「固定資産税がいくらかかるのか分からないまま売却を先延ばしにしている」「空き家を放置しているが税額がどう変わるのか知りたい」——茨城県内で不動産の所有・売却を検討する方から、こうした声をよく伺います。固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に必ず課税される税金であり、売却のタイミングや保有コストの判断に直結します。

本記事では、総務省・茨城県・県内市町村が公表する一次情報にもとづき、固定資産税の仕組み、茨城県内市町村の税率の実情、住宅用地の軽減特例、負担調整措置、そして売却時に押さえておくべき実務ポイントを解説します。

目次
  1. 1. 固定資産税とは何か
    1. 1-1. 毎年1月1日時点の所有者に課税される地方税
    2. 1-2. 標準税率1.4%が全国共通のベース
    3. 1-3. 都市計画税は市街化区域内のみ・上乗せで課税
  2. 2. 茨城県内市町村の固定資産税・都市計画税の実情
    1. 2-1. 税率は市町村ごとに条例で決まる
    2. 2-2. 公式サイトで確認できた税率の実例(本記事作成時点)
    3. 2-3. 都市計画税は「課税される地域」と「されない地域」がある
    4. 2-4. 課税額は「評価額」ではなく「課税標準額」で決まる
    5. 2-5. 全国では約4,180万人が土地に、約4,279万人が家屋に納税
  3. 3. 住宅用地の課税標準の特例(軽減措置)
    1. 3-1. 小規模住宅用地は課税標準が価格の6分の1
    2. 3-2. 一般住宅用地は価格の3分の1
    3. 3-3. 特例が適用されるのは「住宅の敷地」であること
  4. 4. 資産の種類ごとの評価の仕組み
    1. 4-1. 土地は売買実例をもとにした「正常売買価格」の一定割合
    2. 4-2. 家屋は再建築価格をもとに経年減点補正
    3. 4-3. 償却資産は事業用の設備等が対象
  5. 5. 土地の負担調整措置とは
    1. 5-1. 評価額の急上昇が税額に一気に反映されない仕組み
    2. 5-2. 3年に一度の評価替え
    3. 5-3. 負担水準によって調整の方向が変わる
  6. 6. 固定資産税が課税されないケース(免税点)
  7. 7. 納税通知書と納期のスケジュール
    1. 7-1. 4月から翌年3月にかけて4期に分けて納付
    2. 7-2. 新築家屋は翌年度から課税される
  8. 8. 固定資産税と不動産取得税・登録免許税との違い
  9. 9. 売却を検討する際に固定資産税で押さえておきたいポイント
    1. 9-1. 売却年の納税義務者は1月1日時点の所有者
    2. 9-2. 空き家のまま放置すると住宅用地特例を失うリスクがある
    3. 9-3. 相続した不動産は名義変更前でも納税義務が生じる
    4. 9-4. 複数の不動産を所有している場合は合算で管理する
  10. 茨城県内4店舗への相談窓口
  11. 関連記事
  12. 10. まとめ
  13. よくある質問
    1. Q1. 固定資産税の税率は茨城県内どこでも同じですか?
    2. Q2. 住宅を取り壊して更地にすると固定資産税は上がりますか?
    3. Q3. 相続した実家の固定資産税は誰が払うのですか?
    4. Q4. 年の途中で家を売却した場合、固定資産税はどうなりますか?
    5. Q5. 固定資産税の評価額に納得できない場合はどうすればよいですか?
    6. Q6. 空き地・空き家を複数所有していますが、税負担を軽くする方法はありますか?

1. 固定資産税とは何か

1-1. 毎年1月1日時点の所有者に課税される地方税

固定資産税は、土地・家屋・償却資産(総称して「固定資産」)を毎年1月1日(賦課期日)時点で所有している人に対し、その固定資産が所在する市町村が課税する地方税です。総務省の制度解説によれば、固定資産税は資産の保有と市町村サービス(消防・道路・上下水道等)の間に存在する受益関係に着目し、資産価値に応じて所有者に負担を求める仕組みとされています。

年の途中で不動産を売却しても、その年の納税義務者は1月1日時点の所有者のままです。決済時に売主・買主間で税額を日割り精算する慣行が一般的ですが、これは商慣習であり、市町村への納税義務者自体は変わりません。

1-2. 標準税率1.4%が全国共通のベース

固定資産税の標準税率は1.4%です。地方税法上、市町村は財政上特に必要がある場合にこれを上回る税率(超過課税)を設定できますが、茨城県内で確認できた水戸市・石岡市・つくば市はいずれも1.4%の標準税率を採用しています(各市公式サイトで確認、2025〜2026年時点)。超過課税の有無は市町村ごとに異なるため、対象不動産の所在市町村への確認が確実です。

1-3. 都市計画税は市街化区域内のみ・上乗せで課税

都市計画区域のうち市街化区域内に所在する土地・家屋には、固定資産税とあわせて都市計画税が課税されます。制限税率は0.3%で、これを超える税率は設定できません。茨城県内の実例では、水戸市が0.2%、石岡市が0.3%と、同じ県内でも税率が異なります。都市計画税は下水道・公園・生活道路など都市計画事業の財源に充てられる目的税で、市街化調整区域や非線引き区域の不動産には課税されません。

2. 茨城県内市町村の固定資産税・都市計画税の実情

2-1. 税率は市町村ごとに条例で決まる

固定資産税・都市計画税の税率は、各市町村の税条例で定められています。標準税率1.4%を採用する市町村が多数を占める一方、市町村の財政状況や都市計画事業の規模によって税率設定は異なります。売却・購入を検討する際は、対象不動産が所在する市町村の税務担当課(資産税課等)の公式サイトで最新の税率を確認することが重要です。

2-2. 公式サイトで確認できた税率の実例(本記事作成時点)

各市町村の公式サイトで確認できた固定資産税・都市計画税の税率は以下のとおりです(比較のための一例であり、全市町村を網羅するものではありません。最新の税率は所在市町村に個別確認してください)。

市町村 固定資産税 都市計画税 出典確認日
水戸市 1.4% 0.2% 2024年11月更新の市公式サイトで確認
石岡市 1.4% 0.3% 2025年4月更新の市公式サイトで確認
つくば市 1.4%(制度解説ページで確認) 市街化区域のみ課税(税率は市公式サイト参照) 市公式サイトで確認

このように、固定資産税の本則税率は1.4%で揃っていても、都市計画税は市町村によって0.2%・0.3%と差があります。都市計画税の年間差は評価額によっては数千円〜数万円規模になるため、複数市町村での購入・売却を比較する際に見落としやすいポイントです。

茨城県内市町村の固定資産税・都市計画税の税率比較(水戸市・石岡市)
茨城県内市町村の税率実例(固定資産税・都市計画税)

2-3. 都市計画税は「課税される地域」と「されない地域」がある

都市計画税は市街化区域内の不動産のみが対象です。市街化調整区域や、都市計画区域外の土地・家屋には課税されません。同じ市町村内でも、所在地が市街化区域か市街化調整区域かによって税負担が変わるため、茨城県内で郊外の土地を検討する場合は都市計画区域の区分を市町村窓口や都市計画課で確認するとよいでしょう。

2-4. 課税額は「評価額」ではなく「課税標準額」で決まる

税額は「課税標準額×税率」で算出されます。課税標準額は固定資産の評価額(固定資産評価基準にもとづき市町村長が決定)そのものではなく、住宅用地の特例や土地の負担調整措置が適用された後の金額です。同じ評価額の土地でも、住宅用地か非住宅用地か、また評価額の上昇スピードによって、実際の課税標準額・税額は異なります。

2-5. 全国では約4,180万人が土地に、約4,279万人が家屋に納税

総務省が公表する「令和6年度 固定資産の価格等の概要調書」によれば、令和6年度の固定資産税は全国で土地に約4,180万人、家屋に約4,279万人、償却資産に約505万人が納税義務者となっています。固定資産税は住民税・所得税と並んで対象者数が極めて多い税目であり、不動産を保有するほぼすべての人に関わる税金であることがわかります。

3. 住宅用地の課税標準の特例(軽減措置)

3-1. 小規模住宅用地は課税標準が価格の6分の1

住宅の敷地として利用されている土地のうち、200平方メートル以下の部分(小規模住宅用地)は、固定資産税の課税標準額が価格(評価額)の6分の1に軽減されます。都市計画税は3分の1に軽減されます。

3-2. 一般住宅用地は価格の3分の1

200平方メートルを超える部分(一般住宅用地、家屋の床面積の10倍が上限)は、固定資産税の課税標準額が価格の3分の1に軽減されます。都市計画税は3分の2に軽減されます。たとえば敷地面積300平方メートルの住宅用地であれば、200平方メートルまでは6分の1、残り100平方メートルは3分の1が適用される、というように面積で按分して計算されます。

3-3. 特例が適用されるのは「住宅の敷地」であること

この特例は、居住用の家屋が建っている土地に適用されるものです。更地や、住宅を取り壊して土地だけの状態にすると、原則としてこの特例が受けられなくなり、翌年度以降の固定資産税額が上昇します。空き家を解体して更地で売却する場合や、老朽家屋を放置したまま所有し続ける場合の税負担については、既存記事「空き家3年放置で罰金100万円は本当?税金6倍リスクを解説」で詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。

住宅用地の課税標準の特例(小規模住宅用地1/6・一般住宅用地1/3)のイメージ図
住宅用地の課税標準の特例のイメージ

4. 資産の種類ごとの評価の仕組み

4-1. 土地は売買実例をもとにした「正常売買価格」の一定割合

土地の評価額は、地目(宅地・田・畑・山林等)ごとに、周辺の売買実例をもとに算定した正常売買価格を基礎として決定されます。宅地の評価は、地価公示価格等の7割を目途に均衡化・適正化が図られています。

4-2. 家屋は再建築価格をもとに経年減点補正

家屋の評価額は、評価対象の家屋と同一のものをその場所に新築するとした場合に必要な建築費(再建築価格)をもとに、建築後の年数の経過に応じた減点補正率を乗じて算定されます。新築時が最も評価額が高く、年数の経過とともに評価額は下がっていきますが、一定の下限(経年減点補正率の最終残価率)が設けられており、ゼロにはなりません。

4-3. 償却資産は事業用の設備等が対象

個人が自己居住用として所有する住宅・土地には関係しませんが、事業用に太陽光発電設備や店舗の設備等を保有している場合、これらは償却資産として別途申告・課税の対象になることがあります。該当の可能性がある場合は、所在市町村の資産税課に確認するとよいでしょう。

5. 土地の負担調整措置とは

5-1. 評価額の急上昇が税額に一気に反映されない仕組み

地価の上昇局面では、評価額が前年度から大きく上がることがあります。総務省の制度解説によれば、負担調整措置は、地価急騰時でも税負担が急激に増えないよう、前年度の課税標準額を基準に段階的に評価額へ近づけていく仕組みです。逆に評価額が下落した土地では、負担水準に応じて税負担がなだらかに引き下げられる、または据え置かれる場合もあります。

5-2. 3年に一度の評価替え

土地と家屋の評価額は、原則として3年ごとに見直されます(評価替え)。評価替えの基準年度以外は、地目の変更や増改築等の事情がない限り、前年度の評価額が据え置かれます。ただし土地については、地価が下落したと認められる場合、評価替え年度以外でも評価額を修正できる仕組みが平成9年度から導入されています。

5-3. 負担水準によって調整の方向が変わる

負担調整措置は「負担水準」(前年度課税標準額÷今年度評価額)に応じて調整の方向が変わります。負担水準が低い土地ほど段階的に税額が引き上げられ、既に負担水準が高い土地は据え置き、または引き下げられる場合があります。同じ地域・同じ評価額の上昇であっても、これまでの課税標準額の経緯によって税額の動き方が異なる点に注意が必要です。

6. 固定資産税が課税されないケース(免税点)

同一人が同一市町村内に所有する固定資産の課税標準額の合計が、土地30万円・家屋20万円・償却資産150万円に満たない場合は、固定資産税は課税されません。ただしこれは「同一市町村内の合計額」で判定されるため、複数の土地・家屋を所有している場合は合算されます。

7. 納税通知書と納期のスケジュール

7-1. 4月から翌年3月にかけて4期に分けて納付

固定資産税・都市計画税は、多くの市町村で4月・7月・12月・翌年2月頃の年4回に分けて納付するスケジュールが組まれています(納期は市町村によって多少異なります)。全期分をまとめて前納できる制度を設けている市町村もあります。

7-2. 新築家屋は翌年度から課税される

住宅を新築した場合、その年の1月1日時点ではまだ建物が存在しないため、新築した年度は家屋分の固定資産税は課税されません。評価額の算定手続きを経て、新築した年の翌年度から家屋分の固定資産税が課税されるのが一般的な流れです。

8. 固定資産税と不動産取得税・登録免許税との違い

固定資産税は「毎年」所有者に課税される保有税ですが、不動産取得税・登録免許税は不動産を「取得したとき」に一度だけ課税される税金です。茨城県では住宅・住宅用土地の取得について、床面積要件等を満たす場合に不動産取得税の控除(新築住宅で最大1,200万円等)が設けられています。取得時にかかる税金の詳しい軽減要件・計算方法は、既存記事「茨城県の不動産取得税・登録免許税|買主目線で解説」で解説しています。売買の場面では、売主は保有中の固定資産税、買主は取得時の不動産取得税・登録免許税という異なる税目が関わる点を押さえておくと、資金計画の見通しが立てやすくなります。

9. 売却を検討する際に固定資産税で押さえておきたいポイント

9-1. 売却年の納税義務者は1月1日時点の所有者

年の途中で売却しても、その年度の固定資産税の納税義務者は変わりません。決済時に引渡し日を基準として日割りで精算するのが一般的な商慣習ですが、これは当事者間の合意にもとづく精算であり、市町村への納税義務そのものとは別の話である点に注意が必要です。

9-2. 空き家のまま放置すると住宅用地特例を失うリスクがある

空き家対策特別措置法にもとづき「特定空家等」に指定され、必要な措置の勧告を受けると、住宅用地の課税標準の特例が解除され、固定資産税が実質的に増額されるケースがあります。空き家を所有したまま放置するか、早期に売却・利活用するかの判断材料として、税負担の変化は重要な要素です。

9-3. 相続した不動産は名義変更前でも納税義務が生じる

相続が発生した不動産も、1月1日時点で登記簿上の所有者(または相続人代表者)に納税義務が生じます。相続登記が未了のまま放置すると、納税通知や将来の売却手続きが複雑になるため、早めの名義整理が望まれます。相続不動産の傾向については、既存記事「茨城県の相続不動産の傾向|死亡者数と登記義務化を解説」もあわせてご覧ください。

9-4. 複数の不動産を所有している場合は合算で管理する

茨城県内に複数の土地・家屋を所有している場合、それぞれの固定資産税・都市計画税を市町村ごとに把握しておくことが、将来の売却順序や保有コストの見直しの判断材料になります。特に空き家・空き地を複数抱えている場合、どの物件から売却・活用を進めるかを検討する際に、各物件の年間税負担を一覧化しておくと判断がしやすくなります。

茨城県内4店舗への相談窓口

固定資産税を含む保有コストや売却のご相談は、お住まいの地域を担当する店舗へお気軽にお問い合わせください。

関連記事

10. まとめ

固定資産税は、茨城県内のどの市町村でも標準税率1.4%をベースに、住宅用地の特例・負担調整措置を経て課税標準額が決まる仕組みです。都市計画税の有無・税率は市町村や地域区分によって異なるため、対象不動産の所在地で個別に確認する必要があります。空き家の放置や更地化は住宅用地特例の喪失につながり、税負担が増える可能性があるため、保有コストと売却タイミングをあわせて検討することが重要です。

なお、市街化区域内の農地が生産緑地に指定されている場合は、宅地並み課税ではなく農地としての低い評価で固定資産税が課税されます。茨城県内の指定状況は茨城県の生産緑地・特定生産緑地|市町村別指定状況で解説しています。

よくある質問

Q1. 固定資産税の税率は茨城県内どこでも同じですか?

固定資産税の標準税率1.4%を採用する市町村が多い一方、税率は各市町村の条例で個別に定められており、市町村によって異なる場合があります。都市計画税は0.2%〜0.3%の幅があり、市街化区域か市街化調整区域かでも課税の有無が変わります。対象不動産の所在市町村に個別確認することをおすすめします。

Q2. 住宅を取り壊して更地にすると固定資産税は上がりますか?

上がる可能性があります。住宅用地の課税標準の特例(6分の1・3分の1)は「住宅の敷地」に適用されるため、家屋を取り壊すと翌年度以降はこの特例の対象外となり、土地の固定資産税が実質的に増加するケースが一般的です。解体前に税額の変化を試算しておくことをおすすめします。

Q3. 相続した実家の固定資産税は誰が払うのですか?

相続登記が完了していれば新しい所有者に、未了の場合は市町村が指定した相続人代表者に納税通知書が送付されます。相続人が複数いる場合は、実際には相続人全員が連帯して納税義務を負う点に注意が必要です。

Q4. 年の途中で家を売却した場合、固定資産税はどうなりますか?

その年度の納税義務者は1月1日時点の所有者のままです。多くの取引では、決済時に引渡し日を基準に売主・買主間で日割り精算する商慣習がありますが、これは当事者間の合意であり、市町村への納税義務そのものは変わりません。

Q5. 固定資産税の評価額に納得できない場合はどうすればよいですか?

固定資産の価格(評価額)に不服がある場合、原則として納税通知書の交付を受けた日から一定期間内に、市町村に設置される固定資産評価審査委員会へ審査の申出ができる制度があります。手続きの詳細・期限は所在市町村の資産税課に確認してください。

Q6. 空き地・空き家を複数所有していますが、税負担を軽くする方法はありますか?

制度上の軽減策としては住宅用地の特例が中心で、更地化すると税負担が増える点に注意が必要です。根本的な保有コストの見直しとしては、活用予定のない土地・空き家の早期売却が有効な選択肢の一つです。複数物件を所有している場合は、査定を通じて物件ごとの現状を整理することをおすすめします。

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