「都市ガスが通っている家」と「プロパンガス(LPガス)の家」では、毎月のガス代だけでなく、給湯器の交換費用や災害時の復旧スピードまで変わってきます。茨城県は関東の中でも都市ガスの供給エリアが限られており、県内の多くの地域がLPガスに頼っている構造があります。この記事では、茨城県内の都市ガス事業者3社の供給区域、LPガスとの世帯比率、料金の違い、そして物件探し・売却の際にガスの種類がどう影響するかを、公的データをもとに整理します。
茨城県のガス事情を一次情報で押さえる理由
「うちの地域は都市ガスかLPガスか」は、住んでみるまで意外と分からないという声をよく聞きます。しかし実際には、どちらのガスが供給されているかによって、初期費用・毎月のランニングコスト・災害時の対応まで違いが生じます。特に中古住宅の購入や売却を検討する際は、供給されているガスの種類が思わぬ判断材料になることがあります。
都市ガスとLPガスの根本的な違い
都市ガスは道路の下に埋設された導管(ガス管)を通じて各家庭に供給される方式で、主成分はメタンを中心とした天然ガスです。一方のLPガス(プロパンガス)は、各家庭の敷地内に設置されたボンベ(容器)から供給される方式で、プロパンやブタンを主成分とします。日本ガス協会の解説によれば、供給方式そのものが根本的に異なるため、料金体系・保安点検の仕組み・災害時の復旧スピードも別物として理解する必要があります。
不動産取引でガスの種類が論点になる場面
中古住宅の売買では、買主から「このエリアは都市ガスですか、プロパンですか」と質問されることが少なくありません。都市ガスへの新規引き込みは道路の状況や事業者の供給計画次第で、必ずしも希望通りにできるとは限らないため、現況のガス設備は物件の価値評価に関わる情報のひとつです。売主側も、自分の物件がどちらの方式かを正確に把握しておくことが、スムーズな取引につながります。
茨城県内の都市ガス事業者3社と供給区域
日本ガス協会「ガス事業便覧2025年版」に基づく事業者検索によると、茨城県内で都市ガスを供給している事業者は3社です。供給区域は県内44市町村のうち一部にとどまり、県北の大部分・県西の多く・鹿行地域全域は都市ガス事業者の供給区域に含まれていません。

東京ガスネットワークの供給区域
東京ガスネットワーク株式会社は、茨城県内では日立市・龍ケ崎市・取手市・牛久市・つくば市・稲敷市・つくばみらい市・稲敷郡阿見町・北相馬郡利根町・稲敷郡美浦村を供給区域としています。県南から県北の一部にまたがる広い区域を持つのが特徴です。
東部ガスの供給区域
東部ガス株式会社は、水戸市・土浦市・石岡市・常総市・笠間市・守谷市・かすみがうら市・つくばみらい市・小美玉市・東茨城郡茨城町・稲敷郡阿見町を供給区域としています。県央の中心である水戸市を含む点が特徴で、県央エリアの都市ガス供給の中心的な事業者です。
エナジー宇宙の供給区域
株式会社エナジー宇宙は、取手市・守谷市・つくばみらい市・結城市・猿島郡五霞町を供給区域としています。3社の中では最も供給区域が小さく、県西の結城市・五霞町をカバーしている点が特徴です。
複数事業者が重複する市町村
つくばみらい市・守谷市・取手市・阿見町は、複数の都市ガス事業者の供給区域が重なっています。同じ市内でも地区によって供給事業者が異なる場合があるため、個別の住所での確認は各事業者の窓口や日本ガス協会の「ガス管調査窓口検索」で行うのが確実です。
都市ガスが通っていない地域はどうなっているか
3社の供給区域に含まれない市町村、具体的には日立市を除く県北全域(常陸太田市・常陸大宮市・高萩市・北茨城市・大子町)、鹿行5市(鹿嶋市・神栖市・潮来市・行方市・鉾田市)、県西の多く(古河市・筑西市・下妻市・坂東市・桜川市・八千代町など)は、都市ガス事業者の供給区域に入っていません。これらの地域では、戸建て住宅の大半がLPガスを利用しています。
「都市ガスが無い=不便」ではない
LPガスは道路の埋設工事が不要なため、都市ガスの導管が届いていない郊外や新興住宅地でも比較的早く供給を開始できるという利点があります。また、能登半島地震など大規模災害の後の報道でも指摘されているとおり、LPガスはボンベ単位で供給されるため、都市ガスの導管網が被災した場合でも復旧が早い傾向があるとされています。
茨城県の都市ガス普及率を全国と比較する
総務省統計局「社会生活統計指標-都道府県の指標-2015」(2012年データ)によると、茨城県の都市ガス普及率(一般世帯数に対する都市ガスメーター取付数の比率)は39.8%で、全国平均71.6%を大きく下回り、47都道府県中28位でした。東京都98.6%・神奈川県97.5%・大阪府100.4%といった大都市圏と比べると、その差は歴然としています。

このデータはやや古く、2012年時点のものである点には注意が必要です。ただし、都市ガスの供給区域は道路への導管埋設という大規模なインフラ投資を伴うため、短期間で大きく変わる性質のものではありません。日本ガス協会の最新の事業者検索でも茨城県の供給区域は前述の3社・十数市町村にとどまっており、この10年余りで供給区域が大幅に広がった形跡は見当たりません。
関東の中でも低い水準にある背景
同じ関東でも、茨城県(39.8%)・栃木県(39.3%)・群馬県(48.7%)の北関東3県は、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県といった都市部と比べて都市ガス普及率が低い傾向にあります。都市ガス事業は人口密度が高いエリアほど導管敷設のコストを回収しやすいため、都市化の程度がそのまま普及率の差として表れやすい構造です。
LPガスは県内でどのくらい使われているのか
都市ガスの供給区域が限られている茨城県では、必然的にLPガス(プロパンガス)を利用する世帯の割合が高くなります。全国的な傾向として、資源エネルギー庁関連の調査では、都市ガス・LPガス・オール電化を利用する世帯の比率はおおむね都市ガス4割強・LPガス3割台半ば・オール電化2割程度とされています。茨城県は都市ガス普及率が全国平均を大きく下回るため、LPガス世帯の比率は全国平均よりも高いと考えられます。
LPガスの料金は自由価格
一般社団法人茨城県高圧ガス保安協会(Ibakhk)の解説によると、LPガスの料金は事業者ごとの自由価格制で、基本料金・従量単価とも販売店によって差があります。都市ガスのように公共料金として一律の料金体系があるわけではないため、同じ地域内でも契約先によって毎月のガス代が変わりうる点は、都市ガスとの大きな違いです。物件を購入・賃貸する際は、現在契約しているLPガス会社の料金が適正かどうかを確認する価値があります。
LPガスは切り替え(自由化)ができる
LPガスは電力・都市ガスと同様に小売事業者を自分で選べる仕組みがあります。ただし、賃貸物件の場合は建物所有者や管理会社がLPガス会社を指定しているケースが一般的で、入居者が個人の判断だけで自由に切り替えられるとは限りません。持ち家で費用が気になる場合は、まず現在の契約内容を確認し、複数社から見積もりを取るのが基本的な進め方です。
茨城県のLPガス料金負担軽減支援事業
茨城県は物価高騰対策として、LPガス利用世帯向けの負担軽減支援事業を継続的に実施しています。茨城県公式サイト(2026年2月13日更新)によると、「第四次茨城県LPガス料金負担軽減支援事業」では、令和8年2月使用分(3月検針)・3月使用分(4月検針)・4月使用分(5月検針)のいずれかで、対象世帯あたり800円(税抜き。税込みの場合は880円)の値引きが行われます。
制度の仕組みと対象
この支援金は、LPガス販売事業者が県に交付申請を行い、利用世帯の料金を値引きしたうえで、その原資を県から受け取る仕組みです。消費者自身が個別に申請する必要はなく、検針票の料金明細で値引きの適用を確認する形になります。対象は令和8年1月から3月の間に県内でLPガスを利用する一般消費者等で、事業所での利用や質量販売(ボンベ単位での販売)は対象外です。
過去の実施実績から見える物価高騰の影響
茨城県のLPガス料金負担軽減支援事業は令和6年度分では600円、その後段階的に引き上げられ第四次では800円の値引きとなっています。都市ガスに比べて自由価格であるLPガスは、原油価格や為替の変動の影響を受けやすく、県が複数回にわたり支援策を継続していること自体が、LPガス世帯の多い茨城県ならではの家計への影響の大きさを示しています。
ガスの種類が住まい選びに与える実務的な影響
都市ガスとLPガスのどちらであっても、生活そのものに大きな支障が出るわけではありません。ただし、住まい選びや売却の判断材料として押さえておきたいポイントがいくつかあります。
毎月のランニングコストの違い
一般的に、同じ熱量を使う場合、LPガスは都市ガスより単価が高くなる傾向があるとされています。これは、LPガスがボンベの配送・交換という物理的な流通コストを含む料金体系である一方、都市ガスは導管を通じた大量供給によってコストを抑えやすいという構造の違いによるものです。中古住宅の購入検討時には、現況のガス種別を踏まえたうえで、将来的な光熱費も含めて資金計画を立てることが望ましいといえます。
新築・建て替え時の引き込み費用
都市ガスの供給区域内であっても、道路から敷地内までのガス管の引き込み工事には別途費用がかかる場合があります。一方、LPガスはボンベの設置とガス機器の接続工事が中心となるため、初期費用の性質が異なります。土地探しの段階で、その地域が都市ガスの供給区域に入っているかどうかを確認しておくと、資金計画の精度が上がります。
売却時に伝えておきたい情報
物件を売却する際、現況のガス設備(都市ガスかLPガスか、契約中の事業者名)は、買主の資金計画や生活イメージに直結する情報です。とくにLPガスの場合は現在の契約事業者や料金プランを合わせて伝えることで、買主が引き継ぎや切り替えを判断しやすくなります。些細な情報に見えても、内覧時の質問で頻出する項目のひとつです。
茨城県内エリア別のガス事情の傾向
ここまでのデータを踏まえ、茨城県内5地域のガス事情のおおまかな傾向を整理します。個別の住所での供給状況は必ず各事業者に確認してください。
県南(つくば市・土浦市・牛久市・取手市・守谷市・つくばみらい市など)
3社すべての供給区域が重なるエリアが多く、県内では都市ガスの選択肢が最も豊富な地域です。つくば市・取手市は東京ガスネットワーク、土浦市は東部ガス、つくばみらい市・守谷市・取手市は複数事業者が供給区域としています。
県央(水戸市・ひたちなか市・笠間市・小美玉市・茨城町など)
県庁所在地の水戸市を含め、東部ガスの供給区域が中心です。ただし、ひたちなか市・那珂市・大洗町・城里町・東海村は都市ガス事業者の供給区域には含まれておらず、県央の中でも市町村ごとの差が大きいエリアです。
県北(日立市・常陸太田市・常陸大宮市・高萩市・北茨城市・大子町)
日立市は東京ガスネットワークの供給区域ですが、それ以外の常陸太田市・常陸大宮市・高萩市・北茨城市・大子町は都市ガス事業者の供給区域に含まれておらず、LPガス中心のエリアです。
県西(古河市・筑西市・結城市・下妻市・坂東市・桜川市など)
結城市・五霞町はエナジー宇宙の供給区域ですが、古河市・筑西市・下妻市・坂東市・桜川市・八千代町は都市ガス事業者の供給区域に含まれておらず、LPガスが中心です。
鹿行(鹿嶋市・神栖市・潮来市・行方市・鉾田市)
5市すべてが都市ガス事業者3社のいずれの供給区域にも含まれておらず、鹿行地域は県内で最もLPガスへの依存度が高いエリアです。
ガス事情を確認する具体的な方法
都市ガスかどうかを調べる
気になる住所が都市ガスの供給区域に入っているかは、日本ガス協会の「ガス管調査窓口検索」や、前述の3社(東京ガスネットワーク・東部ガス・エナジー宇宙)の公式サイトで確認できます。中古住宅であれば、既にガスが引き込まれているかどうかは物件情報や現地確認で判断可能です。
LPガスの料金が適正かを確認する
一般社団法人茨城県高圧ガス保安協会のサイトでは、日本エネルギー経済研究所 石油情報センターが公表する全国平均価格が紹介されています。LPガスは自由価格のため、現在契約している料金がこの目安からかけ離れて高い場合は、他社への切り替えを検討する余地があります。
茨城県の住まい選び・売却とガス事情の接点
茨城県は、県南のTX沿線・常磐線沿線を中心に都市ガスの供給区域が広がる一方、県北・県西・鹿行の多くは今もLPガスが生活インフラの中心です。この構造は、単なる生活コストの違いにとどまらず、物件の資産性や売却時の伝え方にも関わってきます。ガス設備の状況を含めた住まいの実態を正確に把握したうえで、売却や購入のタイミングを検討することが、納得のいく取引につながります。
茨城県内の不動産売却をご検討の際は、地域ごとの生活インフラの違いも踏まえたうえで、ハウスドゥのグループ4店舗が査定・ご相談に対応しています。エリアの担当店舗は、つくば市・土浦市周辺はハウスドゥ つくば研究学園都市店、水戸市・県央エリアはハウスドゥ 県庁水戸店、取手市・県南東部はハウスドゥ 取手戸頭店、守谷市・つくばみらい市周辺はハウスドゥ 守谷店が担当しています。解体を伴う売却をお考えの場合は解体Do!(茨城県内対応)もあわせてご活用ください。
まずは無料査定から、茨城県内の不動産売却についてお気軽にご相談ください。
関連記事
茨城県の住まいのインフラについては、こちらの記事もあわせてご覧ください。
よくある質問
Q. 茨城県のどのエリアが都市ガス対応ですか?
A. 東京ガスネットワーク・東部ガス・エナジー宇宙の3社が、日立市・龍ケ崎市・取手市・牛久市・つくば市・稲敷市・つくばみらい市・阿見町・利根町・美浦村・水戸市・土浦市・石岡市・常総市・笠間市・守谷市・かすみがうら市・小美玉市・茨城町・結城市・五霞町を供給区域としています(日本ガス協会「ガス事業便覧2025年版」)。上記以外の市町村は都市ガス事業者の供給区域に含まれていません。
Q. 都市ガスとLPガスはどちらが安いですか?
A. 一般的に、同じ熱量あたりで比較するとLPガスの方が単価は高くなる傾向があるとされています。ただしLPガスは自由価格制のため、契約する事業者によって金額差が大きく、一律に「都市ガスの方が絶対に安い」とは言い切れません。契約中のLPガス料金が適正か気になる場合は、複数社から見積もりを取ることをおすすめします。
Q. 茨城県のLPガス料金負担軽減支援事業とはどんな制度ですか?
A. 茨城県が物価高騰対策として実施しているLPガス利用世帯向けの支援制度です。2026年2月13日更新の県公式情報によると、「第四次茨城県LPガス料金負担軽減支援事業」では、令和8年2月から4月使用分のいずれかで対象世帯あたり800円(税抜き)の値引きが行われます。消費者自身の手続きは不要で、検針票の明細で確認する仕組みです。
Q. 中古住宅を買うとき、ガスの種類はどう確認すればいいですか?
A. 物件情報や現地確認で、都市ガスのメーターが設置されているか、敷地内にLPガスのボンベがあるかを確認できます。都市ガスの供給区域かどうかは、各都市ガス事業者の公式サイトや日本ガス協会の「ガス管調査窓口検索」でも調べられます。不明な点があれば、担当の不動産会社に確認するとスムーズです。
Q. LPガスは災害に弱いのですか?
A. 一概には言えません。LPガスはボンベ単位で個別に供給されるため、大規模な地震などで道路の導管網が被災した場合でも、都市ガスに比べて復旧が早い傾向があるとされています。一方、都市ガスは事業者による定期的な保安点検・監視体制が整っている点が特徴です。それぞれ異なる特性を持つ供給方式として理解しておくとよいでしょう。
Q. 都市ガスの供給区域は今後広がる可能性がありますか?
A. 都市ガスの供給区域拡大には道路への導管敷設という大規模な投資が必要なため、短期間で大きく変わるものではありません。人口が集中しているTX沿線や主要駅周辺では宅地開発にあわせて供給区域が広がる可能性がありますが、県北・鹿行など人口密度が低いエリアでは、今後もLPガスが中心であり続けると考えられます。
茨城県内の不動産売却は、お電話・LINE・オンラインで無料相談を受け付けています。
お電話:0120-565-072
LINEで相談:https://lin.ee/0TOaDYu
無料査定のお申し込み:無料査定・相談はこちら
無料相談フォーム
この記事に関するご相談はこちらから。秘密厳守で対応いたします。




