「茨城県は土地が広い」という印象を持つ人は多いですが、実際にどのくらい広いのか、公的な統計で確認したことがある人は少ないのではないでしょうか。総務省「令和5年住宅・土地統計調査」の茨城県分の結果を見ると、1住宅あたりの敷地面積は394.15平方メートルで、全国47都道府県の中で第1位です。この記事では、この「全国1位」がどのような数字の積み重ねで成り立っているのか、一次統計に基づいて整理し、茨城県で不動産を所有・相続・売却する際にこのデータがどう関わってくるのかを解説します。
茨城県の1住宅あたり敷地面積は394.15平方メートルで全国1位
茨城県が2025年3月28日付で公表した「令和5年住宅・土地統計調査の結果の概要」によると、2023年10月1日時点の茨城県における1住宅あたりの敷地面積は394.15平方メートルでした。これは全国平均の261.01平方メートルを133.14平方メートル上回る数値であり、47都道府県中で最も広い結果となっています。
さらに、一戸建住宅に限定した1住宅あたりの敷地面積を見ると394.80平方メートルとなり、こちらも全国平均262.45平方メートルを132.35平方メートル上回って全国1位です。マンションなどの共同住宅を含む「全住宅」の数値と、一戸建てだけに絞った数値がほぼ同じ水準にあることから、茨城県の住宅の多くが戸建て中心で、かつ広い敷地の上に建てられていることがわかります。
全国平均との差は133平方メートル、坪換算で約40坪
133.14平方メートルという差は、坪数に換算するとおよそ40坪です。一般的な戸建て住宅の建築面積が30〜40坪程度であることを踏まえると、全国平均の敷地に「もう1軒分」に近い余白があるとも言えます。この余白が駐車スペース、庭、家庭菜園、増築の余地など、茨城県の住宅地に見られる「ゆとり」の正体です。
上位5都道府県の顔ぶれ|2位以下は東北勢が並ぶ
2023年調査における1住宅あたり敷地面積の上位5都道府県は、1位茨城県(394.15平方メートル)、2位山形県(391.91平方メートル)、3位岩手県(373.06平方メートル)、4位秋田県(372.26平方メートル)、5位福島県(366.90平方メートル)でした。茨城県以外はすべて東北地方の県が占めており、関東地方でありながらこの顔ぶれに入る茨城県は特異な位置づけといえます。

一戸建住宅に限定したランキングでも、1位茨城県(394.80平方メートル)、2位山形県(392.20平方メートル)、3位岩手県(373.69平方メートル)、4位秋田県(372.66平方メートル)、5位福島県(367.31平方メートル)と、ほぼ同じ顔ぶれが並びます。首都圏の一角にありながら東北の広大な県と肩を並べる、あるいは上回るという点が茨城県の土地事情の特徴です。
なぜ首都圏なのに東北の県と並ぶ広さなのか
茨城県は関東地方に属しながら、可住地面積(人が住むことができる平地の面積)が全国トップクラスに広い県です。山地の多い都道府県と異なり、県土の中で住宅や農地として利用しやすい平地の割合が高いため、1軒あたりに割り当てられる土地の広さも自然と大きくなりやすい地理的条件があります。
茨城県の敷地面積は縮小傾向にあるが、1位は維持
2018年の前回調査と比較すると、茨城県の1住宅あたり敷地面積は394.97平方メートルから394.15平方メートルへと0.82平方メートルわずかに縮小しました。一戸建住宅に限定すると406.30平方メートルから394.80平方メートルへと11.5平方メートル縮小しています。一方、全国平均は261.01平方メートルへと9.25平方メートル拡大しており、全国的には「広くなる」方向に動く中で、茨城県は「やや縮小」という逆の動きを見せています。

それでも、2018年時点の2位山形県(367.69平方メートル)を大きく上回る水準を保っていたため、2023年も引き続き1位の座を維持しています。この縮小傾向が今後も続くのか、次回(令和10年予定)の調査結果が注目されます。
縮小の背景にある2つの要因
敷地面積が縮小した明確な理由を茨城県の公表資料は詳述していませんが、一般的には次の2つの要因が影響していると考えられます。1つは、区画整理された新興住宅地(つくばエクスプレス沿線など)で、従来よりもコンパクトな区画分けが進んでいること。もう1つは、広い旧来の宅地が相続や売却の際に分筆され、複数の区画に分かれるケースが増えていることです。いずれも茨城県特有というより、全国の郊外部で見られる傾向と重なります。
「土地が広い」ことが不動産取引にもたらす3つの意味
敷地面積が全国トップクラスに広いという統計事実は、単なる豆知識ではなく、茨城県で不動産を所有・売却・相続する人にとって実務上のポイントにもつながります。
1. 分筆による有効活用がしやすい
敷地に余白がある物件は、法令上の制限(接道義務や最低敷地面積など)を満たせば、土地を分筆して一部を売却したり、親世帯と子世帯で土地を分けて活用したりする選択肢が生まれやすくなります。ただし、分筆には測量費用や境界確定の手間がかかるため、実行前に専門家へ相談することが前提です。
2. 固定資産税・都市計画税の負担が大きくなりやすい
敷地が広いということは、その分固定資産税・都市計画税の課税対象となる面積も広いということです。特に住宅用地の軽減特例(小規模住宅用地は200平方メートルまで課税標準が6分の1)を超える部分は軽減幅が小さくなるため、広い敷地を持つ住宅ほど、税負担の面で「広さ」がプラスにもマイナスにも働きます。
3. 相続時の分割協議が複雑になりやすい
敷地が広い実家を複数の相続人で引き継ぐ場合、「誰がどの部分を相続するか」「売却して現金で分けるか」といった分割協議が、狭小地に比べて選択肢が多い分だけ複雑になる傾向があります。広い土地は活用の自由度が高い一方で、相続人間の合意形成にはより丁寧な話し合いが必要です。
可住地面積の広さが背景にある
茨城県の敷地面積が全国トップクラスである背景には、可住地面積(総面積から山林や湖沼などを除いた、人が住むために利用できる面積)の広さがあります。茨城県は関東地方に位置しながら山地が少なく、平地が多いという地理的特徴を持っています。この平地の多さが、宅地としてゆとりある区画を確保しやすい土壌になっていると考えられます。
また、茨城県は農業産出額が全国トップクラスの県でもあり、住宅地の周辺に田畑が広がる地域が多いことも、1軒あたりの敷地に余裕が生まれやすい一因と言えるでしょう(茨城県の農地・宅地・山林の構成比については、関連記事「茨城県の土地利用」で詳しく解説しています)。
県内の地域差について(統計上わかること・わからないこと)
今回取り上げた「令和5年住宅・土地統計調査」の公表資料には、茨城県全体の敷地面積の平均値は示されていますが、44市町村別の詳細な内訳は公表されていません。そのため「県内のどの市町村が最も敷地が広いか」を統計から断定することはできません。
一般的な傾向として、つくばエクスプレス沿線や県南部の新興住宅地では区画整理により比較的コンパクトな敷地が多く、県北部や農村部では旧来からの広い敷地を持つ住宅が多いと言われますが、これはあくまで傾向であり、一次統計で市町村別に裏付けられた数値ではない点に注意してください(茨城県内の公示地価の市町村別ランキングについては、関連記事「茨城県44市町村の公示地価ランキング」で確認できます)。
茨城県の住宅事情|あわせて知っておきたいデータ
敷地面積以外にも、令和5年住宅・土地統計調査からは茨城県の住宅事情に関する多くのデータが公表されています。
総住宅数139万900戸、5年間で4.7%増加
2023年10月1日時点の茨城県の総住宅数は139万900戸で、2018年から4.7%(6万2,000戸)増加し過去最多となりました。総世帯数も119万9,500世帯で5.7%増加しています。
空き家率は14.1%、賃貸・売却用を除く空き家は増加
空き家数は19万6,200戸で、空き家率は14.1%と2018年(14.8%)よりやや改善しました。ただし、賃貸・売却用や別荘などの二次的住宅を除いた「その他の空き家」は9万3,200戸と、2018年から1万5,000戸増加しています。空き家問題の詳細は関連記事「茨城県の空き家率・世帯数データ」で解説しています。
2019年以降の増改築・改修工事は持ち家の28.1%
2019年以降に増改築・改修工事等が行われた持ち家は23万1,200戸で、持ち家全体の28.1%です。工事内容では「台所・トイレ・浴室・洗面所の改修工事」が15.8%と最も多く、次いで「屋根・外壁等の改修工事」が12.6%でした。築年数が古い住宅ほど改修が行われている傾向があり、1981〜1990年建築の住宅では38.2%が改修済みです。
耐震改修工事は持ち家のわずか2.2%にとどまる
2019年以降に耐震改修工事が行われた持ち家は1万8,100戸で、持ち家全体のわずか2.2%です。全国平均(1.9%)をやや上回るものの、旧耐震基準(1981年以前)の住宅が今なお多く残る中で、耐震化のペースは緩やかと言えます。
広い土地を「持て余す」前に検討したい選択肢
全国トップクラスに広い敷地は資産として大きな価値がある一方、管理の負担や税負担が重くなりやすいという側面もあります。特に相続で広い実家を引き継いだものの、住む予定がない、管理しきれないというケースでは、早めに選択肢を整理しておくことが将来の負担軽減につながります。
選択肢1:そのまま所有し賃貸や駐車場として活用する
広い敷地を生かして、一部を駐車場や貸地として活用する方法です。ただし、賃貸経営には管理の手間や空室リスクが伴うため、収支シミュレーションを事前に行うことが欠かせません。
選択肢2:売却して現金化する
管理の手間や税負担を手放し、資産をシンプルな形にしたい場合は売却が有力な選択肢です。広い敷地は分筆して複数の買主に販売できる可能性もあり、仲介での売却が向いているケースと、まとまった現金化を急ぐ場合の買取が向いているケースがあります。
選択肢3:古家がある場合は解体して更地で売る
老朽化した建物が敷地内にある場合、解体して更地にしてから売却する方法もあります。ただし、更地にすると住宅用地の固定資産税の軽減特例が外れ、税額が上がる点には注意が必要です。解体費用や茨城県内の解体補助金制度については、グループの解体専門サイト「解体Do!」で市町村別に詳しく解説しています。
まとめ|広い土地は茨城県の強みであり、活用には計画が必要
茨城県の1住宅あたり敷地面積394.15平方メートルという数字は、全国平均を大きく上回り、47都道府県中1位という際立った特徴です。この「広さ」は、駐車スペースや庭など暮らしのゆとりを生む一方で、固定資産税の負担や相続時の分割協議、管理の手間といった課題にもつながります。ご自身やご家族が所有する土地がどのような状態にあるか、一度整理してみることをおすすめします。売却・活用・解体など具体的な選択肢に迷った際は、お気軽にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 茨城県の敷地面積が全国1位というのは、県内すべての地域で当てはまりますか?
A. 今回のデータは茨城県全体の平均値であり、44市町村別の内訳は公表されていません。つくばエクスプレス沿線の新興住宅地など区画整理が進んだ地域では平均より狭い敷地も多く、地域差があると考えられます。
Q. 敷地が広いと固定資産税は必ず高くなりますか?
A. 敷地面積が広いほど課税対象の面積も広くなるため、税額が高くなりやすい傾向はあります。ただし、住宅用地の軽減特例(200平方メートルまでは課税標準が6分の1、それを超える部分は3分の1)が適用されるため、実際の税額は敷地面積だけでなく建物の有無や用途によっても変わります。正確な税額は市町村の固定資産税担当窓口でご確認ください。
Q. 広い土地を分筆して一部だけ売ることはできますか?
A. 用途地域や接道義務など建築基準法・都市計画法上の制限を満たせば可能です。ただし、分筆には土地家屋調査士による測量・境界確定が必要で、費用と時間がかかります。市街化調整区域では分筆後の建築が制限される場合もあるため、事前に自治体や不動産会社への確認が必要です。
Q. 一戸建てとマンションで敷地面積の考え方は違いますか?
A. 一戸建ては住宅ごとに敷地を所有しますが、マンション(区分所有建物)では建物が建つ土地全体を区分所有者全員で共有し、専有面積に応じた持分割合で保有する仕組みが一般的です。そのため「1住宅あたりの敷地面積」という単純比較はできず、今回のデータも主に一戸建てを中心とした数値である点に留意してください。
Q. 敷地面積が縮小傾向にあるのはなぜですか?
A. 茨城県の公表資料では明確な理由は述べられていませんが、一般的には新興住宅地での区画のコンパクト化や、相続・売却時の分筆によって1住宅あたりの敷地が細分化されていく傾向が全国的に見られます。茨城県も同様の流れの中にあると考えられます。
Q. このデータはどこで確認できますか?
A. 総務省統計局が5年ごとに実施する「住宅・土地統計調査」の結果を、茨城県統計課が「令和5年住宅・土地統計調査の結果の概要」としてまとめ、茨城県公式サイトで公表しています(2025年3月28日更新分)。
Q. 相続した実家の土地が広くて管理に困っています。どこに相談すればいいですか?
A. 売却・賃貸活用・解体後の売却など、土地の状態やご希望によって最適な選択肢は異なります。無料査定・相談を承っておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
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