不動産の売却や購入を検討するとき、「この地域にはどのくらいの年収の人が住んでいるのか」「その年収で住宅を買える人はどれくらいいるのか」は、需要の実態を知るうえで欠かせない視点です。本記事では、総務省統計局・厚生労働省・茨城県公式統計の一次情報をもとに、茨城県の平均世帯年収・所得の水準と、そこから見える住宅取得力の目安を整理します。市町村別の数字は「一覧・ランキング」として横断的に扱い、県全体の姿を捉えることを目的とします。

目次
  1. 茨城県の平均年収・所得の全体像
    1. 茨城県公式統計が示す現金給与総額
    2. 賃金構造基本統計調査ベースの年収目安
    3. 求人統計データに基づく参考値
    4. 茨城県の「平均所得」市町村ランキングの傾向
    5. 複数の年収データを比較する際の注意点
  2. 全国比較|茨城県の年収は何位か
    1. 全国順位の目安
    2. なぜ2つの調査で印象が異なるのか
    3. 関東近隣県との比較の視点
  3. 茨城県内の地域差|市町村別の所得傾向
    1. 所得水準が高い傾向にあるエリア
    2. 所得水準の中間〜相対的に低いエリア
    3. 地域差の背景にある産業構造
  4. 茨城県の年収の推移
    1. 近年の増減率
    2. 賃上げの動きと業種差
    3. 今後の見通しに関する留意点
  5. 年収から見た住宅取得力の目安
    1. 「返済負担率」という考え方
    2. 茨城県の年収水準から見える傾向
    3. 茨城県が持つ「住宅取得力」の構造的な特徴
  6. 年収データから見える茨城県の買主層の実像
    1. 共働き世帯の増加と世帯年収の考え方
    2. 茨城県で不動産を探す・売る人の年収層
    3. 売却を検討する方へ|買主層を踏まえた見せ方
  7. よくある質問
    1. Q1. 茨城県の平均年収はいくらですか?
    2. Q2. 茨城県で年収が高い市町村はどこですか?
    3. Q3. 茨城県の年収は全国と比べて高いですか、低いですか?
    4. Q4. 世帯年収から住宅ローンの借入可能額はどう考えればいいですか?
    5. Q5. 茨城県内で年収・所得の地域差が大きいのはなぜですか?
    6. Q6. 茨城県の世帯年収の統計はありますか?
    7. Q7. 茨城県で不動産を売却する際、買主の年収層を意識する必要はありますか?
  8. 関連する茨城県の地域データ記事
  9. まとめ

茨城県の平均年収・所得の全体像

まず、茨城県で働く人の賃金水準を一次情報で確認します。

茨城県公式統計が示す現金給与総額

茨城県統計課が公表する「毎月勤労統計調査地方調査」の令和6年結果(茨城県公式サイト「令和6年茨城県の賃金・労働時間・雇用の動き」)によると、県内事業所(調査産業計)の現金給与総額は、全国平均347,994円と比べて茨城県は18,762円下回っており、金額にするとおよそ329,000円台となっています。また、対前年増減率も全国の+2.8%に対し、茨城県は1.8ポイント下回る水準にとどまりました。この調査は毎月の給与実態を継続的に把握するもので、年収そのものではなく「月々の現金給与総額」を示す点に注意が必要です。

賃金構造基本統計調査ベースの年収目安

年収ベースの目安としては、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」の都道府県別集計を基にした算出で、茨城県の平均年収は494万円前後(全国8〜10位程度)とする分析が民間の転職情報サイトなどで公表されています。同調査によれば、男女差はおよそ180〜190万円、年収のピークは男性が50〜54歳、女性が40〜45歳の年代とされています。これはあくまで正社員を中心とした一般労働者の集計であり、パート・アルバイトを含む県民全体の所得水準とは異なる点に留意してください。

求人統計データに基づく参考値

求人情報の統計を集計する民間サービス(求人ボックス給料ナビ)では、茨城県の仕事の平均年収は427万円、平均時給は1,189円という参考値が示されています。これは実際の求人票に記載された条件を集計したもので、賃金構造基本統計調査とは算出方法が異なるため、複数の指標を併せて「目安」として捉えることが重要です。

茨城県の「平均所得」市町村ランキングの傾向

市町村民税課税状況等に基づく「平均所得」の集計では、茨城県内でトップとなるのはつくば市とされ、平均所得300万円以上の市町村は十数市町村にのぼるとされています。TX(つくばエクスプレス)沿線を中心に所得水準の高いエリアが分布する傾向がある一方、県北・鹿行地域など所得水準が相対的に低いエリアも存在し、県内での地域差が明確です。この地域差の詳細は次章で扱います。

複数の年収データを比較する際の注意点

以下は、本記事で紹介した茨城県の年収・給与に関する主な調査を整理したものです。調査目的や対象が異なるため、単純な優劣ではなく「何を測っているか」を理解した上で参照することが重要です。

調査名 実施主体 対象 性質
毎月勤労統計調査地方調査 茨城県統計課 県内事業所 月次の現金給与総額
賃金構造基本統計調査 厚生労働省 一般労働者(主に正社員) 年収ベースの推計に使われる
求人統計(給料ナビ等) 民間求人サイト 掲載求人の条件 実勢の求人条件を反映
市町村民税課税状況等の調 総務省・各市町村 課税対象者 「平均所得」の市町村比較に使用

本記事のグラフ・数値は、特に断りのない限りこれらの一次情報・公表資料に基づく「目安」です。年ごとに調査結果が更新されるため、最新の判断には各調査の最新公表資料をご確認ください。

茨城県 平均年収 調査比較 housedo.group
茨城県の年収に関する調査別の数値比較(出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」を基にした分析、求人統計サイト集計)

全国比較|茨城県の年収は何位か

全国順位の目安

賃金構造基本統計調査を基にした民間の分析では、茨城県の平均年収は全国8〜10位前後とされ、都道府県の中では上位グループに位置づけられる年もあります。一方、毎月勤労統計調査地方調査(現金給与総額ベース)では、茨城県は全国平均を下回る結果となっており、調査の対象や算出方法によって順位の見え方が変わる点に注意が必要です。

なぜ2つの調査で印象が異なるのか

賃金構造基本統計調査は主に「正社員・一般労働者」を対象とした年収ベースの調査であるのに対し、毎月勤労統計調査はパート等を含む「事業所全体」の月次給与を集計しています。茨城県は製造業の大規模事業所(研究学園都市つくばの研究機関、鹿嶋・神栖の重工業地帯など)が年収を押し上げる一方、パート比率の高い事業所も多く、集計方法によって順位が変動しやすい構造があります。不動産の買主層を考えるうえでは、どちらか一方だけでなく、両方の傾向を踏まえておくことが実態把握につながります。

関東近隣県との比較の視点

一般に茨城県は、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県といった東京都心に近い南関東の県と比べると平均年収は低めですが、北関東(栃木県・群馬県)の中では相対的に高い水準にあるとされています。これは、つくばエクスプレス沿線や県南地域で東京への通勤者・研究学園都市の雇用が年収水準を押し上げている一方、県北・県西の一部地域では農業・地場産業の比率が高いことが背景にあると考えられます。

茨城県内の地域差|市町村別の所得傾向

県全体の数字だけでは、住宅取得力の実態は見えません。茨城県内44市町村を横断的に見ると、所得水準には明確な地域差があります。

所得水準が高い傾向にあるエリア

市町村民税課税状況等に基づく平均所得の集計では、つくば市が県内トップとされています。研究学園都市として国家公務員・研究者・IT関連企業の従業員が多く居住していることが背景にあると考えられます。つくばエクスプレス沿線のつくばみらい市・守谷市も、東京への通勤者が多く、比較的所得水準の高いエリアとされています。

所得水準の中間〜相対的に低いエリア

県庁所在地である水戸市や、県南の土浦市などは県内の中間的な水準にあるとされます。一方、県北・鹿行地域の一部市町村では、高齢化率が高く(参考:茨城県の高齢化率|44市町村の地域差【2026】)、年金収入が中心の世帯が多いことも影響し、平均所得は相対的に低い傾向にあるとされています。

地域差の背景にある産業構造

茨城県内の所得の地域差は、単純な「都市部か地方か」だけでなく、研究学園都市(つくば)・工業地帯(鹿嶋・神栖・日立)・農業地帯(県西・鹿行の一部)・伝統的な県庁所在地商圏(水戸)という多様な産業構造の違いを反映しています。不動産の買主層を考える際は、このエリアごとの産業特性を踏まえることが重要です。

茨城県の年収の推移

近年の増減率

茨城県公式の毎月勤労統計調査地方調査によれば、令和6年の現金給与総額は前年比で増加していますが、その増加率は全国平均の伸び(+2.8%)を下回る+1.0%程度にとどまりました。全国的な賃上げの流れの中で、茨城県も給与水準は上昇傾向にあるものの、そのペースは全国平均よりやや緩やかという特徴があります。

賃上げの動きと業種差

近年は全国的に大企業を中心とした賃上げの動きが続いていますが、茨城県内では製造業の大規模事業所(研究学園都市つくばの研究機関、鹿嶋・神栖の重工業地帯、日立市の電機関連企業など)が比較的高い伸びを示す一方、中小事業所やパート比率の高い業種では伸びが緩やかとされています。この業種間の差が、県全体の平均値を押し下げる一因となっている可能性があります。

今後の見通しに関する留意点

年収・所得の将来推計については、茨城県公式・国の統計機関から公表された確定的な長期予測は現時点で確認できていません。年収の推移は経済情勢・雇用情勢に左右されるため、本記事では「無い情報は書かない」という方針のもと、確定した将来推計の記載は控え、直近の実測値の傾向のみをお伝えします。

年収から見た住宅取得力の目安

「返済負担率」という考え方

住宅ローンを検討する際によく使われる指標に「返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)」があります。一般的な目安として、住宅金融支援機構のフラット35などでは、年収に応じて返済負担率の基準(年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下など)が設けられていることが知られています。これはあくまで審査上の一般的な基準であり、実際に無理なく返済できる金額は世帯構成・他の支出・将来のライフイベントによって大きく異なります。個別の借入可能額や適正な返済計画については、金融機関や住宅ローンの専門家に相談することをおすすめします。

茨城県の年収水準から見える傾向

前述の通り、茨城県の平均年収は各種調査で400万円台後半という水準が示されています。一般的な返済負担率の目安(年収の20〜25%程度に抑えるのが望ましいという考え方が広く紹介されています)に当てはめると、年間返済額はおよそ100万円前後、月々にして8万円台という試算になります。これはあくまで一般的な考え方の紹介であり、実際の借入可能額・適正額を保証するものではありません。金利・返済期間・頭金の有無によって大きく変動するため、詳細は専門家にご確認ください。

茨城県が持つ「住宅取得力」の構造的な特徴

茨城県は、東京都心と比べて地価・住宅価格が相対的に抑えられている一方(参考:茨城県の公示地価の推移|10年でみる資産価値の流れ【2026】)、平均年収は北関東の中では相対的に高い水準にあるとされています。この「年収に対する住宅価格の割安感」が、TX沿線を中心とした人口流入・住宅取得の動きを支えている可能性があります。ただし、これは県内でも地域差が大きいテーマであり、一律に「買いやすい」と言い切れるものではありません。

茨城県 住宅取得力 返済負担率 housedo.group
返済負担率の一般的な目安(イメージ図・フラット35等で紹介される考え方を基に作成)

年収データから見える茨城県の買主層の実像

共働き世帯の増加と世帯年収の考え方

個人の年収だけでなく、共働き世帯が増えている現在は「世帯年収」で住宅取得力を捉える視点も重要です。夫婦共働きであれば、単身の平均年収を大きく上回る世帯年収となるケースも多く、実際の住宅取得の意思決定は世帯単位で行われることが一般的です。ただし、県全体の世帯年収を示す確定的な公的統計は本記事執筆時点で確認できておらず、正直に「無い」とお伝えします。

茨城県で不動産を探す・売る人の年収層

これまで見てきた年収データを踏まえると、茨城県内で住宅取得を検討する層は、TX沿線・県南エリアを中心とした共働き・子育て世帯(研究学園都市つくばの研究者・技術者を含む)と、県内各地の地元就業者・Uターン層に大別できると考えられます。前者は比較的高い年収水準を背景に新築・築浅物件を検討する傾向があり、後者は中古住宅・実家の活用(相続・空き家問題との接点)を検討する傾向があると推測されます。

売却を検討する方へ|買主層を踏まえた見せ方

物件を売却する際は、こうした買主層の年収傾向を踏まえた情報提供が有効です。たとえば、TX沿線エリアであれば通勤時間・共働き世帯向けの利便性を、県北・鹿行エリアであれば価格の割安感や広さを訴求するなど、エリアの所得構造に応じたアプローチが考えられます。茨城県内で不動産の売却・査定をご検討の際は、地域ごとの実情に詳しい地元の不動産会社にご相談いただくことをおすすめします。ハウスドゥでは、茨城県内でつくば市(ハウスドゥ つくば研究学園都市)・水戸市(ハウスドゥ 県庁水戸)・取手市戸頭(ハウスドゥ 取手戸頭)・守谷市(ハウスドゥ 守谷)の4店舗を展開し、各エリアの相場・買主動向を踏まえた売却サポートを行っています。

よくある質問

Q1. 茨城県の平均年収はいくらですか?

調査によって数値は異なります。厚生労働省「賃金構造基本統計調査」を基にした分析では494万円前後(全国8〜10位程度)、求人統計サイトの集計では427万円という参考値が示されています。また茨城県公式の毎月勤労統計調査地方調査(現金給与総額ベース)では全国平均をやや下回る結果です。どの指標を見るかで印象が変わるため、複数の調査を「目安」として捉えることをおすすめします。

Q2. 茨城県で年収が高い市町村はどこですか?

市町村民税課税状況等に基づく平均所得の集計では、研究学園都市であるつくば市が県内トップとされています。つくばエクスプレス沿線のつくばみらい市・守谷市も、東京への通勤者が多く所得水準が高い傾向にあるとされます。

Q3. 茨城県の年収は全国と比べて高いですか、低いですか?

集計方法によって結果が異なります。年収ベースの賃金構造基本統計調査では全国平均を上回るとする分析がある一方、月次給与の毎月勤労統計調査では全国平均を下回っています。一概に「高い」「低い」と言い切れないのが実情です。

Q4. 世帯年収から住宅ローンの借入可能額はどう考えればいいですか?

一般的な考え方として、年間返済額を年収の20〜25%程度に抑えるのが望ましいという目安が広く紹介されています。ただし、これは一般的な考え方の紹介であり、実際の借入可能額は金融機関の審査基準・金利・返済期間・他の借入状況によって異なります。正確な試算は金融機関や住宅ローンの専門家にご相談ください。

Q5. 茨城県内で年収・所得の地域差が大きいのはなぜですか?

研究学園都市(つくば)・工業地帯(鹿嶋・神栖・日立)・農業地帯(県西・鹿行の一部)・伝統的な県庁所在地商圏(水戸)など、茨城県内は産業構造が多様であることが背景にあります。また、高齢化率の高いエリアでは年金収入が中心の世帯が多いことも、平均所得を押し下げる一因と考えられます。

Q6. 茨城県の世帯年収の統計はありますか?

本記事執筆時点では、茨城県公式・総務省統計局から「世帯年収」を県単位で示す確定的な統計は確認できていません。個人の年収データ(賃金構造基本統計調査・毎月勤労統計調査)を基にした推計にとどまる点を正直にお伝えします。

Q7. 茨城県で不動産を売却する際、買主の年収層を意識する必要はありますか?

エリアによって買主層の年収傾向が異なるため、売却戦略を考えるうえで参考になります。TX沿線エリアは共働き・比較的高年収の子育て世帯が多く、県北・鹿行エリアは価格の割安感を重視する層が多い傾向にあると考えられます。詳しくは地元の不動産会社にご相談ください。

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まとめ

茨城県の平均年収は、調査方法によって427万円〜494万円程度という幅があり、全国順位も算出方法次第で変動します。県内では、つくば市を中心としたTX沿線エリアの所得水準が高い一方、県北・鹿行エリアとの地域差も明確です。住宅取得力の目安としては、一般的な返済負担率の考え方に照らすと年収の20〜25%程度が一つの目安とされますが、これはあくまで一般論であり、個別の判断は専門家への相談をおすすめします。茨城県内で不動産の売却をご検討の方は、エリアごとの買主層の実像を踏まえたご提案が可能な地元の不動産会社にご相談ください。

産業構造と雇用の全体像は茨城県の産業構造と雇用|製造業・農業・研究都市で詳しく解説しています。