「訳あり物件」という言葉を見て、事故物件のことだと思っていませんか。実は訳あり物件には事故物件以外にも複数の種類があり、法律上も明確な1つの定義があるわけではありません。この記事では、茨城県で4店舗を運営するハウスドゥのグループサイトが、訳あり物件の6つの分類・事故物件との関係・告知義務の正しい年数を、特定のブランド名に頼らず中立的に整理して解説します。

目次
  1. 訳あり物件とは|法律上の正式な定義はない
  2. 訳あり物件の6分類
    1. ① 心理的瑕疵物件|いわゆる事故物件
    2. ② 環境的瑕疵物件
    3. ③ 法的瑕疵物件
    4. ④ 物理的瑕疵物件
    5. ⑤ 権利関係が複雑な物件
    6. ⑥ その他の事情を抱えた物件
  3. 訳あり物件と事故物件の違い
  4. 告知義務は何年?|賃貸と売買で答えがまったく違う
    1. 賃貸|原則として概ね3年間は告知
    2. 売買|年数で消えるという定めはない
    3. 自然死は原則として告知不要、ただし例外がある
    4. 黙って売るとどうなるか|契約不適合責任のリスク
  5. 訳あり物件の見分け方
    1. 「告知事項あり」の表記を確認する
    2. 相場より価格が極端に安い
    3. 最終的には不動産会社に確認する
  6. 訳あり物件は査定額にどう影響するか
  7. 訳あり物件を売る2つの方法
    1. 仲介での売却
    2. 買取での売却
  8. 訳あり物件を売却するときの注意点
    1. 告知事項は正直に伝える
    2. 複数の分類が重なることがある
    3. 運営会社が同じ「一括査定」に注意する
  9. 茨城県で訳あり物件を相談するときのポイント
  10. 分類ごとの詳しい解説はこちら
  11. よくある質問(FAQ)
    1. Q. 訳あり物件と事故物件の違いは何ですか?
    2. Q. 訳あり物件の告知義務は何年ですか?
    3. Q. 訳あり物件はどうやって調べればよいですか?
    4. Q. 訳あり物件は仲介と買取のどちらで売るべきですか?
    5. Q. 訳あり物件を黙って売るとどうなりますか?
    6. Q. 訳あり物件を売るとき、査定額の根拠は聞けますか?

訳あり物件とは|法律上の正式な定義はない

「訳あり物件」は宅地建物取引業法などの法律に登場する正式な用語ではありません。不動産業界で使われる通称で、一般的には「何らかの理由で、通常の物件より買い手・借り手が付きにくい事情を抱えた不動産」を指します。法律上は、こうした事情は「瑕疵(かし)」という言葉で整理されており、瑕疵の種類によって取り扱いや告知の考え方が変わります。

「訳あり」という言葉自体に明確な線引きがないため、不動産会社によって挙げる分類の数や呼び方が多少異なります。本記事では、実務でよく使われる6つの分類に整理してお伝えします。

訳あり物件の6分類

不動産の「瑕疵」は伝統的に「心理的・環境的・法的・物理的」の4つに分類されます。これに加えて、売却実務では「権利関係が複雑な物件」「その他の事情を抱えた物件」を含めた合計6つの切り口で捉えると理解しやすくなります。

訳あり物件の6分類比較図+ハウスドゥ茨城

① 心理的瑕疵物件|いわゆる事故物件

建物内で自殺・他殺があった、特殊清掃を要する孤独死があったなど、心理的な抵抗感を生じさせる事情がある物件です。一般に「事故物件」と呼ばれるのはこの分類にあたります。世間のイメージでは訳あり物件イコール事故物件と思われがちですが、これは6分類のうちの1つにすぎません。心理的瑕疵の詳しい調べ方・売却方法は、別記事「事故物件とは|茨城での調べ方・告知義務・売却」で詳しく解説しています。

② 環境的瑕疵物件

物件そのものではなく、周辺環境に理由がある物件です。近隣に嫌悪施設(火葬場・墓地・廃棄物処理場など)がある、騒音・振動・悪臭の発生源が近くにある、反社会的勢力の事務所が近隣にある、といったケースが該当します。物件内に問題がなくても、住環境への影響が大きいと判断されれば環境的瑕疵として扱われます。

③ 法的瑕疵物件

建築基準法や都市計画法など法律上の制限に抵触している物件です。代表例は次のとおりです。

  • 再建築不可物件:建築基準法上の道路に2m以上接していないため、建て替えができない(詳しい売却方法と調べ方はこちらの記事で解説しています)
  • 違法建築・既存不適格:建築時の基準には適合していたが、法改正で現行基準に合わなくなった、または増改築が無許可で行われている
  • 越境:塀や屋根の一部が隣地にはみ出している
  • 市街化調整区域内の制限:建物の建て替えや用途変更に許可が必要

④ 物理的瑕疵物件

建物・土地そのものの物理的な欠陥です。雨漏り、シロアリ被害、給排水管の故障、地盤沈下、土壌汚染、傾きなどが該当します。中古住宅の売買でもっとも紛争になりやすいのがこの分類で、引き渡し後に発覚すると契約不適合責任の対象になりやすい点に注意が必要です。

⑤ 権利関係が複雑な物件

物件自体や周辺環境に問題がなくても、権利関係が複雑なために売りにくい物件があります。代表例は、相続などで複数人の名義になっている共有名義・共有持分、土地の所有者と建物の所有者が別で地代を払う底地・借地権、登記がされていない未登記建物などです。これらは物件の欠陥ではなく「権利の整理」が課題であるため、通常の瑕疵とは対応方法が異なります。詳しくは「共有持分とは|売却・放棄と共有解消の方法」「底地の買取」で解説しています。

⑥ その他の事情を抱えた物件

上記5つに明確に当てはまらないものの、売りにくさの原因になる事情です。長期間の空き家放置による老朽化、残置物(家財)が大量に残っている、駅から極端に遠い、旗竿地・変形地で使い勝手が悪い、といったケースが該当します。物理的な欠陥とまでは言えなくても、買い手が付きにくいという意味で「訳あり」に含まれることがあります。

訳あり物件と事故物件の違い

結論から言うと、「事故物件」は「訳あり物件」の一部(①心理的瑕疵物件)です。訳あり物件という大きな傘の中に、事故物件・環境的瑕疵・法的瑕疵・物理的瑕疵・権利関係が複雑な物件・その他の事情が含まれる、という包含関係になります。

そのため「訳あり物件=人が亡くなった物件」と誤解している方は少なくありませんが、実際には再建築不可の土地共有名義の実家のように、人の死とはまったく関係のない事情で「訳あり」に分類される物件のほうが件数としては多いのが実情です。物件を検討する際は、どの分類の「訳あり」に該当するのかを個別に確認することが重要です。

告知義務は何年?|賃貸と売買で答えがまったく違う

訳あり物件、特に心理的瑕疵に関して最も多い質問が「告知義務は何年で消えるのか」です。ここで多くの情報サイトが「3年で告知不要になる」と断定していますが、これは賃貸に限った話であり、売買には当てはまりません。国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」(2021年10月公表)に基づき、正確に整理します。

告知義務の年数 賃貸と売買の違い+ハウスドゥ茨城

賃貸|原則として概ね3年間は告知

賃貸借契約では、他殺・自死・特殊清掃を要した死亡などが生じた場合、事案発生からおおむね3年間は借主に告知することとされています。ただし、これは「3年経過すれば必ず告知不要になる」という意味ではありません。社会に与えた影響が特に大きい事件など、3年を超えても告知が必要と判断される例外があります。

売買|年数で消えるという定めはない

一方、売買契約には「何年で告知不要になる」という年数の定めがありません。買主の判断に重要な影響を及ぼす事実であれば、何年前の出来事であっても告知が求められます。「3年経ったから黙っていてよい」という考え方は、売買では通用しません。訳あり物件を売る際は、賃貸のルールと混同しないことが重要です。

自然死は原則として告知不要、ただし例外がある

老衰・病死・入浴中の事故・転倒といった自然死や日常生活の中での不慮の死は、原則として告知の対象になりません。人が亡くなること自体は、賃貸住宅・分譲住宅を問わず一定の確率で起こり得る出来事だからです。ただし、発見が遅れて特殊清掃や大規模なリフォームが必要になった場合は、自然死であっても告知の対象になり得ます。分かれ目は「死因」そのものよりも「特殊清掃の有無」である点に注意してください。

黙って売るとどうなるか|契約不適合責任のリスク

告知すべき事実を告げずに売買・賃貸契約を結ぶと、後から発覚した際に契約不適合責任を問われる可能性があります。買主・借主から損害賠償を請求されたり、契約を解除されたりするリスクがあり、黙っていた側が結果的に大きな損失を被ることも珍しくありません。「言わなければ分からない」という判断は、法的リスクの観点からも避けるべきです。

訳あり物件の見分け方

「告知事項あり」の表記を確認する

不動産ポータルサイトや広告に「告知事項あり」「心理的瑕疵あり」といった文言が記載されている場合、何らかの訳あり事情を抱えている可能性があります。ただし表記のルールは掲載媒体によって差があるため、この表記が無いことをもって「訳あり物件ではない」と判断するのは早計です。

相場より価格が極端に安い

周辺の相場と比べて価格が大きく下がっている場合、何らかの事情がある可能性があります。ただし、単に売主が早期売却を急いでいるだけのケースもあるため、価格の安さだけで判断せず、不動産会社に理由を確認することが重要です。

最終的には不動産会社に確認する

宅地建物取引業者には、取引の相手方の判断に重要な影響を及ぼす事項について、故意に事実を告げなかったり不実を告げたりすることを禁止する義務があります(宅地建物取引業法第47条)。気になる点があれば、遠慮せず担当者に確認してください。

訳あり物件は査定額にどう影響するか

訳あり物件は、分類や事情の深刻度によって査定額への影響が大きく異なります。心理的瑕疵(事故物件)は心理的な抵抗感から相場より価格が下がる傾向がありますが、下落幅は事案の内容・時間の経過・立地によって差が大きく、一律の割合で語ることはできません。法的瑕疵(再建築不可など)は、購入後の利用に直接的な制約が生じるため、影響が大きくなりやすい分類です。物理的瑕疵は補修費用が明確な分だけ、査定額への反映がしやすい傾向にあります。

不動産会社が査定額を提示する際は、根拠を明示することが宅地建物取引業法上の義務とされています(同法第34条の2第2項)。「なぜこの金額になるのか」を具体的に説明できない査定は注意が必要です。

訳あり物件を売る2つの方法

仲介での売却

不動産会社に買主を探してもらう方法です。時間をかければ相場に近い価格での売却が期待できますが、訳あり物件は一般の買主に敬遠されやすく、売却までの期間が長引きやすいという特徴があります。告知事項について買主から詳しい説明を求められることも多く、契約後のトラブルを避けるための丁寧な説明が欠かせません。

買取での売却

不動産会社が直接買主となる方法です。訳あり物件を専門的に扱う会社であれば、現況のまま・残置物ありのままでも短期間で現金化できることがメリットです。ただし、仲介に比べて売却価格は下がる傾向があるため、時間の余裕があるかどうかで仲介・買取のどちらが向いているかを判断するとよいでしょう。買取にはクーリング・オフの制度が適用されない点にも注意してください(宅地建物取引業法第37条の2は業者が売主となる場合の買主保護規定であり、業者が買主となる買取では適用されません)。

訳あり物件を売却するときの注意点

告知事項は正直に伝える

先述のとおり、告知すべき事実を隠すと契約不適合責任を問われるリスクがあります。売却を急ぐあまり事情を伏せることは、結果的に大きなトラブルにつながりかねません。

複数の分類が重なることがある

訳あり物件は、1つの分類だけに当てはまるとは限りません。例えば「相続した実家で孤独死があり、特殊清掃が必要になり、さらに共有名義になっている」というように、心理的瑕疵・その他の事情・権利関係の複雑さが同時に重なるケースもあります。複数の事情が絡む場合は、どの事情から優先的に解決すべきかを不動産会社と相談しながら整理することが大切です。

運営会社が同じ「一括査定」に注意する

訳あり物件専門をうたうサービスの中には、サイト名やブランド名が違っても運営会社が同じであるケースがあります。複数の査定を比較したつもりが、実質的には同じ会社の判断1つしか得られていない、ということが起こり得ます。会社概要のページで商号・免許番号・所在地・代表者名を確認し、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で免許の実在を確かめる、という一手間が有効です。免許番号は会社ごとに1つであり、サービス名の数だけ増えるものではないため、表記ゆれに惑わされず判定できます。

茨城県で訳あり物件を相談するときのポイント

茨城県内でも、訳あり物件のご相談は6分類それぞれで寄せられます。空き家の放置が長期化した「その他の事情」、相続で共有名義になった「権利関係が複雑な物件」、市街化調整区域内で建て替えに制限がある「法的瑕疵」など、地域特有の背景を伴うケースが少なくありません。

当社は茨城県内でハウスドゥの店舗を4店舗運営しています(つくば市・水戸市・取手市・守谷市)。運営会社は株式会社トーマン(茨城県知事(1)第7579号)と株式会社JOB HOPE(茨城県知事(2)第7366号)の2社で、それぞれ免許番号を公開しています。無料相談窓口は0120-565-072(フリーダイヤル)です。

分類ごとの詳しい解説はこちら

訳あり物件の各分類について、当グループサイトではより詳しい解説記事を公開しています。該当する事情に応じてご参照ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 訳あり物件と事故物件の違いは何ですか?

事故物件は訳あり物件の一部です。訳あり物件は「心理的瑕疵(事故物件)・環境的瑕疵・法的瑕疵・物理的瑕疵・権利関係が複雑な物件・その他の事情」の6分類の総称であり、事故物件はそのうち心理的瑕疵にあたる分類の1つです。

Q. 訳あり物件の告知義務は何年ですか?

賃貸と売買で異なります。賃貸は事案発生からおおむね3年間が告知の目安とされていますが、3年で自動的に消えるとは限りません。売買には年数の定めがなく、買主の判断に重要な影響を及ぼす事実であれば期間を問わず告知が必要です。

Q. 訳あり物件はどうやって調べればよいですか?

広告の「告知事項あり」の表記を確認する、周辺相場との価格差を見る、といった方法がありますが、確実なのは不動産会社に直接確認することです。宅地建物取引業者には重要な事実を故意に告げない行為を禁止する義務があります。

Q. 訳あり物件は仲介と買取のどちらで売るべきですか?

価格を重視して時間をかけられるなら仲介、現況のまま早期に現金化したいなら買取が向いています。訳あり物件は一般の仲介市場では買主が見つかりにくい傾向があるため、まず両方の見積もりを比較することをおすすめします。

Q. 訳あり物件を黙って売るとどうなりますか?

告知すべき事実を隠して売却すると、契約不適合責任を問われ、買主から損害賠償請求や契約解除を求められる可能性があります。黙っていたことが後から発覚するケースは少なくないため、正直に伝えることがトラブル回避につながります。

Q. 訳あり物件を売るとき、査定額の根拠は聞けますか?

聞くことができます。宅地建物取引業法第34条の2第2項により、不動産会社は査定額について根拠を明示する義務を負っています。金額の理由を具体的に説明できない場合は注意が必要です。