注文住宅を建てるとき、見積書の中に「水道加入金」または「水道利用加入金」という数万円から数十万円の項目を見つけて驚いた経験はないだろうか。この費用は水道法ではなく各市町村の給水条例で定められており、同じ茨城県内でも自治体によって金額がまったく違う。つくば市の標準的な13ミリメートル口径では実質2万2,000円だが、守谷市では13ミリメートルの新規受付そのものが終了しており、最低でも20ミリメートル・22万円からのスタートになる。本記事では茨城県内の主要市町村の水道加入金を一次資料で比較し、なぜ差がつくのか、そして不動産の売買・新築とどう関わるのかを整理する。
茨城県の水道加入金とは何か
水道加入金とは、水道を新しく利用する人や、既存の給水装置のメーター口径を大きくする人が、水道施設の整備・拡充費用の一部として市町村の水道事業者に支払う費用のことである。道路に埋まっている配水管から敷地内へ水を引き込む「給水装置」を新設する際に、その工事費とは別に発生する。
加入金・分担金・負担金…呼び方も金額も市町村で違う
同じ制度でも自治体によって呼び方が異なる。つくば市・水戸市は「加入金」、守谷市は「加入分担金」、市町村によっては「負担金」と呼ぶ例もある。根拠となる条例も市町村ごとの給水条例であり、全国一律の基準は存在しない。このため同じ茨城県内、しかも隣接する市町村同士でも金額が数倍違うということが実際に起きる。
いつ・誰が払うのか
加入金が発生するのは、給水装置を新設するとき(=新築で新たに水道を引き込むとき)と、既存のメーター口径を大きくする改造工事を行うときである。工事を発注する施主が指定給水装置工事事業者を通じて市町村(または水道企業団)へ納付する仕組みで、工事費・設計審査手数料・完成検査手数料とあわせて請求されることが多い。逆に言えば、既存の給水装置をそのまま使い続ける限り、原則として加入金は発生しない。
【比較】茨城県内の水道加入金・市町村別データ
茨城県内で実際に公開されている加入金額を、店舗4エリアを中心に一次資料から確認した。金額はいずれも消費税込みの表示額である。

つくば市の水道加入金
つくば市公式サイト「水道加入金」ページ(更新日2025年3月27日)によれば、令和3年4月1日以降の申請から次の金額が適用されている。つくば市は水道普及率の向上を目的に、新規加入者・増径者を対象に一律1万1,000円(税込)を減免する制度を設けている点が特徴である。
| メーター口径 | 加入金(税込) | 減免後の納付額 |
|---|---|---|
| 13ミリメートル | 33,000円 | 22,000円 |
| 20ミリメートル | 88,000円 | 77,000円 |
| 25ミリメートル | 154,000円 | 143,000円 |
| 30ミリメートル | 324,500円 | 313,500円 |
| 40ミリメートル | 473,000円 | 462,000円 |
| 50ミリメートル | 858,000円 | 847,000円 |
増径の場合は新旧口径の差額を支払う。また令和7年4月からは、井戸水から上水道へ切り替える人向けに減免額を上乗せする「井戸切替え接続支援制度」も始まっている。
水戸市の水道加入金
水戸市上下水道局「水道工事の申込・加入金等について」(更新日2022年6月13日)によれば、水戸市には減免制度の記載がなく、以下の金額がそのまま加入金となる。つくば市と比較すると、13ミリメートルで見て水戸市はつくば市の減免後金額のおよそ1.9倍にあたる。
| メーター口径 | 加入金の額(税込) |
|---|---|
| 13ミリメートル | 41,800円 |
| 20ミリメートル | 114,400円 |
| 25ミリメートル | 187,000円 |
| 40ミリメートル | 550,000円 |
| 50ミリメートル | 858,000円 |
| 75ミリメートル | 2,090,000円 |
| 100ミリメートル | 3,520,000円 |
水戸市では口径を小さくする改造をしても差額の返還は行われない。新築時にどの口径にするかは、将来の増改築や用途変更まで見据えて指定給水装置工事事業者と相談しておく必要がある。
守谷市の水道加入金(13ミリの新規受付なしという特徴)
守谷市公式サイト「水道加入分担金」(更新日令和8年4月1日)によれば、守谷市では現在、メーター口径13ミリメートルでの新規受付を行っていない。つまり守谷市で新築する場合、最初から20ミリメートル以上の加入分担金を負担することになり、初期費用の面ではつくば市・水戸市よりも重くなる。
| 水道メーター口径 | 金額(税込) |
|---|---|
| 20ミリメートル | 220,000円 |
| 25ミリメートル | 495,000円 |
| 30ミリメートル | 660,000円 |
| 40ミリメートル | 1,210,000円 |
| 50ミリメートル以上 | 別途協議による |
守谷市も新規加入者・増径者向けの減免制度(茨城県企業局の水道加入促進事業に係る減免)を設けているが、13ミリメートルという最も安価な選択肢自体がない点は、つくばエクスプレス沿線で新築を検討する人が見落としやすいポイントである。
取手市・龍ケ崎市・牛久市エリア(茨城県南水道企業団)
取手市(一部地域を除く)の上水道は、取手市が直接運営するのではなく「茨城県南水道企業団」(龍ケ崎市長山、電話0297-66-5131)という一部事務組合が担っている。取手市公式サイト「上水道の供給」(更新日2025年11月20日)が明記するとおり、給水装置の新設・増設・改造の申請はすべて同企業団の指定水道工事店を通じて行う。企業団は取手市のほか龍ケ崎市・牛久市・利根町の給水区域もあわせて担当しており、単独の市町村ごとに水道事業を持つより広い区域で費用を分け合う「広域化」の先行事例にあたる。加入金は平成19年4月1日から口径別の加入金制度に統一されているが、具体的な金額表は同企業団への直接確認が必要で、本記事の一次資料の範囲では確認できなかった。取手市・龍ケ崎市・牛久市で新築を検討する場合は、企業団(電話0297-66-5131)または指定工事店へ見積り段階で必ず確認することをおすすめする。

古河市など県西エリアの状況
古河市公式サイトで確認できるのは基本料金表(メーター口径別、13ミリメートルで月額605円など)であり、新設時の加入金にあたる情報は本記事の一次資料の範囲では確認できなかった。古河市に限らず、水道事業のホームページは月々の使用料金表は目立つ場所に掲載されていても、加入金・分担金の一覧表は工事担当課への問い合わせページの奥にあることが多い。市町村を問わず、新築の資金計画を立てる際は「基本料金」と「加入金(初回一時金)」を混同しないよう注意したい。
なぜここまで金額差がつくのか
茨城県内だけでこれほど加入金に差が出るのには、水道事業という制度そのものの仕組みが関係している。
市町村ごとに独立採算という水道事業の仕組み
水道事業は水道法に基づき市町村(または一部事務組合・企業団)が経営する独立採算の公営企業である。国からの一律の補助で運営されているわけではなく、水道料金と加入金という「利用者からの収入」で施設の建設費・更新費をまかなうのが原則になっている。そのため、給水人口や地形、老朽管の更新需要が違えば、必要な加入金の水準も市町村ごとに変わってくる。
給水人口密度が原価を左右する
一般に、人口が密集しているエリアほど、同じ延長の配水管でより多くの利用者に給水でき、1件あたりの整備コストは下がりやすい。反対に、山間部や集落が点在するエリアでは、1件の給水のために長い距離の配管が必要になり、原価が上がりやすい。つくば市・水戸市・守谷市はいずれも人口集積が進んだ市街地を抱えるが、それでも金額に差があるのは、過去に整備した施設の老朽化の度合いや、今後の更新投資計画の違いが反映されているためと考えられる。
広域化・企業団化という先行事例
人口減少により水道事業の収入基盤が細る中、総務省・厚生労働省(現在は国土交通省・環境省に事業移管)は市町村を超えた水道事業の広域化を推進している。茨城県南水道企業団のように、取手市・龍ケ崎市・牛久市・利根町が一つの組合で水道事業を運営する形は、まさにこの広域化の先行事例にあたる。今後、単独の市町村が個別に水道事業を維持することが難しくなれば、茨城県内の他エリアでも同様の広域統合が進む可能性がある。
新築を建てる人が必ず直面する費用
水道加入金は、土地代・建築費・登記費用と違って見積書の一項目に埋もれがちだが、口径次第で数万円から百万円単位まで幅があるため、資金計画の初期段階で必ず確認しておきたい費用である。
井戸から上水道への切替えでも発生することがある
茨城県は都市部を離れると今でも井戸水を利用する住宅が残っている。井戸水から上水道へ切り替える場合も「給水装置の新設」にあたるため、通常の新築と同じく加入金が発生する。つくば市のように切替え世帯向けの追加減免を設けている自治体もあるが、金額そのものが免除されるわけではない点に注意したい。
メーター口径は建物の規模で決まる
一般的な戸建て住宅であれば13〜20ミリメートル、二世帯住宅や店舗併用住宅では20〜25ミリメートル以上を選ぶケースが多い。ただし守谷市のように13ミリメートルの新規受付自体がない自治体もあるため、「一般的な戸建てだから13ミリメートルで安く済むはず」という思い込みは禁物である。工務店・ハウスメーカーの見積りに加入金の項目と口径が明記されているか、契約前に必ず確認したい。
不動産売買と水道加入金の関係
水道加入金は新築時の費用というイメージが強いが、不動産の売買・相続・解体の場面でも関係してくることがある。
中古住宅は基本的に加入金が発生しない
中古住宅を購入する場合、既存の給水装置(水道メーター)をそのまま引き継いで使用する限り、買主が新たに加入金を負担することは基本的にない。加入金はあくまで「給水装置を新設・増径するとき」に発生する費用であり、所有者が変わるだけの中古売買では給水契約の名義変更(水道の使用開始手続き)を行えばよい。これは新築と比較したときの中古住宅の隠れたメリットの一つといえる。
増改築でメーター口径を上げると差額が必要
中古住宅を購入したあとにリフォーム・増築を行い、給湯設備の増設などでメーターの口径を大きくする場合は、新旧口径の差額分の加入金(または分担金)が発生する。二世帯リフォームや店舗併用への用途変更を検討している場合は、事前に各市町村・企業団へ確認しておくと資金計画のずれを防げる。
空き家を解体して新築する場合の注意点
相続した空き家を解体し、更地に新築を建て直すケースでは、以前使っていた給水装置をそのまま使えるか、新設扱いになるかで加入金の有無が変わる。長期間水道を休止していた場合や、老朽化した給水管を引き直す場合は、指定工事事業者による現地確認のうえで「新設」と判定されることがある。解体を検討する段階から、解体業者だけでなく水道工事事業者にも早めに相談しておくと、着工直前になって想定外の加入金が発生する事態を避けやすい。
茨城4エリアで家を建てる・買うときのチェックポイント
ハウスドゥでは茨城県内につくば市・水戸市・取手市・守谷市の4店舗を展開している。エリアごとの水道加入金の傾向をふまえ、売却・購入それぞれの相談先を整理する。
つくば市エリアのチェックポイント
つくば市は13ミリメートルの新規受付があり、減免制度により実質2万2,000円からと、比較的加入金の負担が軽いエリアである。研究学園・みどりの・つくば駅周辺など新築需要が旺盛なエリアでは、加入金よりも土地の造成状況や既存の給水管の有無を確認することが優先課題になる。つくば市の売却・買取相談はハウスドゥ 家・不動産買取専門店 筑波研究学園都市へ。
水戸市エリアのチェックポイント
水戸市は減免制度がなく、つくば市より加入金の負担が重くなりやすい。中古住宅を購入して既存の給水装置をそのまま使う選択肢は、新築より初期費用を抑えられる場合がある。水戸市の売却・買取相談はハウスドゥ 家・不動産買取専門店 県庁水戸へ。
守谷市・取手市エリアのチェックポイント
守谷市は13ミリメートルの新規受付がなく、最低20ミリメートル・22万円からという点を資金計画の初期段階で織り込む必要がある。取手市は茨城県南水道企業団が担当するため、加入金の詳細は企業団への個別確認が欠かせない。守谷市の売却・買取相談はハウスドゥ 守谷、取手市(戸頭エリアを含む)はハウスドゥ 取手戸頭へ。相続した空き家の解体をあわせて検討している場合は解体Do!にもご相談いただける。
よくある質問(FAQ)
Q. 水道加入金は誰が払うのですか?
A. 給水装置の新設・増径工事を発注する施主(建築主)が、指定給水装置工事事業者を通じて市町村または水道企業団へ納付します。工事費・設計審査手数料とあわせて請求されるのが一般的です。
Q. 中古住宅を買うときも水道加入金は必要ですか?
A. 既存の給水装置(水道メーター)をそのまま使用する限り、原則として新たな加入金は発生しません。名義変更(水道の使用開始手続き)のみで足りるケースがほとんどです。ただし増改築でメーターの口径を大きくする場合は、口径差額分の負担が必要になります。
Q. 加入金を払わずに水道を使う方法はありますか?
A. 既に給水装置が設置されている建物を、口径を変えずにそのまま使う以外の方法で加入金を回避することはできません。井戸水のみで生活し上水道を利用しない選択肢もありますが、飲用に適した水質管理や災害時の断水リスクなどを考慮した上での判断になります。
Q. 茨城県で一番水道加入金が安いのはどこですか?
A. 本記事で確認できた範囲では、つくば市が減免制度により13ミリメートルで2万2,000円と最も低い水準でした。ただし全44市町村の一覧を確認したものではなく、市町村ごとの減免制度の有無や改定時期によって順位は変わり得るため、最終的には各市町村・水道企業団への確認をおすすめします。
Q. 加入金はいつ、どこに払えばよいですか?
A. 給水装置工事の申込時に、依頼した指定給水装置工事事業者を通じて市町村(または水道企業団)へ納付します。個人が窓口へ直接持参するのではなく、工事契約に含めて精算されるのが一般的な流れです。
Q. 水道加入金は将来値上がりしますか?
A. 各市町村の水道事業の経営状況によります。人口減少により水道料金収入が減る一方で老朽管の更新費用は増える傾向にあるため、将来的に加入金や水道料金が改定される可能性はあります。実際に守谷市は令和8年4月に加入分担金の内容を更新しており、最新の金額は必ず契約前に各自治体の公式サイトで確認してください。
まとめ
水道加入金は、同じ茨城県内でもつくば市・水戸市・守谷市・取手市(茨城県南水道企業団エリア)でそれぞれ制度も金額も異なり、新築の資金計画に数十万円単位の差を生む要素である。中古住宅であれば既存の給水装置を引き継ぐ限り加入金が発生しないという点は、新築との比較で見落とされがちな中古のメリットでもある。関連して茨城県の都市計画税がかかる地域や茨城県の固定資産税の実情、茨城県の土地利用もあわせて確認いただくと、新築・購入・売却それぞれの資金計画がより具体的になる。水道加入金を含めた新築・中古の総費用比較や、茨城県内での売却・買取のご相談は、下記よりお気軽にお問い合わせいただきたい。
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