不動産を売買したとき、相続したとき、贈与を受けたとき、そして離婚で財産分与をしたとき——。いずれの場面でも共通して必要になる手続きが「所有権移転登記」です。名義変更をせずに放置すると、第三者に自分の権利を主張できない、将来の売却がスムーズに進まないなど、思わぬトラブルにつながることがあります。
この記事では、所有権移転登記が必要になる4つのケースごとの違い、かかる費用(登録免許税・司法書士報酬・必要書類の取得費用)、自分で手続きできるかどうか、そして手続きの流れを、茨城県内で不動産売却・買取を専門に扱うハウスドゥの視点から分かりやすく解説します。
所有権移転登記とは?不動産の名義を法的に変更する手続き
所有権移転登記とは、土地や建物などの不動産の所有者が変わったときに、その事実を法務局の登記簿に記録し、公示する手続きのことです。不動産登記簿の「甲区」と呼ばれる欄に、新しい所有者の氏名・住所が記載されます。
この登記を済ませておかないと、民法177条が定める「対抗要件」を備えられず、万が一同じ不動産について二重に契約が結ばれた場合などに、自分が所有者であることを第三者に主張できなくなるおそれがあります。
登記をしないとどうなる?想定される4つのリスク
- 第三者に自分の所有権を法的に主張できない(対抗要件を欠く)
- 不動産を売却しようとしても、前の名義人のままでは買主への所有権移転登記ができず、売却手続きが進められない
- 相続の場合、次の相続が発生すると「数次相続」となり、関係者が増えて手続きが複雑化する
- 金融機関から融資を受ける際に、担保設定登記ができず住宅ローンなどの審査に支障が出ることがある
なお、相続による所有権移転登記(いわゆる相続登記)については、2024年4月1日から申請が義務化されています。相続を知った日から3年以内に登記をしないと、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象となる可能性があるため注意が必要です(詳しくは法務局「相続登記の登録免許税の免税措置について」もご確認ください)。
所有権移転登記が必要になる4つの場面
所有権移転登記が必要になるのは、主に次の4つのケースです。原因によって必要書類や登録免許税の税率が異なるため、まずは自分がどのケースに当てはまるかを確認しましょう。
①不動産を売買したとき
不動産の売買契約を結び、代金の決済が完了したタイミングで、売主から買主へ所有権移転登記を行います。住宅ローンを利用する場合は、金融機関が担保権(抵当権)を設定する登記と同時に進めるのが一般的で、決済日に司法書士が立ち会って手続きするケースがほとんどです。
②不動産を相続したとき
不動産の所有者が亡くなった場合、相続人へ所有権を移すために相続登記(相続を原因とする所有権移転登記)を行います。遺産分割協議がまとまってから登記するケースと、法定相続分どおりに一旦登記するケースがあります。前述のとおり、2024年4月からは申請が義務化されているため、早めの対応が必要です。
③不動産の生前贈与を受けたとき
親から子へ、あるいは夫婦間で不動産を無償で譲り渡す「生前贈与」を行った場合も、所有権移転登記が必要です。贈与の場合は売買や相続に比べて登録免許税の税率が高く設定されている点に注意が必要です(後述)。あわせて贈与税の申告が必要になる場合もあるため、税務面は税理士にも確認しておくと安心です。
④離婚で財産分与をしたとき
離婚に伴い、夫婦のどちらかが所有していた不動産を相手に譲る「財産分与」を行った場合も、名義変更の登記が必要になります。財産分与による移転は贈与とは法的な扱いが異なりますが、登録免許税の税率は贈与と同じ区分で計算されます。
【重要】所有権移転登記に期限はある?
売買・贈与・財産分与による所有権移転登記そのものには、法律上の申請期限は設けられていません。ただし、期限がないからといって放置すると、前述のとおり売却や融資に支障が出るほか、関係者の死亡や住所変更が重なることで必要書類の収集が年々難しくなっていきます。
一方、相続を原因とする所有権移転登記(相続登記)については、2024年4月1日の法改正により「相続の開始及び所有権を取得したことを知った日から3年以内」の申請が義務化されました。この義務化は、施行日より前に発生していた相続にもさかのぼって適用されるため、「何年も前に相続した実家の名義が亡くなった親のままになっている」という方も対象になる点に注意してください。
所有権移転登記は自分でできる?原因別に解説
所有権移転登記は、司法書士などの資格がなくても、法律上は自分で申請することが可能です。ただし、原因によって難易度が大きく異なります。
自分で手続きしやすいケース
- 相続・贈与・財産分与など、当事者間で完結し、金融機関の担保設定が絡まないケース
- 平日の日中に法務局へ出向く時間の余裕がある
- 不動産が1つ、または少数で権利関係がシンプルである
司法書士に依頼したほうがよいケース
- 住宅ローンを利用する売買のケース:金融機関側が、担保設定登記の確実性を担保するために司法書士の関与を求めるのが一般的で、事実上自分で行うのは難しい
- 相続人が複数いて遺産分割協議が未了、または関係者間の意見調整が必要なケース
- 書類に不備があった場合の補正対応に不安がある方
特に売買における所有権移転登記は、決済日に「代金の支払い」と「登記の申請」を同時に行う必要があり(これを同時履行の関係といいます)、金融機関・売主・買主・司法書士の関係者間の日程調整と書類の正確性が求められるため、専門家に依頼するのが実務上一般的です。
所有権移転登記にかかる費用はいくら?

所有権移転登記の費用は、主に「登録免許税」「司法書士報酬」「必要書類の取得実費」の3つで構成されます。
登録免許税は原因によって税率が異なる
登録免許税は、原則として「固定資産税評価額×税率」で計算されます。税率は移転の原因によって次のように異なります(国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」より)。
- 売買(土地):1.5%(軽減措置の期限は2026年3月31日まで。期限が到来した場合は本則の2%に戻る可能性があるため、最新の適用状況は法務局・税務署に確認してください)
- 売買(建物):2.0%
- 相続:0.4%(土地・建物とも)
- 贈与:2.0%
- 財産分与:2.0%
なお、相続による土地の所有権移転登記については、令和9年(2027年)3月31日までの間、一定の要件を満たす場合に登録免許税が免税となる特例があります。具体的には、(1)相続人が相続登記をしないまま亡くなった場合の1次相続分の登記、(2)不動産の価額が100万円以下の土地の相続登記、のいずれかに該当する場合です。免税を受けるには、申請書に租税特別措置法の該当条項を明記する必要があるため、対象になりそうな方は法務局や司法書士に事前に確認することをおすすめします(出典:法務局「相続登記の登録免許税の免税措置について」)。
司法書士報酬の目安
司法書士に依頼する場合の報酬は、事務所や案件の難易度によって幅がありますが、一般的な所有権移転登記で数万円〜6万円程度が目安とされています。売買で担保設定登記が同時に発生する場合は、その分の報酬が加算されます。複数の司法書士事務所から見積もりを取ることで、費用を抑えられる場合があります。
必要書類の取得実費
登記事項証明書(登記簿謄本)、固定資産評価証明書、印鑑証明書、住民票などの取得には、1通数百円程度の手数料がかかります。相続の場合は戸籍謄本一式の収集も必要になるため、書類の数が多くなる傾向があります。
所有権移転登記の必要書類
必要書類は原因によって異なりますが、共通して必要になるものと、原因別に追加で必要になるものがあります。
共通して必要になる書類
- 登記原因証明情報(売買契約書、遺産分割協議書、贈与契約書、離婚協議書など、名義変更の原因を証明する書類)
- 固定資産評価証明書(登録免許税の計算に使用)
- 委任状(司法書士に依頼する場合)
売主・贈与する側・分与する側が用意する書類
- 登記済権利証、または登記識別情報通知
- 印鑑証明書(発行から3か月以内のもの)
- 住民票(登記簿上の住所と現住所が異なる場合)
買主・贈与を受ける側・分与を受ける側が用意する書類
- 住民票
- 本人確認書類(運転免許証など)
相続の場合に追加で必要になる書類
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本一式
- 相続人全員の戸籍謄本・印鑑証明書
- 遺産分割協議書(遺産分割協議による場合)
- 相続人全員の住民票
所有権移転登記の手続きの流れ
自分で手続きする場合の大まかな流れは次のとおりです。
ステップ1:登記事項証明書で現在の登記内容を確認する
法務局で登記事項証明書(登記簿謄本)を取得し、現在の所有者名義や地番・家屋番号などの登記情報を確認します。
ステップ2:必要書類を準備する
原因(売買・相続・贈与・財産分与)に応じた必要書類をそろえます。戸籍謄本や評価証明書は取得に数日〜数週間かかる場合があるため、余裕を持って準備しましょう。
ステップ3:登記申請書を作成し、法務局へ提出する
不動産の所在地を管轄する法務局へ、登記申請書と必要書類一式を提出します。窓口持参のほか、郵送やオンライン申請(登記・供託オンライン申請システム)も利用できます。
ステップ4:法務局による書類審査
提出書類に不備がないか法務局で審査が行われます。不備があった場合は補正の連絡が入るため、指示に従って対応します。
ステップ5:登記完了証・登記識別情報通知を受け取る
審査が完了すると、登記完了証と登記識別情報通知(従来の「権利証」に相当するもの)が発行されます。登記識別情報は再発行できない重要書類のため、大切に保管しましょう。
申請から完了までの期間は法務局の混雑状況にもよりますが、おおむね1〜2週間程度が目安です。
売却の前に済ませておきたい登記の確認ポイント
不動産の売却を検討している場合、決済までに次の登記状況を確認しておくことが重要です。
相続した不動産の名義が故人のままになっていないか
相続登記が済んでいない不動産は、そのままでは買主への所有権移転登記ができません。売却を決めた時点で相続登記が未了であれば、早めに手続きを進める必要があります。相続登記自体の詳しい進め方は、当社の「相続登記義務化と茨城県の法務局窓口一覧」もあわせてご覧ください。
登記簿の住所・氏名が現在のものと違っていないか
結婚や引っ越しなどで氏名・住所が変わっている場合、まず登記名義人の住所・氏名変更登記が必要になることがあります。
住宅ローンの抵当権が残っていないか
完済済みの住宅ローンの抵当権抹消登記を忘れているケースは意外と多く見られます。売却前には登記事項証明書で抵当権の有無を必ず確認しましょう。
茨城県内での不動産の名義変更・売却のご相談について
ハウスドゥでは、茨城県内(取手戸頭・守谷・つくば研究学園都市・水戸の4店舗)で、相続・売買・財産分与などによる不動産の名義変更に関するご相談から、売却・買取まで一貫してサポートしています。「登記が済んでいない不動産をどう売却すればよいか分からない」「相続した実家の名義変更と売却を同時に進めたい」といったご相談も承っております。司法書士との連携が必要な場合も、地域密着で対応した実績をもとにご案内いたします。
よくある質問
Q1. 所有権移転登記は自分でできますか?
相続・贈与・財産分与など当事者間で完結するケースであれば、法律上は自分で申請することが可能です。ただし、住宅ローンを利用する売買の場合は、金融機関側が司法書士の関与を求めることが一般的で、事実上自分で行うのは難しいケースがほとんどです。
Q2. 所有権移転登記にかかる費用は誰が負担するのですか?
法律上の決まりはなく、当事者間の合意によります。慣行としては、売買の場合は所有権移転にかかる登録免許税・司法書士報酬を買主が、住宅ローンの抵当権抹消にかかる費用を売主が負担するケースが一般的です。
Q3. 相続登記をしないまま放置するとどうなりますか?
2024年4月1日から相続登記の申請が義務化されており、相続を知った日から3年以内に正当な理由なく登記をしないと、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。また、放置している間に次の相続が発生すると、関係者が増えて手続きがより複雑になります。
Q4. 所有権移転登記の登録免許税はいくらですか?
固定資産税評価額に税率を掛けて計算します。税率は原因によって異なり、売買は土地1.5%・建物2.0%(軽減措置の期限にご注意ください)、相続は0.4%、贈与・財産分与は2.0%です。一定の要件を満たす相続登記には免税措置もあります。
Q5. 相続した実家を売却する予定ですが、先に相続登記が必要ですか?
はい。相続登記が済んでいない不動産は、法律上そのままでは買主への所有権移転登記ができないため、売却前に相続人への相続登記を済ませておく必要があります。
Q6. 所有権移転登記の申請から完了までどのくらいかかりますか?
法務局の混雑状況によりますが、申請からおおむね1〜2週間程度が目安です。書類に不備があると補正のためさらに時間がかかる場合があります。
まとめ
所有権移転登記は、不動産を売買・相続・贈与・財産分与のいずれかで取得したときに必要となる、名義を正式に変更するための手続きです。原因によって必要書類や登録免許税の税率が異なり、特に住宅ローンを利用する売買では司法書士への依頼が実務上前提となります。相続の場合は2024年4月からの義務化にも注意が必要です。
「相続した実家の名義変更がまだで、売却も考えている」「登記の状況が分からないまま放置している不動産がある」という方は、名義変更と売却を並行して進められるケースも多くあります。まずはお気軽にハウスドゥへご相談ください。
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