「実家のある地域は病院が少ないと聞くけれど、実際どうなのだろう」——茨城県内で家や土地の相続・売却を考えるとき、医療機関へのアクセスは資産価値や住み替え判断に直結する要素のひとつです。本記事では茨城県保健福祉部の公式統計と県の医師確保計画(一次資料)から、県内9つの二次保健医療圏ごとの病院数・診療所数・医師の偏在状況を実データで整理します。

茨城県の医療機関数の全体像

茨城県保健福祉部「令和4年茨城県医療施設調査・病院報告の概況」(令和4年10月1日現在)によると、県内の医療施設総数は3,391施設(うち活動中3,312施設)です。内訳は次のとおりです。

  • 病院:173施設(前年比+1)
  • 一般診療所:1,775施設(うち有床診療所115施設)
  • 歯科診療所:1,364施設

病床数でみると、病院の総病床数は30,530床(一般病床17,838床・療養病床5,321床)、病床利用率は71.4%(前年比-0.5ポイント)、平均在院日数は26.7日です。

人口10万人あたりの施設数は全国平均を下回る

同資料を人口10万人あたりで見ると、茨城県は次のように全国平均を下回る水準にあります。

項目 茨城県 全国平均 全国順位
病院数(人口10万対) 6.1 6.5 32位
一般診療所数(人口10万対) 62.5 84.2 46位(下から2番目)
歯科診療所数(人口10万対) 48.0 54.2 31位
病院病床数(人口10万対) 1,075.0床 1,194.9床 39位

特に一般診療所数は全国47都道府県中46位と、身近な「かかりつけ医」の数そのものが全国的に少ない部類にあることがわかります。

茨城県 医療施設数 全国比較

出典:令和4年茨城県医療施設調査・病院報告の概況(茨城県保健福祉部)

県内の地域差|9つの二次保健医療圏で比較する

茨城県は医療計画上、県内44市町村を9つの「二次保健医療圏」に区分しています(一次医療圏=市町村単位、三次医療圏=県全域)。第8次茨城県保健医療計画(令和5年4月1日現在人口)に基づく区分は以下のとおりです。

医療圏 構成市町村 人口(R5.4.1時点)
水戸 水戸市・笠間市・小美玉市・茨城町・大洗町・城里町 450,083人
日立 日立市・高萩市・北茨城市 234,063人
常陸太田・ひたちなか 常陸太田市・ひたちなか市・常陸大宮市・那珂市・東海村・大子町 343,432人
鹿行 鹿嶋市・潮来市・神栖市・行方市・鉾田市 261,814人
土浦 土浦市・石岡市・かすみがうら市 251,786人
つくば つくば市・常総市・つくばみらい市 364,125人
取手・竜ケ崎 龍ケ崎市・取手市・牛久市・守谷市・稲敷市・美浦村・阿見町・河内町・利根町 455,825人
筑西・下妻 結城市・筑西市・下妻市・桜川市・八千代町 247,188人
古河・坂東 坂東市・古河市・五霞町・境町 220,532人

さらに県はより広域的な「医療提供圏域」として、県央・県北(水戸・日立・常陸太田ひたちなかを合算)、県南東(鹿行・土浦・取手竜ケ崎を合算)、県南西(つくば・筑西下妻・古河坂東を合算)の3区分も設定しています。

医師の偏在指標でみる9医療圏の格差

茨城県「第8次(前期)茨城県医師確保計画(案)」(原資料は厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師統計」2020年)は、医療圏ごとの医師の充足度を示す「医師偏在指標」を公表しています。全国平均は255.6、茨城県全体は193.6で、全330医療圏中43位、全都道府県の中で下位33.3%に入る「医師少数県」と位置づけられています。

9つの二次医療圏を医師偏在指標の高い順に並べると、次のようになります。

医療圏 医師偏在指標 区分
つくば 337.7 医師多数区域
水戸 231.2 医師多数区域
土浦 184.4 中位
取手・竜ケ崎 173.3 医師少数区域
筑西・下妻 153.0 医師少数区域
古河・坂東 148.8 医師少数区域
日立 140.3 医師少数区域
常陸太田・ひたちなか 140.3 医師少数区域
鹿行 137.2 医師少数区域

9医療圏のうち6医療圏が「医師少数区域」に分類されており、医師が多いのは事実上つくば圏と水戸圏の2つに限られる構図です。特に鹿行・県北地域(日立・常陸太田ひたちなか)の指標の低さを県自身が課題として明記しています。

茨城県 医療圏別 医師偏在指標

出典:第8次(前期)茨城県医師確保計画(案)(茨城県)/全国平均255.6

人口10万人あたり医師数も圏域で2〜3倍の差

同資料の人口10万対医師数をみると、つくば医療圏は407.8人と全国平均(269.2人)を上回る一方、常陸太田・ひたちなか圏は120.3人、鹿行圏は93.6人、筑西・下妻圏は121.6人にとどまります。つくば圏と鹿行圏の間には4倍以上の開きがあり、これは筑波大学附属病院という医育機関が医師を集約している構造が背景にあります(つくば圏の病院勤務医のうち医育機関附属病院の割合は49.9%)。

患者の流出入にも地域差の実態が表れている

医師確保計画(一次資料)では、医師少数区域である筑西・下妻圏や鹿行圏から、水戸・土浦・つくばの各医療圏へ入院患者が流出する傾向が指摘されています。また筑西・下妻圏、鹿行圏、取手・竜ケ崎圏は、栃木県・埼玉県・千葉県など隣接県へも患者が流出する傾向があるとされています。

茨城県全体の医師数の推移と背景

厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師統計」(2020年12月31日現在)によると、茨城県内の医師総数は5,838人で、これまで緩やかな増加傾向にあります。ただし人口10万人あたりでは203.6人と全国平均(269.2人)を大きく下回り、全都道府県中46位(下から2番目)という水準です。都市部への医師集中と地方の医師不足という全国共通の構造が、茨城県内でも県央・県南(水戸・つくば)とそれ以外の圏域との間で縮図のように表れています。

医師少数区域はなぜ生まれるのか

県の医師確保計画は、医師少数区域が生まれる背景として、都市部の病院や医育機関に医師が集まりやすい一方、地方の病院では診療科の維持に必要な医師数を安定的に確保しづらいことを挙げています。診療所に従事する医師の割合は、医師少数区域である常陸太田・ひたちなか圏、鹿行圏、筑西・下妻圏でむしろ高くなる傾向があり、地域の開業医が地元の外来診療を支えている一方、入院を伴う専門医療は都市部の病院に頼らざるを得ない構造がうかがえます。

療養病床・在院日数からみる茨城県の医療の特徴

令和4年茨城県医療施設調査・病院報告によると、療養病床を有する病院は県内75施設、病床利用率は71.4%(前年比-0.5ポイント)、平均在院日数は26.7日です。これは急性期治療後の療養・リハビリを担う病床が一定数確保されていることを示しており、高齢化が進む地域ほど、こうした療養・介護に近い医療資源の存在も暮らしの安心材料になります。

生活者から見た意味|「近くに病院があるか」は暮らしの安心と直結する

医師偏在指標や病院数といった統計は、日々の暮らしでは意識しにくい数字です。しかし実際の生活者にとっては、「かかりつけ医にすぐ行けるか」「入院が必要になったとき近くに病院があるか」は、住む場所を選ぶ・住み続けるかどうかを判断する重要な材料になります。特に次のような場面で影響します。

  • 高齢の親と同居・近居を検討するとき、通院のしやすさが選択肢を左右する
  • 持病があり定期通院が必要な世帯では、医療圏内に専門医がいるかどうかが移住・住み替えの判断材料になる
  • 子育て世帯では小児科・産婦人科へのアクセスが住まい選びの条件になりやすい

茨城県では高齢化率が31.2%(令和7年10月1日現在、県公式統計)に達しており、高齢化が進む地域ほど医療アクセスの重要性は増していきます(詳しくは後述の関連記事もご参照ください)。

あわせて読みたい:茨城県の救急医療体制|三次・二次・初期の仕組み【2026年】(救急搬送・ドクターヘリなど救急時の体制について解説)

住まい・不動産への接点|医療圏の実情と実家・空き家の判断

実家や空き家を今後どうするか検討する際、「その地域の医療体制がどうなっているか」は見落とされがちですが、次のような形で不動産の価値・活用方針に関わってきます。

  • 売却を検討する場合:買主となる子育て世帯・高齢世帯にとって、近隣の医療機関の有無は物件の魅力を左右する要素のひとつです。医師多数区域(つくば・水戸圏)に近いエリアほど、この点は強みとして訴求できます。
  • 空き家のまま維持する場合:医師少数区域では将来的な訪問診療・在宅医療の体制も地域差があり得るため、遠方に住む相続人が「実家に将来住むか、手放すか」を判断する材料のひとつになります。
  • 相続で取得した実家の活用を考える場合:医療アクセスは地域の資産価値・賃貸需要にも影響するため、売却・賃貸・空き家活用のいずれを選ぶ場合も、地域の医療圏の実情を踏まえた判断が有効です。

ハウスドゥ茨城グループでは、つくば市・水戸市・取手市・守谷市の4店舗と提携し、茨城県内どのエリアの実家・空き家・土地についても無料査定でご相談いただけます。医療圏の実情も踏まえたうえで、売却・賃貸・空き家活用のどれが合うか一緒に整理いたします。

エリア別にみる医療体制と暮らしの関係

県央・県南(水戸・つくば圏)

医師偏在指標が県内で相対的に高い水戸圏(231.2)・つくば圏(337.7)は、大学病院(筑波大学附属病院)や総合病院が集積し、専門医療へのアクセスが比較的良好なエリアです。つくば市を中心とした不動産のご相談はハウスドゥ つくば研究学園都市(housedo.jp)、水戸市を中心としたご相談はハウスドゥ 県庁水戸(mito-housedo.com)で承っています。

県南西(取手・竜ケ崎圏)

取手・竜ケ崎圏は医師偏在指標173.3で「医師少数区域」に区分されますが、つくば圏・水戸圏に地理的に近く、都心へのアクセスも良好なエリアです。取手市・守谷市周辺の実家・空き家のご相談はハウスドゥ 取手戸頭(housedo.life)、守谷市周辺はハウスドゥ守谷(moriya-housedo.com)で承っています。

県北・鹿行エリア

日立圏・常陸太田ひたちなか圏・鹿行圏はいずれも医師偏在指標が140前後と、県内で医師確保がより課題となっているエリアです。空き家の解体・整地のご相談は解体Do!(kaitai-ibaraki.com)で県内全域対応しています。

よくある質問

Q1. 茨城県は病院が少ない県なのですか?

A1. 人口10万人あたりの病院数は6.1施設で全国平均6.5をやや下回り、全国32位です。突出して少ないわけではありませんが、一般診療所数は人口10万対62.5で全国46位と、全国的に見てもかなり少ない水準にあります(令和4年茨城県医療施設調査・病院報告の概況)。

Q2. 茨城県内でも医療機関に地域差はありますか?

A2. あります。県は9つの二次保健医療圏に分けて医師偏在指標を公表しており、医師多数区域はつくば圏・水戸圏の2圏域にとどまり、残り6圏域(取手・竜ケ崎、筑西・下妻、古河・坂東、日立、常陸太田・ひたちなか、鹿行)は医師少数区域に区分されています。

Q3. 二次保健医療圏とはどのような区分ですか?

A3. 入院医療を主体とした医療提供体制を整備するための区域単位で、複数の市町村をまとめて設定されます。茨城県では9つの二次医療圏があり、一次医療圏(市町村単位・主に外来診療)、三次医療圏(県全域・高度専門医療)とあわせた3段階の医療計画の中間に位置づけられます。

Q4. なぜつくば市周辺は医師が多いのですか?

A4. つくば市には筑波大学附属病院という医育機関があり、医師の養成・集約拠点になっています。つくば医療圏の病院勤務医のうち約半数(49.9%)が医育機関附属病院に所属しており、これが人口10万対医師数407.8人という高い水準を支えています。

Q5. 医療機関が少ない地域の実家は売却しにくくなりますか?

A5. 医療アクセスの利便性は物件の魅力を左右する一要素ですが、それだけで売却の可否が決まるわけではありません。地域の医療体制を踏まえたうえで、価格設定や訴求ポイントを工夫することで、医師少数区域のエリアでも適切な売却は可能です。個別の状況は無料査定でご相談ください。

Q6. 高齢の親の近くに引っ越す場合、医療体制はどう調べればよいですか?

A6. まずは検討しているエリアがどの二次保健医療圏に属するかを確認し、県の医師確保計画や医療計画(茨城県保健福祉部公式サイトで公開)で医師偏在指標や近隣の病院の診療科目を調べる方法があります。個別の病院の診療科目や体制は、各医療機関の公式サイトでの確認をおすすめします。

Q7. このデータはどのくらいの頻度で更新されますか?

A7. 茨城県医療施設調査・病院報告は毎年公表されており、医師確保計画は数年ごとに改定されます。本記事は令和4年調査(医療施設数)と第8次医師確保計画(案・2020年医師統計ベース)に基づいています。最新の状況は茨城県保健福祉部の公式サイトでご確認ください。

あわせて読みたい:茨城県の図書館・文化施設【2026年】では、県立図書館や県立美術館・博物館、市町村別の指定文化財件数を一次情報から整理しています。医療体制とあわせて、暮らしの文化的なインフラもご参考ください。

まとめ|医療圏の実情を知ることが暮らしと不動産判断の土台になる

茨城県は病院・診療所とも人口あたりの施設数が全国平均を下回り、県内でも9つの二次保健医療圏の間で医師の偏在が明確に存在します。医師多数区域はつくば圏・水戸圏に限られ、残り6圏域は医師少数区域という構図は、暮らしの安心だけでなく、実家や空き家をどう活用するかという不動産の判断にも関わってきます。ハウスドゥ茨城グループでは、こうした地域の実情を踏まえたうえで、茨城県内どのエリアの実家・空き家・土地についても無料査定・ご相談を承っています。まずはお気軽にお問い合わせください。

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