「土地は親名義、建物は自分名義」「父の土地に息子が家を建てた」「離婚のときに土地と建物の名義を分けたまま」——このように土地と建物で登記上の名義人(所有者)が違う不動産は、全国に少なくありません。相続や二世帯住宅の建築、共有名義の解消など、名義が分かれる経緯はさまざまです。
結論からいうと、名義が違っていても不動産を売却すること自体は可能です。ただし、通常の不動産よりも手続きが複雑になり、税金面での落とし穴もあります。本記事では、土地と建物の名義が違う不動産を売却する具体的な方法・流れ・注意点を、ハウスドゥ茨城グループの買取専門店としての実務視点も交えて解説します。
1. 土地と建物の名義が違うとはどういう状態か
不動産の登記簿は「土地」と「建物」で別々に作成されます。通常は同じ人が両方の名義人になっているケースが大半ですが、次のような場合に名義がずれます。①相続で遺産分割協議を行った結果、「建物は長男、土地は兄弟で共有のまま」という形で分割されたケース。②二世帯住宅で、土地は親名義のまま建築費用を子どもが負担し、建物だけを子ども名義で登記したケース。③離婚時の財産分与で、土地と建物の名義を別々に処理してしまったケース。④土地は地主から借り、建物だけを自分の名義で所有する「借地権」のケース。いずれも、将来売却しようとした際に「誰の同意が必要か」が分かりにくくなるという共通の問題を抱えています。
2. 名義が違う不動産は売却できないのか
結論として、名義が違っていても売却は可能です。ただし「土地の名義人」と「建物の名義人」の双方が売却に合意し、契約に関与する必要があります。片方の名義人だけの意思では、原則として不動産全体を売ることはできません。買主の立場からすると、土地と建物の権利者が別々というだけで購入をためらう要因になりやすく、住宅ローンの審査でも敬遠されがちな点は事前に理解しておく必要があります。
3. 名義が違う不動産を売る4つの方法
方法1:土地の名義人が建物を買い取り、名義を一本化する
土地の名義人が建物名義人から建物を買い取り、単独名義にしてから売却する方法です。買主にとって分かりやすく、住宅ローンも組みやすいため、最も選ばれやすい方法といえます。
方法2:建物の名義人が土地を買い取り、一本化する
逆に建物名義人が土地を買い取るパターンです。建物名義人に資金力がある場合や、建物への愛着が強く住み続けたい場合に選ばれます。
方法3:名義はそのまま「セット」で第三者へ売却する
名義を一本化する資金がない場合、土地名義人・建物名義人の両方が売主として契約に連名で加わり、まとめて第三者に売却する方法もあります。買主側の住宅ローン審査が通りにくくなる傾向があるため、現金化を急ぐ場合は買取専門業者への売却が現実的な選択肢になります。
方法4:借地権として建物のみを売却する
土地が借地の場合は、建物だけを売却し、買主が地主との間で新たに借地契約を結び直す方法です。地主の承諾(譲渡承諾)が必要になります。
4. 名義を一本化して売る際の注意点
適正価格で取引しないと「みなし贈与」になる
親族間で土地や建物を売買する場合、時価より著しく低い価格で取引すると、時価との差額が贈与とみなされ贈与税が課税されることがあります(相続税法第7条・低額譲渡の考え方)。「無償のつもりはなかった」としても、結果的に贈与税を課される可能性があるため、不動産会社などの査定を受け、根拠のある価格で取引することが重要です。贈与とみなされた場合でも年間110万円までの基礎控除内であれば贈与税はかかりませんが、不動産の名義一本化では差額が110万円を超えるケースが多く、油断はできません。
買い取る資金がない場合の選択肢
一本化のための買取資金が用意できない場合は、金融機関のローンを利用する方法や、次章で解説する「名義そのままの一括売却」を検討することになります。無理に安値で名義を移すと前述のみなし贈与のリスクが高まるため、資金計画は慎重に立てましょう。
5. 名義がバラバラなまま売る場合の注意点
売買契約書には土地名義人・建物名義人の双方が売主として署名・捺印する必要があり、どちらか一方でも反対すると売却は成立しません。土地と建物は別々の登記なので所有権移転登記も別々に行いますが、決済・引渡しは同じタイミングで実施するのが一般的です。また、売却代金は土地分・建物分に按分し、それぞれの名義人が自分の持分について譲渡所得税を申告します。取得費や特別控除の適用可否も名義人ごとに判断する必要があるため、事前に税理士へ確認しておくと安心です。
6. 借地権付き建物を売却する場合の注意点
地主の承諾書と譲渡承諾料の相場
借地権付き建物を売却する際は、地主の承諾(名義変更承諾)が必要です。承諾を得る際に支払う「譲渡承諾料」の相場は、借地権価格の10%程度が目安とされることが一般的ですが、個別交渉により変動します。
地主が承諾しない場合の「借地非訟」手続き
地主が正当な理由なく承諾しない場合、裁判所に申し立てて承諾に代わる許可を得る「借地非訟手続き」という制度があります。手続きには時間と費用がかかるため、まずは専門家に相談することをおすすめします。あわせて、契約に更新がある「普通借地権」か、更新がなく期間満了で土地を返還する「定期借地権」かによって、残存期間や評価の考え方が変わる点も確認しておきましょう。
7. 相続で土地と建物の名義が分かれてしまったケース
親の遺産分割で「建物は同居していた子」「土地は兄弟で共有」といった分け方をすると、将来の売却時に関係者全員の合意が必要になり、手続きが複雑化しやすくなります。さらに2024年4月からは相続登記が義務化され、相続の開始と所有権取得を知った日から3年以内に登記をしないと10万円以下の過料が科される可能性があります。名義が分かれたまま放置している不動産がある場合は、早めに登記状況を確認しましょう。相続に伴う土地・建物の分割方法については土地家屋の遺産相続|分割方法と相続登記の義務化・売却の流れでも詳しく解説しています。
8. 使用貸借と賃貸借の違いに注意
親の土地に子が無償で家を建てている場合、法律上は「使用貸借」という扱いになるのが一般的です。使用貸借は借地権よりも保護が弱く、土地名義人(親)の相続が発生すると権利関係が複雑になりやすい点に注意が必要です。逆に地代を支払っている場合は「賃貸借」とみなされ、借地権が発生している可能性があります。使用貸借か賃貸借かによって売却時の評価や交渉相手が変わるため、契約の実態(地代の支払いの有無や金額)を確認しておきましょう。
9. 税金の基礎知識
譲渡所得税(20.315%)の計算方法
不動産を売って利益(譲渡所得)が出ると、所有期間が5年を超える場合は税率20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)、5年以下の場合は39.63%の譲渡所得税がかかります。
3000万円特別控除と取得費加算の特例
自分が住んでいた家を売る場合や、一定要件を満たす相続空き家を売る場合には、譲渡所得から最大3000万円を控除できる特例があります。ただし土地と建物の名義が違う場合、控除を受けられるのは要件を満たす名義人本人の持分に限られる点に注意が必要です。また、相続税を支払った人が相続開始から3年10か月以内に相続不動産を売却した場合、支払った相続税の一部を取得費に加算できる特例もあります。適用可否は個別の状況によるため、税理士への確認をおすすめします。
10. 売却の流れ(名義一本化ルート)
名義を一本化してから売却する場合は、大きく4つのステップで進みます。下の図もあわせてご確認ください。
STEP1:名義人同士で協議し、一本化するかそのまま売るかの方針を決める。STEP2:不動産会社に査定を依頼し、みなし贈与を避けるための根拠ある時価を把握する。STEP3:一方がもう一方の持分を買い取り、司法書士を通じて所有権移転登記を行う。STEP4:名義が一本化された不動産として、仲介または買取で第三者に売却する。

11. 仲介と買取、どちらが向いているか
名義が分かれた不動産は、権利関係の複雑さから仲介での買主探しに時間がかかることがあります。「早く現金化したい」「権利関係を専門家に整理してもらいながら進めたい」という場合は、こうした複雑な権利関係の物件を数多く扱ってきた買取専門店に相談する方法もあります。共有名義や持分の整理についてお悩みの場合は共有持分とは|売却・放棄と共有解消の方法【2026】も参考にしてください。
12. ハウスドゥ茨城グループが選ばれる理由
ハウスドゥ茨城グループ(水戸・つくば・取手戸頭・守谷の4店舗)は、宅地建物取引業法34条の2第2項に定める査定根拠の明示を徹底し、名義が複雑な不動産や訳あり物件の相談実績を積み重ねてきました。仲介・買取・リースバックの3つの方法から、名義人の状況に合わせた提案を行っています。
13. よくある質問(FAQ)
Q1. 土地の名義人に無断で建物だけ売ることはできますか?
できません。建物を売却しても、土地の利用権(賃借権や使用権)が確保されていなければ買主は土地を使えないため、土地名義人の関与・同意が必須です。
Q2. 名義人の1人が認知症などで判断能力がない場合はどうすればよいですか?
成年後見制度を利用し、家庭裁判所が選任した成年後見人が本人に代わって手続きを行う必要があります。
Q3. 名義変更にかかる登記費用の目安は?
登録免許税(固定資産税評価額の一定割合)に加え、司法書士報酬として数万円〜十数万円程度が目安です。取引形態(売買・贈与・相続)によって税率が異なります。
Q4. 借地権付き建物は住宅ローンが使えますか?
金融機関によりますが、借地権付き建物は担保評価が低くなりやすく、通常の所有権付き物件よりローン審査が厳しくなる傾向があります。
Q5. 名義が違う不動産の査定は無料で受けられますか?
ハウスドゥ茨城グループでは、名義が複雑な不動産についても無料査定を受け付けています。まずは現状の権利関係を整理するところから相談可能です。
Q6. 名義一本化を放置するとどうなりますか?
名義人の一方が亡くなると相続人が増え、権利関係がさらに複雑になります。将来のトラブルを避けるためにも、早めの整理をおすすめします。
14. まとめ
土地と建物の名義が違う不動産も、名義人全員の合意があれば売却は可能です。名義一本化・セット売却・借地権としての売却など、状況に応じた選択肢があります。ただし、みなし贈与や譲渡所得税、相続登記の義務化など、税務・法務の落とし穴も多いテーマです。まずは専門家への相談から始めましょう。
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