結論:借地権を地主に買い取ってもらう場合、価格の目安は「更地価格×借地権割合」ですが、実際の金額は地主との交渉で決まります。地主は買取に応じる義務がないため、価格の考え方・建物の扱い・税金・断られたときの代替策を先に整理してから話を切り出すことが、損を避ける近道です。この記事では、借地権の買取相場の目安から、交渉の進め方、費用と税金、地主が買ってくれないときの選択肢までを、不動産に詳しくない方にもわかる言葉で解説します(2026年10月時点の一般的な内容です)。
借地権を地主に買い取ってもらうとは?まず全体像
「借地権の買い取り」の意味
借地権とは、建物を建てるために他人(地主)の土地を借りる権利のことです。この借地権を、借りている人(借地人)が地主に買い取ってもらうことを、ここでは「借地権の買取」と呼びます。買取が成立すると、地主は土地の使用を制限される借地権がなくなり、完全な所有権の土地を手にします。借地人にとっては、地代を払い続ける負担や、更新・建替えのたびに地主の承諾が必要になる手間から解放される出口になります。
地主に売るメリットと注意点
- 第三者に売るときに必要になりやすい承諾料(名義書換料)の話が出にくい
- 買主探しが不要で、話がまとまれば早く手続きできる
- 地主が応じなければ成立しない(買取の義務はない)
- 地主が買いたい価格と借地人が売りたい価格に差が出やすい
この記事で扱う範囲:底地側の買取とは別の話です
「借地権 買い取り」と検索すると、借地人が地主から底地を買い取る話も出てきます。この記事は借地権の側を地主に売る視点で整理しています。底地を買い取りたい方は、底地の買取交渉もあわせてご覧ください。

借地権の買い取り相場の目安:更地価格×借地権割合
路線価図の借地権割合とは
国税庁の路線価図には、道路ごとの路線価の後ろに「A〜G」のアルファベットが付いています。これが借地権割合で、A=90%、B=80%、C=70%、D=60%、E=50%、F=40%、G=30%を表します。住宅地では60%前後が多く、商業地では高い割合になる傾向があります。
借地権価格の計算例
税務上の目安は「更地価格×借地権割合」です。たとえば、更地価格が2,000万円、借地権割合が60%(D)なら、借地権価格は1,200万円、残りの800万円が底地の価値という考え方になります。
| 項目 | 計算例(目安) |
|---|---|
| 更地価格 | 2,000万円 |
| 借地権割合(D) | 60% |
| 借地権価格の目安 | 1,200万円 |
| 底地価格の目安 | 800万円 |

この計算が「そのまま買取価格」にならない理由
上の計算は、相続税や贈与税などの評価で使う考え方で、地主が実際に払う金額とは限りません。実際の買取価格は、残りの契約期間、地代の水準、建物の築年数や状態、更新料・承諾料の取り決め、周辺の取引事例などを踏まえた交渉で決まります。「相場はいくら」と一律に言い切れないため、まずは目安を知り、複数の見方で確認することが大切です。
価格に影響する主な要素
- 契約が旧法(借地法)か新法(借地借家法)か
- 残りの契約期間と更新の見込み
- 地代が周辺と比べて高いか安いか
- 建物の築年数・状態・解体費の見込み
- 土地の形・接道・エリアの人気
契約が旧法か新法かの違いは、価格だけでなく権利の強さにも影響します。詳しくは旧法賃借権と新法の違いで解説しています。
地主に買い取ってもらうときの流れ(5ステップ)
ステップ1:契約書・地代の資料を確認する
借地契約書、地代の領収書や振込記録、土地・建物の登記事項証明書をそろえます。契約期間、地代、更新料、増改築・譲渡の承諾条項など、交渉の前提になる事実を確認します。
ステップ2:価格の目安をつかむ
路線価図で借地権割合を調べ、更地価格に掛けて目安を出します。あわせて建物の状態を見て、解体が必要になりそうか、費用がどれくらいかを把握しておきます。
ステップ3:地主に打診する
買取を希望する旨を、まずは丁寧に伝えます。口頭だけで終わらせず、日付と内容をメモや書面で残しておくと、後の交渉がスムーズです。地主が買取に前向きかどうかを見極める段階です。
ステップ4:価格・条件を交渉する
価格のほか、建物を残すのか解体するのか、解体費をどちらが負担するか、引渡しの時期、地代の精算日などを詰めます。金額だけに目を奪われず、条件全体で比べることが大切です。
ステップ5:売買契約と引渡し
条件が合意できたら売買契約を結び、代金の受領と引渡し、建物の所有権移転登記や滅失登記などを進めます。地主が借地権を取得すると、借地権は消滅します。
建物はどうなる?建物買取請求権との関係
借地権と建物は一緒に売るのが基本
借地権付きの建物は、借地権と建物がセットで価値を持ちます。地主に買い取ってもらう場合も、建物を含めた売買、または建物を解体して更地で返す形のどちらかになるのが一般的です。
建物が古いときの考え方
築年数が古く、建物の価値がほとんどないと判断される場合は、買取価格が低くなったり、解体費用の負担が争点になったりします。解体費用の見積りを事前に取っておくと、交渉の根拠になります。
契約期間が終わるときの建物買取請求権
契約の更新がなく借地権の期間が満了する場合には、借地人が地主に建物を時価で買い取るよう求められる「建物買取請求権」があります(借地借家法13条)。一般には「借地権買取請求権」と呼ばれることもありますが、法律上の名称は建物買取請求権です。仕組みと注意点は建物買取請求権とはで詳しく説明しています。
地主に断られたときの選択肢
地主の承諾を得て第三者に売る
地主が買い取らない場合でも、借地権付き建物を第三者に売る方法があります。ただし、借地権の譲渡には原則として地主の承諾が必要で、承諾料(名義書換料)を求められることがあります。全体の方法と費用は借地権の売却方法4つにまとめています。
承諾が得られないときは裁判所の許可を申し立てる
地主が譲渡を承諾してくれない場合、借地権者は裁判所に譲渡の許可を申し立てられる制度があります(借地借家法19条)。この場合、地主側が自ら買い取る意思を示せる仕組み(介入権)も用意されています。手続きは複雑なため、弁護士などの専門家に相談して進めるのが安心です。
地主と協力して底地と借地権を同時に売る
地主と借地人が協力し、底地と借地権を同時に第三者へ売ると、完全な所有権の土地として売れるため、それぞれ単独で売るより高い価格を期待できる場合があります。売却代金は、借地権割合などをもとに按分する考え方が一般的です。
借地権付き建物の買取に対応する不動産会社に相談する
借地権付き建物は一般の買主が見つかりにくいため、買取に対応できる不動産会社が選択肢になります。仲介と買取のどちらが合うかは、急ぎ度や価格の希望で変わります。
売却にかかる費用と税金
主な費用の目安
| 費用 | 内容の目安 |
|---|---|
| 仲介手数料 | 仲介の場合、売買価格400万円超なら「価格×3%+6万円+消費税」が上限(地主との直接取引なら不要) |
| 印紙税 | 売買契約書の金額に応じて数千円〜数万円 |
| 登記費用 | 建物の所有権移転登記や滅失登記などの費用 |
| 解体費用 | 建物を更地にして返す場合に発生 |
譲渡所得税の考え方
売却額から取得費と譲渡費用を引いた譲渡益に、譲渡所得税がかかります。所有期間が5年を超える長期譲渡の場合、所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%で、合計20.315%が目安です。5年以下の短期譲渡では税率が高くなります。取得費が不明な場合は、売却額の5%を取得費とする概算取得費を使うこともあります。
居住用なら3,000万円特別控除などの特例も
自分が住んでいた家を手放す場合は、譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける特例が使える可能性があります。ただし要件や適用の可否は個別の事情で変わります。具体的な税額は、税理士または税務署に必ず確認してください。
交渉前に確認したいポイントとよくある失敗
地代の滞納や契約違反がないか
地代の滞納があると、交渉が不利になるだけでなく、契約解除を主張される原因にもなります。更新料や承諾料の取り決めも事前に確認しましょう。更新料の考え方は借地権の更新料で解説しています。
口約束で進めない
「買ってもいい」という話が出ても、書面にしなければ後で変わるおそれがあります。価格、建物の扱い、引渡し日、精算の内容は必ず契約書に残しましょう。
最初の提示額をそのまま受け入れない
地主から提示された額が、目安と大きく離れていないかを確認します。迷うときは、不動産会社の査定や、専門家の意見を聞いてから判断しても遅くありません。
借地をめぐるもめごとが心配な方は、底地トラブルや、固定資産税の負担を整理した借地権の固定資産税も参考になります。
借地権の買取でよくあるケースと相談先
相続した借地権を手放したいケース
親から借地上の建物を相続したものの、遠方に住んでいて使わない、地代や固定資産税の負担が重い、といったケースは少なくありません。相続した借地権は、名義の整理をしたうえで、地主への売却や第三者への売却を検討します。買取の話を切り出す前に、相続登記が済んでいるかを確認しておきましょう。
老朽化した建物を処分したいケース
建物が古く、建替えや大規模な修繕に地主の承諾が必要で手が止まっている場合も、地主への売却が現実的な解決策になることがあります。解体して更地で返還する場合は、解体費用の負担をどちらが持つか、いつまでに返還するかを事前に取り決めます。
弁護士・税理士・不動産会社、誰に相談する?
権利関係や法律上の争いがある場合は弁護士、税金の計算や特例の確認は税理士、価格の査定や買主探し、買取は不動産会社が目安です。複数の専門家が関わることも多いため、最初の相談先として、借地権や底地の取り扱いに慣れた不動産会社に状況を整理してもらう方法もあります。無料で相談できる窓口もあるので、依頼前に費用の有無を確認しましょう。
不動産会社を選ぶときの確認ポイント
- 借地権や底地の取り扱い実績・専門知識があるか(対応経験の有無を質問する)
- 査定の根拠を説明してくれるか
- 買取と仲介の両方の提案ができるか
- 地主との交渉や手続きの進め方を具体的に示してくれるか
地主との間でトラブルになりやすいポイント
代金の支払い時期、建物の引渡し、地代の精算、原状回復の範囲などは、後からトラブルになりやすい項目です。口頭の約束だけにせず、合意書や契約書に条件を書き、必要に応じて弁護士のチェックを受けることをおすすめします。
ハウスドゥ茨城にご相談いただける理由
ハウスドゥ茨城(茨城県内4店舗)は、不動産の売却と買取のご相談を受けている店舗グループです。借地権付き建物や底地は、契約内容によって最適な出口が変わります。契約書や地代の資料をもとに状況を整理し、地主との交渉の進め方や、第三者への売却、買取などの選択肢をわかりやすくご案内します。無理な営業はせず、まずはお話をお聞かせください。
お電話:0120-565-072 / お問い合わせフォームはこちら
借地権を地主に買い取ってもらうときのよくある質問
Q. 借地権を地主に買い取ってもらう場合、相場はいくらくらいですか?
税務上の目安は「更地価格×借地権割合」で、割合は路線価図で30〜90%です。ただし、これは相続税などの評価に使う考え方で、実際の買取価格は地主との交渉で決まります。建物の状態や残りの契約期間、地代の水準でも変わるため、複数の視点で価格を確認しましょう。
Q. 地主は借地権の買取に応じる義務がありますか?
原則として、借地権者から買取を求められても地主に応じる義務はありません。地主が断った場合は、地主の承諾を得て第三者に売る、承諾が得られなければ裁判所に譲渡許可を申し立てる、地主と協力して底地と借地権を同時に売るなどの方法を検討します。
Q. 借地権を地主に売るとき、名義書換料や承諾料は必要ですか?
地主自身が買主になる場合は、第三者へ売るときに通常必要となる譲渡承諾料(名義書換料)は一般に問題になりません。ただし、売買契約の条件や精算内容は個別に決まるため、契約書で明確にしておくことが大切です。
Q. 借地人が底地を買い取る場合と、地主が借地権を買い取る場合は何が違いますか?
どちらも土地の権利を1人に集めて完全な所有権にする点は同じですが、買う側が逆です。借地人が底地を買うと、自分の土地になります。地主が借地権を買うと、借地権が消滅して地主の完全な所有地になります。底地側の詳しい考え方は別記事で解説しています。
Q. 借地上の建物は、地主が買い取ってくれますか?
借地権だけでなく建物も一緒に買い取ってもらうのが一般的です。建物が古い場合は、買取価格に反映されにくく、解体費用の負担をどうするかが交渉のポイントになります。契約更新がなく期間が満了する場合には、建物買取請求権が使えることもあります。
Q. 地主に借地権を売ると、税金はかかりますか?
譲渡益(売却額から取得費・譲渡費用を引いた額)が出れば譲渡所得税がかかります。所有期間が5年を超える場合の税率は、所得税・復興特別所得税・住民税を合わせて20.315%が目安です。居住用の場合は3,000万円特別控除などの特例を使える可能性があるため、税理士や税務署に確認してください。
Q. 地代を滞納していても買い取ってもらえますか?
滞納があると地主との交渉で不利になりやすく、買取価格から未払い分が差し引かれることもあります。まずは滞納分を整理し、地主と誠実に話し合う姿勢が大切です。契約解除を主張される前に、早めに専門家へ相談しましょう。
Q. 地主が買取を断った場合、ハウスドゥに相談できますか?
はい、ご相談いただけます。借地権付き建物や底地の取り扱いは物件ごとに条件が異なるため、まずは契約書や地代の資料をもとにお話を伺い、可能な選択肢をご案内します。お電話(0120-565-072)またはお問い合わせフォームからどうぞ。
Q. 借地権の買取でよくある事例を教えてください。
相続した借地権を手放したいケース、老朽化した建物の処分に悩むケース、地代の負担から解放されたいケースなどが代表的です。いずれも、契約書と地代の資料を整理し、地主への打診と並行して第三者への売却も検討すると選択肢が広がります。
Q. 地主との交渉は、不動産会社や弁護士に依頼できますか?
依頼できます。価格や条件の整理、交渉の進め方は不動産会社に、権利関係の争いや法的な手続きは弁護士に相談するのが目安です。費用や報酬はそれぞれ異なるため、依頼前に確認しましょう。
まとめ:地主への借地権売却は「目安を知って、書面で残す」
借地権を地主に買い取ってもらう場合の価格は、更地価格×借地権割合が目安ですが、実際は交渉で決まります。地主に応じる義務はないため、断られたときの代替策(第三者への売却、裁判所の許可、底地との同時売却など)もあわせて用意しておくと安心です。税金や費用も含めて手取りを計算し、合意内容は必ず書面に残しましょう。借地権のご相談は、ハウスドゥ茨城(0120-565-072)までお気軽にどうぞ。
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