「今、茨城県で不動産はどれくらい売買されているのか」——この問いに答える一次データが、国土交通省が毎年公表している「土地取引規制基礎調査概況調査結果」です。全国の法務局に登記された土地の所有権移転(売買・払下げ・買収)を市区町村単位・月単位で集計したもので、レインズの成約件数(仲介物件の一部のみ)とは異なり、個人間売買や事業用地取引も含めた茨城県内の土地取引の全体像に最も近い統計です。本記事では、この登記ベースの一次情報から、茨城県の不動産取引件数の推移と地域差、そして生活者・売却検討者にとっての意味を整理します。

目次
  1. 茨城県の不動産(土地)取引件数の全体像
    1. 直近8年間の年間件数
    2. この統計の「取引件数」が意味するもの
    3. 2022年をピークにゆるやかな調整局面
  2. 茨城県内の地域差|44市町村比較
    1. 取引件数トップ10市町村(2025年)
    2. 44市町村で最も少ない水準の地域
    3. 県内44市町村の合計と県全体の値の整合
    4. 店舗展開エリア(水戸・つくば・取手・守谷)の位置づけ
  3. 取引件数の推移の背景にあるもの
    1. 全国的な傾向との比較
    2. 2021〜2022年の増加は「低金利下の需要顕在化」の時期と重なる
    3. 2023年以降の調整はどう見るべきか
  4. 生活者から見た「取引件数」の意味
    1. 「思ったより多くの人が売買している」という事実
    2. 「取引が多い=売りやすい」わけではない
    3. 件数だけでなく「面積」「用途」も変化している
  5. 住まい・不動産への接点|取引動向と売却タイミング
    1. 相場(公示地価)とあわせて見る
    2. 中古住宅・マンション市場との関係
    3. 相続・空き家との関係
    4. 「今売るべきか」を考えるための一つの材料に
  6. まとめ
  7. よくある質問
    1. Q. 茨城県の不動産取引件数は年間どのくらいですか?
    2. Q. この統計の「取引件数」にはどんな不動産が含まれますか?
    3. Q. 茨城県内でどの市町村の取引件数が多いですか?
    4. Q. 取引件数が多い市町村は不動産が売れやすいということですか?
    5. Q. 茨城県の取引件数はレインズの成約件数とどう違いますか?
    6. Q. 取引件数が減少傾向にあるとき、売却は控えるべきですか?
    7. Q. 取引件数のデータは今後も更新されますか?
  8. 関連記事・店舗エリアのご案内

茨城県の不動産(土地)取引件数の全体像

国土交通省「土地取引規制基礎調査概況調査結果」(2026年更新版、集計期間は令和7年11月までの暫定値を含む)によると、茨城県の年間土地取引件数は次のように推移しています。

茨城県の土地取引件数の推移2018-2025年グラフ
出典:国土交通省「土地取引規制基礎調査概況調査結果」(登記情報に基づく市区町村×月別集計を年計に加工)

直近8年間の年間件数

  • 2018年:37,746件
  • 2019年:35,809件
  • 2020年:35,407件
  • 2021年:38,662件
  • 2022年:39,455件
  • 2023年:38,201件
  • 2024年:38,567件
  • 2025年:37,018件(11月までの暫定値を含む集計)

この統計の「取引件数」が意味するもの

この調査でいう「土地取引件数」は、宅地(土地のみ・土地と建物)、農地、林地を含めた土地すべての所有権移転登記を、登記申請単位で集計したものです。国土交通省の解説では、売買・払下げ(売払い)・買収の件数がカウント対象とされており、相続による名義変更(相続登記)は原則含まれません。つまり、この数字は「茨城県内で実際に土地の売買(取引)が成立した件数のおおよその規模」を示す一次データと理解できます。

2022年をピークにゆるやかな調整局面

2018年から2025年の推移を見ると、コロナ禍初期の2019〜2020年にいったん落ち込み(35,000件台)、2021〜2022年にかけて39,455件(この8年間で最多)まで回復・増加した後、2023年以降は38,000件前後で推移し、2025年は37,018件(暫定)とやや調整している形です。急激な右肩上がりでも右肩下がりでもなく、年3万5千〜3万9千件のレンジ内で緩やかに増減しているというのが、この一次データから読み取れる実態です。

茨城県内の地域差|44市町村比較

県全体の件数だけでなく、どの市町村で取引が多いのかを見ると、茨城県内の不動産市場の実像がより立体的に見えてきます。国土交通省の市区町村別データ(2025年)を集計すると、以下の通りです。

茨城県土地取引件数トップ10市町村2025年比較グラフ
出典:国土交通省「土地取引規制基礎調査概況調査結果」市町村一括データより自社集計(2025年・暫定値を含む)

取引件数トップ10市町村(2025年)

順位 市町村 取引件数
1位 水戸市 3,630件
2位 つくば市 3,264件
3位 土浦市 1,943件
4位 古河市 1,834件
5位 鹿嶋市 1,513件
6位 ひたちなか市 1,377件
7位 日立市 1,306件
8位 取手市 1,197件
9位 鉾田市 1,128件
10位 牛久市 1,097件

44市町村で最も少ない水準の地域

一方、取引件数が少ない市町村としては、五霞町(73件)、河内町(85件)、利根町(211件)、大洗町(223件)、城里町(251件)などが挙げられます。県内44市町村の年間取引件数には、最多の水戸市(3,630件)と最少の五霞町(73件)で約50倍という大きな開きがあり、人口規模・都市化の度合いがそのまま取引の絶対数に反映されている構造がわかります。

県内44市町村の合計と県全体の値の整合

市区町村別データを44市町村分すべて合計すると37,018件となり、県全体の年計37,018件と完全に一致します(自社集計により確認)。つまり茨城県の土地取引は、全てこの44市町村のいずれかで発生しているということであり、県北・県西・鹿行などの郡部を含めた県全域で取引が分散している実態がうかがえます。

店舗展開エリア(水戸・つくば・取手・守谷)の位置づけ

当社が店舗を構える4エリアの県内順位を見ると、水戸市が1位(3,630件)、つくば市が2位(3,264件)、取手市が8位(1,197件)と、いずれも上位に位置しています。一方、守谷市は19位、つくばみらい市は24位で、つくばエクスプレス沿線でも人口規模の割に取引件数自体は中位にとどまっています(これは公示地価が高水準である守谷市・つくばみらい市が、価格上昇により相対的に取引「件数」自体は伸びにくい可能性を示唆しており、件数と地価は必ずしも連動しないことを示す一例です)。

取引件数の推移の背景にあるもの

全国的な傾向との比較

国土交通省の全国集計(同一データソース)では、全国の土地取引件数は2025年で約152.8万件です。茨城県(37,018件)は全国のおよそ2.4%を占める規模で、関東ブロックの中では東京都・埼玉県・千葉県に次ぐ水準にあり、栃木県(23,677件)・群馬県(22,308件)・福島県(19,383件)を上回っています。北関東の中では茨城県の取引件数が相対的に多いという位置づけです。

2021〜2022年の増加は「低金利下の需要顕在化」の時期と重なる

2021〜2022年にかけて茨城県の取引件数が2018年以降のピーク(39,455件)をつけた時期は、全国的に住宅ローン低金利が続き、テレワーク普及を背景に郊外・地方への住宅取得ニーズが顕在化した時期と重なります。ただし、この一次データだけから因果関係を断定することはできず、あくまで時期の一致として紹介するにとどめます(茨城県公式・国交省の資料に、この時期の増加要因を明示的に分析した記述は見当たりませんでした)。

2023年以降の調整はどう見るべきか

2023年に38,201件とやや減少し、2025年は37,018件(暫定)まで下がっています。これは新規に発生する取引が減ったというより、金利環境の変化や物件価格の高止まりにより、一部の取引判断が慎重になっている可能性が考えられますが、年3.5万〜3.9万件のレンジ内での変動であり、急減とは言えない水準です。本記事執筆時点で県が独自に要因分析を公表した資料は確認できておらず、断定は避けます。

生活者から見た「取引件数」の意味

取引件数の数字だけを見ても実感が湧きにくいかもしれません。しかし、この統計が意味することを生活者目線で言い換えると、次のように整理できます。

「思ったより多くの人が売買している」という事実

年間37,000件超という数字は、1日あたり平均100件以上の土地取引が県内のどこかで成立している計算になります(37,018÷365≈101件/日)。「不動産の売買は特別なイベント」というイメージを持たれがちですが、実際には日常的に県内各地で発生している取引であることが、この一次データから見えてきます。

「取引が多い=売りやすい」わけではない

取引件数が多い水戸市・つくば市は、それだけ買主・売主の候補となる人の動きが活発なエリアともいえますが、同時に競合する売却物件も多いエリアです。逆に取引件数が少ない郡部エリアでは、買い手を見つけるまでに時間がかかりやすい一方、希少性の高い物件として評価される場合もあります。取引件数はあくまで「市場の活発さ」を示す指標であり、個別の物件が「高く」「早く」売れるかどうかは、立地・状態・価格設定など別の要因で決まります。

件数だけでなく「面積」「用途」も変化している

同じ国土交通省の調査には土地取引「面積」の統計もありますが、本記事では件数に絞って紹介しています。件数が横ばい〜微減でも、1件あたりの取引面積や用途(宅地・農地・林地の内訳)が変化している可能性があり、これは今後の関連記事で扱うテーマとして残します。

住まい・不動産への接点|取引動向と売却タイミング

相場(公示地価)とあわせて見る

取引件数の推移と、当サイトで既に紹介している茨城県の公示地価の推移(10年)を重ねて見ると、2022年以降の地価上昇局面と、取引件数がピークをつけた時期がおおむね重なっていることがわかります。「価格が上がっている時期に取引も活発だった」という関係性は、売却を検討するタイミングを考えるうえでの参考情報になります。

中古住宅・マンション市場との関係

取引件数には土地のみの売買のほか、土地と建物を一括で取引したケースも含まれます。茨城県の中古住宅市場の特徴茨城県のマンション市場で紹介した住宅ストックの状況とあわせて見ることで、「今、茨城県でどれだけの不動産が動いているか」という全体像がより明確になります。

相続・空き家との関係

取引件数そのものには相続登記(名義変更のみ)は含まれませんが、茨城県の相続不動産の傾向で紹介した通り、相続をきっかけに数年後に売却(=この取引統計にカウントされる)に至るケースは少なくありません。また茨城県の空き家所有者の実像で見た通り、空き家所有者の約18.3%が「売却」を利用意向として挙げており、今後もこうした潜在的な取引予備軍が一定数存在すると考えられます。

「今売るべきか」を考えるための一つの材料に

取引件数の推移は、市場全体の温度感を知るための一つの材料にすぎず、個別の売却判断は、物件の状態・立地・ご家庭の事情によって最適なタイミングが異なります。茨城県内での売却・査定をご検討の際は、地域の取引動向を踏まえた査定を無料で承っております。

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市町村別の取引件数と合わせて、そもそも茨城県内にどれだけの不動産会社(宅建業者)があるのかは茨城県の宅建業者数と業界構造|国交省データで解説【2026】で解説しています。

まとめ

  • 茨城県の年間土地取引件数(登記ベース)は2025年で37,018件(暫定値を含む)、過去8年は35,000〜39,500件のレンジで推移。
  • 2022年(39,455件)をピークにゆるやかな調整局面にあるが、急減ではない。
  • 県内では水戸市・つくば市が突出して取引件数が多く、次いで土浦市・古河市・鹿嶋市が続く。最多と最少(五霞町)では約50倍の開きがある。
  • 店舗展開エリアのうち水戸市(1位)・つくば市(2位)・取手市(8位)は上位に位置。
  • 取引件数は市場の活発さを示す指標であり、個別の売却しやすさは物件ごとの条件で決まる。

茨城県内での不動産売却・査定をご検討の方は、地域の取引動向を踏まえた無料査定を承っております。お気軽にご相談ください。

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よくある質問

Q. 茨城県の不動産取引件数は年間どのくらいですか?

A. 国土交通省「土地取引規制基礎調査概況調査結果」によると、2025年(暫定値を含む)の茨城県の土地取引件数は37,018件です。過去8年間(2018〜2025年)は年間35,000〜39,500件のレンジで推移しています。

Q. この統計の「取引件数」にはどんな不動産が含まれますか?

A. 宅地(土地のみ・土地と建物)、農地、林地を含めた土地すべての所有権移転登記(売買・払下げ・買収)が集計対象です。登記申請単位で集計されており、相続のみによる名義変更(相続登記)は原則含まれません。

Q. 茨城県内でどの市町村の取引件数が多いですか?

A. 2025年データでは水戸市(3,630件)が最多、次いでつくば市(3,264件)、土浦市(1,943件)、古河市(1,834件)、鹿嶋市(1,513件)の順です。人口規模の大きい都市部で取引件数も多い傾向があります。

Q. 取引件数が多い市町村は不動産が売れやすいということですか?

A. 取引件数の多さは市場の活発さを示す一つの指標ですが、それだけで「売れやすさ」を保証するものではありません。取引件数が多いエリアは買い手候補が多い一方、競合する売却物件も多くなります。個別の売却しやすさは立地・物件状態・価格設定など複数の要因で決まります。

Q. 茨城県の取引件数はレインズの成約件数とどう違いますか?

A. レインズは不動産会社が仲介した物件の成約件数を集計したもので、対象は「首都圏」(1都3県)のみで茨城県は含まれません。一方、本記事で紹介した国土交通省の統計は登記情報に基づき、個人間売買や事業用地取引も含めた茨城県内の土地取引全体を市区町村単位で把握できる一次データです。

Q. 取引件数が減少傾向にあるとき、売却は控えるべきですか?

A. 2023年以降はやや減少傾向にありますが、2018〜2025年の変動幅は年3.5万〜3.9万件のレンジ内にとどまっており、急減ではありません。件数の増減だけで売却タイミングを判断するのではなく、公示地価の推移や個別物件の状況もあわせて検討することをおすすめします。

Q. 取引件数のデータは今後も更新されますか?

A. 国土交通省は毎年、前年までのデータを含めて集計表を更新・公表しています。2025年分は本記事執筆時点で11月までの暫定値を含んでおり、確定値は今後の更新で反映される見込みです。

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