目次
  1. 茨城県の「擁壁・傾斜地の物件」を考える前提
    1. 「がけ」「擁壁」「傾斜地」の違いを整理
  2. 茨城県建築基準条例「がけ条例」の基準
    1. 高さ2m超・こう配30度超が対象
    2. 市町村ごとに条例を持つ場合もある
  3. 茨城県内の土砂災害警戒区域等の指定状況
    1. 県内で指定された区域は4,000件超
    2. 指定は「随時更新」される
  4. 盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)と茨城県
    1. 令和7年4月・令和8年4月に県内全域が規制区域に
    2. 「造成宅地防災区域」は現在指定なし
  5. 擁壁・傾斜地の物件を売却・購入するときの実務ポイント
    1. 擁壁の「検査済み」の有無を確認する
    2. 擁壁の老朽化・ひび割れは買主に敬遠されやすい
    3. 造成・解体を伴う場合は許可要否の事前確認を
  6. 擁壁の維持管理責任は誰にあるのか
    1. 原則は土地所有者の責任
    2. 相続時は擁壁の状態も引き継がれる
  7. 地盤・土地の条件とあわせて見る視点
  8. 傾斜地とは?読み方と「急傾斜地」の考え方
  9. 急傾斜地法と急傾斜地崩壊危険区域とは
    1. 「急傾斜地」は傾斜度30度以上の土地
    2. 区域内で許可が必要になる主な行為
    3. 急傾斜地崩壊対策事業(崩壊防止工事)の仕組み
    4. 土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)との違い
  10. 傾斜地に家を建てる・住むときの注意点
  11. 傾斜地の土地評価と税金の考え方
  12. 傾斜地・急傾斜地を売却するときの進め方
  13. 傾斜地のメリット・デメリットを整理
  14. よくある質問
    1. Q1. 茨城県で「がけ条例」の対象になるのはどんな土地ですか?
    2. Q2. 自分の土地が土砂災害警戒区域かどうかはどこで確認できますか?
    3. Q3. 盛土規制法の規制区域に指定されると何が変わりますか?
    4. Q4. 擁壁のある土地は売却しにくいのでしょうか?
    5. Q5. 造成宅地防災区域は茨城県内にまだありますか?
    6. Q6. 急傾斜地崩壊危険区域に指定されている土地は売却できますか?
    7. Q7. 傾斜地に家を建てると後悔するといわれるのはなぜですか?
    8. Q8. 傾斜地の土地評価は国税庁でどのように決まりますか?
  15. まとめ
  16. 関連記事・関連サイト

茨城県の「擁壁・傾斜地の物件」を考える前提

茨城県は関東平野の一角にあり平坦な土地が多い印象を持たれがちですが、県北の阿武隈山地南端や筑波山周辺、霞ヶ浦・涸沼沿岸の台地端部など、傾斜地・がけ地を抱える地域も少なくありません。分譲地の中には昭和期の造成による高低差のある区画や、擁壁で支えられた宅地も存在します。

「茨城県」という県単位の視点で見たとき、擁壁・傾斜地の物件には共通して押さえておくべき法制度が存在します。この記事では、茨城県の公式データと条例に基づき、擁壁・傾斜地物件を検討・所有・売却するうえで知っておきたい制度を整理します。市町村ごとの詳細な立地相談は、担当エリアの店舗サイトで承っています。

「がけ」「擁壁」「傾斜地」の違いを整理

本記事では次の3つの言葉を区別して使います。

  • がけ:建築基準法・条例上、一定の高さ・角度を超える自然または人工の傾斜面
  • 擁壁:がけや盛土・切土面の崩壊を防ぐために設置するコンクリート・石積み等の構造物
  • 傾斜地:がけほどの角度はなくても起伏がある土地全般を指す一般的な呼び方

不動産取引では「擁壁があるかどうか」「その擁壁が建築基準法に適合しているか」が資産価値・再建築可否に直結するため、この違いを理解しておくことが重要です。

茨城県建築基準条例「がけ条例」の基準

高さ2m超・こう配30度超が対象

茨城県には、建築基準法第40条に基づき県独自の制限を付加する「茨城県建築基準条例」(昭和36年3月31日条例第21号)があります。この条例第5条(がけ)が、いわゆる「がけ条例」です。

条文では、高さ2メートルを超え、こう配(傾斜角度)が30度を超える土地を「がけ」と定義し、がけの下端からの水平距離が「がけの高さの2倍以内」の位置に建築物を建てたり敷地を造成したりする場合には、原則として安全な擁壁を設けなければならないと定めています。

たとえば高さ3mのがけであれば、その下端から水平距離6m以内が制限区域の目安となります。ただし、がけの形状や土質から見て安全上支障がないと認められる部分は対象外とされ、鉄筋コンクリート造とする等の代替措置で緩和される場合もあります(同条第2項)。

市町村ごとに条例を持つ場合もある

建築主事を置く市(水戸市・日立市・土浦市・古河市・つくば市・取手市・常総市・那珂市など)では、県条例ではなく市独自の建築基準条例が適用されるケースがあります。たとえば取手市には「取手市建築基準条例第5条」として同様のがけ条例があり、つくば市にも「つくば市建築基準条例」が定められています。物件所在地によって適用条例が異なるため、詳細は担当エリアの窓口・店舗サイトでの確認が必要です。

がけの高さ2mと制限距離2Hの関係を示す模式図
出典:茨城県建築基準条例第5条(がけ)をもとに作成

茨城県内の土砂災害警戒区域等の指定状況

県内で指定された区域は4,000件超

茨城県土木部河川課ダム砂防室が公表する「土砂災害警戒区域等指定箇所」データ(令和5年3月31日現在)によると、県内の指定は合計4,067件(土石流1,661件・急傾斜地崩壊2,234件・地すべり172件)にのぼり、このうち建築行為等に一定の制限がかかる土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)は3,590件を占めます。

県北エリア(常陸大宮市・大子町・常陸太田市・日立市・高萩市・北茨城市)と県央エリア(笠間市・城里町など)で指定件数が多い一方、水戸市・鹿嶋市・神栖市など平野部・沿岸部が中心の市町村では指定がゼロ、または少数にとどまります。地域による差が大きいことが一次データから読み取れます。

土砂災害警戒区域(イエローゾーン)に指定されると宅地建物取引業法上の重要事項説明義務が生じ、土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)に指定されると住宅等の建築に対して知事の許可が必要になるなど、より強い制限がかかります。所在地が該当するかどうかは、茨城県公式の「土砂災害警戒区域等指定箇所(市町村一覧)」または「いばらきデジタルマップ」で確認できます。

茨城県の土砂災害警戒区域・特別警戒区域の指定件数比較グラフ
出典:茨城県土木部河川課ダム砂防室「土砂災害警戒区域等指定状況」(令和5年3月31日現在)

指定は「随時更新」される

県は現在、指定区域の見直しを行う「2巡目調査」を実施中で、地形改変や新たな構造物の設置状況に応じて区域の形状が変更されることがあります。数年前に購入した物件でも、現在の指定状況が当時と異なっている可能性があるため、売却・購入いずれの場面でも最新の指定状況を確認することが欠かせません。

盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)と茨城県

令和7年4月・令和8年4月に県内全域が規制区域に

令和3年7月の熱海市土石流災害を契機に、土地の用途にかかわらず危険な盛土等を包括的に規制する「宅地造成及び特定盛土等規制法」(通称:盛土規制法)が令和5年5月26日に施行されました。

茨城県はこれを受けて令和7年4月1日に水戸市を除く県内全域を規制区域に指定し、中核市である水戸市も令和8年4月1日に独自の規制区域指定を行いました。これにより、2026年8月現在、茨城県内の全市町村が「宅地造成等工事規制区域」または「特定盛土等規制区域」のいずれかに含まれています。

規制区域内で一定規模以上の盛土・切土・一時的な土石の堆積を行う場合は、都道府県知事等の許可または届出が必要です。無許可施工や命令違反には懲役3年以下・罰金1,000万円以下(法人には最大3億円以下の罰金)という重い罰則が設けられており、造成を伴う擁壁工事・宅地の切り盛りを検討する際は事前の確認が欠かせません。

「造成宅地防災区域」は現在指定なし

盛土規制法以前の(旧)宅地造成等規制法に基づき、県内ではひたちなか市3か所・鹿嶋市1か所・東海村3か所の「造成宅地防災区域」が指定されていましたが、いずれも令和2年までに指定解除が完了しており、2026年8月時点で県内に現存する造成宅地防災区域はありません。ただし、これは「災害リスクがゼロになった」ことを意味するものではなく、対策工事等により基準を満たしたための解除である点には留意が必要です。

擁壁・傾斜地の物件を売却・購入するときの実務ポイント

擁壁の「検査済み」の有無を確認する

擁壁を含む造成工事が建築確認・工事完了検査を経ているかどうかは、物件の資産価値や住宅ローン審査に影響します。古い分譲地では、確認申請の記録が現存しない、あるいは条例施行前に造成された擁壁も見られます。売却を検討する際は、まず擁壁の建築確認台帳・検査済証の有無を役所窓口で確認することが第一歩です。

擁壁の老朽化・ひび割れは買主に敬遠されやすい

擁壁にひび割れ、はらみ(膨らみ)、排水不良による白華現象(エフロレッセンス)などが見られる場合、買主・金融機関双方から懸念材料とされやすく、成約までの期間が長引く傾向があります。売却前に専門家による現況確認を行い、必要に応じて改修の見積もりを取得しておくと、価格交渉の場でも根拠を持って説明できます。

造成・解体を伴う場合は許可要否の事前確認を

擁壁の新設・改修や大規模な切り盛りを伴う解体工事を検討する場合、前述の盛土規制法に基づく許可・届出の要否を事前に確認する必要があります。茨城県内の解体工事に関する費用・補助金の考え方は、関連記事「茨城県の解体補助金44市町村一覧」もあわせてご覧ください。

擁壁の維持管理責任は誰にあるのか

原則は土地所有者の責任

擁壁の維持管理責任は、原則としてその土地の所有者(擁壁を含む敷地の所有者)にあります。盛土規制法でも、盛土等が行われた土地について「土地所有者等が常時安全な状態に維持する責務を有すること」が明確化されており、擁壁が崩壊した場合には所有者が損害賠償責任を問われる可能性があります。隣地の擁壁の影響を受ける立場であっても、自己の敷地内で対策工事が必要になるケースがある点には注意が必要です。

相続時は擁壁の状態も引き継がれる

擁壁付きの土地を相続する場合、被相続人が把握していた擁壁の履歴(施工時期・改修歴・災害時の被害有無など)が相続人に引き継がれないまま所有者だけが変わることが少なくありません。相続登記や名義変更の機会に、擁壁の現況・関連書類の有無を家族間で共有しておくことで、将来の売却や維持管理の判断がスムーズになります。

なお、擁壁自体は固定資産税の課税対象ではありませんが、擁壁の維持管理には定期的な点検・補修費用がかかり続けます。所有し続けるほど負担が積み重なる点も踏まえ、売却や活用の判断材料の一つとして考えておくとよいでしょう。

地盤・土地の条件とあわせて見る視点

擁壁・傾斜地の物件は、地盤の液状化リスクや土地の広さといった他の土地条件ともあわせて検討することで、より正確な資産評価につながります。茨城県の地盤特性は「茨城県の地盤の特徴|液状化・軟弱地盤と売却への影響」、県内の土地の広さの傾向は「茨城県の土地の広さ|1住宅あたり394㎡で全国1位の理由」で詳しく解説しています。

傾斜地とは?読み方と「急傾斜地」の考え方

傾斜地(けいしゃち)とは、地面が傾いている土地の総称です。法律上の定義が一つに決まっているわけではなく、「斜面に面した土地」「敷地内に高低差のある土地」など、場面によって指す範囲が変わります。不動産の世界では、とくに傾斜が急で、がけ崩れや土砂災害のおそれがある土地を急傾斜地と呼び、法律で扱いが定められています。

結論からいうと、傾斜地は「安く買える土地」にも「売りにくい土地」にもなり得ます。分かれ目になるのは、傾斜の角度・擁壁(ようへき)の状態・区域指定の有無の3点です。この記事では、前半の「がけ条例」「盛土規制法」に加えて、急傾斜地法や傾斜地に家を建てるときの注意点、売却の進め方まで整理します。

急傾斜地法と急傾斜地崩壊危険区域とは

「急傾斜地」は傾斜度30度以上の土地

「急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律」(通称:急傾斜地法)では、傾斜度が30度以上ある土地を急傾斜地と定めています。このうち、崩壊するおそれがあり、崩壊すると人家などに被害が及ぶおそれが大きい場所は、都道府県知事が急傾斜地崩壊危険区域に指定できます。「急傾斜地崩壊危険区域」は検索でも調べられることの多い言葉で、売却・購入の前に必ず確認したいポイントです。

区域内で許可が必要になる主な行為

急傾斜地崩壊危険区域では、がけの崩壊を助長・誘発しないよう、次のような行為が知事の許可制になります。

  • のり切・切土・掘削・盛土など、土地の形を変える行為
  • 水を放流・停滞させる行為、ため池や用水路などの設置・改造
  • 擁壁・排水施設以外の工作物の設置・改造
  • 立木竹の伐採など、崩壊を助長するおそれのある行為

つまり、区域内の傾斜地では、自分の土地であっても自由に造成や伐採ができません。具体的な許可の要否は、県の担当窓口(土木事務所など)で個別に確認してください。

急傾斜地崩壊対策事業(崩壊防止工事)の仕組み

急傾斜地崩壊危険区域では、土地の所有者や被害を受けるおそれのある人が崩壊防止工事を行うことが困難または不適当な場合、都道府県が崩壊防止工事を行える仕組みがあります(急傾斜地崩壊対策事業)。実施されるかどうかは地形・保全人家数・費用対効果などで決まり、すべての急傾斜地で行われるわけではありません。自分の土地が事業の対象になりうるかは、お住まいの市町村または県の窓口へ相談するのが近道です。

傾斜地のがけ条例・急傾斜地法・土砂災害防止法の違いを比較した図解|茨城県の傾斜地の売却|ハウスドゥ茨城

土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)との違い

混同されやすいのが、土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域(イエローゾーン)・土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)との違いです。急傾斜地法は「崩壊を防ぐ工事と行為制限」、土砂災害防止法は「避難体制の整備と建築・開発の規制」が中心で、制度の目的が異なります。同じ土地が複数の制度の対象になることもあるため、「急傾斜地崩壊危険区域」「土砂災害警戒区域」「がけ条例」を別々に確認する必要があります。特別警戒区域での建築制限や売却の注意点は、土砂災害特別警戒区域とは?建築制限の内容と売却時の注意点で詳しく解説しています。

傾斜地に家を建てる・住むときの注意点

「傾斜地に家を建てて後悔した」という声が出やすいのは、見た目の景色や価格の安さだけで判断し、造成や外構のコストを見落とすケースです。傾斜地の住宅では、おもに次の点が検討事項になります。

検討ポイント傾斜地で起こりやすいこと
造成・整地の費用平らにするための切土・盛土や整地に費用がかかる(造成費用は土地の条件で大きく変わる)。目安は整地費用の相場も参考に
擁壁・土留め既存擁壁の状態次第で補修・やり直しが必要になることがある。検査済証や図面の有無を確認
駐車場・アプローチ道路との高低差で、駐車場や階段・スロープの設計に費用と手間がかかる
外構・フェンス・カーポート地面が傾いているため、基礎やデッキの施工が割高になりやすい
水はけ・雑草・草刈り雨水の流れ方に注意が必要。斜面の草刈り・除草の手間も長期的な負担に
前下がり・前上がり道路より低い土地(前下がり)は排水や湿気、高い土地(前上がり)は階段や擁壁の検討が必要

とくに急傾斜地や、がけの近くの住宅では、前半で説明したがけ条例の擁壁基準を満たしているかが建築可否に直結します。購入前に、建築士や不動産会社と一緒に現地を確認すると安心です。

傾斜地の土地評価と税金の考え方

相続税や贈与税の土地評価では、傾斜地は「傾斜度による補正」の対象になります。国税庁の財産評価基本通達では、傾斜度が大きいほど評価を下げる補正の仕組みがあり、路線価に基づく評価額から減額される場合があります。具体的な補正率は、土地の用途(宅地・畑・山林)や地区区分で異なるため、国税庁のホームページで最新の表を確認するか、税理士に相談してください。

また、傾斜地は面積の測り方によって登記簿面積と実測面積が違うことがあります。面積の考え方は地積とは?登記簿面積と実測面積の違いもあわせてご覧ください。

傾斜地・急傾斜地を売却するときの進め方

傾斜地は条件の幅が広いため、売却の進め方も次のように整理すると判断しやすくなります。

  1. 区域指定を調べる:急傾斜地崩壊危険区域・土砂災害警戒区域・特別警戒区域に当たるかを、県・市の公式マップや窓口で確認します。
  2. 擁壁と境界を確認する:擁壁の検査済証・施工図、隣地との境界、越境の有無を整理します。
  3. 重要事項説明に備える:区域内の土地は、買主への重要事項説明で法令上の制限として説明が必要になる場合があります。不動産会社と事前に整理しておきましょう。
  4. 仲介と買取を比較する:時間をかけて買主を探す仲介に対し、買取は現状のまま、擁壁や造成の条件も踏まえて価格を提示してもらえるため、早期売却や契約不適合責任の負担軽減につながります。
  5. 手放す選択肢も検討する:活用が難しい土地は、自治体への無償譲渡が断られる理由と手放す方法も確認しておくとよいでしょう。

ハウスドゥ茨城グループでは、擁壁付き・傾斜地・がけ地といった条件のある不動産のご相談も承っています。「売れるのか分からない」という段階でも、まずは状況をお聞かせください。

傾斜地のメリット・デメリットを整理

ここまでの内容を、傾斜地を購入・所有する場合のメリットとデメリットとして整理します。土地の条件によって当てはまり方は変わるため、あくまで検討の目安にしてください。

メリットデメリット・リスク
高低差を生かした眺望・日当たり、開放感のある設計がしやすい造成・擁壁・地盤改良など工事の費用がかさみやすい
平坦な土地より価格が抑えられている場合があるがけ条例・急傾斜地法など、建築や造成に制限がかかる場合がある
高台は水害(浸水)リスクが比較的低いケースがある斜面の崩壊・土砂災害のリスクや、擁壁の老朽化への備えが必要
ビルトインガレージなど斜面を活用した設計ができる買主が限られ、売却に時間がかかる・価格が下がりやすい

傾斜地の購入を検討するときは、価格の安さだけでなく、地盤の状態・斜面の安定性・建築の制限・設計や工事の総費用を確認し、専門家に相談したうえで判断することが重要です。売却する側は、これらの不安を先回りして整理しておくことが、買主の信頼につながります。

よくある質問

Q1. 茨城県で「がけ条例」の対象になるのはどんな土地ですか?

茨城県建築基準条例第5条では、高さ2メートルを超え、こう配30度を超える土地を「がけ」と定義しています。このがけの下端から水平距離でがけの高さの2倍以内の範囲に建築する場合、原則として安全な擁壁の設置が必要です。ただし、建築主事を置く一部の市では市独自の条例が適用される場合があります。

Q2. 自分の土地が土砂災害警戒区域かどうかはどこで確認できますか?

茨城県公式サイトの「土砂災害警戒区域等指定箇所(市町村一覧)」、または「いばらきデジタルマップ」で確認できます。指定は随時更新されるため、購入・売却を検討する際は最新の指定状況を確認することをおすすめします。

Q3. 盛土規制法の規制区域に指定されると何が変わりますか?

規制区域内で一定規模以上の盛土・切土・土石の一時堆積を行う場合、都道府県知事等の許可または届出が必要になります。茨城県では令和7年4月に水戸市を除く全域、令和8年4月に水戸市が規制区域に指定され、県内全域が対象となっています。

Q4. 擁壁のある土地は売却しにくいのでしょうか?

擁壁があること自体が直ちに売却の妨げになるわけではありませんが、擁壁の老朽化・ひび割れ・検査済証の有無などが買主・金融機関の判断材料になります。事前に現況を確認し、必要な資料を揃えておくことで、スムーズな取引につながりやすくなります。

Q5. 造成宅地防災区域は茨城県内にまだありますか?

2026年8月時点で、茨城県内に現存する(旧法に基づく)造成宅地防災区域はありません。過去に指定されていたひたちなか市・鹿嶋市・東海村の区域はいずれも令和2年までに指定解除されています。

Q6. 急傾斜地崩壊危険区域に指定されている土地は売却できますか?

売却はできます。ただし、区域内では掘削・盛土・伐採などに知事の許可が必要になるなど、行為が制限されます。買主へ重要事項説明で制限内容を正しく伝える必要があるため、売却前に区域指定の有無と許可の要否を確認しておくことが大切です。

Q7. 傾斜地に家を建てると後悔するといわれるのはなぜですか?

造成・擁壁・駐車場や階段などの外構費用が想定より膨らみやすいことが主な理由です。また、水はけや草刈りなど維持管理の手間もかかります。購入前に、擁壁の状態と総費用を見積もっておくと後悔を減らせます。

Q8. 傾斜地の土地評価は国税庁でどのように決まりますか?

相続税などの評価では、傾斜度に応じて評価額を下げる補正の仕組みがあります。補正率は土地の用途や地区区分によって異なるため、国税庁の最新資料の確認や税理士への相談をおすすめします。

まとめ

茨城県内の擁壁・傾斜地の物件には、県のがけ条例(高さ2m超・こう配30度超)、土砂災害警戒区域等(県内4,067件指定)、そして令和7〜8年に県内全域へ適用が広がった盛土規制法という、重なり合う複数の制度が関わります。所有・売却・購入のいずれの場面でも、まず「自分の物件がどの制度の対象になるか」を確認することが、適切な資産評価とスムーズな取引につながります。

擁壁や傾斜地を含む不動産の売却・査定について、市町村ごとの詳しい状況は担当エリアの店舗サイト(つくば市・水戸市・取手市・守谷市)でもご相談いただけます。まずはお気軽にお問い合わせください。

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