借地に家を建てて住んでいると、「いっそ底地(土地の所有権)ごと買い取って、完全な所有権にしたい」と考える方は少なくありません。地代の支払いや契約更新の手間がなくなり、土地の活用の自由度も上がるためです。この記事では、借地人の立場から底地を買い取る交渉の進め方、価格の考え方、税金までを整理します。
底地とは|借地権とセットで理解する
底地=借地権が設定された土地の所有権
底地とは、借地権(建物を所有する目的で土地を借りる権利)が設定されている土地の、地主が持つ所有権のことです。借地人は建物を所有し地代を払う権利を、地主は底地(土地の所有権)を持つという形で、一つの土地の権利が「借地権」と「底地」に分かれています。
借地人が底地を買い取るとどうなるか
借地人が地主から底地を買い取ると、借地権と底地が一つにまとまり、土地・建物ともに完全な所有権を持つ状態になります。地代の支払いが不要になり、増改築や建て替え、売却の際の地主の承諾も不要になるなど、活用の自由度が大きく上がります。
底地の買取相場|借地人が買う場合と第三者が買う場合の違い

借地人が買う場合は「限定価格」で相場が上がる
借地人が底地を買い取る場合の相場は、更地価格のおよそ40%〜60%程度とされています。これは、借地人にとって底地を買うと権利が一本化され土地を自由に使えるようになるという特別な価値があるため、一般の第三者が買う場合より高い水準になりやすいことによります。この、当事者間だからこそ成立する価格を「限定価格」と呼びます。
第三者(借地人以外)が底地だけを買う場合は更地価格の10〜20%程度
一方、借地人以外の第三者が底地だけを購入する場合、土地を自由に使えないという制約があるため、取引相場は更地価格の10%〜20%程度にとどまるのが一般的です。同じ底地でも「誰が買うか」によって相場が大きく変わる点が特徴です。
交渉の出発点になりやすい「借地権割合」
路線価図などに示される借地権割合(地域によって60%〜70%程度)を手がかりに、そこから交渉が始まることが多いとされています。最終的な合意価格は、借地権割合や更地価格、地主・借地人双方の事情によって個別に変わってきます。
底地買取交渉の進め方

1. 底地・借地権の権利関係を確認する
登記簿謄本で土地の所有者(地主)を確認し、借地契約の内容(地代、契約期間、更新の有無など)を整理します。
2. 地主の意向を確認する
まずは地主に、底地を売却する意思があるかどうかを打診します。地主にとっても、底地だけを持ち続けるより、借地人に売却して現金化した方がよいと判断されるケースは少なくありません。
3. 価格交渉を行う
借地権割合や更地価格の目安をもとに交渉を進めます。建物を現況のまま引き渡すのか、更地にして引き渡すのかといった条件も、価格交渉に影響します。感情的な対立を避けるため、不動産鑑定士や弁護士など第三者を交えて進めるのも有効です。
4. 契約・決済・登記
合意した内容で売買契約を締結し、決済・所有権移転登記を行います。これにより借地権と底地が一本化され、完全な所有権を取得します。
底地買取にかかる税金
不動産取得税・登録免許税
底地を購入すると、不動産取得税や、所有権移転登記にかかる登録免許税が発生します。購入価格や固定資産税評価額をもとに計算されます。
買い取った後の固定資産税・相続税評価への影響
底地を買い取って完全な所有権にすると、その後の固定資産税評価額が上がる場合があります。将来的に相続が発生する際の土地の評価額にも影響するため、買い取った後の土地活用(自宅用地のまま持つか、賃貸に出すかなど)もあわせて検討しておくと安心です。
底地買取交渉がまとまらない場合の選択肢
地主が売却に応じない場合
地主が底地の売却に応じない場合、無理に交渉を続けるのではなく、借地権のまま住み続けるという選択肢もあります。将来的に地主の代替わりなどで状況が変わることもあるため、時期を置いて再度打診することも一つの方法です。
逆に、借地権を地主に買い取ってもらうという選択肢も
底地を買い取る代わりに、借地人が持つ借地権自体を地主に買い取ってもらうという逆のパターンもあります。住み替えや実家じまいなどで借地に住み続ける予定がなくなった場合には、こちらの方法が現実的なこともあります。
底地を買い取る理由とメリット|借地人・投資家それぞれの目的
底地の買取には、買い手の立場によってさまざまな理由があります。最も多いのは、その土地に建物を持って住んでいる借地人が「地主との関係を整理して、完全な所有権にしたい」というケースです。毎年の地代や更新料の支払いが不要になり、建て替えや売却の際に地主の承諾を取る必要もなくなります。
一方、借地人以外の第三者が底地を買う場合は、地代を継続して受け取る「収益目的」が中心です。底地は建物を所有しているのが借地人であるため、買い手は地代収入を得られる可能性がありますが、土地を自由に利用できるわけではない点には注意が必要です。
借地人が底地を買うメリット
借地人が底地を買い取ると、土地と建物の名義が一本化されます。そのため、将来の売却や相続の場面で手続きが簡単になり、買い手が見つかりやすくなる可能性も高まります。地代・更新料・承諾料といった継続的な負担もなくなります。
投資家・不動産会社が底地を買う理由
底地は更地に比べて価格が低く抑えられやすいため、地代による利回りを重視する買い手にとっては検討しやすい投資対象です。ただし、売却時に買い手が限られることや、借地人との関係が収益に直結することなど、リスクも理解したうえで判断する必要があります。
底地買取の収益性の考え方|地代利回りの計算例
底地の価値を考えるうえで、よく使われるのが「年間地代÷買取価格」で求める利回りです。以下は考え方を示すための仮定の数字であり、実際の相場や取引価格を示すものではありません。
| 項目 | 仮定の数字 | 内容 |
|---|---|---|
| 年間地代 | 60万円 | 月5万円の地代を12か月分 |
| 買取価格 | 1,000万円 | 交渉で決まる価格(仮定) |
| 表面利回り | 6% | 60万円÷1,000万円 |
実際には、固定資産税などの負担や、地代の滞納・値上げ交渉の難しさもあるため、表面利回りだけで判断するのは危険です。借地人が買う場合は、地代の支払いがなくなる分を「毎年の負担軽減」と考えて、買取価格と比べる方法もあります。
底地買取が難しい理由と注意点
底地の売買は、通常の土地取引よりも関係者が多く、条件調整が難しいといわれます。主な理由は次のとおりです。
地主と借地人の関係が価格に影響する
底地は借地人との契約内容や関係性が価格に大きく影響します。地代の滞納履歴、更新料の取り決め、過去のトラブルの有無などによって、同じエリアでも評価が変わります。
契約内容の確認が必要
借地契約が旧法借地権か新法(普通借地権・定期借地権)かによって、更新や建て替えのルールが異なります。買取を検討する前に、契約書の内容を必ず確認してください。契約書が見当たらない場合は、地主・借地人の双方に控えがないか確認し、必要に応じて専門家に相談しましょう。
高くても買うべきとは限らない
借地人にとっては「地代がなくなる」という大きなメリットがありますが、買取価格が高くなりすぎると、かえって負担が大きくなることもあります。利用予定や今後の住み替え計画も含めて、総合的に検討することが大切です。
底地を売る側(地主)が高く売るために必要な準備
底地を売りたい地主の側にも、できる準備があります。底地は買い手が限られるため、条件を整理して売る相手を絞り込むことが、結果的に高く売るための近道になります。
- 借地契約書・地代の支払い状況・更新料の履歴をそろえる
- 土地の測量図・登記事項証明書など、必要な資料を確認する
- 借地人に買い取りの意向があるか、まず打診する
- 借地人以外に売る場合は、借地人への事前説明を丁寧に行う
地主が底地を売る場合の譲渡所得には、所有期間に応じた税金がかかります。税額は取得費や譲渡費用によって変わるため、売却前に税理士など専門家へ確認しておくと安心です。
買い手別の比較|借地人・隣地所有者・不動産会社の違い
| 買い手 | 主な目的 | 価格の傾向 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 借地人 | 土地と建物の一体化 | 第三者より高くなりやすい | 地主との関係が良好で、住み続けたい場合 |
| 隣地所有者 | 敷地の拡張・利用 | 個別事情による | 借地人が買えず、隣地に関心がある場合 |
| 不動産会社・買取業者 | 地代収益・再販 | 借地人が買う場合より低めになりやすい | 早期に現金化したい場合 |
底地の買取に強い業者の探し方・紹介を受ける際のポイント
底地や借地権は、通常の売買と比べて専門的な知識が必要になるため、業者選びが結果を左右します。知人や専門家からの紹介で相談先を探す場合も、次の点を確認しておくと安心です。
- 底地・借地権の取り扱い経験があるか
- 価格の根拠(借地権割合や周辺の事例)を説明してくれるか
- 借地人・地主との交渉の進め方を具体的に示してくれるか
- 売却だけでなく、借地権の売却や等価交換など複数の選択肢を提案してくれるか
複数の業者から意見を聞き、比較してから決めるのがおすすめです。関連する内容は、借地権を地主に買い取ってもらう方法、借地権の更新料の相場と計算方法、旧借地権の注意点もあわせてご覧ください。
茨城県内で底地・借地権に関するお悩みがあれば
ハウスドゥの茨城県内4店舗(取手戸頭・守谷・つくば研究学園都市・県庁水戸)では、底地・借地権が絡む不動産の売却・買取のご相談を承っています。「地主との交渉をどう進めればよいかわからない」「底地を買い取るべきか、借地権を手放すべきか迷っている」という段階からでも、状況の整理からお手伝いいたします。
よくある質問
Q1. 底地の買取相場は、誰が買うかによって変わるのですか?
A. はい。借地人が買う場合は更地価格の40〜60%程度、借地人以外の第三者が買う場合は10〜20%程度が目安とされています。
Q2. 底地を買い取ると、必ず得になりますか?
A. 地代の支払いがなくなり土地活用の自由度は上がりますが、買取費用や税金の負担も発生します。今後の活用計画とあわせて検討することをおすすめします。
Q3. 地主が底地の売却に応じてくれません。どうすればよいですか?
A. 無理に進めず、時期を置いて再度打診する、専門家を交えて条件面から歩み寄る、といった方法があります。借地権のまま住み続けるという選択肢もあります。
Q4. 底地買取の交渉は自分だけで進めるべきですか?
A. 価格や条件の妥当性を客観的に判断するため、不動産鑑定士や弁護士、不動産会社など専門家を交えて進めることをおすすめします。
Q5. 底地を買い取った後、その土地を売却することはできますか?
A. できます。借地権と底地が一本化され完全な所有権になるため、地主の承諾なく自由に売却できるようになります。
Q6. 底地の買取と借地権の売却、どちらを検討すべきですか?
A. 今後もその土地に住み続けたいか、それとも手放したいかによって選ぶべき方向は変わります。迷う場合は、双方のメリット・デメリットを整理したうえでご相談いただくことをおすすめします。
あわせて読みたい:茨城県の底地買取|相場と売却先4パターン・交渉のコツ/底地トラブル7選|原因と解決法・売却の流れ
Q7. 底地の買取にあたって、借地権割合は必ず使うのですか?
A. 必ずではありませんが、交渉の目安としてよく使われます。借地権割合は路線価図に記載されており、底地の価格を考える手がかりになりますが、実際の価格は契約内容や地代の水準などで個別に決まります。
Q8. 底地を買い取るときに、どのような費用が必要になりますか?
A. 買取代金のほか、登記費用、不動産取得税、仲介業者を通す場合は仲介手数料などが必要になります。税額や手数料は物件ごとに異なるため、事前に見積もりを確認してください。
Q9. 底地の買取は、どこに相談すればよいですか?
A. 底地・借地権の取り扱い経験がある不動産会社や、弁護士、税理士、不動産鑑定士などに相談するとよいでしょう。ハウスドゥ茨城の4店舗でも、状況の整理からご相談いただけます。
まとめ
底地の買取交渉は、借地人が買う場合と第三者が買う場合とで相場の考え方が大きく異なります。借地権割合を手がかりに、地主の意向確認から価格交渉、契約・登記までを段階的に進めることが大切です。交渉がまとまらない場合は、借地権を地主に買い取ってもらうという逆の選択肢も含めて検討し、専門家に相談しながら進めることをおすすめします。
無料相談フォーム
この記事に関するご相談はこちらから。秘密厳守で対応いたします。




