結論:保全措置(手付金等の保全措置)とは、不動産会社などの宅建業者が売主の売買で、買主が先に払った手付金・中間金を守るために、売主側があらかじめ講じなければならない法律上の対策のことです。売主が倒産しても、買主は支払ったお金が戻らないという事態を避けられます。未完成物件なら代金の5%超または1,000万円超、完成物件なら代金の10%超または1,000万円超の手付金等を受け取るときに必要で、方法は「保証」「保証保険」「保管」の3つです。この記事では、保全措置の意味・対象・限度額・方法・講じない場合のリスクまで、はじめての方にもわかるように整理します。

目次
  1. 保全措置とは?手付金等を守る宅建業法のしくみ
    1. 「手付金等」には中間金も含まれる
    2. なぜ保全措置が必要なのか
  2. 手付金等の保全措置が必要になる条件(対象・限度額)
    1. 対象になるのは「宅建業者が売主・買主が宅建業者でない」売買
    2. 未完成物件と完成物件で基準が異なる
    3. 「手付金保全措置 1,000万円」の意味に注意
    4. 保全措置が不要になるそのほかのケース
  3. 保全措置の3つの方法|保証・保証保険・保管
    1. 方法1:銀行などによる「保証」
    2. 方法2:保険会社による「保証保険」
    3. 方法3:指定保管機関による「保管」
  4. 契約前に知っておきたい宅建業法の手付金ルール
    1. 手付金は代金の20%まで
    2. 契約前に確認する書類と説明
  5. 保全措置を講じない場合はどうなる?
    1. 宅建業者は手付金等を受け取れない
    2. 買主は支払いを拒める
  6. 「還付充当金」とは?保全措置とは別の制度
  7. 売却を考える方への影響|売主が個人・買取の場合
    1. 個人が売主のときは保全措置の義務はない
    2. 不動産会社への買取では対象外になる
  8. 買主が契約前にチェックしたい5つのポイント
  9. 「瑕疵担保」の保険とは別物です
  10. 取引の流れの一覧|売買契約から引渡しまで、保全措置はいつ関わる?
    1. 土地付き建売・新築の購入でも同じ考え方
    2. 売主の不動産会社に確認したい質問(概要)
  11. 茨城県の不動産売却・買取のご相談は、ハウスドゥへ
  12. よくある質問(FAQ)
    1. Q1. 手付金等の保全措置とは何ですか?
    2. Q2. 手付金の保全措置は1,000万円以下なら不要ですか?
    3. Q3. 個人が売主の中古住宅売買でも保全措置は必要ですか?
    4. Q4. 保全措置を講じてもらえないときは、手付金を払わなくてよいですか?
    5. Q5. 保全措置の「保管」は新築の建築中の物件でも使えますか?
    6. Q6. 還付充当金とは、手付金の保全措置と関係がありますか?

保全措置とは?手付金等を守る宅建業法のしくみ

不動産の売買では、契約のときに「手付金」、建築中の新築などでは工事の途中で「中間金」を支払うことがあります。引き渡しの前に大きなお金を渡すため、もし売主が倒産したり、建物が完成しなかったりすると、買主は支払ったお金を取り戻せないおそれがあります。そこで宅建業法(41条・41条の2)は、宅建業者が売主となる売買について、手付金等を受け取る前に「保全措置」を講じることを義務づけています。

「手付金等」には中間金も含まれる

保全措置の対象になる「手付金等」とは、契約を結んだ日から物件の引き渡しまでの間に、代金に充てるものとして買主から売主へ支払われるお金のことです。名前が「手付金」「内金」「中間金」のどれであっても、実質的に代金へ充当されるものは対象になります。ただし、引き渡し後の残代金や、契約前に預ける性質の異なるお金とは区別して考えます。

なぜ保全措置が必要なのか

理由は、買主が個人であることが多く、売主である宅建業者の経営状態を契約前に見抜くのが難しいためです。とくに建築中の新築マンション・新築戸建ては、完成前に代金の一部を払うため、売主が途中で倒れた場合の損害が大きくなりがちです。保全措置は、そうしたリスクを制度として小さくするための「買主の保険」にあたります。

手付金等の保全措置が必要になる条件(対象・限度額)

対象になるのは「宅建業者が売主・買主が宅建業者でない」売買

宅建業法の保全措置は、売主が宅建業者で、買主が宅建業者以外(個人など)の売買に適用されます。つまり、個人どうしの売買や、買主が宅建業者である不動産買取では、この制度の対象になりません。売却を検討している方は、「自分が売主になる場合」には義務が生じない点を押さえておきましょう。

未完成物件と完成物件で基準が異なる

手付金等の額が一定の範囲内であれば、保全措置は不要です。基準は物件が未完成か完成済みかで異なり、次のとおりです。

手付金等の保全措置が必要になる限度額(未完成5%・完成10%・1,000万円)の早見表|茨城県の不動産売買 ハウスドゥ
保全措置が不要な範囲の早見表(売主が宅建業者・買主が個人の場合)
物件の種類 保全措置が不要な範囲 目安の例(代金3,000万円)
未完成物件(建築中・造成中など) 代金の5%以下、かつ1,000万円以下 150万円まで
完成物件(工事完了済み) 代金の10%以下、かつ1,000万円以下 300万円まで

「手付金保全措置 1,000万円」の意味に注意

「1,000万円以下なら不要」と覚えている方が多いのですが、これは正確ではありません。割合(5%または10%)と1,000万円の両方を満たしてはじめて不要になります。たとえば代金が1億円の完成物件の場合、10%は1,000万円なので、1,000万円までなら保全措置は不要です。一方、代金が2億円なら10%は2,000万円ですが、1,000万円を超えるため、1,000万円超の部分には保全措置が必要になります。

保全措置が不要になるそのほかのケース

買主への所有権移転登記がされたとき、または買主が所有権の登記をしたときは、買主の権利がすでに守られているため、保全措置は不要です。なお、手付金等を複数回に分けて受け取る場合は、受け取る額の合計で判断します。「最初の手付金は基準内だったが、中間金で超えた」場合、超える時点で措置が必要になります。

保全措置の3つの方法|保証・保証保険・保管

手付金保全措置の3つの方法(保証・保証保険・保管)の違い|茨城県の不動産売買 ハウスドゥ
手付金等の保全措置は「保証」「保証保険」「保管」の3種類

方法1:銀行などによる「保証」

売主が銀行・信託会社などと保証委託契約を結び、売主が手付金等を返せなくなった場合に、金融機関が代わりに買主へ返還する方法です。未完成物件・完成物件のどちらでも使えます。買主には、保証の内容を記した保証書が交付されるのが一般的です。

方法2:保険会社による「保証保険」

売主が保険会社と保証保険契約を結び、万一のときに保険金から買主へ返還される方法です。こちらも未完成・完成のどちらの物件でも利用できます。保険証券の内容(保険期間・保険金額)は、手付金等を支払う前に確認しておきたいポイントです。

方法3:指定保管機関による「保管」

国土交通大臣の指定を受けた指定保管機関が、手付金等を預かる方法です。手付金等寄託契約を結んで管理され、売主が引き渡し前に倒産しても、預けたお金が守られます。この方法は完成物件の売買でのみ使え、建築中の未完成物件では選べません。

契約前に知っておきたい宅建業法の手付金ルール

手付金は代金の20%まで

宅建業法39条では、売主が宅建業者の場合、受け取れる手付の額は代金の20%までと決められています。たとえ買主が「もっと払いたい」と言っても、これを超える手付は受け取れません。保全措置は「手付金の上限」とは別のルールで、上限内であっても、基準を超える額には保全措置が必要になる点に注意しましょう。

契約前に確認する書類と説明

宅建業法では、契約前に重要事項説明書を交付して説明することが義務づけられており、手付金等の保全措置を講じるかどうか、講じる場合の方法も説明の対象です。契約日が決まったら、重要事項説明書の「手付金等の保全措置」の欄を事前に読んでおくと、安心して契約に進めます。手付解除や違約金の考え方は、不動産売買契約の違約金とはで詳しく解説しています。

保全措置を講じない場合はどうなる?

宅建業者は手付金等を受け取れない

基準を超える手付金等を受け取るには、事前に保全措置を講じることが必要です。講じないまま受領することは宅建業法に反し、監督処分(指示や業務停止など)の対象となるおそれがあります。

買主は支払いを拒める

保全措置が講じられていない場合、買主は、措置が講じられるまで手付金等の支払いを拒むことができるとされています。「手付金保全措置を講じない」と書かれた契約書や、保全措置について説明がない場合は、そのまま支払わず、売主の宅建業者へ確認してから進めてください。

「還付充当金」とは?保全措置とは別の制度

検索では「還付充当金とは」という言葉もよく一緒に調べられていますが、これは手付金等の保全措置とは別の制度です。宅建業者は、保証協会に加入して弁済業務保証金分担金を納め、取引でトラブルが起きたときの被害者への弁済に備えます。保証協会が会員業者に代わって弁済した場合、会員はその額に相当する金額を「還付充当金」として保証協会へ納めます。納付しないと会員の地位を失うことがあります。つまり、保全措置は「手付金等そのものを守る制度」、還付充当金は「保証協会の弁済業務のための制度」と整理すると、混同せずに済みます。

売却を考える方への影響|売主が個人・買取の場合

個人が売主のときは保全措置の義務はない

ご自宅を個人として売却する場合、この制度の義務は売主側にありません。ただし、買主が手付金を支払うときの不安を和らげるために、契約書で手付金の扱い(受け取る時期・額・引き渡しとの関係)を丁寧に定めておくと、取引がスムーズに進みます。

不動産会社への買取では対象外になる

不動産会社に直接買い取ってもらう場合は、買主が宅建業者となるため、宅建業法の保全措置の対象にはなりません。その代わり、仲介に比べて、買主探しや買主のローン審査に左右されにくく、契約後の白紙解約のリスクを抑えやすい特徴があります。仲介と買取の違いは不動産買取と仲介の8つの違い、売買全体の流れは不動産の売買とは?仲介と買取の違い・流れ・費用や税金で確認できます。

買主が契約前にチェックしたい5つのポイント

  • 売主が宅建業者で、物件が完成済みか未完成かを確認する
  • 支払う手付金等が、代金の5%(未完成)または10%(完成)と1,000万円のどちらかを超えていないかを計算する
  • 超える場合は、保証・保証保険・保管のどの方法かを重要事項説明書で確認する
  • 保証書や保険証券を、お金を支払う前に受け取る
  • 保全措置の期間が、物件の引き渡し(または登記)までカバーしているかを確認する

契約書の約束を取り交わす前に、買付証明書の意味も押さえておくと安心です。くわしくは買付証明書とはをご覧ください。

「瑕疵担保」の保険とは別物です

新築住宅には、引き渡し後の欠陥に備える住宅瑕疵担保責任保険(または供託)もあり、こちらは手付金等の保全措置とは別の制度です。保全措置は「引き渡し前に払ったお金を守る」もの、瑕疵担保の保険は「引き渡し後の不具合に備える」ものと区別して覚えましょう。契約不適合責任の考え方は瑕疵とは?契約不適合責任・瑕疵担保責任との違いでわかりやすく説明しています。

取引の流れの一覧|売買契約から引渡しまで、保全措置はいつ関わる?

宅地建物取引業者(不動産会社)が売主となる土地や建物の購入では、売買契約から引渡しまでの間に、手付金・中間金といった金銭を数回に分けて支払う場面があります。売買代金の支払いタイミングを一覧にすると、保全措置が関わる場面がつかみやすくなります。

時期 支払う金銭 保全措置との関係
売買契約を結ぶとき 手付金 受け取る前に、基準を超える額であれば保全措置が必要
工事・造成の途中(未完成物件) 中間金 手付金等の合計額で判断し、基準を超えるなら措置が必要
引渡し・登記のとき 残代金 引渡しと同時に支払う残代金は、通常は手付金等に含まれない

土地付き建売・新築の購入でも同じ考え方

土地付きの新築建売住宅や、建築中の新築マンションの購入でも、売主が宅地建物取引業者で買主が個人であれば、同じルールが当てはまります。購入する物件が土地だけの場合も、売主が不動産会社で手付金等を受け取るときは、保全措置の要否を確認しておきましょう。

売主の不動産会社に確認したい質問(概要)

契約の時には、次の質問を売主の会社へ投げかけておくと、保全措置の内容を具体的に確認できます。

  • 今回の手付金等に、保全措置を講じるのか(講じない場合はその理由)
  • 講じる場合、保証・保証保険・保管のどの方法か、保証会社・保険会社・保管機関の名称はどこか
  • 預けた金銭は、どのタイミングまで守られるのか

茨城県の不動産売却・買取のご相談は、ハウスドゥへ

ハウスドゥは、取手戸頭・守谷・つくば研究学園都市・県庁水戸の4店舗で、茨城県内の不動産売却・買取のご相談をお受けしています。「契約前の手付金の扱いが不安」「仲介と買取のどちらが合うか知りたい」といったお悩みにも、状況に合わせてご提案します。

お電話:0120-565-072(無料相談) ページ下部のフォームから査定・相談する

よくある質問(FAQ)

Q1. 手付金等の保全措置とは何ですか?

A. 売主の宅建業者が倒産するなどして物件を引き渡せなくなったとき、買主が先に支払った手付金や中間金を失わないようにするための法律上の仕組みです。銀行などの保証、保証保険、指定保管機関による保管のいずれかで、お金を守ります。

Q2. 手付金の保全措置は1,000万円以下なら不要ですか?

A. 「1,000万円以下であれば必ず不要」というわけではありません。未完成物件は代金の5%以下かつ1,000万円以下、完成物件は代金の10%以下かつ1,000万円以下の両方を満たす場合に不要です。どちらか一方でも超えると、保全措置が必要になります。

Q3. 個人が売主の中古住宅売買でも保全措置は必要ですか?

A. 宅建業法の保全措置は、売主が宅建業者で、買主が宅建業者でない場合のルールです。個人どうしの売買や、買主が宅建業者である買取では、この制度の対象外です。

Q4. 保全措置を講じてもらえないときは、手付金を払わなくてよいですか?

A. 売主の宅建業者が保全措置を講じないまま手付金等を請求した場合、買主は保全措置が講じられるまで支払いを拒むことができるとされています。支払う前に、契約書・重要事項説明書で保全措置の方法を確認してください。

Q5. 保全措置の「保管」は新築の建築中の物件でも使えますか?

A. いいえ。指定保管機関による保管は、完成済み物件の売買でのみ使える方法です。建築中などの未完成物件では、保証または保証保険を使います。

Q6. 還付充当金とは、手付金の保全措置と関係がありますか?

A. 別の制度です。還付充当金は、宅建業者が加入する保証協会の弁済業務保証金制度に出てくる言葉で、保証協会が会員の業者に代わって弁済した場合に、会員がその額を保証協会へ納める仕組みを指します。手付金等の保全措置とは目的が異なります。

※本記事は一般的な情報です。手付金等の保全措置の要否・限度額・方法は、物件の種類や契約内容によって異なります。実際のお取引では、重要事項説明書・契約書の内容をご確認のうえ、必要に応じて宅地建物取引士や弁護士などの専門家へご相談ください。

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