目次
  1. 茨城県の「相続不動産」を考える前提
    1. この記事で扱う「相続不動産の傾向」の範囲
  2. 茨城県の被相続人数(死亡者数)の実態
    1. 令和5年分は26,743人、前年から154人増加
    2. 全国の死亡者数はさらに多い令和5年分234,600人
  3. 令和6年4月施行「相続登記の申請義務化」で何が変わったか
    1. 3年以内の登記申請が法律上の義務に
    2. 簡易に義務を果たせる「相続人申告登記」
    3. 登録免許税の免税措置と所有不動産記録証明制度
    4. 正当な理由として認められるケース
  4. なぜ相続登記の義務化が必要になったのか|所有者不明土地問題
  5. 相続放棄という選択肢|全国では過去最多の水準
    1. 相続放棄の申述受理件数は増加傾向
    2. 相続放棄はすべての財産を放棄すること
  6. 相続不動産が空き家化・所有者不明化する構造
    1. 「相続したが住まない」不動産が積み上がる
    2. 相続登記の未了と所有者不明土地の関係
  7. 生活者から見た「相続不動産」の意味
  8. 相続不動産と売却・空き家対策の接点
    1. 相続した不動産を「売る」という選択肢
    2. 売るか、貸すか、空き家のまま維持するか
  9. よくある質問
    1. Q. 相続税がかからない場合でも、相続登記は必要ですか?
    2. Q. 相続登記の3年の期限は、いつから数えますか?
    3. Q. 遺産分割協議がまとまらず3年以内に登記できない場合はどうすればよいですか?
    4. Q. 相続放棄をすれば、実家の管理義務からも解放されますか?
    5. Q. 相続した実家が空き家のままだと、税金はどうなりますか?
    6. Q. 相続した不動産を売却する場合、相続登記は先に必要ですか?
    7. Q. 相続不動産の売却について、まず何をすればよいですか?
  10. まとめ
    1. 相続不動産のご相談は、茨城県のハウスドゥ4店舗へ
  11. 関連記事・関連サイト

茨城県の「相続不動産」を考える前提

茨城県では高齢化の進行に伴い、亡くなる方(被相続人)の数が年々積み上がっています。人が亡くなれば、その方が所有していた土地・建物は必ず相続の対象になり、誰かがその不動産を引き継ぐか、あるいは相続人全員が相続放棄をしない限り、所有権は宙に浮いたままにはなりません。

この記事では、「茨城県」という県単位の視点で、相続にまつわる公的な統計と制度を一次資料から確認し、相続不動産がどのような傾向をたどっているか、そして令和6年4月に始まった相続登記の申請義務化が何を変えたのかを整理します。市町村ごとの個別の相続相談は、担当エリアの店舗サイトで承っています。

この記事で扱う「相続不動産の傾向」の範囲

  • 茨城県における被相続人数(死亡者数)と相続税申告の実態(国税庁データ)
  • 相続登記の申請義務化という全国共通の制度変化とその影響
  • 相続放棄・限定承認という選択肢が使われる場面
  • 相続不動産が空き家化・所有者不明化につながる構造
  • 相続した不動産をどう扱うかという生活者の意思決定

特定の市町村の相続手続き窓口や書式の詳細は、後述のとおり関連記事・関連サイトで役割を分けて解説しています。

茨城県の被相続人数(死亡者数)の実態

令和5年分は26,743人、前年から154人増加

国税庁の地方支分部局である関東信越国税局が公表する「相続税の申告事績の概要」(令和5年分・令和6年12月公表)によると、茨城県における被相続人数(死亡者数)は次のとおりです。

年分 被相続人数(死亡者数) 相続税申告書の提出被相続人数 課税割合
令和4年分 26,589人 429人 8.5%
令和5年分 26,743人 409人 8.3%

つまり、茨城県で1年間に亡くなる方は約2万6,000人台後半で推移しており、そのうち相続税の申告が必要になるのは全体の8%台にとどまります。裏を返せば、**相続の9割以上は相続税がかからない範囲で発生している**ということであり、「相続=相続税の心配」という思い込みだけでは実態を捉えられません。相続税が課税されるかどうかにかかわらず、不動産の名義変更(相続登記)は原則として必要になる点が、次章で扱う制度変化のポイントです。

茨城県の被相続人数(死亡者数)と相続税申告数
出典:関東信越国税局「相続税の申告事績の概要」令和5年分

全国の死亡者数はさらに多い令和5年分234,600人

関東信越国税局管内(茨城・栃木・群馬・埼玉・新潟・長野の6県)を含む全国では、令和5年分の被相続人数(死亡者数)は234,600人(前年比101.2%)、うち相続税の申告書提出は20,980人(同103.8%)、課税割合は8.9%でした。全国課税割合とほぼ近い水準に茨城県もあることが確認できます。

令和6年4月施行「相続登記の申請義務化」で何が変わったか

3年以内の登記申請が法律上の義務に

法務省「相続登記の申請義務化について」(初回掲載:令和6年3月28日、最終更新:令和8年4月1日)によると、相続(遺言を含む)により不動産の所有権を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつその不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をすることが義務付けられました(不動産登記法第76条の2第1項)。

正当な理由がないのにこの申請を怠ったときは、10万円以下の過料の適用対象になります(同法第164条第1項)。これは今回の相続だけでなく、施行日(令和6年4月1日)より前に発生した相続で、まだ登記をしていない不動産にも適用される点が重要です。この場合は、令和9年3月31日までに相続登記を済ませる必要があります(民法等の一部を改正する法律附則第5条第6項)。

相続登記の申請義務化フロー図
出典:法務省「相続登記の申請義務化について」

簡易に義務を果たせる「相続人申告登記」

遺産分割の話し合いに時間がかかり3年以内の相続登記が難しい場合のために、「相続人申告登記」という簡易な手続きが新設されています(不動産登記法第76条の3)。自分が相続人であることを法務局に申し出るだけで、基本的な申請義務は履行したことになります(ただし遺産分割成立後の追加的義務は別途生じます)。

登録免許税の免税措置と所有不動産記録証明制度

相続登記を後押しするため、(1)相続で土地を取得した人が登記をせずに亡くなった場合の相続登記、(2)不動産の価額が100万円以下の土地の相続登記、について登録免許税の免税措置が令和9年3月31日まで設けられています。また令和8年2月2日には、特定の被相続人が登記簿上の所有者として記録されている不動産を一覧的にリスト化する「所有不動産記録証明制度」も施行され、相続登記が必要な不動産を把握しやすくなりました。

正当な理由として認められるケース

相続人が極めて多数にのぼり戸籍収集に時間を要する場合、遺産の範囲や遺言の有効性が争われている場合、申請義務者本人に重病等の事情がある場合、経済的に困窮し登記費用を負担できない場合などは「正当な理由」として過料の対象外になり得ます。個別の事情に応じた判断となるため、不安がある場合は司法書士等の専門家に相談することが推奨されます。

なぜ相続登記の義務化が必要になったのか|所有者不明土地問題

法務省は、相続登記がされないこと等により所有者が直ちに判明しない、または判明してもその所在が不明で連絡がつかない土地を「所有者不明土地」と定義しています。全国のうち所有者不明土地が占める割合は九州の大きさに匹敵するともいわれ、公共事業や災害復旧の遅れ、民間取引の阻害、管理不全による近隣への悪影響など、様々な問題の原因になってきました。法務省の分析では、所有者不明土地の発生原因の約3分の2を相続登記の未了が占めるとされており、これが義務化の直接の背景です。

高齢化が進む茨城県においても、亡くなる方の数が増える一方で登記が追いつかなければ、同様の問題が拡大するおそれがあります。

相続放棄という選択肢|全国では過去最多の水準

相続放棄の申述受理件数は増加傾向

相続した不動産の管理・処分に負担を感じる場合、相続人には「相続放棄」という選択肢があります。最高裁判所が公表する司法統計年報(家事編)によると、相続放棄の申述の受理件数は全国的に増加傾向にあり、令和5年(2023年)は28万件を超え過去最多の水準で推移しています。老朽化した実家や活用の見込みが立たない土地など、「不動産を相続してもかえって負担になる」と判断されるケースが増えていることの表れといえます。

茨城県内の相続放棄・限定承認の申述は、水戸家庭裁判所(本庁・日立支部・土浦支部・龍ケ崎支部・麻生支部・下妻支部)が被相続人の最後の住所地に応じて管轄しています。県内の家庭裁判所別の件数は公表資料からは確認できませんでした(一次資料で確認できない数値は明示しないという方針のため、正直に「確認できず」と記載します)。

相続放棄はすべての財産を放棄すること

相続放棄をすると、不動産だけでなく現金・預貯金を含む一切の財産を相続できなくなります。「価値のない土地だけ放棄する」ことはできません。マイナスの財産(負債)が資産を上回ると見込まれる場合の選択肢である一方、放棄後もすぐに管理義務から解放されるとは限らない点(民法上の保存義務が一定期間残る場合がある)には注意が必要です。相続放棄をするかどうかは、相続の開始を知った時から原則3か月以内に判断する必要があり、迷う場合は早めに専門家へ相談することが推奨されます。

相続不動産が空き家化・所有者不明化する構造

「相続したが住まない」不動産が積み上がる

相続人が実家を相続しても、すでに別の場所で生活基盤を持っている場合、その不動産は「誰も住まないが、誰かの名義ではある」状態で残ります。これが繰り返されることで、空き家や管理不全の土地が積み上がっていきます。総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」に基づく茨城県の空き家数は19万6,200戸、空き家率14.11%(全国35位)と、既存記事「茨城県の中古住宅市場の特徴」で報告したとおりです。

相続登記の未了と所有者不明土地の関係

前章のとおり、所有者不明土地の発生原因の約3分の2は相続登記の未了によるとされています。相続登記が義務化された今、「知らなかった」「後回しにしていた」では済まされない状況に変わりつつあり、相続不動産をどう扱うかという判断を先送りするコストは、以前より高くなっています。

生活者から見た「相続不動産」の意味

相続は、財産を受け継ぐ喜ばしい出来事であると同時に、多くの場合は身近な人を失った直後に、法律上の期限が伴う手続きへ向き合わなければならない負担の大きい出来事でもあります。茨城県内で相続不動産に直面する方の多くが抱える悩みは、おおむね次の3つに集約されます。

  • 相続登記の期限(3年)に間に合うか、何から始めればよいか分からない
  • 相続人が複数いて、誰がどの財産を取得するか(遺産分割)で意見がまとまらない
  • 相続した実家・土地を「住む」「貸す」「売る」「空き家のまま維持する」のどれにするか決めかねる

特に3つ目の「相続した不動産をどうするか」という判断は、次章で扱う不動産会社としての専門領域です。

相続不動産と売却・空き家対策の接点

相続した不動産を「売る」という選択肢

相続登記を済ませた後、その不動産に住む予定がなければ、売却は現実的な選択肢の一つです。相続不動産の売却では、遺産分割協議の成立、相続登記(被相続人名義のままでは売却できません)、必要に応じた測量・境界確認、譲渡所得税の計算(取得費が不明な場合の概算取得費、相続空き家の3,000万円特別控除の活用可否)など、通常の売却にはない論点が加わります。

売るか、貸すか、空き家のまま維持するか

相続不動産の活用方針に迷う場合、査定額を確認したうえで比較検討することも一つの方法です。空き家のまま放置すると、固定資産税の負担に加え、特定空家等に指定されれば住宅用地特例が解除され税負担が増す可能性があります(詳細は既存記事「茨城県の中古住宅市場の特徴」「解体Do!」の空き家関連コンテンツを参照)。解体を検討する場合は、解体Do!(kaitai-ibaraki.com)で市町村ごとの解体補助金情報も確認できます。

よくある質問

Q. 相続税がかからない場合でも、相続登記は必要ですか?

A. 必要です。相続税の課税・非課税と、相続登記の申請義務は別の制度です。茨城県では相続税の課税対象になるのは被相続人(死亡者)の8%台にとどまりますが、相続登記の申請義務はすべての相続に適用されます(不動産登記法第76条の2)。

Q. 相続登記の3年の期限は、いつから数えますか?

A. 「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日」から3年以内です。単に被相続人が亡くなった日ではなく、遺産分割が成立した場合は、その成立日からさらに3年以内に追加の登記申請義務が生じます。

Q. 遺産分割協議がまとまらず3年以内に登記できない場合はどうすればよいですか?

A. 「相続人申告登記」という簡易な手続きを使えば、基本的な申請義務は履行したことになります。ただし、その後に遺産分割が成立した場合は、成立日から3年以内に正式な相続登記(追加的義務)が必要です。

Q. 相続放棄をすれば、実家の管理義務からも解放されますか?

A. 相続放棄をすると不動産を含む一切の財産を相続しませんが、状況によっては民法上の保存義務が一定期間残る場合があります。相続放棄後の管理責任については、個別の事情により判断が異なるため専門家にご確認ください。

Q. 相続した実家が空き家のままだと、税金はどうなりますか?

A. 空き家でも固定資産税・都市計画税は課税されます。適切な管理がされず「特定空家等」に指定された場合、住宅用地特例(固定資産税の軽減措置)が解除され、税負担が増加する可能性があります。

Q. 相続した不動産を売却する場合、相続登記は先に必要ですか?

A. はい。被相続人(亡くなった方)名義のままでは不動産を売却できません。遺産分割協議で相続人を確定させたうえで相続登記を行い、相続人名義にしてから売却手続きに進みます。

Q. 相続不動産の売却について、まず何をすればよいですか?

A. 相続登記が済んでいるか、複数の相続人がいる場合は遺産分割の方針が固まっているかをまず確認し、そのうえで不動産会社に査定を依頼して市場価値を把握することをおすすめします。売る・貸す・維持するの判断材料になります。

まとめ

茨城県における相続不動産の傾向を一次資料から整理すると、次のことが確認できました。

  • 茨城県の被相続人数(死亡者数)は令和5年分26,743人で、前年から154人増加
  • 相続税の申告が必要になるのは被相続人の8.3%にとどまり、9割以上は相続税がかからない
  • 相続税の有無にかかわらず、相続登記の申請義務(令和6年4月1日施行、3年以内)はすべての相続に適用される
  • 正当な理由なく申請義務を怠ると10万円以下の過料の対象になる
  • 相続放棄の申述受理件数は全国的に過去最多水準で増加しており、負担になる不動産を手放す判断も一般化している
  • 相続登記の未了は所有者不明土地の主因(約3分の2)とされ、空き家化・管理不全の土地の増加にもつながっている

相続不動産をどう扱うか迷ったときは、まず相続登記の期限を確認し、そのうえで売る・貸す・維持するの選択肢を、専門家や不動産会社への相談を通じて検討することをおすすめします。

相続不動産のご相談は、茨城県のハウスドゥ4店舗へ

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