茨城県内で新築住宅を建てる人・買う人が、この数年で目に見えて減っています。茨城県がまとめた令和7年度(2025年度)の県内新設住宅着工戸数は1万4,180戸で、前年度比5.6%減。記録が残る昭和60年度(1985年度)以降で過去最少を3年連続で更新し、初めて1万5,000戸を割り込みました(出典:茨城県「住宅着工データ」/国土交通省「住宅着工統計」)。
「新築が減っている」というニュースは、単なる建築業界の話ではありません。新設住宅着工戸数は、その地域でこれから何年も使われる住宅ストックがどう増減していくかを映す先行指標であり、中古住宅市場・空き家問題・相続不動産の今後にも直結する数字です。この記事では、一次情報だけを根拠に、茨城県の住宅着工の現在地と、そこから見える暮らし・不動産への影響を整理します。
茨城県の住宅着工戸数とは何か
統計データの見方の注意点
住宅着工統計は「着工した戸数」を集計するものであり、「完成した戸数」ではありません。着工から完成・引き渡しまでには通常数か月〜1年程度のタイムラグがあるため、着工戸数の増減は数か月〜1年後の住宅市場の動きを先取りするデータとして読むのが適切です。また、年度単位の数字は台風・豪雨などの一時的な工事遅延の影響を受けることもあるため、複数年のトレンドとあわせて確認することが推奨されます。
「住宅着工戸数」とは、国土交通省が毎月まとめる「住宅着工統計」に基づき、一定期間内に工事に着手した住宅の戸数を集計したものです。マンションやアパートの1室も、戸建て住宅も、それぞれ「1戸」として数えられます。茨城県はこの国の統計データを県内分として独自に集計し、「住宅着工データ」として県公式サイトで公表しています(茨城県土木部住宅課、直近更新:2026年6月1日)。
着工戸数は「今どれだけの住宅が新しく供給されているか」を表す数字であり、人口動態や地価とあわせて見ることで、その地域の住宅市場が拡大局面にあるのか縮小局面にあるのかを判断する材料になります。
令和7年度は過去最少を3年連続更新
2026年に入り報道された最新の県まとめによると、令和7年度(2025年度)の茨城県内新設住宅着工戸数は1万4,180戸。前年度比では5.6%の減少となりました。この数字が特に注目されたのは、次の2点です。
- 統計の記録が残る1985年度以降で過去最少だったこと
- 過去最少の更新が3年連続だったこと(=一時的な落ち込みではなく、複数年にわたる下降トレンド)
- 1万5,000戸を下回ったのは今回が初めてだったこと
つまり茨城県の新築住宅市場は、単年の変動ではなく、複数年単位で供給量そのものが縮小し続けている局面にあるといえます。
利用関係別の内訳|伸びたのは分譲住宅だけ
戸数全体が減少するなかでも、内訳を見ると住宅の種類によって明暗が分かれています。令和7年度の利用関係別の内訳(前年度比)は次の通りです。
- 持家(注文住宅など):6,473戸(前年度比10.7%減)
- 貸家(賃貸アパート・マンションなど):4,450戸(前年度比14.0%減)
- 給与住宅(社宅・官舎など):64戸(前年度比40.2%減)
- 分譲住宅(マンション・建売住宅など):3,193戸(前年度比28.0%増)
持家・貸家・給与住宅がそろって前年度を下回るなか、分譲住宅だけが唯一プラスという結果でした。個人が土地から検討して建てる注文住宅より、価格や引き渡し時期が見えやすい分譲住宅(建売・マンション)に需要がシフトしている可能性がうかがえます。

減少が続く3つの背景
茨城県内の住宅着工減少の背景として、報道では主に3つの要因が挙げられています。
1. 建築費の高騰
木材・鉄骨・住宅設備などの資材価格や、人件費の上昇が続き、新築住宅の建築コストそのものが数年前と比べて大きく上がっています。同じ広さ・仕様の家でも、以前より高い予算が必要になっているため、新築を選択肢から外す世帯が増えていると考えられます。
2. 住宅ローン金利の上昇
低金利が続いた時期に比べ、住宅ローンの金利水準は上昇局面に入っています。借入額が同じでも毎月の返済負担が増えるため、新築の検討を先送りしたり、予算を抑えられる中古住宅へ目を向けたりする動きにつながっている可能性があります。
3. 省エネ基準適合義務化に伴う反動減
2025年4月から、新築住宅に省エネ基準への適合が義務化されました。この制度変更の直前には「基準が厳しくなる前に着工したい」という駆け込み需要が発生しやすく、施行後はその反動で着工が落ち込む傾向があります。令和7年度の大幅減には、この駆け込み需要の反動も影響しているとみられます。
直近2年半の月次推移で見る足元の動き
年度単位の数字だけでなく、月ごとの動きを見ると、茨城県内の住宅着工がどのように推移してきたかがより具体的にわかります。国土交通省「住宅着工統計」を基にした月次データ(2024年1月〜2026年5月)では、月によって800戸台から1,800戸台まで大きく変動しながらも、2025年度後半にかけて低水準の月が目立つ傾向が確認できます。

月次データは季節要因(年度末の駆け込み、年始の落ち込みなど)による変動が大きいため、単月の増減だけで一喜一憂せず、複数月・複数年の流れで捉えることが重要です。
茨城県内での地域差をどう見るか
県全体の着工戸数は減少基調にありますが、これは県内44市町村すべてが一様に落ち込んでいることを意味しません。茨城県はこれまで、つくばエクスプレス(TX)沿線を中心とする守谷市・つくば市・つくばみらい市などで人口・世帯数の増加が続いていることが統計上確認されており(茨城県統計課「令和7年国勢調査人口速報集計結果」)、こうしたエリアでは分譲住宅を中心に一定の新築需要が保たれていると考えられます。
一方で、人口減少が先行する県北・鹿行地域などでは、新築住宅の供給がより早いペースで細っている可能性があります。「茨城県の住宅着工が減っている」という県全体の数字の裏には、こうした地域差が存在することを踏まえておく必要があります。
新築が減ることは中古住宅市場に何をもたらすか
新設住宅着工戸数の減少は、不動産を所有している人・これから売却や相続を考える人にとって、次のような意味を持ちます。
中古住宅の相対的な位置づけが上がる
新築の供給ペースが落ちれば、住宅を探す人にとって中古住宅は相対的に選択肢の中心に近づきます。特に、立地条件が良く手入れの行き届いた中古戸建てやマンションは、新築着工の減少局面でも需要を集めやすくなる傾向があります。
空き家・相続不動産の「持ち続けるコスト」が意識されやすくなる
新築が減る一方で、既存の住宅ストックは今後も残り続けます。使われていない実家や相続した空き家をそのまま所有し続けることは、固定資産税や管理の手間といった負担が続くことを意味します。新築市場の縮小は、既存住宅をどう活かす・手放すかという判断を先送りにできる理由にはなりません。
売却タイミングの判断材料になる
住宅着工の動きは、住宅ローン金利や建築費といった不動産市場全体の地合いとも連動しています。新築を建てる・買う人の動きが鈍っている局面だからこそ、「今の自分の物件は、いくらで・どのくらいの期間で売れるのか」を早めに把握しておくことが、売却を検討するうえでの判断材料になります。
住宅着工と人口・地価の関係から見えること
住宅着工戸数は、単独で見るよりも、人口動態や地価の推移とあわせて見ることでより立体的に理解できます。茨城県は令和7年国勢調査人口速報集計結果で総世帯数が126万世帯を超え、前回調査より世帯数自体は増加していることが確認されています(茨城県統計課調べ)。世帯数が増えているにもかかわらず住宅着工が減少しているという状況は、「世帯は増えても、その多くが新築ではなく既存住宅(中古・賃貸)で住まいを確保している」可能性を示しています。
また、国土交通省地価公示を集計したデータでは、茨城県内の地価はTX沿線を中心に上昇している一方、それ以外の多くのエリアでは横ばいから微減という二極化が続いています。地価が上昇しているエリアほど新築の分譲住宅需要が集まりやすく、それ以外のエリアでは新築より既存住宅の流通が中心になりやすいという構図が、今回の着工データの内訳(分譲住宅だけが増加)とも整合的です。
これから住宅取得を検討する人が押さえておきたい視点
着工戸数の減少は、これから家を建てる・買うことを検討している人にとっても無関係ではありません。
新築の総量が減れば選択肢も限られる
供給される新築住宅の総数が減るということは、単純に「選べる新築物件の数」が少なくなることを意味します。希望のエリア・広さ・価格帯に合う新築を探す難易度は、これまでより上がっていく可能性があります。
建築コストは今後も高止まりする可能性がある
建築費の高騰が着工減少の一因になっている以上、この傾向がすぐに解消する保証はありません。新築での住宅取得を考える場合は、資金計画に建築費上昇のリスクを織り込んでおくことが重要です。
中古住宅・リフォームという選択肢の重要性が増す
新築の供給が細る局面では、状態の良い中古住宅を購入してリフォーム・リノベーションするという選択肢の相対的な価値が高まります。売却を検討している側にとっても、物件の状態を適切に整えておくことが、成約のしやすさに直結しやすくなります。
エリア別に見る売却の相談先
茨城県内の不動産売却は、エリアによって相場や買い手の動きが異なります。当グループでは県内を4つの店舗エリアで担当しています。
- つくば市・県南エリアの売却はハウスドゥ つくば研究学園都市
- 水戸市・県央エリアの売却はハウスドゥ 家・不動産買取専門店 県庁水戸
- 取手市・戸頭エリアの売却はハウスドゥ 取手戸頭
- 守谷市エリアの売却はハウスドゥ 守谷
- 老朽化した空き家の解体を検討する場合は解体Do!
茨城県全域の相場・データについては、県南・県北・鹿行など地域別にまとめた記事もあわせてご覧ください。
- 茨城県南の不動産売却|つくば・土浦・牛久の相場【2026】
- 茨城県北エリアの不動産売却|日立市・常陸太田市など6市町の相場【2026】
- 茨城県鹿行エリアの不動産売却|鹿嶋市・神栖市など5市の相場【2026】
- 茨城県の人口推移と将来推計|2050年までの見通し【2026年】
- 茨城県44市町村 公示地価ランキング【2026年】
よくある質問
Q1. 茨城県の住宅着工戸数は現在どのくらいですか?
A. 令和7年度(2025年度)の茨城県内新設住宅着工戸数は1万4,180戸です。前年度比5.6%減で、統計の記録が残る1985年度以降で過去最少を3年連続で更新しました(出典:茨城県「住宅着工データ」/国土交通省「住宅着工統計」)。
Q2. なぜ茨城県の新設住宅着工戸数は減少しているのですか?
A. 主な要因として、建築資材や人件費の高騰による建築コストの上昇、住宅ローン金利の上昇、そして2025年4月に施行された省エネ基準適合義務化に伴う駆け込み需要の反動減の3つが挙げられています。
Q3. 住宅の種類によって増減の傾向は違いますか?
A. はい。令和7年度は持家(10.7%減)・貸家(14.0%減)・給与住宅(40.2%減)がいずれも減少した一方、分譲住宅(マンション・建売住宅など)だけは前年度比28.0%増と唯一プラスでした。
Q4. 住宅着工戸数の減少は、中古住宅を売る側にどんな影響がありますか?
A. 新築の供給が減ると、住宅を探す人の選択肢の中で中古住宅が占める割合は相対的に高まりやすくなります。一方で、これは既存の住宅・空き家を「持ち続けるコスト」がなくなるわけではないため、売却や活用の判断を先送りする理由にはなりません。
Q5. 茨城県内でも着工の状況は地域によって違いますか?
A. 県全体では減少基調ですが、つくばエクスプレス沿線の守谷市・つくば市・つくばみらい市などは人口・世帯数の増加が続いているエリアであり、分譲住宅を中心に新築需要が相対的に保たれていると考えられます。地域ごとの差を踏まえて判断することが重要です。
Q6. 茨城県の住宅着工データはどこで確認できますか?
A. 茨城県公式サイトの「住宅着工データ」ページで、国土交通省「住宅着工統計」を基にした年度別の詳細データ(市町村別・構造別など)がExcel形式で公開されています。最新の令和7年度・令和8年度データも順次更新されています。
まとめ|新築が減る局面こそ、今の住まいの価値を確認したい
茨城県内の新設住宅着工戸数は、令和7年度に1万4,180戸となり、過去最少を3年連続で更新しました。建築費の高騰や金利上昇、制度変更の反動など複数の要因が重なった結果ですが、この数字が示しているのは「これから新しく供給される住宅の数が、これまでより確実に少なくなっている」という事実です。
新築が減る局面では、すでにある住宅・土地の価値や役割が相対的に見直されやすくなります。相続した実家、空き家のまま管理している物件、住み替えを検討している持ち家など、今のご自宅や所有物件がどのくらいの価値で、どのように売却・活用できるのかを把握しておくことは、今後の選択肢を広げることにつながります。
茨城県内の売却・査定に関するご相談は、エリアを問わず下記の窓口からお気軽にお問い合わせください。
茨城県内の不動産売却・査定のご相談はこちら
| 電話で相談 0120-565-072 |
LINEで相談 | 無料査定を申し込む |




