「実家を相続したが、売却前にリフォームすべきか」「築年数の古い家を買うとき、リノベーション費用はどれくらい見ておけばいいか」——茨城県内で不動産の売却・購入を検討する方から、こうした相談が増えています。この記事では、国土交通省「建築物リフォーム・リニューアル調査報告」、総務省「令和5年住宅・土地統計調査」、茨城県公式の市町村別助成制度一覧という一次情報だけを根拠に、茨城県のリフォーム・リノベーション事情を整理します。都道府県単独の公式統計が存在しない項目は「公表なし」「確認できず」と正直に明記し、推計や創作は行いません。
茨城県のリフォーム・リノベーション事情を考える前提
「リフォーム」「リノベーション」の違い
この記事では国土交通省の統計区分に準じ、「リフォーム」を修繕・改修工事全般(劣化した部位の交換、水回りの改修、断熱改修など機能維持・向上を目的とする工事)を指す言葉として扱います。「リノベーション」は明確な公的定義があるわけではありませんが、間取り変更や用途変更を伴う大規模な改修を指す用語として使われることが多く、統計上は「増築工事」「一部改築工事」に近い区分に該当します。本記事では公的統計の区分に沿って「増築・一部改築」「改装・改修」「維持・修理」という3種類の工事に整理して解説します。
茨城県単独のリフォーム市場統計は限定的
結論から先に述べると、茨城県単独の「リフォーム市場規模」や「平均工事費」を包括的に公表している統計は見当たりませんでした。国土交通省「建築物リフォーム・リニューアル調査報告」は全国値・住宅/非住宅の区分のみで都道府県別の受注高は公表されていません。一方、総務省「住宅・土地統計調査」は都道府県別に「持ち家の増改築・改修工事等の実施率」を公表しており、茨城県固有の数値が確認できます。本記事はこの2つの一次情報を組み合わせ、確認できる事実と確認できない事実を明確に分けて構成します。
全国のリフォーム・リニューアル市場規模(国土交通省 令和7年度計)
住宅リフォーム受注高は4兆9,033億円、前年度比18.7%増
国土交通省「建築物リフォーム・リニューアル調査報告(令和7年度第4四半期受注分、令和7年度計)」(令和8年6月12日公表)によると、令和7年度(2025年度)の住宅に係るリフォーム・リニューアル工事の受注高は4兆9,033億円で、前年度比18.7%増でした。非住宅建築物を含めた全体の受注高は16兆4,104億円(前年度比18.7%増)で、過去の公表データと比較しても高水準です。この調査は建設業許可業者5,000者を対象とした復元集計(全数推定)によるもので、都道府県別の内訳は公表されていません。
工事種類別では「改装・改修工事」が9割近くを占める
住宅の工事種類別受注高(令和7年度計)を見ると、「改装・改修工事」が3兆8,164億円(前年度比17.4%増)で最も多く、「維持・修理工事」が9,215億円(同35.4%増)、「一部改築工事」が1,316億円(同8.8%減)、「増築工事」が338億円(同39.0%減)でした。間取り変更を伴う大規模な増改築よりも、内装や設備の更新を目的とした改修・維持工事が市場の中心であることが分かります。
発注者別では「個人」が3兆769億円で最多
住宅の発注者別受注高(令和7年度計)は「個人」が3兆769億円(前年度比16.4%増)と最も多く、「管理組合」が9,538億円(同29.8%増)、「民間企業等」が6,203億円(同21.3%増)と続きます。個人発注のうち改装・改修工事が2兆2,666億円、維持・修理工事が6,584億円を占めており、一戸建て住宅の所有者による改修需要が市場の中核を担っていることがうかがえます。

茨城県の持ち家における増改築・改修工事の実施状況
2019年以降の実施率は28.1%(総務省 令和5年住宅・土地統計調査)
総務省「令和5年住宅・土地統計調査 住宅の構造等に関する集計(確報集計)結果」(令和7年1月29日公表)によると、茨城県では2019年以降に増改築・改修工事等が行われた持ち家の割合は28.1%でした。全国平均は28.8%であり、茨城県は全国平均をやや下回る水準です。近隣県では栃木県27.3%、埼玉県27.8%、千葉県29.4%となっており、南関東エリアと比べて突出して高い、または低いわけではない中位水準といえます。
耐震改修工事の実施率は2.2%で全国平均を上回る
同調査によると、茨城県で2019年以降に耐震改修工事が行われた持ち家の割合は2.2%で、全国平均1.9%をやや上回っています。全国データでは、耐震改修工事の内容は「壁の新設・補強」が46.0%と最も多く、「金具による補強」38.0%、「基礎の補強」34.5%と続きます(都道府県別の内訳は公表されていません)。茨城県は2011年の東日本大震災で県内広域が震度6弱以上を観測した経緯があり、耐震改修への関心が相対的に高い可能性がありますが、これは統計から直接立証できる事実ではなく、あくまで推測にとどまることを明記します。
高齢者等のための設備工事の実施率は12.3%
茨城県で2019年以降に高齢者等のための設備工事(手すりの設置、段差解消、浴室・トイレの改修など)が行われた持ち家の割合は12.3%で、全国平均13.0%をやや下回ります。全国データでは世帯内の最高齢者が75歳以上の世帯で実施率が22.2%まで上昇する傾向があり、高齢化が進む世帯ほどバリアフリー改修のニーズが高まる構造は、茨城県でも同様に働いていると考えられます。

全国データで見る増改築・改修工事の内容別内訳
「水回りの改修」が最も多い(全国16.1%)
総務省調査(全国値)によると、2019年以降に増改築・改修工事等が行われた持ち家のうち、工事内容別の割合(複数回答)は「台所・トイレ・浴室・洗面所の改修工事」が16.1%と最も高く、次いで「屋根・外壁等の改修工事」12.4%、「天井・壁・床等の内装の改修工事」7.5%、「窓・壁等の断熱・結露防止工事」2.6%、「増築・間取りの変更」2.9%、「壁・柱・基礎等の補強工事」1.4%の順でした。茨城県単独の工事内容別内訳は公表されていないため、この内訳は全国値として参考情報とします。
建築年が古い住宅ほど改修工事の実施率が高い
建築の時期別に見ると、「1981〜1990年」に建築された持ち家の38.7%、「1971〜1980年」の37.6%が2019年以降に何らかの改修工事を行っており、2000年以前に建築された持ち家の3割以上が改修を経験しています。一方、「2011〜2020年」に建築された比較的新しい持ち家では実施率が11.3%にとどまります。築30年以上が経過した住宅で改修需要が高まる傾向は、茨城県内でも同様に見られると考えられますが、これも全国データからの類推であることを明記します。
国のリフォーム関連補助金制度(住宅省エネ2026キャンペーン)
先進的窓リノベ2026事業(環境省)
環境省「断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業(先進的窓リノベ2026事業)」は、窓の交換や内窓設置(二重窓化)などの断熱改修工事を対象に、一戸あたり5万円から最大100万円を補助する制度です(令和8年7月14日時点の事業詳細による)。対象は戸建住宅、低層・中高層集合住宅などで、補助対象工事の内容・グレードにより補助額が変動します。本事業は令和7年度補正予算に基づくもので、補正予算案の閣議決定日(2025年11月28日)以降に着手した工事が対象です。制度の詳細・最新の申請状況は事業事務局のウェブサイトで確認が必要です。
3省連携の「住宅省エネ2026キャンペーン」
先進的窓リノベ2026事業は、「みらいエコ住宅2026事業」(環境省・国土交通省)、「給湯省エネ2026事業」に相当する高効率給湯器導入促進事業(経済産業省)、「既存賃貸集合住宅の省エネ化支援事業」(経済産業省)と連携する形で実施されており、3省庁の制度を組み合わせることで、住宅一戸あたりの補助額を積み増せる設計です。ただし、それぞれの制度で対象工事や交付要件が異なるため、実際の活用にあたっては各制度の公式サイトで詳細を確認する必要があります。
茨城県内市町村のリフォーム補助金制度
県内の住宅リフォーム補助制度は市町村単位で運用
茨城県公式サイト「住宅関連助成制度(市町村)」(令和7年度・更新日2026年6月8日)によると、リフォーム関連の助成制度は県による一律の制度ではなく、県内44市町村がそれぞれ独自に運用しています。茨城県土木部住宅課が市町村ごとの制度一覧・担当窓口をPDFで公開しており、制度の有無・内容・受付時期は市町村により異なります。県内でリフォームを検討する場合は、居住する市町村の最新情報を個別に確認する必要があります。
水戸市「安心住宅リフォーム支援補助金」
水戸市の「安心住宅リフォーム支援補助金」は、市内に住宅を所有し居住する方が、市内事業者との請負契約により税込50万円以上のリフォーム工事を行う場合、工事費用総額の10分の1(上限10万円)を補助する制度です。対象工事は屋根・外壁の改修、断熱改修、内装改修、水回り改修、間仕切り変更などで、建築確認日が昭和56年6月1日以降(新耐震基準)であることなどの要件があります。令和8年度前期の抽選申込みは140件で、募集件数(140件)を超えなかったため抽選は行われませんでした(2026年8月時点の市公式サイトの情報)。なお、みらいエコ住宅2026事業や先進的窓リノベ2026事業など、補助対象が重複する他制度との併用はできません。
つくば市「安心住宅リフォーム支援補助金」
つくば市も同名の補助制度を運用しており、内容は水戸市とほぼ同様に、税込50万円以上のリフォーム工事費用総額の10分の1(上限10万円)を補助します。令和8年度は第1期(5月8日〜7月31日、申請上限50件)、第2期(8月3日〜11月30日、申請上限50件)の2期制で、2026年8月3日時点で第2期は申請上限の50件に達し受付を終了しています。着手14日前までの事前申請が必要で、交付決定前に着手した工事は対象外となる点は水戸市の制度と共通です。
制度に共通する注意点
水戸市・つくば市の事例に見られるように、県内の住宅リフォーム補助制度には共通するパターンがあります。1つ目は「工事着手前の交付決定が必須」で、着工後の申請は対象外となること。2つ目は「市内在住・市内所有」などの居住地要件があること。3つ目は「募集件数に上限があり、期間内でも早期終了する場合がある」こと。4つ目は「不動産業を営む者が所有する住宅は対象外」であることです。売却目的の住宅は多くの制度で対象外となるため、リフォーム後に売却を検討している場合は各制度の要件を事前に必ず確認してください。
売却を検討する際のリフォーム・リノベーションの考え方
「売る前提」のリフォームは慎重な判断が必要
住宅の売却を検討している場合、リフォームやリノベーションを行うべきかどうかは慎重な判断が必要です。前述の通り、多くの自治体のリフォーム補助金は「自己居住用」であることを要件としており、「不動産業を営む者またはこれに類する者が所有する住宅(自己の居住のための住宅を除く)」を対象外としている制度が一般的です。売却前提でリフォームする場合、まず対象となる補助制度があるかどうかを個別に確認する必要があります。
水回り改修は工事費に対する回収率を見極める
全国データで最も実施率が高い「水回りの改修工事」は、購入検討者の印象を左右しやすい一方、工事費用も高額になりやすい傾向があります。売却を前提とする場合、フルリフォームの費用をそのまま売却価格に上乗せできるとは限らず、地域の相場や物件の条件によって「回収できる範囲」は異なります。当社では、リフォームの要否も含めた個別の売却戦略について、机上査定・訪問査定を通じてご相談を承っています。
空き家・古家の場合は「解体」という選択肢も
老朽化が進んだ空き家や古家の場合、リフォームよりも解体して更地で売却する方が合理的なケースもあります。解体費用の相場や自治体の解体補助金制度については、グループの解体専門サイト「解体Do!」で市町村別に詳しく解説しています。リフォームすべきか、解体すべきか、そのまま売却すべきかの判断に迷う場合は、まず現状を専門家に相談することをおすすめします。
よくある質問
Q1. 茨城県のリフォーム市場規模を示す公式統計はありますか?
茨城県単独のリフォーム市場規模(受注高・工事費総額)を包括的に示す公式統計は確認できませんでした。国土交通省「建築物リフォーム・リニューアル調査報告」は全国値のみを公表しており、都道府県別の受注高は公表されていません。都道府県別で確認できるのは、総務省「住宅・土地統計調査」による「持ち家の増改築・改修工事等の実施率」(茨城県28.1%)などの実施率データです。
Q2. 茨城県でリフォームを行った持ち家の割合はどれくらいですか?
総務省「令和5年住宅・土地統計調査」によると、2019年以降に増改築・改修工事等を行った持ち家の割合は茨城県で28.1%です。全国平均は28.8%で、茨城県はわずかに全国平均を下回る水準です。
Q3. リフォーム補助金は茨城県内どこでも同じ内容で使えますか?
いいえ。リフォーム補助金は県による一律の制度ではなく、44市町村がそれぞれ独自に運用しているため、制度の有無・補助額・要件・受付時期は市町村ごとに異なります。水戸市・つくば市はいずれも工事費50万円以上の10分の1(上限10万円)という共通点がありますが、募集件数や受付期間は別々に設定されています。居住する市町村の最新情報を個別に確認する必要があります。
Q4. 国の補助金と市町村の補助金は併用できますか?
制度によります。水戸市の事例では、みらいエコ住宅2026事業や先進的窓リノベ2026事業など国の制度と補助対象が重複する工事は、市の補助金との併用ができないと明記されています。重複しない範囲の工事のみが市の補助対象となるため、複数制度の併用を検討する場合は事前に担当窓口へ確認することが重要です。
Q5. 売却予定の家でもリフォーム補助金は使えますか?
多くの制度で使えない可能性が高いです。水戸市・つくば市の制度はいずれも「不動産業を営む者またはこれに類する者が所有する住宅(自己の居住のための住宅を除く)」を対象外としています。自己居住中に補助金を使ってリフォームし、その後に事情が変わって売却するケースと、当初から売却目的でリフォームするケースとでは扱いが異なる可能性があるため、個別に自治体へ確認することをおすすめします。
Q6. 築年数が古い家は改修すべきか、解体すべきか、どちらがよいですか?
物件の状態、立地、売却か居住継続かの方針によって最適解は異なります。総務省調査では、建築から30年以上が経過した持ち家の3割以上が何らかの改修を経験している一方、老朽化が著しい空き家では解体の方が合理的な場合もあります。当社では机上査定・訪問査定を通じて、リフォーム・解体・現状売却のどれが適しているか個別にご相談を承っています。解体費用の目安は解体Do!でも市町村別にご確認いただけます。
まとめ
茨城県のリフォーム・リノベーション事情について、都道府県単独の包括的な市場統計は確認できませんでしたが、総務省「住宅・土地統計調査」からは、茨城県の持ち家における増改築・改修工事の実施率が28.1%(全国28.8%)、耐震改修工事が2.2%(全国1.9%)、高齢者等のための設備工事が12.3%(全国13.0%)という実測値を確認できました。国の「住宅省エネ2026キャンペーン」や、水戸市・つくば市など市町村独自のリフォーム補助制度も存在しますが、要件や受付状況は自治体ごとに異なるため、活用を検討する場合は最新情報を個別に確認することが欠かせません。売却を視野に入れている場合は、リフォームの要否も含めて専門家にご相談ください。
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耐震性に関する補助制度については、茨城県の耐震診断・耐震改修補助|44市町村一覧の記事もあわせてご覧ください。
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