茨城県は霞ヶ浦や太平洋の海といった水のイメージが強い一方で、実は本格的な山岳エリアも県内に広がっている。県の中央部にそびえる筑波山(つくば市・標高877m)と、県北端に位置する八溝山(大子町・標高1,022m、茨城県最高峰)を中心とする奥久慈エリアだ。この記事では、茨城県公式サイトの自然公園データなど一次情報にもとづき、県内の山岳エリアの全体像・地域差・住まい選びとの接点までを整理する。
1. 茨城県の山岳エリアの全体像
茨城県は関東平野の東端に位置し、県全体では平地が広いイメージを持たれやすいが、県北部から県西部にかけては複数の山地・山塊が連なっている。茨城県公式サイト「自然公園一覧表」によると、県内には国定公園1件・県立自然公園9件があり、このうち山岳系の自然公園だけで合計面積は約6万haを超える。
1-1. 茨城県の地形を大きく分ける2つの山系
茨城県の山岳エリアは、大きく分けて2つの山系に整理できる。
- 八溝山地:福島・栃木県境から茨城県北部を南北に走る山地。最高峰の八溝山(1,022m)を筆頭に、奥久慈エリアの山々を形成する。
- 筑波山塊:八溝山地の最南端に位置する独立した山塊で、筑波山(877m)・加波山・足尾山などからなる。関東平野の中に単独でそびえるため遠くからもよく見え、「西の富士、東の筑波」と称される。
つまり筑波山と奥久慈(八溝山)は、地質学的には同じ八溝山地の南北の端に位置する”親戚”のような関係にある。
1-2. 茨城県の最高峰は八溝山(1,022m)
茨城県内で最も標高が高い山は、大子町にある八溝山で標高1,022m(国土地理院の測量にもとづく資料では1,021.8mとする文献もある)。一方、筑波山は標高877m(女体山)で、日本百名山に選ばれた山の中では最も標高が低い。この「低いのに百名山」という特徴が、筑波山を全国的に有名にしている理由のひとつである。
1-3. 山岳系の自然公園が県内に9か所
茨城県公式サイトの「自然公園一覧表」(自然公園法・茨城県立自然公園条例にもとづく)によれば、県内の自然公園は次の9つの県立自然公園と1つの国定公園(水郷筑波国定公園)で構成されている。
- 奥久慈県立自然公園(大子町・常陸大宮市・常陸太田市):面積10,410ha
- 花園・花貫県立自然公園(北茨城市・高萩市・日立市・常陸太田市):面積24,826ha
- 高鈴県立自然公園(日立市・常陸太田市):面積3,048ha
- 太田県立自然公園(常陸太田市):面積2,784ha
- 御前山県立自然公園(常陸大宮市・城里町):面積7,380ha
- 大洗県立自然公園(水戸市・ひたちなか市・大洗町・茨城町・鉾田市):面積2,543ha
- 笠間県立自然公園(笠間市・桜川市・城里町):面積3,969ha
- 吾国・愛宕県立自然公園(笠間市・桜川市・石岡市):面積3,835ha
- 水戸県立自然公園(水戸市):面積300ha
- 水郷筑波国定公園(筑波地区・水郷地区、複数市町村にまたがる):面積合計31,801ha
このうち面積が最も広いのは花園・花貫県立自然公園(24,826ha)で、次いで水郷筑波国定公園の合計(31,801ha、水郷地区20,880ha+筑波地区10,921ha)が続く。本記事が扱う筑波山(水郷筑波国定公園・筑波地区)と奥久慈(奥久慈県立自然公園)は、県内の山岳系自然公園の中でも代表格の2エリアである。
2. 筑波山と奥久慈(八溝山)の地域差・徹底比較
筑波山と奥久慈(八溝山)は同じ茨城県内の山でも、成り立ち・アクセス・観光の性格が大きく異なる。県南のTX(つくばエクスプレス)沿線から日帰りで登れる筑波山と、県北の山あいに位置し自然そのものが主役の奥久慈、それぞれの特徴を比較する。

2-1. 筑波山(つくば市・石岡市・桜川市)
筑波山は西側の男体山(871m)と東側の女体山(877m)の2つの峰からなる。山頂一帯は筑波山神社の境内地であり、全域が水郷筑波国定公園(筑波地区)の特別保護地区・特別地域に指定されている。ケーブルカー・ロープウェイが整備され、TXつくば駅からシャトルバスで中腹(つつじヶ丘・筑波山神社入口)まで約40〜50分でアクセスできる。日本経済新聞がYAMAPの登頂記録を集計した「2023年に登頂回数が多かった山」ランキングでは、女体山が全国5位、男体山が全国12位にランクインしており、首都圏から日帰りで登れる山として全国的にも人気が高い。
2-2. 奥久慈(大子町・常陸大宮市・常陸太田市)
奥久慈県立自然公園は、県最高峰の八溝山を中心とする「八溝地区」と、久慈川・久慈山地を中心とする「男体地区」の2地区で構成される(茨城県公式サイトによる)。八溝山の山頂付近にはブナの原生林とダケカンバの大木が広がり、男体地区の名勝「袋田の滝」(日本三大瀑布のひとつ)は観瀑トンネル整備により正面まで安全に行けるようになっている。公共交通機関の場合、JR水郡線・常陸大子駅からバスで蛇穴まで約45分、そこから徒歩で山頂まで約3時間かかるため、筑波山と比べると公共交通での気軽さは大きく劣る。一方、山頂近くまで茨城県道248号八溝山公園線(2014年3月開通)が通じており、自動車であれば山頂付近まで上がることができる。
2-3. アクセス性の違いが観光需要の差を生む
筑波山は「首都圏から2時間台で登れる百名山」という際立ったアクセスの良さが強みであり、奥久慈は「ブナ原生林・名水百選・日本三大瀑布」という手つかずの自然の豊かさが強みである。この違いは、そのまま観光客数や周辺エリアの開発状況の差にもつながっている。TX沿線のつくば市周辺は宅地開発・人口増加が進む一方、奥久慈エリア(大子町等)は豊かな自然環境がそのまま保たれているぶん、人口減少・高齢化が県内でも進みやすい地域でもある(詳しくは後述する「4. 住まい・不動産への接点」で扱う)。
2-4. 茨城県内のその他の山岳エリアとの位置関係
県北部にはこのほか、花園・花貫県立自然公園(北茨城市・高萩市・日立市等、面積24,826haで県内の自然公園中最大)、高鈴県立自然公園(日立市・常陸太田市)、太田県立自然公園(常陸太田市)など、複数の山岳系自然公園が連なっている。つまり茨城県の「山」は奥久慈エリアだけでなく、県北部全体に広く分布しているという構造がある。
3. 山岳エリアの指定と保護の推移・背景
茨城県の山岳エリアは、戦後まもない時期から段階的に自然公園として指定・保護されてきた。その経緯を一次資料(茨城県公式サイト)から時系列で整理する。
3-1. 奥久慈県立自然公園の指定(昭和28年)
奥久慈県立自然公園は昭和28年(1953年)3月20日、告示第4号により指定された。茨城県の県立自然公園としては最も早い時期に指定されたエリアのひとつで、公園面積は10,410ha。八溝山を中心とする「八溝地区」と、久慈川・久慈山地を中心とする袋田の滝で知られる「男体地区」からなる。昭和57年(1982年)には、県立自然公園として初めて、無許可で採取してはいけない植物として25科76種を指定するなど、早くから植生保護に力を入れてきた地域でもある。
3-2. 水郷筑波国定公園の指定(昭和34年・昭和44年)
筑波山を含む水郷筑波国定公園は、2段階で指定が進んだ。まず昭和34年(1959年)3月3日、告示第48号により霞ヶ浦・利根川一帯の「水郷地区」が指定され、その後昭和44年(1969年)2月1日、告示第27号により筑波山・加波山地域を加えた「筑波地区」が追加指定された。現在の公園面積は水郷地区20,880ha・筑波地区10,921haの合計31,801haで、茨城県内で最も広い自然公園となっている。

3-3. 筑波山地域ジオパークの認定(2016年)
2016年(平成28年)9月、筑波山とその周辺地域は「筑波山地域ジオパーク」として日本ジオパークネットワークに認定された(国内41番目の日本ジオパーク)。2025年1月には2度目の再認定を受けており、地質・地形の価値を活用した保全と教育・観光の取り組みが継続している。花崗岩と斑れい岩という2種類の岩石が織りなす地形が評価された形で、筑波山が単なる観光地ではなく地質学的にも貴重な山であることを示している。
3-4. 昭和から令和へ、変わらない山と変わる周辺
山そのものの姿・保護制度は昭和の時代からほぼ変わっていないが、周辺のアクセス環境は大きく変化した。2005年のつくばエクスプレス開業により、筑波山への公共交通アクセスは大幅に改善した(それ以前は1987年廃止の筑波鉄道筑波線が主要な足だった)。一方、奥久慈エリアは県道248号の開通(2014年)以外に大きなアクセス改善はなく、公共交通の空白地帯であり続けている。この差が、次章で触れる人口動態・住まいの選択にも影響している。
4. 生活者から見た「山がある暮らし」の意味
山岳エリアの存在は、統計データだけでは見えない「暮らしの質」にも影響している。ここでは生活者の視点から、筑波山・奥久慈それぞれの山が茨城県での暮らしにどう関わっているかを整理する。
4-1. 筑波山がもたらす「近くに百名山がある暮らし」
つくば市やその周辺に住むと、休日に本格的な登山ができる百名山が生活圏内にあるという特典が得られる。筑波山中腹(標高250m付近)には筑波山梅林があり、約4.5haの敷地に白梅・紅梅など約1,000本が植えられ、1月下旬から見頃となる。標高140m付近ではミカン栽培も行われており(「筑波みかん」「福来みかん」と呼ばれる在来種)、四季を通じて自然と触れ合える場所として親しまれている。ゴールデンウィークや紅葉シーズンには交通渋滞が発生するほどの人気で、茨城県・つくば市・筑波大学などが「筑波山周辺渋滞対策協議会」を設けているほどだ。
4-2. 奥久慈がもたらす「本物の自然が身近にある暮らし」
大子町・常陸大宮市・常陸太田市エリアでは、ブナの原生林、名水百選の八溝川湧水群、日本三大瀑布のひとつ袋田の滝など、開発されていない自然が日常の景観に溶け込んでいる。渓流沿いには希少な昆虫(スネケブカコバネカミキリなど)や山地性のチョウ類が生息し、自然観察・環境教育の場としても評価が高い。一方で、公共交通のアクセスが限られるため、車がないと生活そのものが成り立ちにくいという現実的な側面もある。
4-3. 山からの眺望・災害面での安心感
山岳エリアの多くは高台や台地に位置するため、洪水浸水想定区域の外側にあたることが多い。ただし急傾斜地や土砂災害警戒区域が周辺に存在する場合もあるため、山あいの物件を検討する際は個別の地形確認が欠かせない(土砂災害・地盤の詳細は後述のリンク先記事も参照されたい)。
5. 住まい・不動産への接点
山岳エリアの存在は、茨城県内の住まい選び・不動産の資産価値にも一定の影響を与えている。
5-1. 筑波山周辺(つくば市)は「山と都市機能が両立するエリア」
つくば市は筑波山という自然資源を抱えながら、TX沿線として人口増加・地価上昇が続く数少ないエリアでもある(詳しくは「茨城県のつくばエクスプレス沿線|地価上昇と人口動態」を参照)。「山を望む立地」は住宅の付加価値になりやすく、筑波山麓・研究学園都市周辺は自然と利便性を両立させたい層から人気が高い。つくば市エリアの不動産売却・査定は、地域密着のハウスドゥ つくば研究学園都市が窓口となる。
5-2. 奥久慈エリア(大子町等)は「移住・別荘・実家じまい」の接点
大子町を含む奥久慈エリアは、豊かな自然を求めた移住・二拠点居住・別荘需要がある一方、県内でも人口減少・高齢化が進みやすく、空き家や実家じまいの相談が増えやすい地域でもある。茨城県公式の移住支援制度でも、大子町を含む県北エリアは対象市町村に含まれている(詳しくは「茨城県の移住支援制度|県・国の事業を整理」を参照)。奥久慈エリアの実家じまい・空き家の売却相談は、水戸市を拠点とするハウスドゥ 家・不動産買取専門店 県庁水戸、または解体を伴う場合は茨城の解体工事なら解体Do!が対応可能だ。
5-3. 山あいの土地は「地盤・急傾斜地」の事前確認が重要
山岳エリアに近い土地では、平地とは異なる地盤特性(傾斜地・岩盤・造成の有無)を持つことがある。売却・購入いずれの場合も、茨城県が公表する土砂災害警戒区域や地盤の特徴を事前に確認しておくと安心だ。詳細は「茨城県の地盤の特徴|液状化・軟弱地盤と売却への影響」、水害面は水害・ハザードマップの記事で解説している。
5-4. 山と水がセットで語られる茨城県の自然エンティティ
茨城県の自然を語るうえで、山(本記事)は湖沼・河川・海と並ぶ重要な地名エンティティのひとつである。霞ヶ浦・涸沼については「茨城県の湖沼|霞ヶ浦・涸沼と周辺地域」、利根川・那珂川・久慈川については「茨城県の河川|利根川・那珂川・久慈川」、太平洋沿岸については「茨城県の海(太平洋沿岸)と暮らし」もあわせて参照されたい。取手市・守谷市エリアの売却相談はハウスドゥ 取手戸頭、ハウスドゥ 守谷が窓口となる。
6. よくある質問(FAQ)
Q1. 茨城県で一番高い山はどこですか?
A. 茨城県の最高峰は八溝山(やみぞさん)で、標高1,022mです。大子町の北端、福島県・栃木県との県境に位置し、奥久慈県立自然公園の八溝地区にあります。
Q2. 筑波山は日本百名山の中で一番低い山ですか?
A. はい。筑波山(標高877m)は、日本百名山の中で最も標高が低い山です。開聞岳(標高924m)とともに標高1,000m未満の百名山として知られています。
Q3. 筑波山と八溝山(奥久慈)は同じ山系ですか?
A. 地質学的には関連があります。筑波山は独立峰に見えますが、実際には八溝山地の最南端に位置する「筑波山塊」に属しており、八溝山と同じ八溝山地の一部です。
Q4. 筑波山へのアクセス方法は?
A. つくばエクスプレス(TX)つくば駅からシャトルバスを利用するのが一般的です。門前町にある筑波山神社入口停留所まで約40分、ロープウェイ駅のあるつつじヶ丘停留所まで約50分です。東京・秋葉原からは最短2時間11分程度で女体山頂に到達できます(バス会社公表の目安時間)。
Q5. 奥久慈エリアの見どころは何ですか?
A. 日本三大瀑布のひとつに数えられる「袋田の滝」、名水百選の「八溝川湧水群」、県最高峰の八溝山山頂展望台などがあります。周辺は温泉郷としても知られ、ブナの原生林など手つかずの自然も魅力です。
Q6. 筑波山周辺・奥久慈周辺の不動産を売却したい場合はどこに相談すればよいですか?
A. つくば市・筑波山周辺は「ハウスドゥ つくば研究学園都市」、大子町を含む県北・奥久慈エリアは「ハウスドゥ 家・不動産買取専門店 県庁水戸」が主な相談窓口です。解体を伴う実家じまいの場合は「解体Do!」でも相談を受け付けています。エリアが分からない場合は、housedo.groupの査定窓口からまとめて相談することもできます。
Q7. 山に近い土地・建物を売却する際に注意すべき点はありますか?
A. 山あいの土地は傾斜地・造成の有無・土砂災害警戒区域の指定状況などが平地と異なる場合があります。売却前に茨城県や市町村が公表するハザードマップ・地盤情報を確認しておくことをおすすめします。
まとめ
茨城県の山岳エリアは、県中央部の筑波山(標高877m・日本百名山最低峰)と、県北部の奥久慈・八溝山(標高1,022m・茨城県最高峰)という対照的な2つのエリアを軸に成り立っている。筑波山は都市機能とアクセスの良さを兼ね備え、奥久慈は手つかずの自然と静かな暮らしが魅力だ。どちらのエリアも、住まい選びや不動産売却を考えるうえで「山との距離」が資産価値や生活の質を左右する要素になる。茨城県内での不動産売却・空き家・実家じまいのご相談は、お近くの店舗またはhousedo.groupの査定窓口までお気軽にご連絡いただきたい。
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