「海の近くに住みたい」と考えたとき、茨城県は太平洋に面した約190kmの海岸線を持つ県です。しかし一口に「茨城の海」といっても、県北の岩礁海岸と県南の砂浜海岸ではまったく表情が違い、暮らし方や不動産市場への影響も市町村によって大きく異なります。本記事では茨城県公式データと農林水産省の統計をもとに、茨城県の海と暮らしの関係を一次情報で整理します。

目次
  1. 1. 茨城県の海岸線はどれくらいの長さがあるのか
    1. 1-1. 北部域(旧常磐沿岸)=約90km
    2. 1-2. 南部域(旧鹿島灘沿岸)=約100km
    3. 1-3. 大洗町=2つのエリアの結節点
  2. 2. 港と漁業のまち|沿岸市町村の産業を数字で見る
    1. 2-1. 茨城県の海面漁業・養殖業産出額
    2. 2-2. 全国トップクラスの漁獲量を誇る魚種
    3. 2-3. 漁業就業者数・経営体数の実態
  3. 3. 沿岸市町村ごとの地域差|大洗・ひたちなか・日立・鹿嶋・神栖
    1. 3-1. 日立市・北茨城市・高萩市(県北エリア)
    2. 3-2. ひたちなか市・東海村(茨城港常陸那珂港区周辺)
    3. 3-3. 大洗町(境界・観光拠点)
    4. 3-4. 鉾田市・鹿嶋市(旧鹿島灘沿岸北側)
    5. 3-5. 神栖市(旧鹿島灘沿岸南側)
    6. 3-6. 沿岸市町村と農業の意外な結びつき
  4. 4. 茨城の海と暮らしの変化|港湾整備と沿岸の役割の推移
  5. 5. 生活者から見た「海のある暮らし」の意味
    1. 5-1. 気候面でのメリット
    2. 5-2. 食生活への影響
    3. 5-3. レジャー・観光としての海
    4. 5-4. 産業・雇用としての海
    5. 5-5. 一方で考慮すべき点
  6. 6. 住まい・不動産への接点|沿岸エリアの売却を考えるときに
  7. 7. よくある質問(FAQ)
    1. Q1. 茨城県の海岸線の長さはどれくらいですか?
    2. Q2. 茨城県で海に面している市町村はどこですか?
    3. Q3. 茨城県の漁業はどのくらいの規模ですか?
    4. Q4. 沿岸エリアの不動産を売却するとき、津波リスクの説明は必要ですか?
    5. Q5. 大洗町はどんな役割を持つ場所ですか?
    6. Q6. 茨城県の港にはどんな種類がありますか?
    7. Q7. 沿岸の市町村では農業も盛んなのですか?
  8. まとめ|茨城の海を知ることは、暮らしとエリア選びを知ること
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1. 茨城県の海岸線はどれくらいの長さがあるのか

茨城県土木部河川課「海岸の概要」によると、茨城県の海岸は太平洋に面しほぼ南北方向に伸び、延長約190kmの単調な形状をしています。県のほぼ中央に位置する大洗町を境に、北部域(旧常磐沿岸)と南部域(旧鹿島灘沿岸)の2つに大きく分かれるのが特徴です。

1-1. 北部域(旧常磐沿岸)=約90km

北茨城市から日立市・東海村・ひたちなか市にかけての海岸は、変化に富んだ岩礁海岸と、その間に点在する砂浜海岸からなります。延長は約90km。優れた景観を持つ一方、近年は海岸線の後退が激しく、越波被害や崖侵食が問題となっている区間もあります。

1-2. 南部域(旧鹿島灘沿岸)=約100km

鉾田市から鹿嶋市・神栖市にかけての海岸は、延長約100kmの単調で長大な砂浜が続く地形です。利根川・那珂川という1級河川が流入しており、この2河川が海岸地形の形成に大きく寄与してきました。昭和50年代以降は砂浜の減少が顕著となり、護岸の倒壊や越波による塩害などの保全課題が指摘されています。

1-3. 大洗町=2つのエリアの結節点

北部域と南部域の境界にあたる大洗町には、カーフェリー基地の茨城港(大洗港区)があり、北海道苫小牧との定期航路が就航しています。大洗サンビーチをはじめとする海水浴場も多く、県内でも観光と港湾機能が同居する特徴的なエリアです。

茨城県沿岸3エリア比較図
茨城県沿岸の3エリア比較(出典:茨城県「海岸の概要」)

2. 港と漁業のまち|沿岸市町村の産業を数字で見る

茨城県沿岸には複数の重要港湾・漁港が点在し、水産業の拠点になっています。県公式サイトによると、北部域には平潟漁港・大津漁港・久慈漁港のほか、北関東地域の物流拠点である茨城港(日立港区)、国際物流港湾として整備が進む茨城港(常陸那珂港区)があります。南部域には堀込式港湾として日本有数の規模を持つ鹿島港、巻網漁港の基地である波崎漁港(神栖市)などが立地します。

2-1. 茨城県の海面漁業・養殖業産出額

農林水産省「茨城県の農林水産業の概要(令和7年版)」によると、茨城県の海面漁業・養殖業産出額は300億円で全国17位です。黒潮と親潮が交わる茨城沖は好漁場として知られ、まいわし・しらす・ひらめなどを主体に多様な魚介類が水揚げされています。

2-2. 全国トップクラスの漁獲量を誇る魚種

同資料の水産物データでは、海面漁業のまいわし漁獲量228,474tが全国1位、しらす漁獲量4,361tが全国4位、ひらめ漁獲量341tが全国5位となっています。内水面漁業でもあゆの漁獲量が全国1位、内水面養殖業のこい収獲量も全国1位と、茨城の水産業は海と川・湖の両面で全国上位の実績を持ちます。

2-3. 漁業就業者数・経営体数の実態

一方で、2023年漁業センサスに基づく海面漁業就業者数は1,083人(全国29位)、海面漁業経営体数は310経営体にとどまります。漁獲量では全国トップクラスの魚種を持ちながら、担い手の数自体は決して多くない構造がうかがえます。

茨城県の海面漁業養殖業データ
茨城県の海面漁業・養殖業データ(出典:農林水産省「茨城県の農林水産業の概要」令和7年版)

3. 沿岸市町村ごとの地域差|大洗・ひたちなか・日立・鹿嶋・神栖

同じ「海沿いの茨城県」でも、市町村によって海との関わり方は大きく異なります。ここでは主な沿岸市町村の特徴を一覧で整理します。

3-1. 日立市・北茨城市・高萩市(県北エリア)

岩礁海岸が続く景観重視のエリアです。六角堂(北茨城市)は太平洋を望む景勝地として知られています。県公式サイトの写真ページでもハマナデシコ(日立市)などの海浜植物が紹介されており、自然環境の豊かさが特徴です。

3-2. ひたちなか市・東海村(茨城港常陸那珂港区周辺)

国際物流港湾としての整備が進む茨城港常陸那珂港区を擁するエリアです。北関東自動車道と直結しており、産業拠点としての性格が強い沿岸エリアといえます。

3-3. 大洗町(境界・観光拠点)

北部域と南部域の結節点であり、カーフェリー基地の茨城港大洗港区、大洗サンビーチなど観光・レジャー機能が集積しています。

3-4. 鉾田市・鹿嶋市(旧鹿島灘沿岸北側)

鹿島港を擁し、工業と農業(メロン・かんしょ等の産地)が共存するエリアです。ハマヒルガオ(鹿嶋市)などの海浜植物やヘッドランド群(突堤群、鹿嶋市)による砂浜保全対策も県公式サイトで紹介されています。

3-5. 神栖市(旧鹿島灘沿岸南側)

波崎漁港を中心とした巻網漁業の拠点です。波崎砂丘など、鹿島灘沿岸らしい単調で長大な砂浜地形が広がります。

3-6. 沿岸市町村と農業の意外な結びつき

沿岸市町村は漁業だけでなく農業の主産地でもあります。農林水産省「茨城県の農林水産業の概要」の地域別データによると、鹿行地域(鉾田市・鹿嶋市・神栖市など)はメロン・かんしょ(GI行方かんしょ)・ピーマン・れんこんなどの主産地であり、水産物としても鹿島灘はまぐり・しらす・ひらめが挙げられています。県北地域(日立市・北茨城市・高萩市方面)はりんご・ぶどうなどの果樹に加え、水産物としてまいわし・さば類・あんこう・しらす・ひらめ・あゆが特産品リストに並びます。海と農地が近接する茨城県沿岸ならではの産業構造といえます。

4. 茨城の海と暮らしの変化|港湾整備と沿岸の役割の推移

茨城県の沿岸は、漁業の拠点であると同時に、物流・工業の拠点としての役割を強めてきました。茨城港(日立港区・常陸那珂港区・大洗港区の3港区で構成)は北関東地域の重要な物流インフラであり、常陸那珂港区は国際物流港湾としての整備が続いています。鹿島港も堀込式港湾として日本有数の規模を持ち、周辺には工業地帯が形成されています。

一方で、県公式サイトが指摘するとおり、北部域では海岸線の後退・崖侵食、南部域では砂浜の減少・護岸の倒壊といった課題が進んでおり、海岸保全施設の老朽化や日本海溝付近における大規模な津波発生の懸念も含め、沿岸域の災害リスクへの対応が継続的なテーマになっています。津波浸水想定や液状化リスクなど、地盤・防災の観点からの詳しい解説は、姉妹記事「茨城県の地盤の特徴|液状化・軟弱地盤と売却への影響」でも整理していますので、あわせてご確認ください。

5. 生活者から見た「海のある暮らし」の意味

5-1. 気候面でのメリット

沿岸部は海洋の影響で内陸部に比べて寒暖差が緩やかになる傾向があります。茨城県の気候全般(気温・降水量・日照の県内差)については、姉妹記事「茨城県の気候|気温・降水量・日照の特徴」で詳しく解説していますので参考にしてください。

5-2. 食生活への影響

まいわし・しらす・ひらめなど全国トップクラスの水産物が地元で手に入りやすいことは、沿岸エリアで暮らす魅力のひとつです。鹿島灘はまぐり(鹿嶋市・神栖市周辺)のような地域ブランドの水産物も存在します。

5-3. レジャー・観光としての海

大洗サンビーチをはじめとする海水浴場、六角堂などの景勝地、波崎砂丘といった砂丘地形など、沿岸市町村には観光資源が豊富です。生活の中に自然に海が組み込まれている点は、内陸部にはない魅力といえます。

5-4. 産業・雇用としての海

茨城港(日立港区・常陸那珂港区・大洗港区)や鹿島港は、物流・製造業の雇用を支える基盤インフラでもあります。沿岸エリアに暮らすことは、観光やレジャーだけでなく、港湾・工業関連の雇用機会に近い場所で暮らすことも意味します。

5-5. 一方で考慮すべき点

海岸線の後退・砂浜の減少といった環境変化、津波・高潮のリスクなど、沿岸ならではの注意点も存在します。県公式サイトが公開する津波浸水想定図は市町村別に確認可能で、住まい選びや売却時の告知判断の参考情報になります。

6. 住まい・不動産への接点|沿岸エリアの売却を考えるときに

沿岸エリアの不動産は、眺望や生活環境としての魅力がある一方、災害リスクの説明・告知が重要になる場面があります。茨城県内で沿岸市町村の不動産売却をご検討の際は、エリアを担当する店舗・拠点にご相談ください。

  • 日立市・ひたちなか市・東海村・北茨城市・高萩市など県北の沿岸エリア:茨城県北エリアの相場情報は「茨城県北エリアの不動産売却|日立市・常陸太田市など6市町の相場」で解説しています。
  • 鹿嶋市・神栖市・鉾田市など鹿行エリア:「茨城県鹿行エリアの不動産売却|鹿嶋市・神栖市など5市の相場」で相場データを整理しています。
  • つくば市・周辺エリア:ハウスドゥ つくば研究学園都市にご相談ください。
  • 水戸市・周辺エリア:ハウスドゥ 水戸にご相談ください。
  • 取手市・戸頭エリア:ハウスドゥ 取手戸頭にご相談ください。
  • 守谷市・周辺エリア:ハウスドゥ 守谷にご相談ください。
  • 解体をご検討の空き家・古家がある場合:解体Do!(茨城県内対応)もあわせてご確認ください。

津波・高潮などの浸水リスクが想定される沿岸エリアの不動産を売却する際は、水害ハザードマップの確認・説明義務についても事前に理解しておくことをおすすめします。詳しくは「茨城県の水害・ハザードマップと不動産売却」をご覧ください。

7. よくある質問(FAQ)

Q1. 茨城県の海岸線の長さはどれくらいですか?

A. 茨城県土木部河川課「海岸の概要」によると、茨城県の海岸線は太平洋に面し延長約190kmです。大洗町を境に北部域(旧常磐沿岸・約90km)と南部域(旧鹿島灘沿岸・約100km)に大きく分かれます。

Q2. 茨城県で海に面している市町村はどこですか?

県公式資料や地理的な位置関係から、太平洋に面する主な市町村は北茨城市・高萩市・日立市・東海村・ひたちなか市・大洗町・鉾田市・鹿嶋市・神栖市です。それぞれ地形や産業の性格が異なります。

Q3. 茨城県の漁業はどのくらいの規模ですか?

A. 農林水産省の資料によると、茨城県の海面漁業・養殖業産出額は300億円で全国17位です。ただしまいわし漁獲量は全国1位、しらすは全国4位、ひらめは全国5位と、特定の魚種では全国トップクラスの実績があります。

Q4. 沿岸エリアの不動産を売却するとき、津波リスクの説明は必要ですか?

A. 茨城県は津波防災地域づくり法に基づく津波浸水想定図を市町村別に公表しています。沿岸エリアの不動産取引では、こうした公的な浸水想定情報を事前に確認し、必要な範囲で買主に説明することが望ましいとされています。詳細は姉妹記事「茨城県の水害・ハザードマップと不動産売却」をご確認ください。

Q5. 大洗町はどんな役割を持つ場所ですか?

A. 大洗町は茨城県沿岸のほぼ中央に位置し、北部域と南部域の境界にあたります。カーフェリー基地の茨城港(大洗港区)や大洗サンビーチなどの観光拠点があり、港湾機能と観光機能が同居する特徴的なエリアです。

Q6. 茨城県の港にはどんな種類がありますか?

A. 物流拠点の茨城港(日立港区・常陸那珂港区・大洗港区の3港区で構成)、堀込式港湾として日本有数の規模を持つ鹿島港のほか、平潟漁港・大津漁港・久慈漁港・波崎漁港など漁業拠点となる漁港が沿岸各地に点在しています。

Q7. 沿岸の市町村では農業も盛んなのですか?

A. はい。鹿行地域(鉾田市・鹿嶋市・神栖市など)はメロン・かんしょ・ピーマン・れんこんなどの全国有数の産地であり、県北地域も果樹や特産品が豊富です。沿岸市町村は漁業と農業がともに盛んな地域が多く、産業構造として海と農地が近接している点が特徴です。

まとめ|茨城の海を知ることは、暮らしとエリア選びを知ること

茨城県の海岸線は約190km、大洗町を境に岩礁海岸の北部域と砂浜海岸の南部域に分かれ、それぞれ異なる産業・景観・暮らしの表情を持っています。まいわし・しらす・ひらめなど全国トップクラスの水産物を育む一方、海岸線の後退や津波リスクといった課題とも向き合ってきた歴史があります。沿岸エリアで不動産の売却・住み替えをご検討の際は、エリアの特性を踏まえたうえで、担当店舗までお気軽にご相談ください。

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