茨城県は「持ち家の県」だった――まず結論から

茨城県に暮らす人の住まいの選び方には、はっきりとした傾向がある。総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」を茨城県統計課が取りまとめた結果によれば、県内の持ち家住宅率は69.4%。裏を返せば、借家に住む世帯は26.3%にとどまる。10世帯のうち7世帯近くが自己所有の住宅で暮らしているという、全国的に見てもかなり「持ち家寄り」の県なのである。この記事では、この数字が何を意味するのか、全国や近隣県と比べてどうなのか、そして県内44市町村でどれほど差があるのかを、公的データだけを根拠に整理する。最後には、持ち家率が高いという地域特性が、なぜ空き家や相続、そして不動産売却というテーマと直結するのかにも触れる。

一次情報の出どころを先に明記する

本記事の数値は、以下の一次情報にもとづく。

  • 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」(茨城県統計課が取りまとめた「令和5年住宅・土地統計調査の結果の概要」、2025年3月28日更新版)
  • 同調査の全国集計(総務省統計局公表分)
  • 比較参考として、同調査を都道府県別に加工した民間統計サイトの集計値(後述の通り出典を明記のうえ参考扱いとする)

住宅・土地統計調査は5年に一度、全国の約5分の1の調査区を抽出して行う標本調査であり、令和5年調査は2023年10月1日時点の実態を示す最新の公的統計である。本記事内の数値に推測や創作は一切含まない。県内市町村別の詳細な内訳(持ち家率の1位〜44位ランキングなど)については、令和5年調査の県公表資料には市町村別集計が含まれていなかったため、「ない」ものとして扱い、判明している範囲の地域差のみを記述する。

茨城県の持ち家住宅率69.4%の中身

令和5年調査によると、茨城県内の総住宅数139万900戸のうち、持ち家は82万3,500戸。住宅全体に占める持ち家住宅率は69.4%だった。2018年の前回調査(70.7%)と比べると1.3ポイントの低下である。ただし1993年から2023年までの30年間の推移を見ると、持ち家住宅率はおおむね70%前後で推移しており、大きなトレンド変化があったわけではない。「高止まりしたまま、わずかに下がってきている」というのが実態に近い表現になる。

持ち家の内訳

82万3,500戸という持ち家の数字自体も、この30年で一貫して増え続けてきた。1993年は59万7,200戸だったので、30年間で約1.38倍に増加している。人口が減少局面に入った後も持ち家の絶対数が増え続けてきたのは、世帯数そのものが増加基調にあるためだ(世帯の小規模化については別記事で詳述している)。

茨城県の借家率26.3%の内訳

一方、借家は31万2,000戸で、住宅全体に占める割合は26.3%。2018年とほぼ同水準で、大きな変動はない。借家の内訳を見ると、次のようになっている。

  • 民営借家:25万7,000戸(住宅全体の21.6%)
  • 給与住宅(社宅など):2万8,700戸(同2.4%)
  • 公営の借家:2万2,800戸(同1.9%)
  • 都市再生機構(UR)・公社の借家:3,400戸(同0.3%)

借家全体の8割超を民営借家が占めており、公営住宅やUR・公社住宅の比率は全国平均と比べても小さい部類に入る。持ち家が多い分、賃貸市場そのものの規模が全国の都市部ほど大きくないことがうかがえる。

茨城県 持ち家 借家 内訳グラフ
茨城県の住宅所有関係の内訳(2023年、出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」茨城県統計課)

全国と比べるとどうか

総務省統計局が公表した全国集計によると、全国の持ち家住宅率は60.9%(持ち家数3,387万6千戸)。茨城県の69.4%は、全国平均を8.5ポイント上回っている。この差は決して小さくない。都道府県別に持ち家率を集計した民間サイト「ニッポンデータ」の分析(令和5年住宅・土地統計調査を出典として明記)では、茨城県の持ち家率は69.35%で全国18位、全国平均60.86%に対して+8.49ポイントとされており、県公式データとほぼ整合する。

ちなみに、持ち家率が全国で最も高いとされるのは富山県で、80%前後の水準が知られている。北陸や東北の一部県は持ち家率が高く、東京・大阪など三大都市圏や沖縄県は低い傾向にある。これは持ち家取得のしやすさ(地価・宅地の広さ)や、三世代同居の慣習、賃貸市場の発達度合いなど複数の要因が絡んでいるとされる。茨城県は「三大都市圏に近接しながら地価が比較的抑えられている」という立地特性が、持ち家率の高さに影響していると考えられる。

茨城県 全国 持ち家率 借家率 比較グラフ
茨城県と全国の持ち家率・借家率比較(出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」茨城県統計課)

茨城県内の地域差をどう見るか

令和5年調査の県公表資料には、残念ながら44市町村別の持ち家率・借家率の詳細な数値は含まれていなかった。ここで無い数字を作ることはしない。ただし、公的統計を都道府県・市区町村単位に加工して公開している統計サイト(総務省統計局のデータを出典として明記した二次集計)によれば、家族類型別に見た場合、2人以上の核家族世帯では持ち家率・戸建て率がともに高く、単身世帯では持ち家率が下がり共同住宅居住の割合が上がるという傾向が示されている。これは全国共通の傾向であり、茨城県も例外ではない。

県内の地域構造から一般的に読み取れる傾向としては、次の2点が挙げられる。

  • つくば市・守谷市などつくばエクスプレス沿線や都市部に近いエリアは、単身世帯・共働き世帯の流入が多く、賃貸住宅の供給も相対的に厚いため、持ち家率は県平均よりやや低くなりやすい。
  • 県北・県西・鹿行など農業や地場産業が中心のエリアは、戸建て・持ち家の比率が高く、賃貸住宅の供給自体が少ない傾向がある。

この傾向はあくまで住宅・土地統計調査の全国的な構造(都市部ほど賃貸比率が高い)から類推される一般論であり、茨城県44市町村ごとの実測順位ではない点に注意されたい。市町村別の正確な数値が県または国から公表され次第、この記事は更新する。

高齢者世帯における持ち家の重み

令和5年調査では、高齢者のいる世帯についても詳しいデータが示されている。茨城県内で主世帯(118万7,400世帯)のうち46.6%が高齢者のいる世帯であり、このうち高齢単身世帯が25.7%を占める。そして、高齢者のいる世帯の89.9%が持ち家に居住している。一方、高齢単身世帯に限ると22.9%が借家に住んでいる。この高齢単身世帯の増加傾向については、茨城県の世帯数と世帯構成の変化|単身高齢世帯が急増【2026】で詳しく解説している。

この数字が意味するのは、茨城県内の高齢者世帯の大半が、いずれ相続や住み替えの対象となる「持ち家」を所有しているということだ。持ち家率の高さは、そのまま将来の相続不動産予備軍の多さに直結する。県内の高齢化の地域差については茨城県の高齢化率|44市町村の地域差【2026】も参照してほしい。

土地所有の状況からも見える持ち家志向

令和5年調査では、住宅だけでなく土地の所有状況も調べている。茨城県の主世帯のうち、現住居の敷地を所有している世帯は58.4%(全国は47.1%)。現住居の敷地以外の土地も所有している世帯は17.8%(全国は11.8%)で、いずれも全国平均を上回る。自営業主に限ると、現住居の敷地を所有する世帯の割合は84.5%に達する。持ち家だけでなく土地そのものへの所有志向が全国より強いのが、茨城県の住宅事情の特徴といえる。

なぜ茨城県は持ち家率が高いのか

公的統計は「なぜ」までは説明していないが、一般的に指摘される要因を整理すると以下のようになる。

地価が比較的抑えられている

首都圏に近接しながら、東京都・神奈川県などと比べて土地の取得コストが抑えられているため、戸建て住宅を新築しやすい環境にある。

敷地面積が広い

令和5年調査によれば、茨城県の1住宅当たりの敷地面積は394.15平方メートルで全国1位。広い土地に戸建てを構える住まい方が定着していることも、持ち家率の高さと無関係ではないだろう。

三世代同居・実家継承の慣習

核家族以外の世帯(三世代同居など)は持ち家率・戸建て率がともに高い傾向にあり、地方部で見られる「実家を継ぐ」文化も背景にあると考えられる。

持ち家率が高いことの裏側にあるリスク

持ち家率の高さは、一見すると資産形成が進んでいる証にも見える。しかし裏側には見過ごせない論点がある。空き家率の問題だ。茨城県の空き家率・世帯数データ|総務省統計調査でみる最新事情【2026】で扱った通り、茨城県の空き家率は14.1%で、全国的に見ても低い水準とは言えない。持ち家が多いということは、それだけ「所有者が亡くなった後、誰も住まなくなる住宅」が発生しやすい構造でもある。持ち家率の高さと空き家率の高さは、コインの表と裏の関係にあると言ってよい。人口動態そのものの背景は茨城県の人口推移と将来推計|2050年までの見通し【2026年】で解説している。

生活者にとっての意味――住宅取得と住み替えの選択

茨城県で暮らす人にとって、この数字は何を意味するのか。第一に、持ち家取得が選択肢として現実的であるという地域性を示している。地価水準や敷地面積の広さから、都市部よりも「一戸建てを持つ」というライフプランが描きやすい。第二に、賃貸市場の規模が相対的に小さいため、借家を探す際の選択肢が都市部より限られる可能性がある点にも留意が必要だ。第三に、持ち家率が高い地域ほど、将来的な住み替え・売却・相続の局面で「今住んでいる持ち家をどうするか」という判断を迫られる世帯が多いということでもある。

住まい・不動産への接点――売却潜在層の多さという読み方

ここまで見てきた通り、茨城県は持ち家率69.4%、借家率26.3%という、全国平均より明確に持ち家寄りの県である。そして高齢者のいる世帯の約9割が持ち家に住んでいる。この2つの事実を重ねると、茨城県には「将来、住み替え・相続・空き家化のいずれかの局面で不動産の処分を検討することになる持ち家」が、他県よりも多く存在していると読み取れる。

具体的には次のような場面で、持ち家率の高さが不動産売却というテーマに直結する。

  • 相続:高齢者世帯の持ち家比率が高いため、相続発生時に「実家をどうするか」を考える家族が多くなる。
  • 空き家化の予防:持ち家に住み続けた高齢者が施設入居や死去により不在となった住宅は、そのままでは空き家率を押し上げる。早期の売却・活用の判断が資産価値の維持につながる。
  • 住み替え:子育て終了後や定年後に、広い持ち家から利便性の高い住まいへ住み替えるニーズも一定数存在する。

ハウスドゥ茨城県4店舗グループ(つくば・水戸・取手戸頭・守谷)は、こうした持ち家の売却・相続・住み替えに関する相談を、地域密着で受け付けている。「実家が空き家になりそう」「相続した持ち家をどうすればいいかわからない」といった段階からでも、無料査定・無料相談で対応可能だ。お住まいのエリアに応じて、以下の店舗サイトでも地域ごとの売却相場や事例を確認できる。

老朽化した持ち家の解体を検討している場合は、県内解体専門の解体Do!(解体専門サイト)でも県全域の解体費用や補助金情報を確認できる。

関連記事として、茨城県の平均世帯年収と住宅取得力【2026年】もあわせてご覧ください。

まとめ

茨城県の持ち家住宅率は69.4%、借家率は26.3%。全国平均の持ち家率60.9%と比べて8.5ポイントほど高く、全国順位でも上位に入る「持ち家の県」である。この30年間、比率自体は70%前後でほぼ横ばいだが、持ち家の絶対数は一貫して増え続けてきた。高齢者のいる世帯の約9割が持ち家に住んでおり、この構造は将来の相続・空き家・住み替えという不動産の課題と直結している。茨城県内で「今住んでいる持ち家をどうするか」を考え始めたときは、一次情報にもとづいた冷静な判断材料と、地域に精通した専門家への相談が助けになる。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 茨城県の持ち家率は何%ですか?

総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」(茨城県統計課取りまとめ)によれば、茨城県の持ち家住宅率は69.4%です。全国平均60.9%を8.5ポイント上回っています。

Q2. 茨城県の借家率はどのくらいですか?

同調査によれば、茨城県の借家率は26.3%(31万2,000戸)です。内訳は民営借家21.6%、給与住宅2.4%、公営の借家1.9%、UR・公社の借家0.3%となっています。

Q3. 茨城県の持ち家率は上がっていますか、下がっていますか?

2018年の前回調査(70.7%)と比べると1.3ポイントの低下です。ただし1993年からの30年間で見ると、持ち家住宅率はおおむね70%前後で推移しており、大きなトレンド変化はありません。

Q4. 持ち家率が全国で一番高い都道府県はどこですか?

一般に富山県が持ち家率日本一とされています。北陸・東北の一部県で持ち家率が高く、三大都市圏や沖縄県では低い傾向にあります。茨城県は全国18位前後の水準です(民間統計サイトによる令和5年調査の加工集計)。

Q5. 茨城県内で持ち家率が高い市町村・低い市町村はどこですか?

令和5年住宅・土地統計調査の茨城県公表資料には、44市町村別の詳細な持ち家率データは含まれていません。一般的な傾向として、都市部・鉄道沿線エリアほど賃貸住宅の供給が多く持ち家率はやや下がりやすく、農村部・郊外エリアほど戸建て・持ち家の比率が高くなりやすいとされています。市町村別の正確なデータが公表され次第、本記事を更新します。

Q6. 持ち家率が高いことは不動産売却とどう関係しますか?

持ち家率が高い地域ほど、将来的に相続や住み替えの局面で「持ち家をどう処分するか」を検討する世帯が多くなります。特に茨城県は高齢者のいる世帯の89.9%が持ち家に住んでおり、相続発生時の実家整理や、空き家化を防ぐための早期売却の相談ニーズが高まりやすい構造にあります。

Q7. 借家(賃貸)よりも持ち家の方が茨城県では一般的なのですか?

統計上はその通りです。持ち家住宅率69.4%に対して借家率は26.3%であり、茨城県内では借家よりも持ち家に住む世帯の方が圧倒的に多数派です。

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