茨城県は農業産出額全国3位、れんこん・メロン・栗など7品目で収穫量全国1位を誇る農業県として知られていますが、実はもうひとつ、あまり知られていない「日本一」級の顔があります。茨城県酒造組合には36の酒蔵が加盟し、5つの水系ごとに個性の異なる日本酒を育んできました。全国新酒鑑評会でも令和6・7酒造年度と2年連続で9蔵が入賞し、うち4蔵が最高評価の金賞を受賞しています。本記事では茨城県酒造組合・茨城県公式ホームページなど一次情報をもとに、県内の地酒事情と、蔵元の多いエリアで実家や空き家を持つ方が知っておきたい住まいの接点までを整理します。
茨城県はなぜ「日本酒どころ」と呼ばれるのか
関東屈指の酒蔵数を支える水と米
茨城県酒造組合の公式サイトによると、県内には「大自然の恵みと豊かな五つの水系」のもとに36の酒蔵があります。観光いばらき公式ホームページも「その恵まれた環境ゆえに、関東屈指の酒蔵数を有して」いると紹介しており、関東地方の中でも酒どころとしての規模が大きい県であることがわかります。
茨城県酒造組合に加盟する36の蔵元
実際に組合が公開する水系別の蔵元一覧を数えると、久慈川水系10蔵・筑波山水系10蔵・利根川水系6蔵・鬼怒川水系5蔵・那珂川水系4蔵の合計35蔵の社名を確認できました(2026年8月時点)。組合公表の「36蔵」との差は、後述する石岡市の蔵元1社が2025年6月末で営業を終了したことによるものとみられます。
5つの水系で見る茨城の酒どころマップ
茨城県酒造組合は加盟蔵を久慈川水系・那珂川水系・筑波山水系・鬼怒川水系・利根川水系の5つに区分しています。それぞれの水系は水源となる山が異なり、水質や地域の食文化の違いが酒の個性にも表れています。

久慈川水系|10蔵・県北の骨太な酒
福島県の八溝山麓を水源とする久慈川水系には、森島酒造(日立市)や嶋崎酒造(潮来市)など10の蔵元が名を連ねます。太平洋沿岸から山間部まで幅広いエリアに蔵が点在し、令和6・7酒造年度とも金賞を受賞した森島酒造「富士大観」など、県内最多タイの蔵数を誇る水系です。
那珂川水系|4蔵・水戸城下町の技
栃木県の那須岳を水源とする那珂川水系は4蔵と数は少ないものの、水戸市の吉久保酒造(銘柄「一品」)や明利酒類(銘柄「副将軍」)など、水戸徳川家の城下町で磨かれてきた蔵元が名を連ねます。
筑波山水系|10蔵・最多タイの蔵数と名水
筑波山を中心とした八溝山地南端部を水源とする筑波山水系も10蔵で最多タイです。つくば市の浦里酒造店(銘柄「霧筑波」)や稲葉酒造(銘柄「すてら」)、笠間市の磯蔵酒造(銘柄「稲里」)などが含まれ、筑波山麓の湧き水を生かした酒造りが特徴です。
鬼怒川水系|5蔵・結城紬の里の酒
栃木県の鬼怒沼山東斜面を水源とする鬼怒川水系には5蔵。結城市の武勇(銘柄「武勇」)や結城酒造、常総市の野村醸造・山中酒造店などが含まれ、結城紬の産地としても知られる地域です。
利根川水系|6蔵・県西の老舗
群馬県の丹後山・平ヶ岳付近を水源とする利根川水系は6蔵。古河市の青木酒造(銘柄「御慶事」、1831年創業)など、利根川流域で長く地域の味を守ってきた老舗が中心です。
全国区の評価と代表銘柄
令和6酒造年度 全国新酒鑑評会|9蔵入賞・4蔵金賞
独立行政法人酒類総合研究所などが主催する「全国新酒鑑評会」は全国唯一の清酒鑑評会です。茨城県公式ホームページによると、令和6酒造年度(2024年7月〜2025年6月)は茨城県から9蔵が入賞し、うち浦里酒造店(霧筑波)・武勇(武勇)・森島酒造(富士大観)・吉久保酒造(一品)の4蔵が最高評価の金賞を受賞しました。
令和7酒造年度 全国新酒鑑評会|同水準で続伸
観光いばらき公式ホームページによると、続く令和7酒造年度も茨城県から9蔵が入賞し、武勇・磯蔵酒造(稲里)・森島酒造(富士大観)・廣瀬酒造(白菊)の4蔵が金賞を受賞しています。2年連続で「9蔵入賞・4蔵金賞」という水準を維持している点は、茨城の酒造技術が一時的な当たり年ではなく安定した実力であることを示しています。
関東信越国税局酒類鑑評会|最優秀賞は浦里酒造店「霧筑波」
茨城・栃木・群馬・埼玉・新潟・長野の6県を管轄する関東信越国税局が主催する「関東信越国税局酒類鑑評会」の第96回(令和7年)吟醸酒の部では、つくば市の浦里酒造店「霧筑波」が最優秀賞を受賞しました。純米吟醸酒の部・純米酒の部でも県内の蔵元が複数、優秀賞・特別賞を受賞しています。
覚えておきたい代表銘柄
- 霧筑波(浦里酒造店・つくば市)
- 武勇(武勇・結城市)
- 稲里(磯蔵酒造・笠間市)
- 一品(吉久保酒造・水戸市)
- 富士大観(森島酒造・日立市)
- 御慶事(青木酒造・古河市)
- 副将軍(明利酒類・水戸市)
- 来福(来福酒造・筑西市)
茨城の地酒はどう変わってきたか
ブランド発信拠点「いばらき地酒バー」水戸・つくば
茨城県は県産日本酒の魅力を伝えるため、JR水戸駅とTXつくば駅に立ち飲みスタンド「いばらき地酒バー」を設置しています。全国新酒鑑評会金賞酒など市場に出回りにくい酒を中心に提供し、県産品のおつまみとあわせて楽しめる仕組みで、観光客だけでなく地元客の県産酒への接点を増やす狙いがあります。
「うまい茨城地酒決定戦」と地酒ソムリエの広がり
2025年10月12日には水戸駅ビルエクセルで「うまい茨城地酒決定戦2025」が開催されました。いばらき地酒ソムリエS級保持者50名による官能評価で「デイリー部門」「スペシャル部門」の茨城地酒を選ぶイベントで、同日に「全国きき酒選手権大会」の茨城予選も実施されるなど、消費者参加型のブランディング施策が定着しつつあります。
一次情報に見える「差異」|廣瀬商店(石岡市)閉業のケース
茨城県公式ホームページは石岡市の廣瀬商店(銘柄「白菊」)について「2025年6月末で営業を終了」と明記しています。一方、観光いばらき公式ホームページでは同蔵が令和7酒造年度全国新酒鑑評会の金賞受賞蔵として掲載されており、酒蔵見学や購入を検討する際は、閉業・休業情報が更新されるまでの間に一次情報間で表記のずれが生じることがある点に注意が必要です。訪問前には各蔵の公式サイトやSNSで最新の営業状況を確認することをおすすめします。
味わいで選ぶ地酒の基礎知識
爽・薫・醇・熟の4タイプ
観光いばらき公式ホームページが監修する分類によると、日本酒の味わいは大きく「爽(すっきり爽快)」「薫(香り高い)」「醇(旨味が複雑に絡む)」「熟(熟成による力強さ)」の4タイプに分けられます。常総市・山中酒造の「一人娘 冷卸し」は爽、つくば市・稲葉酒造の「すてら 純米吟醸」は薫に分類される代表例として紹介されています。
甘口・辛口という別の軸
味わいの分類とは別に「淡麗⇔濃醇」「甘口⇔辛口」という軸もあります。日本酒度がプラスに大きいほど辛口、マイナスに大きいほど甘口とされ、石岡市・府中誉の「渡舟」は甘口、常総市・山中酒造の「一人娘 吟醸さやか」は辛口の例として挙げられています。好みの一本を探す際の手がかりになります。
生活者にとって地酒はどんな存在か
蔵元直営レストラン・カフェが新しい集客拠点に
近年は蔵元自らが飲食店を運営する動きが目立ちます。筑西市の来福酒造は築176年の登録有形文化財「尾見家」を改装した「OMI CAFÉ」を、笠間市の磯蔵酒造は大正期の米蔵を改装した「日本酒文化長屋 磯蔵」を、那珂市の木内酒造は昭和初期の母屋を改装した「Restaurant 母屋」を運営し、常総市の野村醸造も築100年の古民家を改装したフレンチレストラン「BRASSERIE JOZO」を展開しています。いずれも歴史的建造物の保存活用と地酒の情報発信を兼ねた施設です。
酒蔵見学・酒蔵ツーリズムという楽しみ方
磯蔵酒造の「日本酒文化長屋 磯蔵」のように、試飲や購入だけでなく酒蔵見学ツアーや工芸ギャラリーを併設する蔵も増えています(見学は要予約)。日帰りで複数の蔵を巡る「酒蔵ツーリズム」は、県内在住者にとっても身近な週末の楽しみ方として定着しつつあります。
地元の祭り・イベントとの結びつき
10月1日の「日本酒の日」にあわせて県が特集を組むほか、前述の「うまい茨城地酒決定戦」のような消費者参加型イベントも定着しています。地酒は単なる特産品ではなく、地域の祭りや観光と結びついた生活文化の一部になっています。
酒蔵のある町並みと住まい・不動産の接点
蔵元が集まるエリアに残る古民家・伝統的建造物
来福酒造の「OMI CAFÉ」(築176年)、磯蔵酒造の米蔵(大正期)、木内酒造の母屋(昭和初期)、野村醸造の古民家(築100年)など、蔵元の周辺には歴史的な木造建築が今も現役で使われている例が少なくありません。酒蔵が集積する町並みは、古い住宅や空き家が「壊すもの」ではなく「活かせるもの」として評価されやすいエリアでもあります。
空き家・古民家をリノベーションした成功例
これらの蔵元直営店は、いずれも空き家や遊休不動産だった古民家を飲食店・カフェとして再生させた実例です。実家や相続した空き家が古い建物であっても、立地や建物の状態次第では解体を前提とせず、活用や売却の選択肢を広げて検討する価値があることを示しています。具体的な進め方は相続した家の売却完全ガイドや茨城県の空き家バンク|登録の流れと買取との違いで詳しく解説しています。
移住先選びで「酒蔵のある暮らし」が魅力になる理由
茨城県は移住支援制度の整備も進めており、酒蔵見学や蔵元直営カフェが楽しめる土地柄は、移住先の暮らしやすさを判断する材料のひとつになります。つくば市・笠間市・水戸市・結城市・古河市など蔵元が集まるエリアは、いずれも茨城県内の主要な生活圏でもあり、住まい探しの際にエリアの個性を知る手がかりとして地酒文化を知っておくと参考になります。あわせて茨城県の産業構造と雇用、茨城県の特産品・農産物もご覧ください。
相続した実家が蔵のある町にある場合に考えたいこと
蔵元の多いエリアで実家を相続した場合、建物自体に酒造りの歴史的価値があるとは限りませんが、古い町並みの中では建物の状態や接道条件によって売却・活用の判断が分かれます。まずは物件の状態を専門家に確認し、売却を検討する場合は早めに相談することをおすすめします。つくば市・水戸市・取手市・守谷市にお住まいの方はハウスドゥ つくば・ハウスドゥ 水戸・ハウスドゥ 取手戸頭・ハウスドゥ 守谷、解体を含めた検討をされる方は解体Do!もあわせてご相談ください。
よくある質問(FAQ)
茨城県には日本酒の蔵元がいくつありますか?
茨城県酒造組合によると、2026年8月時点で36の酒蔵が加盟しています。5水系別の一覧では久慈川水系10・筑波山水系10・利根川水系6・鬼怒川水系5・那珂川水系4の合計35蔵の社名が確認でき、2025年6月末に石岡市の1蔵が営業を終了した影響とみられます。
茨城県の日本酒で代表的な銘柄は?
浦里酒造店「霧筑波」(つくば市)、武勇「武勇」(結城市)、磯蔵酒造「稲里」(笠間市)、吉久保酒造「一品」(水戸市)、森島酒造「富士大観」(日立市)などが、全国新酒鑑評会での受賞歴を持つ代表的な銘柄です。
茨城県の酒蔵は全国的にどのくらい評価されていますか?
令和6・7酒造年度とも全国新酒鑑評会で9蔵が入賞し、うち4蔵が最高評価の金賞を受賞しました(茨城県公式ホームページ・観光いばらき公式ホームページ調べ)。2年連続で同水準を維持しており、安定した評価を得ています。
酒蔵見学はできますか?
磯蔵酒造の「日本酒文化長屋 磯蔵」など、見学ツアーを実施している蔵もあります(要予約)。ただし営業時間や見学可否は蔵によって異なり、閉業・休業情報が公式サイト間で更新のタイミングにずれることもあるため、訪問前に各蔵の公式サイトで最新情報を確認することをおすすめします。
「いばらき地酒バー」はどこで利用できますか?
JR水戸駅とTXつくば駅に立ち飲みスタンド「いばらき地酒バー」が設置されています。全国新酒鑑評会金賞酒など市場に出回りにくい茨城の地酒を、県産品のおつまみとあわせて楽しめます。
酒蔵が多いエリアで実家や空き家を相続した場合、どこに相談すればよいですか?
建物の状態や接道条件によって売却・活用の選択肢が変わるため、早めに専門家へ相談することをおすすめします。ハウスドゥでは茨城県内4店舗と連携して無料相談を受け付けています。
まとめ
茨城県は36の酒蔵が5つの水系ごとに個性を競う、関東屈指の日本酒どころです。令和6・7酒造年度と連続で9蔵入賞・4蔵金賞という実績は、一時的な話題性ではなく安定した醸造技術の裏付けといえます。蔵元直営のカフェやレストランが古民家を活用している例が示すように、酒蔵が集まる町並みは古い建物を「活かす」発想が根づいたエリアでもあります。実家や空き家の売却・活用を検討する際は、ハウスドゥの無料査定・相談窓口もあわせてご活用ください。
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