の人口比率だけが相対的に高まっている点です。
44市町村別 高齢化率ランキング|低い市町村トップ10
反対に、高齢化率が最も低いのはつくば市の20.0%です。県内で唯一20%台にとどまっており、県平均を11.2ポイント下回ります。
- つくば市 20.0%
- 守谷市 24.6%
- 神栖市 25.3%
- 東海村 25.8%
- ひたちなか市 27.5%
- 阿見町 27.7%
- つくばみらい市 27.0%
- 水戸市 27.9%
- 下妻市 30.4%
- 牛久市 31.4%
低い市町村の多くはTX(つくばエクスプレス)沿線や工業団地・研究機関の集積地です。つくば市・守谷市・つくばみらい市は子育て世代の転入が続いており、若年人口の流入が高齢化率の抑制に直結していることが分かります。

なぜ市町村ごとにこれほど差が生まれるのか
1. 転出入のバランス(社会動態)
つくば市・守谷市など高齢化率が低い自治体は、研究学園都市や鉄道アクセスの良さを背景に子育て世代の転入超過が続いています。一方、県北・鹿行の一部自治体は若年層の進学・就職での転出が続き、残る世代の高齢化率だけが上がっていく構図です。
2. 産業構造と雇用の有無
大規模な雇用先が少ない地域では、高校・大学卒業後にそのまま地元を離れるケースが多く、結果的に高齢世代の比率が高止まりします。逆に工業団地や研究機関が集積する地域は現役世代の定着率が高くなります。
3. 住宅供給と分譲のタイミング
昭和40~50年代に一斉分譲されたニュータウンでは、入居した世代がそのまま高齢化し、地域全体の年齢構成が一斉にシフトする現象が起きやすいことも知られています。
高齢化率の将来推計|令和32年(2050年)には40.0%へ
国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」に基づく茨城県の高齢化率将来推計は次の通りです。
- 令和7年(2025年):31.4%
- 令和12年(2030年):32.7%
- 令和17年(2035年):34.4%
- 令和22年(2040年):37.2%
- 令和27年(2045年):38.9%
- 令和32年(2050年):40.0%
2050年には県民のおよそ5人に2人が65歳以上になる見通しです。老年人口指数も令和7年の54.2%から令和32年には78.9%まで上昇すると推計されており、現役世代の負担は今後さらに重くなります。
高齢化が空き家発生に直結する仕組み
高齢化率が高い地域ほど、将来的な空き家予備軍が積み上がりやすくなります。理由は単純で、住宅を所有する世帯主が高齢化するほど、施設入居・入院・死亡などをきっかけに住宅が空き家化する確率が上がるためです。国の調査でも、空き家の発生要因の多くが「所有者の死亡・転居」に起因するとされており、高齢化率の高い地域ほど今後の空き家増加リスクが構造的に高いといえます。茨城県内の空き家率・世帯数の詳細データは、別記事「茨城県の空き家率・世帯数データ|総務省統計調査でみる最新事情【2026】」でも取り上げています。
高齢化が相続発生に直結する仕組み|「相続予備軍」という視点
高齢化率が高い地域は、今後10~20年で相続が集中的に発生する「相続予備軍」が多い地域と言い換えることもできます。特に75歳以上人口の割合(茨城県17.7%)が高い自治体では、相続の発生確率がより高い年齢層の比率が大きく、近い将来に不動産の名義変更・売却・活用の判断を迫られる世帯が増えていくと見込まれます。
大子町・利根町・常陸太田市・河内町・城里町など高齢化率上位の市町村では、実家を離れて暮らす子世代が「将来どう相続するか」を早めに検討しておく重要性が、他地域より相対的に高いと言えるでしょう。
単身高齢世帯との関係|高齢化率だけでは見えない側面
高齢化率(65歳以上人口の割合)と、高齢者が一人で暮らす「高齢単身世帯」の多さは、必ずしも一致しません。令和2年国勢調査に基づく高齢単身世帯数は県内で125,596世帯にのぼり、平成17年の56,804世帯から15年間で2.2倍に増加しています。高齢化率が高い地域でも同居家族がいれば単身世帯化は進みにくく、逆に高齢化率が中位でも都市部では単身高齢世帯の絶対数が多いケースがあります。市町村ごとの高齢単身世帯数や世帯構成の詳しい傾向は、別記事「茨城県の世帯数と世帯構成の変化|単身高齢世帯が急増【2026】」で解説していますので、あわせてご確認ください。
認知症高齢者数の将来推計も増加傾向
茨城県の推計では、認知症高齢者数は令和7年の471.6万人(全国推計値、有病率12.9%)から、令和32年には586.6万人(有病率15.1%)まで増加する見込みとされています。認知症の進行により本人の意思確認が難しくなると、不動産の売却・管理に関する判断がより複雑になります。「元気なうちに」家族で今後の方針を話し合っておくことの重要性は、こうした将来推計からも裏付けられます。
人口推移・人口ランキングとあわせて見る茨城県の姿
高齢化率は人口構成の一側面にすぎません。茨城県全体の人口がどう推移してきたか、また44市町村の人口規模がどう分布しているかを合わせて見ることで、地域ごとの実情がより立体的に見えてきます。人口推移の詳細は「茨城県の人口推移と将来推計|2050年までの見通し【2026年】」、44市町村の人口規模比較は「茨城県44市町村の人口ランキング【2026年】」で詳しく解説しています。
高齢化率が高い地域にお住まいの方へ|今からできる備え
1. 家族で「もしもの時」を話し合っておく
誰が実家を引き継ぐのか、住み続けるのか売却するのか。高齢化率の高い地域ほど、この話し合いを先送りにするほど選択肢が狭まりやすくなります。
2. 空き家になる前に不動産の現況を把握する
登記情報・境界・築年数など、いざという時に必要な情報を元気なうちに整理しておくと、相続発生後の手続きがスムーズになります。
3. 地域の実勢価格や売却の選択肢を早めに知っておく
高齢化率が高い地域でも、立地や状態によっては十分に売却可能な物件は数多くあります。地域ごとの相場感を早めに把握しておくことで、いざという時の判断材料になります。つくば市・土浦市周辺はhousedo.jp(つくば市の店舗)、水戸市・県央エリアはmito-housedo.com(水戸市の店舗)、取手市周辺はhousedo.life(取手戸頭の店舗)、守谷市周辺はmoriya-housedo.com(守谷市の店舗)が、地域に根ざしたご相談を承っています。空き家の解体をお考えの場合は解体Do!(茨城県内対応)もあわせてご検討ください。
茨城県の高齢化率データの調べ方
茨城県「高齢化関連の各種データ」
茨城県公式サイトの福祉部長寿福祉課が、県全体・市町村別の高齢化率、将来推計、高齢単身世帯数などをPDFで公表しています。データは概ね四半期ごとに更新されます。
総務省統計局「人口推計」
全国・都道府県別の高齢化率は総務省統計局の人口推計で確認できます。茨城県の数値と全国平均を比較する際の一次情報です。
国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」
都道府県別の将来推計人口・高齢化率の見通しを公表しており、令和5年推計が最新です。
よくある質問
Q1. 茨城県の高齢化率は現在何%ですか?
令和7年10月1日現在で31.2%です(茨城県統計課・総務省統計局のデータを基にした暫定値)。全国平均29.4%を上回っています。
Q2. 茨城県で高齢化率が最も高い市町村はどこですか?
大子町で51.8%です(令和7年10月1日現在)。次いで利根町44.3%、常陸太田市43.4%と続きます。
Q3. 茨城県で高齢化率が最も低い市町村はどこですか?
つくば市で20.0%です(令和7年10月1日現在)。守谷市24.6%、神栖市25.3%が続きます。
Q4. 茨城県の高齢化率は今後どうなりますか?
国立社会保障・人口問題研究所の推計では、令和32年(2050年)に40.0%まで上昇する見通しです。
Q5. 高齢化率が高い地域は空き家や相続が増えやすいのですか?
高齢化率が高い地域ほど、住宅所有者の高齢化に伴い、将来的に相続や空き家が発生する確率が構造的に高くなる傾向があります。ただし個別の地域・物件ごとに状況は異なります。
Q6. このデータの出典はどこですか?
茨城県「高齢化関連の各種データ」(茨城県統計課「常住人口調査」および総務省統計局「人口推計」)、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」を出典としています。
関連記事として、茨城県の平均世帯年収と住宅取得力【2026年】もあわせてご覧ください。
まとめ
茨城県の高齢化率は令和7年10月時点で31.2%と全国平均を上回り、市町村別では大子町51.8%からつくば市20.0%まで、実に30ポイント以上の地域差があります。この差は単なる統計上の数字ではなく、それぞれの地域で今後どれだけ相続や空き家が発生しやすいかを映す先行指標です。高齢化率が高い地域にご実家がある方は、家族で早めに話し合いを始めることが、選択肢を狭めないための第一歩になります。データの数値はあくまで目安としてご参照いただき、個別のご事情については専門家にご相談ください。
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