実家の片付けや空き家の整理を進めていると、必ずぶつかるのが「大量に出るごみ、どう処分すればいいのか」という壁です。可燃・不燃・資源物・粗大ごみ……分別のルールは市町村ごとにバラバラで、水戸市で通用したやり方がつくば市では通用しない、ということが茨城県では普通に起こります。この記事では、茨城県内の一般廃棄物の統計データと、つくば市・水戸市・取手市・守谷市を中心とした主要市町村の分別ルールを一次情報にもとづいて整理し、実家じまいや空き家整理の場面で失敗しないための考え方をお伝えします。
茨城県のごみ処理はなぜ「市町村ごとに違う」のか
ごみ処理は法律上、市町村の自治事務です。廃棄物処理法により一般廃棄物(家庭ごみ)の処理責任は市町村にあると定められており、分別区分・収集頻度・指定袋の有無・手数料は各市町村が条例で個別に決めています。これが「県で統一されていない」根本的な理由です。
茨城県は44市町村、ルールも44通りに近い
茨城県は44市町村で構成されており、ごみ処理の一次的な実務主体もこの44市町村です。県はこれを束ねる広域計画(後述)を持っていますが、実際の分別ルールそのものへの介入権限はありません。そのため「県内で引っ越した」だけでも分別ルールを覚え直す必要があります。
不動産売買・実家じまいで見落とされやすいポイント
茨城県内で複数の市町村にまたがる不動産を扱う場合や、遠方に住む相続人が実家じまいを進める場合、「以前住んでいた市のルール」をそのまま新しい市に持ち込んでしまうトラブルが起きがちです。売却前の残置物処分・解体前の家財処分では、まず対象不動産がある市町村の最新ルールを確認することが第一歩になります。
茨城県全体のごみ排出量の実態【令和6年度実績】
茨城県の公式統計から、県全体の状況を確認します。
県全体のごみ総排出量は960,762トン
茨城県「一般廃棄物の処理状況」(令和6年度実績、環境省「一般廃棄物処理事業実態調査」に基づく集計)によると、茨城県内のごみ総排出量は960,762トンで、前年度比6,190トンの減少でした。
1人1日あたりの排出量は924g
県全体の1人1日当たりごみ排出量は924g(生活系663g+事業系261g)で、前年度比2gの微増となっています。
再生利用率は19.1%、最終処分量は53,780トン
再生利用率(リサイクル率)は19.1%で前年度比0.8ポイントの低下、最終処分量(埋め立て等)は53,780トンで前年度比3,466トンの減少でした。リサイクル率の低下は、県内の資源物回収・分別の徹底が今後の課題であることを示しています。
主要市の1人1日あたりごみ排出量を比較する
同じ茨城県内でも、市によって排出量には差があります。ハウスドゥ4店舗が担当するつくば市・水戸市・取手市・守谷市を含む主要市のデータを見てみましょう。
つくば市が1,002gで最も多い水準
令和6年度実績で、つくば市は1,002g、水戸市981g、土浦市962g、日立市908gと、県平均(924g)を上回る市が目立ちます。
取手市・守谷市は県平均を下回る
一方、取手市767g、守谷市722gは県平均を大きく下回っています。人口構成(単身世帯比率)や事業系ごみの発生量の違いが影響していると考えられます。

4市の分別ルールを比較する【つくば市・水戸市・取手市・守谷市】
ハウスドゥ4店舗の担当エリアである4市の公式サイトから、分別区分・指定袋・粗大ごみの出し方を整理しました(2026年時点、各市公式サイトより)。
分別区分数はどこも8〜10分別前後
| 市 | 分別区分の目安 | 可燃ごみ袋 | 不燃ごみ袋 | 粗大ごみの出し方 |
|---|---|---|---|---|
| つくば市 | 8分別+粗大+有害 | 市指定袋(有料) | 指定袋なし(透明・半透明) | 予約制の有料戸別収集のみ、集積所は不可 |
| 水戸市 | 8分別(資源A/B・プラ容器包装・小型家電・燃える・燃えない・有害・粗大) | 市指定袋・黄色(有料) | 市指定袋・水色(有料) | 戸別収集(要予約)、処理券制。自己搬入は10kgあたり170円 |
| 取手市 | 可燃・不燃・プラ容器包装・ペット・缶・ビン・古紙古布・有害・粗大の約9分別 | 「燃やすしかないごみ専用袋」・赤(有料) | 指定袋(青) | 戸別収集:1点500円。常総環境センター自己搬入は10kgあたり143円+税 |
| 守谷市 | 可燃・不燃(金属/割れ物)・不燃(プラ/ビニール)・プラ容器包装・ペット・缶・ビン・古紙・古布・有害・粗大の10分別以上 | 指定袋あり | 令和8年4月から「金属類・割れ物専用袋」新導入 | 予約制戸別収集:1点500円。常総環境センター自己搬入も可 |
※出典:各市公式サイト「ごみの出し方」ページ(2026年時点)。指定袋の詳細価格は市によって非公開または要問い合わせのものがあるため、実際の処分前に必ず各市公式サイトまたは市役所窓口で最新情報をご確認ください。
取手市・守谷市は「常総環境センター」を共有
取手市と守谷市は、粗大ごみなどの自己搬入先として同じ「常総環境センター」(守谷市野木崎)を利用しています。これは後述する県の「ごみ処理広域化計画」で、取手市・守谷市・つくばみらい市・常総市が同じ広域処理ブロックに位置づけられていることの現れでもあります。
水戸市は令和8年6月からオンライン申請に対応
水戸市の粗大ごみ収集は、令和8年6月からオンライン申請にも対応する予定です。電話予約が主流だった手続きが順次デジタル化されており、遠方に住む相続人が実家じまいを進める際の負担軽減につながることが期待されます。
なぜ「広域化」が進んでいるのか【茨城県ごみ処理広域化計画】
茨城県は2022年3月、「ごみ処理広域化計画」を20年以上ぶりに見直しました。ここには、人口減少時代の茨城県が抱えるごみ処理の構造的な課題が表れています。
広域化ブロックは35→29→10へ再編中
1998年の前計画策定時、県内は35のごみ処理ブロックに分かれていました。2021年4月時点で29ブロックまで統合が進んでいますが、本計画ではおおむね30年後(2052年頃)を目標に10ブロックへの再編を掲げています。

背景は人口減少とごみ排出量の減少見込み
茨城県の将来人口は今後20年間で17.4%、30年間で27.4%減少すると見込まれています。これに伴いごみ排出量も今後20年間で16.3%、30年間で24.3%以上減少すると推計されており、小規模な焼却施設ほど非効率になっていくことが課題です。実際、必要処理能力が50トン/日未満となる小規模施設は、2022年の8施設から2052年には14施設に増える見通しです。
広域化で20年間に691億円の削減効果
現行の枠組みのまま整備した場合、2052年度稼働想定で20年間の経費は6,233億円ですが、10ブロックに広域化すれば5,542億円に抑えられ、691億円の削減効果が見込まれています。温室効果ガス排出量も906千t-CO2の削減が試算されています。
つくば・水戸・取手・守谷はどのブロックに属するか
茨城県の計画では、つくば市・土浦市は2037年度頃に新施設(約430トン/日)で広域処理を開始する目標のブロック、水戸市・笠間市・ひたちなか市・東海村は2055年度頃に新施設(約520トン/日)を稼働させる目標のブロック、取手市・守谷市・つくばみらい市・常総市は2047年度頃に新施設(約220トン/日)を稼働させる目標のブロックに、それぞれ位置づけられています。
実家じまい・空き家整理で出る大量ごみの正しい処分方法
相続した実家を売却・解体する際は、通常の家庭ごみとは比べものにならない量の不用品が出ます。ここで注意すべきなのが「一般廃棄物」と「産業廃棄物」の違いと、無許可の回収業者にまつわるトラブルです。
遺品・家財の処分は「一般廃棄物」扱い
環境省の案内によると、家庭から出る廃棄物を回収するには市区町村の「一般廃棄物処理業許可」または市区町村からの委託が必要です。「産業廃棄物処理業の許可」や「古物商の許可」だけでは、家庭から出る家財・遺品を回収することはできません。実家じまいで出る大量の家財も、法律上は一般廃棄物として扱われます。
無許可業者のトラブルは年々増加
国民生活センターの発表(2022年11月2日)によると、不用品回収サービスに関する相談件数はPIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク)で2018年度1,354件、2019年度1,457件、2020年度1,788件、2021年度2,231件と増加を続けています。「トラック詰め放題」の広告を見て申し込んだのに、当日高額請求された、回収後に追加料金を請求されたといったトラブルが典型例です。
市区町村の許可業者かどうかを必ず確認
国民生活センターは、家庭ごみの処分はまず市区町村が提供している制度を優先的に利用すること、市区町村以外の業者に依頼する場合は「一般廃棄物処理業の許可」を持つ業者かどうかを市区町村ホームページや許可証提示で確認することをアドバイスしています。町中を大音量で巡回する、空き地で回収する、チラシやインターネット広告だけで営業している業者には特に注意が必要です。
大量処分が見込まれるときは自己搬入も選択肢
取手市・守谷市の常総環境センターのように、多くの市町村では清掃工場・処理施設への自己搬入(有料)を受け付けています。実家じまいで一度に大量の不用品が出る場合、戸別収集の予約枠を待つより自己搬入のほうが早く片付くケースもあります。ただし施設によって受け入れ品目・時間・重量制限が異なるため、事前に各市の窓口へ確認しましょう。
売却・解体を控えた不動産オーナーが今できること
解体前の残置物撤去は早めに市町村ルールを確認
解体工事を依頼する前に家財を撤去する場合、解体業者が家財の処分まで請け負ってくれることもありますが、産業廃棄物として扱われる建材と一般廃棄物として扱われる家財では処理ルートが異なります。事前に解体業者・市町村の双方に確認しておくとトラブルを避けやすくなります。
売却時は「片付いた状態」が印象を左右する
不動産売却の場面では、残置物が片付いているかどうかが内覧時の印象や査定額に影響することがあります。市町村ごとの粗大ごみ収集は予約制で数週間先まで埋まっていることも多いため、売却スケジュールが決まったら早めに処分計画を立てることが重要です。
よくある質問
Q1. 茨城県で引っ越したら、ごみ出しルールはどこで確認できますか?
A. 転入先の市町村公式サイトの「ごみの出し方」「分別のポイント」ページで確認できます。多くの市町村がパンフレットPDFやアプリで最新の分別区分・収集日・指定袋の情報を公開しています。転入時に配布される「ごみ収集カレンダー」も活用してください。
Q2. 実家が空き家で、遠方に住んでいてもごみ処分の予約はできますか?
A. 多くの市町村で電話予約に加えてオンライン予約に対応する動きが進んでいます(水戸市は令和8年6月からオンライン申請予定)。ただし本人確認や現地での立ち会いが必要な場合もあるため、事前に窓口へ確認することをおすすめします。
Q3. 不用品回収の「無料回収」広告は利用しても大丈夫ですか?
A. 市区町村の一般廃棄物処理業許可を持たない業者による無料・格安をうたった回収は、高額請求や不法投棄などのトラブルが国民生活センターにも多数報告されています。利用前に許可の有無を必ず確認してください。
Q4. 解体予定の家に残っている家財は解体業者が処分してくれますか?
A. 業者によって対応は異なります。建材の産業廃棄物処理とは別に、家財は一般廃棄物として扱われるため、解体業者が家財処分まで含めて請け負えるかどうかは契約前に必ず確認する必要があります。
Q5. 茨城県内で分別区分が一番多い市町村はどこですか?
A. 県内全44市町村を横断した分別区分数の一覧は県公式データからは確認できませんでした。今回調査した範囲では守谷市が資源物・可燃・不燃を細分化しており10分別以上と、比較的細かい部類に入ります。
Q6. ごみ処理の広域化で、今後手数料は上がりますか?
A. 茨城県の計画では広域化によって20年間で691億円の経費削減効果があるとされていますが、個別市町村の手数料改定は各自治体の判断によるため、本記事の一次資料からは将来の手数料水準を断定できません。最新情報は各市町村へご確認ください。
まとめ|市町村ごとのルールを知ることが、片付けをスムーズにする第一歩
茨城県内のごみ処理・分別ルールは市町村ごとに異なり、今後は広域化によって処理体制そのものも変わっていきます。実家じまいや空き家整理、不動産売却前の残置物処分を進める際は、まず対象の不動産がある市町村の最新ルールを確認し、無許可業者のトラブルを避けながら計画的に進めることが大切です。
ハウスドゥでは、茨城県内4店舗(つくば・水戸・取手戸頭・守谷)のネットワークで、売却前の片付けや解体のご相談にも対応しています。「何から手をつけていいかわからない」という段階でも、まずはお気軽にご相談ください。
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