「地方に移住したいけれど、ネット環境が心配」——テレワークが定着した今、住まい選びの条件に通信インフラの充実度を挙げる人が増えています。茨城県は東京圏に隣接しながら、実は光回線のインフラ整備がほぼ全国トップクラスに達している地域です。本記事では、茨城県内の光回線・通信インフラの整備状況と、県が用意するテレワーク移住支援制度を一次情報から整理し、住まい選びにどう活かせるかを解説します。
茨城県の光回線・通信インフラの整備状況
まず押さえておきたいのは、日本国内における光回線(光ファイバ)のインフラ整備がすでにほぼ完了している、という全国的な傾向です。茨城県もこの傾向の中にあります。
光ファイバの世帯カバー率は全国平均99.84%
総務省「令和4年度末ブロードバンド基盤整備率調査」によれば、令和5年3月末時点で全国の光ファイバ世帯カバー率は99.84%に達しています。未整備の世帯は全国で約10万世帯にとどまり、東京都・大阪府・神奈川県など12都府県はカバー率100%を達成しました。都道府県別で最も整備率が低かったのは佐賀県の95.68%で、これが47都道府県の中の最低値です。つまり、日本国内で「光回線がまったく届かない地域」はごく限られた山間部・離島などに事実上収れんしており、都道府県単位で見れば茨城県を含むほとんどの地域で光回線を利用できる環境が整っています。

茨城県内・市区町村別の詳細データについて
総務省の調査は都道府県単位・市区町村単位でも集計されていますが、本記事執筆時点で機械的に取得できたのは全国集計値までであり、茨城県44市町村それぞれの詳細な世帯カバー率の一次データは確認できませんでした。正確な数値が必要な場合は、総務省「電気通信政策の推進」ページの公表データ、または各通信事業者(NTT東日本・KDDI等)の提供エリア検索を個別にご確認いただくことをおすすめします。実務上は、後述のとおり県内主要都市部・郊外部ともに大手キャリアの光回線サービスが広く提供されており、「エリア外で申し込めない」という事態は年々少なくなっています。
県内エリア別に見る通信環境の傾向
県単位のデータに加えて、茨城県内の地域特性ごとの傾向も整理しておきます。ここでは市町村を横断的に比較する形で扱い、個別の1市町村を主題化するものではありません。
県南・県央のTX沿線・常磐線沿線エリア
つくば市・守谷市・つくばみらい市などTX(つくばエクスプレス)沿線、水戸市・土浦市など常磐線沿線の都市部は、大手通信キャリアの光回線に加えてケーブルテレビ系インターネットサービスなど選択肢が豊富です。新興住宅地・大規模マンションでは新築時点から光配線方式で対応済みのケースが一般的です。
県北・鹿行エリア
日立市・常陸太田市など県北エリア、鹿嶋市・神栖市など鹿行エリアでも主要な光回線サービスは提供されていますが、山間部・農村部の一部では提供事業者の選択肢が都市部より限られる場合があります。移住・住み替えを検討する際は、対象エリアの住所で各通信事業者の提供エリア検索を個別に行うことが確実です。
茨城県のテレワーク移住支援制度「わくわく茨城生活実現事業」
通信インフラが整っていることを前提に、茨城県はテレワーク移住者向けの経済的支援制度を用意しています。県公式サイトの情報を基に、制度の骨子を整理します。
支給額は単身60万円・世帯100万円
茨城県「わくわく茨城生活実現事業(茨城県移住支援金)」(2026年4月1日施行の実施要領)によれば、東京23区に在住、または東京圏在住で23区に通勤していた方が茨城県内の対象市町村に移住し、一定の要件を満たす場合、単身での移住で60万円、世帯での移住で100万円(18歳未満の世帯員を帯同する場合は1人につき最大100万円を加算)の移住支援金が支給されます。
テレワークで移住支援金を受け取るための4つの要件
本制度は「一般の就業」「専門人材の就業」「テレワーク」「関係人口」「起業」の5つの経路のいずれかで対象になりますが、通信インフラの整備を前提に多くの方が関心を持つのが「テレワーク」枠です。県公式サイトによれば、テレワークでの移住支援金受給には以下すべての要件に該当する必要があります。
- 所属先企業からの命令ではなく、自己の意思により移住し、移住先を生活の本拠として移住元での業務を引き続き行うこと
- 移住先でテレワークにより勤務し(原則、恒常的に通勤しない)、かつ週20時間以上テレワークを実施すること
- 地域未来交付金等を活用した取組の中で、所属先企業等から当該移住者に資金提供されていないこと
- 申請者もしくは同一世帯の者が、移住先の市町村において住宅を新築または購入したこと(2024年4月1日以降の必須要件)
特に④の「住宅の新築または購入」が必須要件になっている点は、不動産取引に直結する重要なポイントです。賃貸のままでは本制度のテレワーク枠を利用できず、持ち家取得が前提になります。

転入前の「事前相談」が必須
県公式サイトは「転入前に転入先市町村への事前相談を行うこと」を茨城県独自の要件として明記しています。ただし事前相談を行うこと自体が支給を確約するものではない、とも注記されています。移住・住み替えを具体的に検討する段階で、早めに転入予定の市町村担当課へ相談しておくことが安全です。
移住支援金の対象市町村(2026年4月時点)
「わくわく茨城生活実現事業」は茨城県内の一部市町村で実施されています。茨城県公式サイト・いばらき移住定住ポータルサイト「Re:BARAKI」の公表情報(2026年4月時点)を基に、5地域別に一覧化しました。
県北地域
日立市、常陸太田市、高萩市、北茨城市、常陸大宮市、大子町
県央地域
水戸市、笠間市、那珂市、小美玉市、城里町
県南地域
土浦市、石岡市、龍ケ崎市、稲敷市、かすみがうら市、美浦村、河内町、利根町
県西地域
古河市、結城市、下妻市、筑西市、坂東市、桜川市、八千代町、境町
鹿行地域
潮来市、行方市、鉾田市
実施の有無・申請窓口・独自の加算要件は市町村によって異なります。移住を具体的に検討する際は、対象市町村の担当課(申請先は転入した市町村になります)に直接確認することが確実です。
テレワーク環境を支える県内の取り組み
コワーキングスペースの広がり
いばらき移住定住ポータルサイト「Re:BARAKI」では、県内のコワーキング施設情報や、テレワーク移住体験ツアーのレポート(大子町・笠間市・土浦市・潮来市など)を公開しています。自宅の通信環境だけでなく、気分転換に使えるコワーキング拠点の有無も、移住後の働きやすさを左右する要素です。
「ワークライフジャーニー」という考え方
同ポータルサイトは、仕事と暮らしを対立させず統合的にとらえる「ワークライフインテグレーション」「ワークインライフ」という考え方を紹介し、地域の営みを体感しながら働き方・暮らし方を見直す機会を提案しています。通信インフラが整ったことで、こうした暮らし方の選択肢が現実的になってきたといえます。
住宅選びで確認しておきたい通信インフラの実務ポイント
1. 物件ごとの「配線方式」を必ず確認する
光回線が地域に来ていても、建物内の配線方式(各戸まで光ファイバが直接届く「光配線方式」か、既存のVDSL方式か)によって実際の通信速度は変わります。特に築年数の古い集合住宅では、建物内配線がボトルネックになるケースがあるため、内見時に確認しておくと安心です。
2. 提供エリア検索は「住所単位」で行う
都道府県単位・市町村単位で「光回線が使える」とされていても、番地レベルでは提供対象外というケースもゼロではありません。購入・賃貸を具体的に検討する段階では、各通信事業者の公式サイトで住所を入力してエリア確認を行うことが確実です。
3. テレワーク移住支援金は「持ち家取得」が前提になる
前述のとおり、わくわく茨城生活実現事業のテレワーク要件は住宅の新築または購入が必須です。賃貸のまま制度の対象にはならないため、移住支援金の活用を前提に検討する場合は、早い段階で住宅取得の計画に落とし込む必要があります。
4. 新築時は「光配線方式対応」をハウスメーカー・工務店に確認する
新築・建て替えを検討する場合、あらかじめ光配線方式に対応した配管・設備を導入しておくと、入居後の工事の手間を減らせます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 茨城県は田舎だから光回線が使えないのではと心配です。実際はどうですか?
総務省の調査では全国の光ファイバ世帯カバー率が99.84%に達しており、都道府県別で最も低い佐賀県でも95.68%です。茨城県内でも都市部・郊外部を問わず主要な通信キャリアの光回線サービスが広く提供されています。ただし山間部の一部では提供事業者の選択肢が限られる場合があるため、具体的な住所での提供エリア確認をおすすめします。
Q2. わくわく茨城生活実現事業のテレワーク枠はいくらもらえますか?
単身での移住は60万円、世帯での移住は100万円(18歳未満の世帯員を帯同する場合は1人につき最大100万円を加算)です。詳細な支給要件は茨城県公式サイトまたは移住予定市町村にご確認ください。
Q3. 賃貸に住みながらテレワーク移住支援金を申請できますか?
できません。2024年4月1日以降、テレワーク要件には「移住先の市町村において住宅を新築または購入したこと」が必須要件として追加されています。
Q4. 茨城県内のどこに住んでも移住支援金の対象になりますか?
いいえ。2026年4月時点で実施しているのは県内一部の市町村です。対象市町村・申請窓口は本記事内の一覧、または茨城県公式サイトでご確認ください。
Q5. 移住支援金の申請はいつまでに行う必要がありますか?
申請時点で転入後1年以内であることが要件です。申請開始時期は市町村によって異なるため、早めに転入予定の市町村担当課へ確認することをおすすめします。
Q6. 中古住宅を購入した場合もテレワーク移住支援金の対象になりますか?
県公式サイトの要件では「住宅を新築または購入したこと」とされており、購入には中古住宅の取得も含まれると解されます。ただし個別の適用可否は移住先市町村の窓口で確認するのが確実です。
まとめ|通信インフラの安心感を、住まい選びの一歩に
茨城県は光回線インフラがほぼ全国水準まで整備され、テレワークを前提とした暮らしが現実的な選択肢になっています。県独自の移住支援金制度も、住宅取得を条件にテレワーク移住を後押ししており、通信環境への不安だけで移住をためらう必要は少なくなってきました。実際に物件を検討する段階では、住所単位での提供エリア確認と、建物内の配線方式のチェックを忘れずに行いましょう。
茨城県内での住まい探し・売却をご検討の際は、地域の状況に詳しい専門店にご相談ください。無料査定・ご相談はこちらからお問い合わせいただけます。お電話は0120-565-072、LINEでのお問い合わせはこちらからどうぞ。
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