離婚の話し合いの中で、家の名義が「夫婦の共有」になっていることに気づき、そこで話が止まってしまう方は少なくありません。財産分与の協議が平行線のまま、住宅ローンだけが毎月引き落とされていく。そんな状態を数か月、時には1年以上放置しているケースを、茨城県内のご相談でも度々目にします。
実は、財産分与がまとまるのを待たなくても、話し合いが平行線のままでも、自分の持分だけを売却するという第三の道があります。これは「相手に譲る」でも「二人で売る」でもない、共有者それぞれが自分の財産を自分の意思で動かせるという民法の原則に基づいた選択肢です。この記事では、財産分与や名義変更とは何が違うのか、どんな場合に現実的な選択肢になるのか、費用・税金・トラブルまで、茨城県でハウスドゥ4店舗を運営する当社の視点で整理します。
「財産分与」でも「全体売却」でもない、もうひとつの道
話し合いが進まないまま放置される共有名義の家
離婚時に共有名義の家をどうするかは、財産分与の話し合いがまとまって初めて動き出す、と考えている方がほとんどです。しかし相手が話し合いに応じない、連絡が取りづらい、調停が長期化しているといった事情で、家だけが宙に浮いたまま時間が過ぎていくことは珍しくありません。その間もローンの返済や固定資産税の負担は続き、空き家であれば老朽化も進みます。
民法206条・249条が示す「持分は自分だけの財産」という原則
共有名義の不動産であっても、共有者それぞれが持つ「持分」は独立した個人の財産です。民法206条は所有者が自由に物を使用・収益・処分できると定めており、共有持分についてもこの処分の自由は共有者それぞれに認められています。また民法249条は共有物の使用に関する規定で、共有者の一方が住み続けている場合には、もう一方が使用対価を請求できる根拠にもなります。つまり法律上は、相手の同意を得ずとも自分の持分だけを売ることができるのです。

財産分与・全体売却・持分売却、3つの違いを比べる
財産分与で相手に譲る(もらう)場合
離婚に伴う財産分与では、共有名義の持分を一方がもう一方へ譲る形で名義を一本化することが一般的です。ただしこれには相手の合意と、財産分与協議書の作成、名義変更登記の手続きが必要になります。合意形成に時間がかかるほど、名義変更も先延ばしになります。
夫婦で足並みをそろえて全体を売る場合
家を売って現金化し、その代金を分け合う方法です。売却によって得られる利益は財産分与の対象になりますが、これも双方が売却そのものに合意していることが前提になります。
自分の持分だけを第三者へ売る場合
相手の合意を待たず、自分の持分だけを不動産会社などの第三者へ売却する方法です。財産分与協議の成立や相手の同意を条件としない点が、他の2つの方法と大きく異なります。ただし売却後は元配偶者が見知らぬ第三者と共有関係になるため、後述するトラブルへの目配りが欠かせません。
持分売却が現実的な選択肢になる4つのケース
相手と連絡が取れない・話し合いに応じない
相手の所在が分からない、連絡を無視され続けているといった状況では、財産分与協議そのものが進みません。このような場合、自分の持分だけを動かせる持分売却は、資産を現金化する数少ない手段になります。
離婚調停・裁判が長期化している
調停や裁判が長引くほど、家に関する結論は先延ばしになります。その間の住宅ローンや管理費用の負担だけを一方が背負い続ける状態は、精神的にも経済的にも負担が大きくなりがちです。
相手が住み続けたまま名義変更に応じない
相手が家に住み続けながら、名義変更や売却の話し合いにはいっさい応じないというケースもあります。この場合、持分だけを売却したうえで、買主となった不動産会社を通じて使用料を請求するという交渉ルートが生まれます。
2026年4月の民法改正で除斥期間の考え方が変わった
財産分与の請求には期限があります。従来の民法768条2項では、離婚の時から2年を経過すると原則として請求できなくなる「除斥期間」が定められていました。2026年4月1日以降に成立する離婚については、この期間が5年に延長される改正が施行されています。とはいえ期限のいかんに関わらず、財産分与協議が長期化するあいだ家の資産価値が目減りしていくリスクは変わりません。期限に余裕ができたからと問題を先送りにせず、持分売却という選択肢も含めて早めに検討する価値があります。
持分売却の流れと必要書類
①査定と持分割合の確認
登記事項証明書で自分の持分割合を確認したうえで、不動産会社に査定を依頼します。共有持分の売却では、物件全体の査定額に持分割合を掛け合わせた金額が目安になりますが、共有関係にあることを理由に査定額が下がるケースもあります。
②重要事項の説明・売買契約
宅地建物取引業法に基づき、宅地建物取引士から重要事項の説明を受けたうえで契約を結びます。持分のみの売買であることや、他の共有者の状況についても、可能な範囲で買主に伝えることが望ましいとされています。
③決済と登記名義の変更
代金決済と同時に、持分移転登記を申請します。登記が完了すると、元配偶者は当社のような不動産会社(またはその先の買取業者)と共有する状態になります。

費用と税金|離婚特有の注意点
仲介手数料と登記費用の目安
持分を第三者の買取業者に直接売却する場合、仲介手数料が発生しないケースもあります。一方で登録免許税や司法書士への登記費用は、売却代金から差し引かれるのが一般的です。
財産分与に伴う譲渡は原則非課税、でも例外がある
財産分与によって配偶者へ持分を渡す場合は、贈与税がかからないのが原則です。ただし分与された財産の額が婚姻中の協力の程度などから見て過大と判断される場合や、離婚を装った贈与税・相続税逃れと認められる場合には、贈与税が課されることがあります(国税庁タックスアンサーNo.4414)。
財産分与のタイミングと譲渡所得税の関係
財産分与ではなく第三者へ持分を売却した場合は、通常の不動産譲渡と同様に譲渡所得税(所有期間5年超で20.315%、5年以下で39.63%)の対象になります。取得費や譲渡費用の計算は財産分与時と異なるため、事前に税理士へ確認しておくと安心です。
持分だけを売却するときに起こりやすいトラブル
元配偶者が住み続けている場合の使用料請求
持分を買い取った業者は、共有者として物件を使用する権利を持ちます。元配偶者が住み続けている場合、業者から使用料相当額を請求されたり、持分の買取や物件全体の売却を持ちかけられたりすることがあります。
住宅ローンの連帯債務・連帯保証が残っている場合
住宅ローンの名義(債務者)と不動産の持分は別の問題です。持分を売却しても、住宅ローンの連帯債務や連帯保証がそのまま残ることがあるため、売却前に金融機関へ確認しておく必要があります。
相手が売却に反対しても持分は売れるのか
結論として、自分の持分だけを売る行為に相手の同意は法律上不要です。ただし後々の感情的なトラブルを避けるため、事前に売却の意向を伝えておくことをお勧めしています。
財産分与・名義変更で迷っている方はこちらもご覧ください
「まずは名義変更や財産分与そのものについて知りたい」という方は、以下の記事もあわせてご参照ください。
- 共有持分とは|売却・放棄と共有解消の方法【2026】(共有持分の基本的な仕組み)
- 離婚後の持ち家、妻が住むための名義変更4つの方法(住み続けたい場合の選択肢)
茨城県内でのご相談|ハウスドゥ4店舗の対応
相手に知られずに査定を進めたいという相談も
当社はハウスドゥブランドで茨城県内に4店舗(取手戸頭・守谷・つくば研究学園都市・水戸)を構え、地域密着で不動産の買取・仲介に対応しています。離婚に伴うご相談では、相手に知られずにまず自分の持分だけの査定額を知りたいというご要望も多く、秘密厳守での対応を徹底しています。
訳あり物件としての買取にも対応
共有関係にある物件、相手が住み続けている物件、住宅ローンが残っている物件など、いわゆる「訳あり」の状態であっても、買取専門の実績をもとに柔軟にご提案いたします。
よくある質問
Q1. 元配偶者に知られずに自分の持分だけを売却できますか?
法律上、他の共有者の同意や事前通知は必須ではありません。ただし売却後は元配偶者が第三者と共有関係になるため、当社では可能な限り事前の説明をおすすめしています。
Q2. 財産分与が終わっていなくても持分売却はできますか?
できます。持分の売却と財産分与の手続きは別の法律関係であり、財産分与協議の成立を待つ必要はありません。
Q3. 住宅ローンが残っている場合はどうなりますか?
住宅ローンの債務者・連帯保証人の地位は、持分の売却だけでは変わりません。売却前に金融機関へ相談し、抵当権の扱いを確認する必要があります。
Q4. 持分だけ売ると相場より安くなりますか?
共有関係にあることや、権利関係が複雑であることを理由に、物件全体の査定額を単純に持分割合で按分した金額より低い査定になることがあります。複数の買取業者に相談し比較することをおすすめします。
Q5. 元配偶者が売却に反対したらどうなりますか?
反対されても、自分の持分だけを売却する権利自体は失われません。ただし感情的な対立が深まりやすいため、当社では事前の丁寧な説明を重視しています。
Q6. 茨城県外に住んでいても相談できますか?
可能です。対象物件が茨城県内にあれば、遠方にお住まいの方からのご相談・オンライン査定にも対応しています。
まとめ
離婚時の共有名義の家は、「財産分与がまとまるまで動かせない」ものではありません。自分の持分だけを売却するという選択肢は、民法上の権利として認められており、話し合いが進まない状況を打開する手段になり得ます。一方で、元配偶者との関係や住宅ローンの扱いなど、事前に整理しておくべき点も多くあります。まずは現状の持分割合と査定額を知ることから、専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
無料相談フォーム
この記事に関するご相談はこちらから。秘密厳守で対応いたします。



