「親が高齢になってきたけれど、茨城県内にはどんな介護施設があるのだろう」「特別養護老人ホームに入るにはどれくらい待つのか」——茨城県内で不動産の売却や実家じまいのご相談を受ける中で、こうした介護施設に関する疑問を耳にする機会が増えています。介護施設への入居は、実家をどうするかという住まいの選択と切り離せないテーマです。この記事では、茨城県が公表している一次情報をもとに、県内の介護施設・高齢者住宅の状況を県単位で整理し、地域差や今後の見通し、そして住まい・不動産との接点までを解説します。
1. 茨城県の高齢化と介護の全体像
1-1. 茨城県の高齢化率と要介護認定者数
茨城県の高齢化率(65歳以上人口の割合)は約30%に達しており、県民のおよそ3人に1人が高齢者という状況です(詳細は本記事末尾の関連記事「茨城県の高齢化率|44市町村の地域差」を参照)。高齢化の進行に伴い、要介護・要支援の認定を受ける方の数も増加傾向にあり、在宅での生活が難しくなった場合の受け皿として、介護施設・高齢者住宅の役割が大きくなっています。
1-2. 主語はあくまで「茨城県」
茨城県内では、市町村ごとに施設の整備状況や待機者数に差があります。ただし本記事はあくまで茨城県全体を主語とした県単位の記事であり、個別の市町村を主題にするものではありません。ここでは県内の傾向を横断的に整理します。個別の市町村における具体的な施設探しや詳しい相談は、各市町村の地域包括支援センターや、つくば・水戸・取手戸頭・守谷の各店舗までお問い合わせください。
1-3. 茨城県が掲げる介護施設整備の数値目標
茨城県は「第9期いばらき高齢者プラン21」(茨城県高齢者福祉計画・介護保険事業支援計画)の中で、特別養護老人ホームの整備床数について数値目標を掲げています。同プランの数値目標一覧によれば、特別養護老人ホームの整備床数は現況の16,309床から、計画期間内に16,939床(後に16,991床への上方修正も確認されています)まで増やす目標が示されています。これは県として、在宅生活が難しくなった高齢者の受け皿を計画的に増やしていく方針を示すものです。

2. 茨城県内の介護施設・高齢者住宅の種類
2-1. 公的な介護保険施設
介護保険制度に基づく施設には、主に次の3種類があります。
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム):常時介護が必要で、自宅での生活が困難な要介護者(原則要介護3以上)が入所し、食事・入浴・排泄などの介護を受ける施設。
- 介護老人保健施設:病状が安定期にあり、リハビリテーションを中心とした医療的ケアを必要とする方が入所する施設。在宅復帰を目指す位置づけ。
- 介護医療院・介護療養型医療施設:医療的なケアと生活支援を長期的に必要とする方向けの施設。
2-2. 民間の高齢者住宅・施設
公的な介護保険施設のほかに、茨城県内には民間事業者が運営する高齢者向け住まいも整備されています。
- サービス付き高齢者向け住宅(サ高住):バリアフリー構造で安否確認・生活相談サービスが付いた賃貸住宅。介護度が低い段階から入居しやすいのが特徴です。
- 有料老人ホーム(介護付き・住宅型):食事や介護などのサービスを受けながら生活する施設。介護付きは施設内で介護保険サービスを受けられ、住宅型は外部の訪問介護等を利用します。
- 認知症高齢者グループホーム:認知症の高齢者が少人数で共同生活しながら介護を受ける地域密着型サービス。
茨城県の保健福祉医療委員会資料でも「老人福祉施設等基盤整備の推進」として、第9期いばらき高齢者プラン21に基づき、地域ニーズに対応した特別養護老人ホーム・介護老人保健施設などの整備を進める方針が示されています。
2-3. 施設探しで最初に迷いやすいポイント
「特養」「老健」「サ高住」「有料老人ホーム」の違いは分かりにくく、費用・入居条件・待機期間もそれぞれ異なります。一般的な傾向として、特別養護老人ホームは費用を抑えやすい一方で入所までの待機が生じやすく、有料老人ホームやサ高住は費用が相対的に高くなる代わりに入居のハードルが低いという違いがあります。実際の選択にあたっては、市町村の地域包括支援センターやケアマネジャーへの相談が基本となります。
3. 県内の地域差|圏域ごとの整備状況
3-1. 茨城県は老人福祉圏域ごとに情報提供
茨城県は「特別養護老人ホーム利用情報提供事業」として、県内を複数の圏域(水戸・日立・土浦・つくば・取手龍ケ崎・古河坂東・筑西下妻など)に分け、圏域ごとに施設の空床数・待機者数を公表しています。この圏域区分は、本記事内の関連記事「茨城県の医療機関・病院の分布」で扱った9つの二次保健医療圏とも重なる部分が多く、医療と介護の体制が地域単位で一体的に整備されている実態がうかがえます。
3-2. 4店舗エリアで見る整備の傾向
ハウスドゥの4店舗が担当するエリアと重ねると、次のような傾向が見えてきます(個別の待機者数・空床数は日々変動するため、最新の状況は各圏域の情報や市町村窓口でご確認ください)。
| エリア | 該当する老人福祉圏域の傾向 | 担当店舗 |
|---|---|---|
| つくば市周辺 | つくば圏域。研究学園都市として人口増加が続く一方、高齢化も進行 | housedo.jp(つくば) |
| 水戸市周辺 | 水戸圏域。県庁所在地として施設数は比較的多い | mito-housedo.com(水戸) |
| 取手市周辺 | 取手・龍ケ崎圏域 | housedo.life(取手戸頭) |
| 守谷市周辺 | 常総・つくばみらい方面の圏域に近接 | moriya-housedo.com(守谷) |
3-3. 県北・鹿行エリアの課題
本記事の関連記事「茨城県の医療機関・病院の分布」でも触れたとおり、茨城県内では医師偏在指標に県北・鹿行エリアでの医療資源の少なさが表れています。介護についても同様に、都市部と比べて事業者数・施設数が少なく、担い手となる介護人材の確保が難しいという地域差が、茨城県の各種計画資料で課題として挙げられています。
4. 推移とその背景|介護人材不足という構造課題
4-1. 施設整備だけでは解決しない担い手不足
茨城県の保健福祉医療委員会資料では、重点審査テーマとして医療従事者の確保と並び「介護人材の確保」が掲げられています。施設や住宅の「箱」を整備しても、そこで働く介護職員が不足すれば、定員通りに受け入れられない事態が生じます。全国的な傾向として、有効求人倍率で見ても介護分野の人材確保は厳しい状況が続いており、茨城県も例外ではありません。
4-2. 高齢化のスピードと施設整備のタイムラグ
特別養護老人ホームなどの施設整備には、計画策定から建設・開設まで一定の期間を要します。茨城県の高齢化率が上昇を続ける中、施設整備の計画(第9期いばらき高齢者プラン21など)は3年ごとに見直されながら、実際の需要とのバランスを取ろうとしていますが、地域によっては整備が需要の伸びに追いつきにくい構造があります。
4-3. 在宅介護を支えるサービスの拡充
施設への入所だけでなく、訪問介護・通所介護(デイサービス)・短期入所生活介護(ショートステイ)など、自宅に住み続けながら利用できる介護サービスの拡充も、茨城県の施策の柱の一つです。「施設か在宅か」の二択ではなく、在宅生活を介護サービスで支えながら、必要に応じて施設利用を組み合わせる考え方が広がっています。
5. 生活者から見た意味|親の介護と向き合うタイミング
5-1. 「まだ早い」と先送りにしがちな現実
介護施設の情報収集は、実際に介護が必要になってから慌てて始める方が少なくありません。しかし特別養護老人ホームなどの公的施設は、地域や施設によって入所までの待機が生じる場合があるため、早めに情報を集め、地域包括支援センターに相談しておくことが、いざというときの選択肢を広げることにつながります。
5-2. 施設入居のきっかけになりやすい出来事
- 親の入院をきっかけに、退院後の在宅生活が難しいと分かった
- 認知症の症状が進み、一人暮らしでの安全確保が難しくなった
- 同居していた家族の側に、介護の負担が重くのしかかるようになった
- 介護者自身の高齢化(老老介護)により、これまでの体制を維持できなくなった
これらはいずれも、実家という「住まい」の今後をどうするかという判断と同時に発生しやすい出来事です。
6. 住まい・不動産への接点|施設入居と実家のこれから
6-1. 親が施設に入居すると、実家は空き家になりやすい
親が介護施設・高齢者住宅へ入居すると、それまで住んでいた実家は空き家になるケースが多くあります。空き家のまま放置すると、固定資産税の負担が続くだけでなく、建物の劣化や防犯・防災面のリスクも高まります。茨城県内の空き家率や世帯数の状況については、関連記事「茨城県の空き家率・世帯数データ」でも詳しく解説しています。
6-2. 施設入居費用を実家の売却資金でまかなう選択肢
有料老人ホームやサ高住などは、施設によって入居一時金や月額利用料の負担が生じます。空き家となった実家を売却し、その資金を施設の入居費用や介護費用に充てるという選択は、多くのご家庭で検討される現実的な方法の一つです。ただし、親が元気なうちに本人の意思を確認しておくことや、認知症が進んでからの売却では成年後見制度や任意後見契約などの手続きが必要になる場合がある点には注意が必要です(詳しくは関連記事「認知症の親の家を売却するタイミング」もご参照ください)。
6-3. 実家を「誰も住まない家」にしないための早めの相談
介護施設への入居は、多くの場合突発的に判断を迫られる場面で決まります。だからこそ、実家をどうするか(売却・賃貸・空き家のまま維持など)についても、介護の話と並行して早めに家族で話し合っておくことが、後々の負担を減らすことにつながります。ハウスドゥの4店舗では、こうした「実家じまい」に関するご相談も承っています。
7. よくある質問
Q1. 茨城県内の特別養護老人ホームには、すぐに入所できますか?
A. 施設や地域によって異なりますが、特別養護老人ホームは原則要介護3以上が対象で、希望者に対して施設数が十分でない地域では待機が生じる場合があります。茨城県は圏域ごとに空床数・待機者数の情報を提供しているため、最新の状況は各施設や市町村の窓口に確認することをおすすめします。
Q2. サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と有料老人ホームの違いは何ですか?
A. サ高住は賃貸借契約に基づく住まいで、安否確認・生活相談サービスが付いています。有料老人ホームは施設によって介護サービスの提供体制が異なり、介護付きは施設内で介護保険サービスを一体的に受けられます。費用体系や契約形態も異なるため、個別の施設で確認が必要です。
Q3. 茨城県内の介護施設は今後増える予定ですか?
A. 茨城県は「第9期いばらき高齢者プラン21」の中で、特別養護老人ホームの整備床数について現況16,309床から16,900床台への増床を目標に掲げています。ただし整備には介護人材の確保も必要なため、計画通りに進むかどうかは地域の状況によって差が出る可能性があります。
Q4. 親の介護施設探しは何から始めればよいですか?
A. まずはお住まいの市町村の地域包括支援センターに相談するのが基本です。要介護認定の申請状況や本人の状態に応じて、利用できる施設・サービスの種類が変わってきます。
Q5. 親が施設に入居したあと、実家はどうすればよいですか?
A. 売却して施設費用や介護費用に充てる、賃貸に出す、将来同居する家族のために維持するなど、選択肢は複数あります。空き家のまま放置すると税負担や管理の手間が発生し続けるため、早めに方針を決めておくことをおすすめします。ハウスドゥの各店舗では、実家の売却に関するご相談を承っています。
Q6. 介護施設への入居後に実家を売却する場合、注意点はありますか?
A. 名義人であるご本人の判断能力が十分であれば通常の売却手続きが可能ですが、認知症が進んでいる場合は成年後見制度や任意後見契約の利用が必要になることがあります。関連記事「認知症の親の家を売却するタイミング」もあわせてご確認ください。
8. まとめ
茨城県内の介護施設・高齢者住宅は、特別養護老人ホームなどの公的施設と、サ高住・有料老人ホームなどの民間住宅が組み合わさって成り立っています。茨城県は「第9期いばらき高齢者プラン21」で施設整備の数値目標を掲げる一方、介護人材の確保という構造的な課題も抱えています。県内で地域差があることを踏まえつつ、親の介護が現実的なテーマになってきたご家庭では、施設探しと合わせて「実家をどうするか」という住まいの選択についても、早めに話し合っておくことが大切です。実家の売却や空き家の活用でお悩みの際は、ハウスドゥの各店舗までお気軽にご相談ください。
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