2024年4月1日から相続登記が義務化され、正当な理由なく期限内に手続きをしないと10万円以下の過料の対象になります。しかし実際に手続きをしようとすると、多くの方が最初につまずくのが「自分の実家はどの法務局の管轄なのか分からない」という点です。茨城県内には水戸地方法務局の本局のほか、日立・常陸太田・土浦・龍ケ崎・鹿嶋・下妻の6支局と、つくば・取手・筑西の3出張所があり、市町村によって申請先が異なります。この記事では、相続登記義務化の期限・過料の仕組みを整理したうえで、茨城県内44市町村がどの窓口の管轄になるかを一覧表でまとめ、自分で申請する場合の手順と、司法書士に依頼する場合の費用目安まで解説します。

目次
  1. 相続登記義務化とは|2024年4月1日施行の概要
    1. なぜ義務化されたのか|所有者不明土地問題
    2. 基本的義務と遺産分割成立時の追加的義務
    3. 2024年4月1日より前の相続も対象|経過措置は2027年3月31日まで
  2. 過料10万円はどんな場合に科されるのか
    1. 登記官による催告のプロセス
    2. 「正当な理由」として認められるケース
  3. 【一覧表】茨城県内の管轄法務局・支局・出張所
    1. 4店舗のエリアはどの窓口が管轄か
  4. 管轄の調べ方|表でわからない場合
  5. 相続登記の申請方法|自分でやる場合の6ステップ
    1. ステップ1:相続する不動産を確認する
    2. ステップ2:戸籍関係書類を収集する
    3. ステップ3:遺産分割協議書を作成する(遺言がない場合)
    4. ステップ4:登記申請書を作成する
    5. ステップ5:管轄法務局へ申請する
    6. ステップ6:登記完了を確認する
  6. 相続登記の必要書類一覧
  7. 費用の目安|登録免許税と司法書士報酬
    1. 登録免許税は固定資産評価額の0.4%
    2. 登録免許税の免税措置(2027年3月31日まで)
    3. 司法書士に依頼する場合の報酬相場
  8. 自分でやる?専門家に任せる?判断の目安
  9. 手続きを簡易にする「相続人申告登記」とは
  10. 相続登記を放置するとどうなるか|過料以外のリスク
  11. 茨城県内で相続した不動産の売却は4店舗へご相談ください
  12. よくある質問
    1. Q. 相続登記はどこの法務局でもできますか?
    2. Q. 実家の住所からどの法務局が管轄か分かりません。調べ方は?
    3. Q. 相続登記の義務化は2024年より前に相続した不動産にも適用されますか?
    4. Q. 相続登記をしないとすぐに10万円の過料が科されますか?
    5. Q. 相続人申告登記をすれば相続登記をしなくてもよいのですか?
    6. Q. 相続登記が終わっていない不動産は売却できますか?
    7. Q. 登録免許税が免除されるケースはありますか?

相続登記義務化とは|2024年4月1日施行の概要

相続登記の義務化は、令和6年(2024年)4月1日に施行された不動産登記法の改正によるものです。相続(遺言を含む)により不動産の所有権を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつその不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記の申請をすることが義務付けられました(不動産登記法第76条の2第1項)。正当な理由がないのにこの申請を怠ったときは、10万円以下の過料の適用対象となります(同法第164条第1項)。

なぜ義務化されたのか|所有者不明土地問題

相続登記がされないまま放置された不動産は、登記簿を見ても所有者が直ちに分からなかったり、所有者が判明してもその所在が不明で連絡がつかなかったりする「所有者不明土地」を生み出します。全国でこうした土地が占める割合は九州の広さに匹敵するともいわれ、公共事業や災害復旧の妨げ、土地の管理不全による周辺への悪影響など、さまざまな社会問題の原因になってきました。所有者不明土地が発生する原因の約3分の2は相続登記の未了によるものとされており、これに対応するために相続登記の申請が義務化されました。

基本的義務と遺産分割成立時の追加的義務

義務は2段階に分かれています。1つ目は前述の基本的義務で、相続の開始と不動産取得を知った日から3年以内に登記申請をするというものです。2つ目は、遺産分割が成立した場合の追加的義務で、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容を踏まえた所有権移転登記を申請することが義務付けられています(不動産登記法第76条の2第2項、第76条の3第4項等)。後述する相続人申告登記で果たせるのは基本的義務のみで、追加的義務はこの申告登記だけでは果たせない点に注意が必要です。

2024年4月1日より前の相続も対象|経過措置は2027年3月31日まで

相続登記義務化の施行日は2024年4月1日ですが、施行日より前に開始した相続によって不動産を取得した場合であっても、まだ相続登記をしていなければ義務化の対象になります。この場合の期限は、2027年(令和9年)3月31日まで(不動産を相続で取得したことを知った日が2024年4月以降の場合は、その日から3年以内)とされています。「何十年も前に亡くなった祖父母名義のままの実家がある」というケースも対象になるため、古い相続ほど早めの確認が必要です。

過料10万円はどんな場合に科されるのか

「期限を過ぎたら即座に10万円の過料」というわけではありません。実際の運用は次のような手順で進みます。

登記官による催告のプロセス

登記官は、相続登記の申請義務違反を職務上知ったとき、対象者に相当の期間を定めて登記申請をするよう「催告」を行います。この催告は、たとえば相続人が別の不動産について遺言や遺産分割協議の内容に基づく登記を申請した際に、その書類に「ほかにも相続する不動産がある」と記載されていた場合などが端緒になります。催告を受けたにもかかわらず、正当な理由なく期間内に申請をしなかった場合に、登記官が管轄の地方裁判所へ通知し、裁判所が過料の要否と金額を最終的に決定します。つまり、ある日突然過料の通知が届くのではなく、催告を無視し続けた場合に初めて現実のリスクになります。

「正当な理由」として認められるケース

法務省が示す「正当な理由」の例には、次のようなものがあります。

  • 相続人が極めて多数に上り、戸籍関係書類の収集や他の相続人の把握に多くの時間を要する場合
  • 遺言の有効性や遺産の範囲などが相続人間で争われ、相続不動産の帰属が明らかにならない場合
  • 相続登記の義務を負う者に重病その他これに準ずる事情がある場合
  • DV被害者等に準ずる者で、生命・心身への危害を避けるため避難を余儀なくされている場合
  • 経済的に困窮しており、登記申請の費用を負担する能力がない場合

これらに当てはまらない場合でも、個別の事情に応じて正当性が認められれば過料通知は行われません。「単に手続きが面倒」「仕事が忙しい」といった理由は正当な理由とは認められないため注意が必要です。

【一覧表】茨城県内の管轄法務局・支局・出張所

相続登記は、原則として不動産の所在地を管轄する法務局に申請します。茨城県は水戸地方法務局の管轄で、本局のほかに6支局・3出張所があり、市町村ごとに申請先が決まっています。以下は水戸地方法務局公式サイトの「登記管轄一覧」(2023年9月20日更新)に基づく不動産登記の管轄区域です。

庁名所在地電話番号管轄市町村(不動産登記)
水戸地方法務局 本局水戸市北見町1-1029-227-9922水戸市・那珂市・ひたちなか市・笠間市・東茨城郡茨城町・城里町・大洗町・那珂郡東海村
日立支局日立市弁天町2-13-150294-21-2253日立市・高萩市・北茨城市
常陸太田支局常陸太田市山下町1221-10294-73-0221常陸太田市・常陸大宮市・久慈郡大子町
土浦支局土浦市下高津1-12-9029-821-0792土浦市・石岡市・かすみがうら市・小美玉市・稲敷郡阿見町・美浦村
つくば出張所つくば市吾妻1-12-1029-851-8186つくば市
龍ケ崎支局龍ケ崎市29850297-62-0225龍ケ崎市・稲敷市・稲敷郡河内町・北相馬郡利根町
取手出張所取手市宮和田1784-10297-83-0057取手市・牛久市・守谷市・つくばみらい市
鹿嶋支局鹿嶋市宮下5-20-40299-83-6000鹿嶋市・潮来市・神栖市・行方市・鉾田市
下妻支局下妻市下妻乙1300-10296-43-3935古河市・下妻市・常総市・坂東市・結城郡八千代町・猿島郡境町・五霞町
筑西出張所筑西市丙116-160296-22-3495結城市・筑西市・桜川市

※電話番号は各庁の代表番号です。証明書交付専用の窓口番号が別に設けられている庁もあるため、詳細は水戸地方法務局公式サイトでご確認ください。また、笠間・ひたちなか・石岡・古河の各市役所内には「法務局証明サービスセンター」が設置されていますが、これらは登記事項証明書などの交付のみを扱う窓口で、登記の申請はできません。

茨城県 相続登記 管轄法務局 支局 出張所 一覧図

4店舗のエリアはどの窓口が管轄か

ハウスドゥの4店舗があるエリアの管轄は次のとおりです。つくば市(housedo.jp)はつくば出張所、水戸市(housedo mito)は水戸地方法務局本局、取手市・守谷市周辺(housedo.life/moriya-housedo.com)は取手出張所が窓口になります。

管轄の調べ方|表でわからない場合

上記の一覧表は主要な管轄区分ですが、実際の不動産が「大字・字」単位で細かく分かれているケースもあります。正確な管轄を確認したい場合は、法務局公式サイトの「管轄のご案内」ページで、地図または一覧から調べることができます。合併や区画変更により管轄が変わっていることもあるため、古い情報のまま自己判断せず、必ず最新の公式情報を確認してください。

相続登記の申請方法|自分でやる場合の6ステップ

相続登記は司法書士に依頼せず、相続人自身で申請することも可能です。一般的な流れは次のとおりです。

ステップ1:相続する不動産を確認する

固定資産税の納税通知書や名寄帳で、被相続人が所有していた不動産を確認します。令和8年2月2日に施行された所有不動産記録証明制度を使えば、特定の被相続人が登記簿上の所有者として記録されている不動産を法務局で一覧的に証明してもらうこともできます。

ステップ2:戸籍関係書類を収集する

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本一式、相続人全員の戸籍謄本、被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)、相続人全員の住民票を集めます。転籍を繰り返している場合は複数の市区町村役場から取り寄せる必要があり、この収集作業に数週間〜数か月かかることもあります。

ステップ3:遺産分割協議書を作成する(遺言がない場合)

遺言がない場合は、相続人全員で「誰がどの不動産を相続するか」を話し合う遺産分割協議を行い、合意内容をまとめた遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名・実印を押印します。

ステップ4:登記申請書を作成する

法務局公式サイトで公開されている様式や記載例を参考に、登記申請書を作成します。相続の形(遺言による相続・遺産分割による相続・法定相続分どおりの相続)によって記載内容が異なるため、該当するパターンの記載例を確認しながら進めます。

ステップ5:管轄法務局へ申請する

必要書類一式を、上記の一覧表で確認した管轄法務局・支局・出張所に提出します。申請時には登録免許税を収入印紙で納付します。申請方法は窓口持参のほか、郵送、オンライン申請(管轄外の法務局からでも可能)の3パターンがあります。

ステップ6:登記完了を確認する

申請から登記完了までは、法務局により異なりますが概ね1〜2週間程度が目安です。各法務局の公式サイトでは「登記完了予定日」が公開されており、水戸地方法務局でも確認できます。完了後は登記事項証明書を取得し、内容に誤りがないか確認しましょう。

相続登記の必要書類一覧

遺産分割協議による相続登記を前提にした、一般的な必要書類は次のとおりです。

  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本一式
  • 被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の住民票
  • 遺産分割協議書(相続人全員の実印を押印したもの)
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 対象不動産の固定資産評価証明書(登録免許税の計算に使用)
  • 登記申請書

遺言がある場合は遺産分割協議書は不要になりますが、代わりに遺言書(自筆証書遺言の場合は家庭裁判所の検認済証明書、または法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用していれば保管証明書)が必要です。

費用の目安|登録免許税と司法書士報酬

登録免許税は固定資産評価額の0.4%

相続登記にかかる登録免許税は、原則として不動産の固定資産評価額に0.4%を乗じた金額です。たとえば土地1,000万円・建物500万円(合計1,500万円)の不動産であれば、登録免許税は1,500万円×0.4%=6万円が目安になります。

登録免許税の免税措置(2027年3月31日まで)

相続登記を促進するため、次の2パターンについては登録免許税の免税措置が設けられています(免税期間は2027年3月31日まで)。

  • 相続により土地を取得した人が、相続登記をしないまま亡くなった場合の、その人への相続登記(数次相続の一次相続部分)
  • 不動産の価額が100万円以下の土地に係る相続登記

茨城県内には評価額が低い山林・農地・郊外の土地も多く、この免税措置に該当するケースは珍しくありません。該当するかどうかは登録免許税の計算段階で必ず確認しておきたいポイントです。

司法書士に依頼する場合の報酬相場

司法書士報酬は自由化されており事務所によって幅がありますが、一般的な相場は5万円〜15万円程度です。戸籍収集の代行や、相続人・不動産が多い、遠方の不動産があるといった事情があると、その分報酬は上がる傾向にあります。これに登録免許税と戸籍謄本等の実費(1通300円〜750円程度)を加えたものが総費用になります。

自分でやる?専門家に任せる?判断の目安

相続人が1〜2人で不動産も1件、遺言もあり内容に争いがないようなシンプルなケースであれば、自分で申請することも十分可能です。一方で、次のような場合は司法書士への依頼を検討したほうが、結果的に時間と手間を節約できることが多くなります。

  • 相続人が3人以上いる、または疎遠な親族がいる
  • 不動産が複数の市町村・複数の管轄にまたがっている
  • 数次相続(相続人がさらに亡くなっている)が発生している
  • 戸籍の収集に時間が取れない、遠方在住で平日の窓口対応が難しい
  • 売却を前提としており、早期に登記を完了させたい

手続きを簡易にする「相続人申告登記」とは

相続登記の申請義務化に伴い、相続人が簡易に義務を果たせるようにする制度として「相続人申告登記」が新設されました(不動産登記法第76条の3)。これは、自分が不動産の相続人の一人であることを法務局に申し出るだけで済む簡易な手続きで、この申出だけで相続登記の申請義務(基本的義務)を果たしたものとみなされます。遺産分割協議がまとまらず本来の相続登記がすぐにできない場合の「一時しのぎ」として活用できますが、前述のとおり遺産分割成立後の追加的義務までは果たせないため、協議がまとまり次第、あらためて相続登記の申請が必要になる点に注意してください。

相続登記を放置するとどうなるか|過料以外のリスク

相続登記を放置するリスクは過料だけではありません。名義が被相続人のままでは不動産を売却することができず、将来的に相続人がさらに増えて(数次相続)権利関係が複雑化し、いざ売却しようとしたときに戸籍集めや遺産分割協議に多大な時間がかかることがあります。空き家のまま放置すれば老朽化や近隣トラブルの原因にもなり、相続登記の完了は「売却できる状態を維持する」という意味でも重要な手続きです。

茨城県内で相続した不動産の売却は4店舗へご相談ください

相続登記が完了すれば、その不動産を売却することができるようになります。ハウスドゥは茨城県内に4店舗を展開しており、それぞれの担当エリアで相続不動産の売却相談を承っています。

「相続登記がまだ終わっていないが、先に売却の相談だけしたい」という段階でも構いません。登記が未了の状態から、必要な手続きの順番についてもあわせてご案内できます。相続登記や税金の詳しい内容は相続登記義務化で過料10万円は本当?罰則対象となる実例と回避策、相続不動産の売却全般については相続した家の売却完全ガイド|手続き・税金・注意点をプロが解説もあわせてご確認ください。

よくある質問

Q. 相続登記はどこの法務局でもできますか?

いいえ。相続登記の「申請」は、不動産の所在地を管轄する法務局でなければ受け付けられません。ただし「相談」については、管轄外の法務局でも手続き面の一般的な案内を受けられる場合があります。個別具体的な相談(遺産分割の内容など)は法務局では対応できないため、複雑なケースは司法書士への相談をおすすめします。

Q. 実家の住所からどの法務局が管轄か分かりません。調べ方は?

この記事内の一覧表で市町村から管轄を確認できます。より詳細な地番単位での確認が必要な場合は、法務局公式サイトの「管轄のご案内」ページで地図または一覧から調べられます。

Q. 相続登記の義務化は2024年より前に相続した不動産にも適用されますか?

適用されます。2024年4月1日より前に発生した相続で、まだ相続登記をしていない不動産も義務化の対象です。期限は2027年3月31日まで(不動産の取得を知った日が2024年4月以降の場合はその日から3年以内)とされています。

Q. 相続登記をしないとすぐに10万円の過料が科されますか?

いいえ。登記官からの「催告」を受けたにもかかわらず、正当な理由なく期間内に申請をしなかった場合に、初めて裁判所への通知・過料の検討対象になります。期限を過ぎた瞬間に自動的に過料が科されるわけではありませんが、放置してよい理由にはなりません。

Q. 相続人申告登記をすれば相続登記をしなくてもよいのですか?

相続人申告登記は基本的義務を簡易に果たすための制度で、あくまで一時的な措置です。遺産分割が成立した場合は、その内容を踏まえた正式な相続登記をあらためて3年以内に申請する義務があるため、最終的な登記手続きが不要になるわけではありません。

Q. 相続登記が終わっていない不動産は売却できますか?

被相続人名義のままでは売却できません。売却するには、まず相続登記を完了させて相続人名義(または売却先への直接の所有権移転登記)にする必要があります。売却を予定している場合は、登記完了前の段階からご相談いただくことで、手続きと売却活動を並行して進めやすくなります。

Q. 登録免許税が免除されるケースはありますか?

2027年3月31日までの措置として、相続人が相続登記をしないまま亡くなった場合の登記(数次相続の一次相続分)と、不動産の価額が100万円以下の土地に係る相続登記については、登録免許税が免税となります。該当するかどうかは法務局や司法書士に確認することをおすすめします。