結論:供託所とは、お金や有価証券などを国の機関に預けることで、支払いなどの義務を果たしたことにできる「供託」の手続きを受け付ける役所のことです。法務局・地方法務局とその支局が供託所の役割を担っています。不動産の世界では、家賃や地代を貸主に受け取ってもらえないとき、土地の補償金の受取人がわからないとき、そして宅建業者が預ける営業保証金などで供託が使われます。この記事では、供託所の意味、不動産でよく出る供託金の種類、手続きの流れ、取戻し(還付)の考え方まで、茨城県の不動産売却を担当するハウスドゥがやさしくまとめました。
供託所とは?供託制度の基本をやさしく解説
供託所の意味と役割
供託所とは、金銭・有価証券・物品を一時的に預かり、法律で定められた目的を実現するための窓口です。金銭や有価証券の供託を受け付けるのは、法務局・地方法務局とその支局(および法務大臣が指定する出張所)です。民間の銀行や不動産会社が預かるのではなく、国の機関が中立の立場で預かるため、トラブルになりやすい金銭のやり取りを安全に処理できます。
供託金とは何か
供託金とは、供託所に預けたお金のことです。たとえば家賃を受け取ってもらえない借主が、いったん供託所に家賃を預けると、「家賃を払った」という扱いになり、滞納による契約解除などのリスクを避けられます。預けたお金は、後から正しい受取人が請求して受け取ります。
供託が必要になるのはどんな場面か
供託は、相手が受け取らない・受け取れない・誰が受取人かわからないなど、通常の支払いが成立しにくいときの「逃げ道」として用意された仕組みです。不動産では、賃貸借の家賃・地代、売買の代金や補償金、宅建業者の保証金などで出てきます。日常生活で使う機会は多くありませんが、知っておくと貸主・借主・地主の立場で慌てずに済みます。
供託の5つの種類|不動産と関係が深いのは?
供託は目的によって大きく5種類に分けられます。不動産の売却や賃貸に関係しやすいのは、弁済供託と担保(保証)供託です。
| 種類 | 目的 | 不動産での例 |
|---|---|---|
| 弁済供託 | 債務を支払ったことにする | 家賃・地代の受取拒否、受取人不明の補償金 |
| 担保(保証)供託 | 相手の損害に備えて預ける | 宅建業者の営業保証金、裁判の担保 |
| 執行供託 | 差押えなどの強制執行にともなう | 家賃債権が差し押さえられたとき |
| 保管供託 | 物品や有価証券の保管 | 不動産ではまれ |
| 没取供託 | 法律違反時に国が没収する | 選挙の供託金など(不動産とは無関係) |
弁済供託|もっとも身近な供託
弁済供託は、民法にもとづき、債権者が受け取りを拒んでいる、受け取れない、または誰が債権者かわからないといった場合に、債務者が供託所にお金を預けて債務を果たしたことにする制度です。不動産では賃貸借の家賃・地代でとくによく使われます。
担保(保証)供託|宅建業者の営業保証金など
担保供託は、将来発生するかもしれない損害に備えて、あらかじめお金を預けておく仕組みです。不動産会社(宅地建物取引業者)の営業保証金がその代表例で、後ほど詳しく説明します。
不動産で供託が使われる5つの場面
家賃・地代を貸主・地主が受け取ってくれないとき
賃料の値上げ交渉などで折り合いがつかず、貸主が通常の家賃の受け取りを拒むことがあります。そのまま放置すると「家賃の滞納」と主張されるおそれがあるため、借主は供託で支払いの意思と事実を残せます。契約の解除条件については賃貸借契約の解除とは|家賃滞納・無断転貸で使える解除事由と手続きの流れでも解説しています。
借地の地代を地主が受け取らないとき
借地権付きの建物では、地代の支払いが遅れると契約解除の理由になりかねません。地主が地代の受領を拒むときも、借地人は地代を供託して、滞納状態を避けられます。更新料や地代の考え方は借地権の更新料はいくら?相場・計算方法・払わないとどうなるかを参考にしてください。
賃料の増額・減額で争いがあるとき
賃料を上げたい・下げたいという話し合いがまとまらない間も、借主は「相当と考える額」を支払い続ける必要があります。貸主が受け取らなければ、その額を供託できます。のちに適正額が決まれば、不足分や返還分は精算されます。
土地の売買・収用などで受取人がわからないとき
相続で名義が整理されておらず、誰が権利者か確定できない、あるいは行方不明という場合、お金を払う側は「債権者不確知」を理由に供託することがあります。公共事業の土地収用などの補償金でも、同様の理由で供託が使われます。
宅建業者が営業保証金を預けるとき
不動産会社は、免許を受けたあと、営業保証金を供託するか、保証協会に加入する必要があります。これは売主・買主を守るための制度で、売却を依頼する側にとっても安心材料になります。
宅建業者の営業保証金と供託所|売却を依頼する人も知っておきたい

営業保証金の金額と供託先
宅地建物取引業者は、主たる事務所について1,000万円、従たる事務所(支店)については1か所につき500万円を、主たる事務所の最寄りの供託所に供託します。免許を受けただけでは営業を始められず、供託をして届出をすることで事業を始められる仕組みです。
保証協会に加入すると何が変わる?
多額の現金を預けるのは負担が大きいため、多くの不動産会社は保証協会に加入します。この場合、弁済業務保証金分担金として主たる事務所60万円、従たる事務所1か所30万円を協会に納め、協会が供託所に供託する流れになります。お客さまから見ると、加入していても、取引で損害を受けた場合に一定の範囲で弁済を受けられる点は変わりません。
お客さまが弁済を受けられる範囲と注意点
営業保証金や弁済業務保証金から弁済を受けられるのは、不動産会社との宅建業にかかわる取引で生じた債権が対象です。手続きは供託所(または保証協会)に対する請求になり、弁済の上限は供託されている金額に応じて決まります。あくまで最後のセーフティネットなので、日ごろから信頼できる会社を選ぶことが大切です。会社の免許や処分歴の調べ方は茨城県の宅建業者の調べ方|国交省検索と行政処分公表、仲介会社の選び方は不動産仲介業とは|仕組み・仲介手数料・免許・選び方で解説しています。
供託の手続きの流れ|供託書の書き方と必要なもの

供託までの5ステップ
弁済供託の一般的な流れは次のとおりです。①供託できる理由があるか確認する、②債務を履行すべき場所(債務履行地)の供託所を調べる、③供託書を作成する、④供託金を納める、⑤供託受領書(供託通知書)を保管し、必要に応じて相手に通知する、という順番です。供託所は管轄が決まっているため、管轄外の供託所には申請できません。
供託書の書き方と必要書類
供託書には、供託者の住所・氏名、供託の目的、金額、供託の原因となった事実、被供託者(受取人)などを記載します。供託の原因事実があいまいだと受理されないことがあるため、契約書や家賃の通知書、受領拒否の事実がわかる資料を手元にそろえておきましょう。窓口に事前相談しておくと、書き方の誤りを防げます。
オンラインで供託する方法
供託は、法務省の「登記・供託オンライン申請システム」からも手続きできます。窓口に行く時間が取れない人や、毎月繰り返し家賃を供託する人にとって便利な方法です。利用にはあらかじめ申請者情報の登録などが必要になるため、法務局の案内を確認してください。
供託にかかる費用と利息
供託そのものに手数料はかからないのが一般的ですが、供託金の払渡しを受けるときなどに、書類の取得費用が必要になる場合があります。預けたお金に付く利息は、現在はきわめて低い水準です。「増やす」目的ではなく、「支払いの事実を確実に残す」ための制度だと考えてください。
供託金の取戻しと還付|お金はいつ誰が受け取れる?
還付請求とは
還付とは、供託金を受け取る権利のある人(被供託者)が、供託所に請求してお金を受け取る手続きです。たとえば供託された家賃を、貸主が受け取る場合が該当します。受取人であることを示す資料が必要です。
取戻請求とは
取戻しとは、供託した本人が、供託の原因がなくなったときや、間違って供託したときなどに、預けたお金を返してもらう手続きです。たとえば貸主との話し合いがまとまり、通常の方法で支払えるようになったときに利用します。
請求しないままだとどうなる?時効に注意
供託金の払渡しを請求できる権利は、一定の期間が過ぎると時効で請求できなくなる場合があります。時効にかかった供託金は国庫に帰属します。長く放置せず、供託通知書や受領書を大切に保管し、早めに手続きを進めてください。
供託と不動産売却の関係|手付金・代金は供託するの?
売買代金や手付金は通常、供託しない
家や土地の売買では、売主と買主が合意して代金や手付金をやり取りするのが原則で、供託を使うことは通常ありません。手付解除の考え方は不動産売買契約の違約金とは?相場・手付解除との違い、手付金を守る仕組みは手付金等の保全措置とは?対象・1,000万円の基準・3つの方法でそれぞれ解説しています。
相続・名義の問題があるとき
売却したい不動産の名義人が亡くなっていて、相続登記が終わっていない場合は、まず登記の整理が必要です。登記の窓口は法務局で、供託所と同じ役所が担当しています。県内の窓口は相続登記義務化と茨城県の法務局窓口一覧をご覧ください。
迷ったら不動産会社や専門家に相談を
供託の可否は、契約内容や事実関係によって判断が分かれます。誤った供託は受理されなかったり、後で争いになったりするおそれがあるため、事前に供託所へ確認し、必要に応じて弁護士・司法書士・宅建士に相談してください。ハウスドゥ茨城の4店舗でも、売却や賃貸の悩みにあわせて専門家と連携してご案内しています。
供託所に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 供託所とは何ですか?
A. 金銭・有価証券・物品を預かり、供託の手続きを受け付ける国の窓口です。金銭や有価証券については、法務局・地方法務局とその支局が供託所の役割を担っています。
Q2. 不動産の供託金とは何ですか?
A. 不動産に関して供託所に預けたお金の総称です。家賃・地代の受取拒否のときに借主が預ける弁済供託金や、宅建業者が預ける営業保証金などがあります。
Q3. 供託所はどこにありますか?
A. 法務局・地方法務局とその支局の中にあります。供託は債務を履行すべき場所を管轄する供託所で行うため、事前に法務局へ管轄を確認すると確実です。
Q4. 家賃を貸主が受け取らないときは供託できますか?
A. 貸主が受領を拒んでいるなど、法律で定める事情があれば供託できます。ただし、事情の確認や供託書の書き方が必要なので、事前に供託所へ相談してください。
Q5. 宅建業者の営業保証金はいくらですか?
A. 主たる事務所は1,000万円、従たる事務所は1か所につき500万円です。保証協会に加入している場合は、分担金として主たる事務所60万円、従たる事務所30万円を納めます。
Q6. 供託金は返ってきますか?
A. 供託の原因が消えたときなどは、供託した本人が取戻しを請求できます。受取人がいる場合は、受取人が還付を請求します。いずれも請求しないまま長期間が過ぎると時効になる場合があります。
Q7. 供託の手数料や利息はどうなっていますか?
A. 供託そのものに手数料はかからないのが一般的です。預けたお金に付く利息は非常に低い水準で、運用目的で使う制度ではありません。
Q8. オンラインで供託できますか?
A. できます。法務省の登記・供託オンライン申請システムから申請できます。事前の登録や準備が必要なため、法務局の案内をご確認ください。
Q9. 売買代金や手付金も供託しますか?
A. 通常は供託しません。売主と買主が合意して直接やり取りするのが原則です。受取人が確定できないなど特別な事情がある場合に限られます。
まとめ|供託所は「支払いの事実」を守る国の窓口
供託所は、受け取ってもらえないお金や、受取人が確定できないお金を預けることで、支払う側の義務を守るための国の窓口です。不動産では、家賃・地代の受取拒否、補償金の受取人不明、宅建業者の営業保証金などで関係してきます。売却を考える際は、お付き合いする不動産会社が免許と保証協会の加入状況を明らかにしているかも確認しましょう。茨城県で不動産の売却・買取をご検討の方は、ハウスドゥ茨城の4店舗(つくば研究学園都市・県庁水戸・取手戸頭・守谷)グループへご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイヤル 0120-565-072 または 無料相談フォーム から承っています。
※本記事は一般的な情報です。供託の可否・手続き・金額は、事実関係や法改正により異なります。実際の手続きにあたっては、法務局(供託所)や弁護士・司法書士・宅地建物取引士などの専門家へご確認ください。
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