「つくば」「守谷」「みらい平」――茨城県内で今、地価も人口も伸びているエリアには、ある共通点があります。それがつくばエクスプレス(TX)の沿線であることです。県全体の人口が減り続ける中、なぜこの帯だけが例外なのか。本記事では茨城県統計課の令和7年国勢調査、国土交通省の地価公示、茨城県公式資料などの一次情報をもとに、TX沿線の地価上昇と暮らしの変化を県全域の視点から整理します。

目次
  1. 1. つくばエクスプレス(TX)とは、どんな路線か
    1. 1-1. 茨城県内の停車駅
    2. 1-2. 沿線開発の規模
  2. 2. 県内44市町村で人口が増えているのは、実質3市1町だけ
    1. 2-1. 人口増加率ランキングの上位を独占するTX沿線
    2. 2-2. 増加数で見ても圧倒的な差
    3. 2-3. なぜTX沿線だけ人口が増えるのか
  3. 3. 公示地価もTX沿線が茨城県内トップクラス
    1. 3-1. 市区町村別ランキング1位は守谷市
    2. 3-2. TX沿線全体の地価
    3. 3-3. 県内の他エリアとの対比
  4. 4. TX沿線で進む暮らしの変化
    1. 4-1. 新しい街と学校・公園の整備
    2. 4-2. 混雑という「成長痛」
    3. 4-3. 商業・生活インフラの充実
  5. 5. 生活者にとってTX沿線の意味
    1. 5-1. 「都心に近い茨城」という選択肢
    2. 5-2. 若い世代の流入と街の若返り
    3. 5-3. 一方で残る「沿線か、そうでないか」の格差
  6. 6. TX沿線の不動産売却・相続で押さえておきたいポイント
    1. 6-1. 地価上昇局面は「売り時」を見極める好機
    2. 6-2. エリアごとに窓口となる担当店舗が異なります
    3. 6-3. 相続不動産は早めの現況確認を
  7. 7. あわせて読みたい茨城県の地域情報
  8. 8. よくある質問(FAQ)
    1. Q1. つくばエクスプレス沿線とは、茨城県内ではどの市を指しますか?
    2. Q2. なぜTX沿線だけ地価が上がっているのですか?
    3. Q3. 茨城県全体でも人口は増えているのですか?
    4. Q4. TX沿線の不動産は今後も値上がりが続きますか?
    5. Q5. TX沿線以外の茨城県のエリアは資産価値が下がる一方なのでしょうか?
    6. Q6. 相続した実家がTX沿線にあります。まず何をすればよいですか?
  9. 9. まとめ|「県全体は減少、TX沿線は増加」という二極化を踏まえて

1. つくばエクスプレス(TX)とは、どんな路線か

つくばエクスプレス(TX)は、東京・秋葉原駅と茨城県つくば市のつくば駅を結ぶ鉄道路線です。最速達列車(つくば号)で秋葉原~つくば間を約45分で結び、開業は2005年(平成17年)8月。首都圏新都市鉄道株式会社が運営しています。茨城県内では守谷市・つくばみらい市・つくば市の3市を通過し、県南地域の交通軸の中心となっています。

1-1. 茨城県内の停車駅

茨城県内には守谷駅・みらい平駅・みどりの駅・万博記念公園駅・研究学園駅・つくば駅の6駅があります(このうち守谷駅は千葉県・茨城県境に近接)。都心への通勤・通学の起点として、沿線の宅地開発・人口増加を牽引してきました。

1-2. 沿線開発の規模

茨城県土木部の資料によれば、県内のTX沿線開発は8地区で施行され、そのうち6地区は整備が完了、2地区は県が施行中です(令和4年度末時点で整備状況は約95%)。地区内人口は75,127人/計画人口102,200人(約74%、令和6年1月1日時点)に達しており、なかでもつくばみらい市のみらい平地区は令和4年(2022年)に計画人口16,000人を突破しています。

2. 県内44市町村で人口が増えているのは、実質3市1町だけ

茨城県統計課「令和7年国勢調査人口速報集計結果」(令和7年10月1日現在)によると、県内44市町村のうち今回調査で人口が増加したのはわずか4市町(3市1町)、減少したのは40市町村(約9割)でした。そして、増加した3市1町のうち3市がTX沿線の市です。

2-1. 人口増加率ランキングの上位を独占するTX沿線

市町村別の人口増加率を見ると、1位はつくば市の11.3%、2位はつくばみらい市の4.4%、3位は守谷市の2.6%、4位は阿見町の2.3%という結果でした。増加率トップ3をTX沿線市が独占しています。前回(令和2年)調査でもつくば市は6.5%増、守谷市は5.7%増と、この傾向は一時的なものではなく、開業から20年続く構造的な動きです。

2-2. 増加数で見ても圧倒的な差

人口増加数(実数)でも、つくば市は27,335人増と県内最大、次いでつくばみらい市が2,198人増、守谷市が1,771人増で2位・3位を占めています。つくば市の人口は268,991人となり、県内で最も人口の多い市となりました。一方、日立市は15,745人減、筑西市は5,915人減など、TX沿線から離れた県北・県西エリアでは大幅な減少が続いています。

2-3. なぜTX沿線だけ人口が増えるのか

背景にあるのは、都心への高いアクセス性と、大規模な土地区画整理事業による計画的な宅地供給です。前述のとおり県内TX沿線開発は8地区・整備率約95%に達し、住宅街・学校・公園が一体的に整備されてきました。つくばエクスプレスの1日平均乗車人員は令和7年度(2025年度)上期で42万3千人となり、開業以来最高を更新しています。沿線自治体(つくば市・守谷市など)は令和8年にも鉄道事業者へ混雑緩和の要望書を提出しており、住宅開発が堅調でさらなる人口増加が見込まれることを自治体自身が指摘しています。

茨城県 市町村別人口増加率トップ4 つくば市守谷市つくばみらい市
茨城県内で人口が増加した4市町のうち3市がTX沿線市(出典:茨城県統計課「令和7年国勢調査人口速報集計結果」)

3. 公示地価もTX沿線が茨城県内トップクラス

人口動態だけでなく、地価の面でもTX沿線は茨城県内で突出しています。国土交通省「地価公示」(2026年1月1日時点)によると、茨城県の住宅地の公示地価は平均+1.0%と3年連続の上昇となり、上昇率が1.0%以上となったのは1992年(平成4年)以来34年ぶりの水準でした。

3-1. 市区町村別ランキング1位は守谷市

2026年の茨城県内市区町村別の地価ランキングで1位となったのは守谷市で、平均地価は152,100円/m2、前年比変動率は+10.50%でした。2位はつくば市で平均91,300円/m2、変動率は+5.60%です。県平均+1.0%と比べて、守谷市・つくば市の上昇率がいかに突出しているかが分かります。

3-2. TX沿線全体の地価

つくばエクスプレス沿線全体(茨城・千葉・埼玉・東京にまたがる沿線集計)の公示地価は平均66万8,780円/m2、前年からの変動率は+9.82%というデータもあります。茨城県内では、TX駅に近いほど地価が高い傾向がはっきり出ており、守谷市内でも駅から離れるほど地価は下がる構造です。

3-3. 県内の他エリアとの対比

本サイトの別記事「茨城県の公示地価の推移」「茨城県44市町村 公示地価ランキング」でも詳しく扱っていますが、県内44市町村の公示地価は守谷市を筆頭にTX沿線とその他エリアとで大きな差(3倍以上)が生じています。人口が減少している県北・鹿行エリアでは地価の横ばい・下落基調が続いており、県内の資産価値は「TX沿線か、そうでないか」で二極化が進んでいるのが実情です。

茨城県 公示地価変動率 つくばエクスプレス沿線 守谷市つくば市
茨城県の住宅地公示地価は平均+1.0%だが、TX沿線の守谷市・つくば市は大幅に上回る(出典:国土交通省「地価公示」2026年1月1日時点)

4. TX沿線で進む暮らしの変化

4-1. 新しい街と学校・公園の整備

つくばみらい市みらい平地区では、住宅街の整備とあわせて小学校(陽光台小学校など)や公園(みらいの森公園など)が計画的に配置されました。区画整理事業(伊奈・谷和原丘陵部一体型特定土地区画整理事業、施行面積275ha)は1992年の都市計画決定から30年以上かけて進められ、2013年に換地処分が公告されています。新しく生まれた街ならではの、道路や上下水道が整った住環境が特徴です。

4-2. 混雑という「成長痛」

人口増加はプラス面ばかりではありません。つくばエクスプレスは朝のラッシュ時間帯の混雑が課題となっており、沿線自治体(つくば市・守谷市・柏市・流山市など)は鉄道事業者に混雑緩和の要望を継続的に行っています。事業者は6両編成を8両編成化する計画を進めていますが、供用開始は2030年代前半の見込みで、当面は混雑が続く見通しです。これは裏を返せば、それだけ沿線への居住ニーズが強いことの表れでもあります。

4-3. 商業・生活インフラの充実

研究学園駅周辺や万博記念公園駅周辺では大型商業施設の立地が進み、みどりの駅周辺でも宅地開発とあわせて生活利便施設が増えています。守谷駅周辺は都心通勤者向けのマンション・戸建て需要が高く、駅前の商業集積も進んでいます。人口が増えている地域では、こうした生活インフラの充実が地価上昇をさらに後押しする循環が生まれています。

5. 生活者にとってTX沿線の意味

5-1. 「都心に近い茨城」という選択肢

TX沿線は、都心へ電車一本・最速45分でアクセスできながら、戸建てを購入しやすい土地価格・広い居住スペースを確保できるという、茨城県ならではの立地優位性を体現するエリアです。テレワークの普及もあり、都内勤務でも沿線に住むという選択をする世帯が増えています。

5-2. 若い世代の流入と街の若返り

TX沿線3市(つくば市・守谷市・つくばみらい市)は在住者の平均年齢が若く、子育て世帯の転入が多いことも特徴です。これは県全体で少子高齢化が進む中で例外的な動きであり、地域の年齢構成そのものを変えつつあります。

5-3. 一方で残る「沿線か、そうでないか」の格差

TX沿線の活況の裏側では、県北・鹿行エリアなど人口減少が続く地域との差が拡大しています。同じ茨城県内でも、住まいを選ぶ際にはエリアによって将来の資産価値の見通しが大きく異なることを理解しておく必要があります。

6. TX沿線の不動産売却・相続で押さえておきたいポイント

6-1. 地価上昇局面は「売り時」を見極める好機

TX沿線のように地価が上昇している局面では、公示地価だけでなく実勢価格の動きも踏まえたタイミングでの売却検討が重要です。相続した実家や空き家がTX沿線にある場合、地価が横ばい・下落しているエリアの物件よりも高値での売却が期待できる可能性があります。一方で、地価が上がっているからといって焦って安易な価格設定をすると、本来得られたはずの利益を逃すことにもなりかねません。

6-2. エリアごとに窓口となる担当店舗が異なります

ハウスドゥでは、茨城県内のTX沿線エリアを次のように担当店舗で分担しています。売却・査定のご相談は、お住まいの市町村を担当する店舗サイトからお問い合わせください。

なお、つくばみらい市はつくば市・守谷市の店舗が近接エリアとして対応しています。空き家の解体をご検討の場合は、県全域対応の解体Do!(kaitai-ibaraki.com)もあわせてご確認ください。

6-3. 相続不動産は早めの現況確認を

TX沿線に相続不動産をお持ちの場合、地価上昇エリアであるほど、売却・活用の判断が資産価値に直結します。まずは現状の相場を把握することが第一歩です。当グループでは机上査定・訪問査定のいずれも無料でご案内しています。

7. あわせて読みたい茨城県の地域情報

8. よくある質問(FAQ)

Q1. つくばエクスプレス沿線とは、茨城県内ではどの市を指しますか?

茨城県内でつくばエクスプレスが通過するのは守谷市・つくばみらい市・つくば市の3市です。県内の駅は守谷駅・みらい平駅・みどりの駅・万博記念公園駅・研究学園駅・つくば駅の6駅があります。

Q2. なぜTX沿線だけ地価が上がっているのですか?

都心へのアクセス性の高さ(秋葉原~つくば間最速約45分)に加え、土地区画整理事業による計画的な宅地供給、それに伴う人口増加が主な要因です。2026年の公示地価では守谷市が茨城県内1位(変動率+10.50%)、つくば市が2位(同+5.60%)となっています。

Q3. 茨城県全体でも人口は増えているのですか?

いいえ。茨城県全体の人口は令和7年国勢調査で2,791,207人となり、前回調査(令和2年)から75,802人(2.6%)減少しています。県内44市町村のうち人口が増加したのは3市1町のみで、そのうち3市がTX沿線市(つくば市・つくばみらい市・守谷市)という状況です。

Q4. TX沿線の不動産は今後も値上がりが続きますか?

今後の地価動向を確定的に予測することはできませんが、沿線人口の増加、混雑緩和のための8両編成化計画(2030年代前半供用開始予定)など、当面は住宅需要を支える材料が複数あります。ただし個別の物件価値は立地・築年数等により異なるため、売却をご検討の場合は個別の査定をおすすめします。

Q5. TX沿線以外の茨城県のエリアは資産価値が下がる一方なのでしょうか?

県北・鹿行エリアなど人口減少が続くエリアでは地価の横ばい・下落基調がみられますが、エリア内でも駅前や生活利便性の高い立地など、個別事情によって評価は異なります。県全体の傾向と、個別物件の価値は分けて考える必要があります。

Q6. 相続した実家がTX沿線にあります。まず何をすればよいですか?

まずは現状の相場を把握することをおすすめします。地価上昇エリアであるほど売却タイミングが資産価値に影響するため、早めに机上査定・訪問査定で現況を確認し、売却・賃貸・活用などの選択肢を比較検討することが重要です。

9. まとめ|「県全体は減少、TX沿線は増加」という二極化を踏まえて

茨城県全体では人口減少が続く一方、つくばエクスプレス沿線(つくば市・つくばみらい市・守谷市)は令和7年国勢調査で県内トップ3の人口増加率を記録し、公示地価も守谷市・つくば市が県内上位を占めています。この「沿線か、そうでないか」という構図は、これから住まいを選ぶ人にとっても、不動産の売却・相続を検討する人にとっても、資産価値を見極める重要な視点になります。ご所有の不動産がどちらのエリアにあるかによって、取るべき戦略は変わってきます。

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