「親が住んでいた家が空き家のままだけど、放っておいて大丈夫だろうか」——茨城県内で不動産の相談を受けていると、こうした声によく出会います。令和5年の住宅・土地統計調査では、県内の空き家率は14.1%。全国平均の13.8%をわずかに上回る水準です。この記事では、茨城県が掲げる空き家対策の基本理念「IBARAKI AKIYA CONNECT」と、県・市町村がそれぞれどんな役割を担っているのかを、茨城県公式サイトの一次情報にもとづいて整理します。
茨城県の空き家の現状を数字で見る
空き家率14.1%、総住宅数は約139万戸
令和5年(2023年)の住宅・土地統計調査によると、茨城県内の住宅は約139万900戸。このうち19万6,200戸が空き家に分類されています。空き家率は14.1%で、前回調査(平成30年)の14.8%から0.7ポイント低下しました。全国の空き家率は13.8%で、こちらは前回から0.2ポイント上昇しているため、茨城県は全国の流れとは逆に、空き家率がやや改善している珍しい地域といえます(出典:総務省 令和5年住宅・土地統計調査、茨城県公式サイト)。
「管理不全空き家」だけは10年で1.4倍に増加
ただし、油断はできません。住宅・土地統計調査では空き家を「二次的住宅(別荘等)」「賃貸用住宅」「売却用住宅」、そして「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」の4種類に分類しています。最後の区分は、活用の予定がなく管理されずに放置される可能性が高い住宅で、いわば「本当に危ない空き家」です。この区分だけを見ると、茨城県では過去10年で約1.4倍(6万7,000戸→9万3,000戸)に増加しました。全国の増加ペース(約1.2倍)を上回っており、県全体の空き家率は下がっていても、放置リスクの高い空き家は着実に増えている、という二面性があります。

県の基本理念「IBARAKI AKIYA CONNECT」とは
「学ぶ・見る・つながる・生み出す」の4つの取組方針
茨城県は、空家等対策の推進に関する特別措置法の公布を受け、庁内の関係部局・関係団体と連携する体制を整えてきました。その基本理念として掲げているのが「IBARAKI AKIYA CONNECT」です。空き家問題は行政だけで解決できるものではないという考え方のもと、「学ぶ」「見る」「つながる」「生み出す」という4つの取組方針を循環させながら、市町村の空家等対策の実効性向上と、官民連携による空き家の利活用促進を進める、というのが県の基本方針です。
庁内7部局11課による「連絡調整会議」
この理念を実行に移すため、県では庁内7部局11課(当初は6部局11課からスタート)による「茨城県空家等対策連絡調整会議」を設置しています。空き家問題は住宅政策だけでなく、税務・福祉・防災・環境など複数の分野にまたがるため、部局横断の体制を組んでいる点が特徴です。市町村に対しては、この会議を通じて必要な支援を行うとしています。
空家等対策特別措置法と県・市町村の役割分担
対策の主体はあくまで「市町村」
空家等対策の推進に関する特別措置法において、空き家の実態調査や特定空家等の認定、指導・勧告・命令といった具体的な対応の主体になるのは市町村です。茨城県はこの法律に基づき、市町村における対策の実効性を高めるための後方支援や、官民の橋渡し役を担うという位置づけになっています。実際に「あなたの家が特定空家等に該当するか」といった個別の判断は、市町村の窓口が行います。
県内市町村の担当課は県サイトで一覧公開されている
茨城県公式サイトでは「空家特措法の運用担当課一覧」と「空き家の利活用に関する担当課一覧」のPDFを公表しており、どの市町村のどの課が空き家の相談窓口になっているかを確認できます。つくば市・水戸市・取手市・守谷市など、当社の店舗があるエリアも含め、まずは市町村の窓口が最初の相談先になる、という基本構造を押さえておくと動きやすくなります。

市町村ごとに異なる「空き家バンク」と助成制度
県の「移住ナビ」で市町村横断の空き家バンク検索ができる
茨城県は「茨城県の空き家バンク 移住ナビ〜茨城県空き家バンク情報検索システム〜」という検索システムを公開しており、条件を指定して県内各市町村の空き家バンク登録物件をまとめて調べることができます。市町村ごとに個別のバンクへアクセスする手間を省ける、県ならではの横断的な取り組みです。
助成制度の中身は市町村ごとにバラバラ
空き家バンクに登録された住宅を購入・改修する人向けの助成制度は、多くの市町村が実施しているものの、補助額や対象条件は市町村によって大きく異なります。茨城県公式サイトの「住まいづくり情報ガイドブック」で実施市町村の一覧が確認できますが、正確な金額や最新の申請枠は各市町村への確認が必須です。数字を確認せずに「どこでも同じ補助が受けられる」と考えるのは危険です。
相談窓口は法律行為ごとに異なる専門団体が対応
県のサイトでは、法的紛争は茨城県弁護士会、相続登記は茨城司法書士会、宅地建物取引の一般相談は茨城県宅地建物取引業協会や全日本不動産協会茨城県本部、境界確定・表示登記は茨城土地家屋調査士会、不動産登記そのものは水戸地方法務局と、相談内容ごとの窓口が整理されています。「何を」相談したいかによって、最初に連絡すべき先が変わる点は覚えておきたいポイントです。
県が公表している空き家の管理・活用支援策
空き家管理業者・シルバー人材センターのリストが公開されている
遠方に住んでいて実家の空き家を管理できない、という相談は非常に多くあります。県ではこうしたニーズに応え、茨城県宅地建物取引業協会や全日本不動産協会茨城県本部が公表する「空き家管理業者リスト」、および市町村と協定を結んだシルバー人材センターの管理サービス概要をPDFで公表しています。管理業者を探す際の参考情報として、県のサイトから直接確認できます。
リフォームを検討する人向けの無料相談会・専門家派遣
空き家を活用する前提でリフォームを検討する場合、県は事前予約制の無料相談会「住まいの相談会」を実施しているほか、有償にはなりますが専門家を派遣する「いばらき安心リフォーム支援隊」、リフォーム事業者を探せる「茨城県リフォーム事業者登録制度」も用意しています。契約トラブルなどは相談対象外である点には注意が必要です。
実際に空き家を活用した県内の事例
セカンドハウスやDIYでの活用が目立つ
茨城県は空き家バンクを利用して実際に住宅を購入した人へのインタビューをもとに「茨城県空き家活用事例集」を公開しています。大子町でのセカンドハウス活用、常陸大宮市での音楽好きの人の家、鉾田市でのDIYを楽しむ暮らしなど、20件以上の実例が紹介されており、笠間市や大子町といった県北・県央エリアでの活用事例が多い傾向がうかがえます。
解体・改修に市町村の補助金を使った実例も
県は市町村の空き家関連補助金を実際に使って解体・改修を行った事例も公表しています。古河市での空き家解体事例、龍ケ崎市・笠間市・ひたちなか市・桜川市での改修事例などが紹介されており、「制度はあるが実際どう使われているか分からない」という不安に対する参考情報になります。ただし、制度の詳細や令和8年度時点での実施状況は、必ず各市町村への確認が必要です。
実家や親の家が「対象」になる前に、生活者ができること
県の対策はあくまで市町村・地域全体を対象にした仕組みであり、個々の家庭が抱える「親の家をどうするか」という悩みに直接答えを出してくれるわけではありません。空き家を放置すると、固定資産税の住宅用地特例が解除されて税額が上がるリスクや、特定空家等に指定された場合の行政指導・命令のリスクがあります(詳しくは既存記事「空き家3年放置で罰金100万円は本当?税金6倍リスクを解説」も参照)。県内の空き家率・世帯数の推移は「茨城県の空き家率・世帯数データ」でも詳しく取り上げています。県や市町村の支援策を知っておくことは重要ですが、「使える制度がないから放置する」のではなく、早い段階で売却・賃貸・管理委託など複数の選択肢を比較検討することが、結果的に損を防ぐことにつながります。
住まい・不動産への接点 – 空き家バンク以外の選択肢も検討する
空き家バンクは「時間がかかる」選択肢でもある
空き家バンクは移住希望者とのマッチングを待つ仕組みのため、成約までに数か月〜年単位の時間がかかることも珍しくありません。「早く現金化したい」「遠方に住んでいて管理の負担を減らしたい」というケースでは、不動産会社への直接売却や買取という選択肢もあわせて検討する価値があります。
ハウスドゥ4店舗が県内をきめ細かくカバー
当社は、取手戸頭・守谷・つくば研究学園都市・水戸の茨城県内4店舗で、ハウスドゥブランドの不動産売却・買取を行っています。イメージキャラクターの古田敦也氏でも知られるハウスドゥブランドの知名度と、地域に根ざした店舗網を活かし、空き家となった実家の売却相談から、訳あり物件・相続物件の買取まで対応しています。実際の売却実績は各店舗の取引実績ページでも公開しています。まずは無料査定から、ご自宅の状況に合った選択肢を確認してみてください。
よくある質問
Q1. 茨城県の空き家対策計画とは、具体的にどんな計画ですか?
A. 茨城県が単独の「空き家対策計画」という一冊の計画書を策定しているわけではなく、空家等対策の推進に関する特別措置法にもとづき、「IBARAKI AKIYA CONNECT」という基本理念のもとで、庁内7部局11課による連絡調整会議や市町村支援、空き家バンクの横断検索システムなどを組み合わせて対策を進めています。個別の空家等対策計画は、法律上の対策主体である各市町村が策定しています。
Q2. 茨城県の空き家率はどのくらいですか?
A. 令和5年住宅・土地統計調査によると14.1%です。全国平均13.8%をやや上回りますが、前回調査(平成30年)比では0.7ポイント低下しており、全国的な上昇傾向とは逆の動きを見せています(総務省統計)。
Q3. 空き家バンクに登録すればすぐに売れますか?
A. 空き家バンクは移住希望者とのマッチングを待つ制度のため、成約までの期間は物件やエリアによって大きく異なり、数か月〜年単位かかることもあります。早期の現金化を希望する場合は、不動産会社への売却・買取もあわせて検討することをおすすめします。
Q4. 空き家の管理を市町村や県に頼むことはできますか?
A. 市町村や県が直接管理を代行するわけではありません。県は宅地建物取引業協会などが公表する「空き家管理業者リスト」や、市町村と協定を結んだシルバー人材センターの管理サービスの情報を提供しており、そこから管理を依頼する事業者を探す形になります。
Q5. 空き家を放置するとどんなリスクがありますか?
A. 適切に管理されない空き家は「特定空家等」に指定される可能性があり、指定されると固定資産税の住宅用地特例が解除されて税額が上がるほか、行政からの指導・勧告・命令の対象になることもあります。詳しくは既存記事「空き家3年放置で罰金100万円は本当?」もご参照ください。
Q6. リフォームして活用する場合、県の支援は受けられますか?
A. 県は事前予約制・無料の「住まいの相談会」や、有償で専門家を派遣する「いばらき安心リフォーム支援隊」、事業者を探せる「茨城県リフォーム事業者登録制度」を用意しています。ただし契約トラブルの相談は対象外であるなど、それぞれ利用条件が異なるため、事前に内容を確認しておくと安心です。
まとめ
茨城県の空き家対策は、「IBARAKI AKIYA CONNECT」という基本理念のもと、県が市町村を後方支援し、市町村が実際の対策主体として動くという役割分担のうえに成り立っています。空き家率14.1%という数字だけを見ると改善傾向にあるように見えますが、管理されず放置されるリスクの高い空き家は10年で1.4倍に増えており、油断はできません。空き家バンクや助成制度、管理業者リストなど県・市町村の支援策を知ったうえで、売却・賃貸・管理委託など複数の選択肢を早めに比較検討することが、実家や所有する空き家を「危ない空き家」にしないための第一歩です。
県全体の住宅政策の方向性については、茨城県住生活基本計画|4つの基本目標と数値目標の記事もあわせてご覧ください。
耐震性に関する補助制度については、茨城県の耐震診断・耐震改修補助|44市町村一覧の記事もあわせてご覧ください。
空き家の売却でお困りの場合、仲介手数料の負担を軽減できる制度もあります。低廉な空家等の仲介手数料33万円特例とは|安い空き家ほど断られる理由【茨城県】で詳しく解説しています。
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