築40年を超えるマンションが全国で増え続けるなか、「建て替えの話が出ているが、数百万円と言われる費用をとても払えない」という相談が増えています。建て替えには区分所有者どうしの合意形成だけでなく、まとまった費用負担が発生するため、資金面の不安から反対に回る、あるいは賛成したくても払えないという方は少なくありません。本記事では、マンションの建て替え費用が払えない場合にどうなるのか、そしてどのような選択肢があるのかを、区分所有法の基本的な仕組みとあわせて解説します。
1. マンション建て替えとは何か、なぜ費用が発生するのか
マンション建て替えとは、老朽化した建物を取り壊し、同じ敷地に新しい建物を建築することです。区分所有者は新しい建物の権利(区分所有権)を再取得しますが、その際に旧建物の価値だけでは足りない差額分を「建て替え費用」として負担するのが一般的です。容積率に余裕があり新築時に住戸数を増やせる場合は負担が軽くなることもありますが、そうでない立地では1戸あたり数百万円規模の負担が生じるケースも珍しくありません。
2. 建て替え決議の要件
区分所有者数と議決権の各5分の4以上の賛成が必要
建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)第62条により、建て替えを行うには、区分所有者数および議決権数のそれぞれ5分の4以上の賛成による決議(建て替え決議)が必要です。決議では、新しい建物の設計の概要や費用の概算といった建て替え計画の概要も定めることになっています。
老朽化マンションが増えている背景
国内では築40年を超える分譲マンションのストックが年々増加しており、今後さらに建て替えや大規模修繕を検討する管理組合が増えると見込まれています。給排水管の劣化や耐震性の不足が、建て替え議論のきっかけになることが多いようです。
3. 建て替え費用の相場
1戸あたりの負担額の目安
建て替え費用の負担額は、立地・容積率の余剰・既存の住戸数・新築のグレードなどによって大きく変わります。一般的には数百万円から、条件によっては1,000万円を超える負担になることもあると言われています。正確な金額は管理組合が取得する概算見積りや、デベロッパーとの協議の中で示されるため、まずは自分のマンションの計画で示された金額を確認することが大切です。
費用が高額になりやすい要因
容積率に余剰がなく新築後の住戸数を増やせない、既存の借入金(大規模修繕積立金の取り崩しなど)が少ない、といった場合は、区分所有者の追加負担が大きくなる傾向があります。
4. 費用が払えないとどうなるか
売渡請求権とは
区分所有法第63条では、建て替え決議が成立すると、決議に賛成しなかった区分所有者に対して、参加するかどうかを2か月以内に回答するよう催告することが定められています。期間内に回答しない場合は、建て替えに参加しない区分所有者とみなされます。そして、建て替えに参加しない区分所有者に対しては、建て替え参加者(または買受指定者)が、区分所有権および敷地利用権を「時価」で売り渡すよう請求できます。これが「売渡請求権」です。
時価での買い取りとその考え方
売渡請求における「時価」は、老朽化した建物そのものの価値だけでなく、建て替えによって発生する期待利益(新しい建物の価値上昇分)を反映して算定されるのが一般的な考え方です。とはいえ、実際の金額は個別の事情によって大きく異なるため、不動産鑑定士などの専門家の関与のもとで協議されます。
退去までのスケジュール感
売渡請求が行われると、区分所有権と敷地利用権は代金と引き換えに移転し、その後は建て替え工事のために退去することになります。実際の退去時期は管理組合の工程によって異なるため、決議後の説明会などで確認しましょう。
5. 費用が払えない場合の5つの選択肢

選択肢1:決議前に区分所有権を売却する
建て替え決議が成立する前の段階であれば、通常の売買として区分所有権を売却できます。老朽化マンションの売却は仲介では買い手が見つかりにくいこともあるため、老朽化物件を専門に扱う買取業者に相談するのも一つの方法です。決議前に動くことで、売渡請求による価格交渉を待たずに、自分の意思で売却時期や条件を選べるという利点があります。
選択肢2:決議後、売渡請求に応じて時価で売却する
費用の用意が難しい場合、無理に建て替えに参加せず、売渡請求に応じて時価を受け取り退去するという選択肢もあります。感情的には複雑ですが、追加費用の負担なく区分所有権を現金化できる方法です。
選択肢3:金融機関の建て替え融資を利用する
建て替え組合や提携金融機関が、区分所有者向けの建て替え費用融資を用意しているケースがあります。年齢や収入によって借入可能額は変わるため、早めに管理組合や金融機関へ相談することが重要です。
選択肢4:国・自治体の補助金やマンション建替え円滑化法の活用
マンションの建て替えに関する主な法律には、区分所有法のほかに「マンションの建替え等の円滑化に関する法律(円滑化法)」があります。円滑化法に基づく建替組合の設立や、自治体の住宅政策担当窓口、住宅金融支援機構の相談窓口では、利用できる支援制度の情報を確認できます。制度の詳細や利用条件は自治体や年度によって異なるため、必ず窓口で最新情報を確認してください。
選択肢5:耐震性不足の認定を受けている場合はマンション敷地売却制度も選択肢に
耐震性が不足していると自治体から認定を受けたマンションでは、建て替えとは別に、区分所有者・議決権の5分の4以上の賛成でマンションの敷地を売却する制度が利用できる場合があります。建て替えでなく敷地ごと売却して資金を得るという道であり、対象となるかどうかは個別の認定状況によって異なるため、管理組合を通じて確認が必要です。
6. 決議前に売却するメリット・デメリット
決議前に売却するメリットは、時価算定を待たず自分の意思で売却時期を決められる点、住宅ローンが残っていても通常の売買として整理しやすい点です。一方で、老朽化が進んだマンションは仲介での買主探しに時間がかかりやすく、価格面でも建て替え後の期待値を織り込んだ売渡請求の時価より低くなる可能性がある点はデメリットといえます。
7. 買取と仲介、費用が払えない場合はどちらが早いか
建て替えのスケジュールが迫っており「決議が成立する前に現金化したい」という場合は、買主探しに時間のかかる仲介より、買取専門業者への売却の方が短期間で現金化しやすい傾向があります。老朽化マンションや権利関係が複雑な物件の取り扱い実績がある業者に相談することをおすすめします。買取業者を選ぶ際のポイントはマンション買取業者の選び方と比較ポイント【2026年版】でも解説しています。また、そもそも「売れるマンションかどうか」を知りたい場合は売れるマンションの7条件|売れない時は買取も【2026】もあわせてご覧ください。
8. マンション敷地売却制度とは
耐震性不足の認定を受けたマンションを対象に、建替え円滑化法に基づいて敷地売却を行う制度です。区分所有者・議決権の5分の4以上の賛成で敷地売却決議を行い、区分所有関係を解消して敷地を売却する仕組みで、通常の建て替えとは異なる資金化の道として設けられています。対象要件や手続きの詳細は自治体や国土交通省の窓口で個別に確認することをおすすめします。
9. 老朽化マンションを売る際の注意点
告知義務(建て替え決議の有無・可能性)
建て替え決議がすでに行われている、または建て替えの話が具体的に進んでいる場合は、買主に対してその事実を告知する義務があります。告知を怠ると後日トラブルになる可能性があるため、正確な情報を不動産会社と共有しましょう。
住宅ローンが残っている場合の抵当権抹消
売却代金でローン残債を完済し、抵当権を抹消してから買主に引き渡すのが一般的な流れです。残債が売却代金を上回るオーバーローンの場合は、金融機関との事前協議が必要になります。
10. 税金の基礎知識
譲渡所得税・3000万円特別控除
マンションを売って利益(譲渡所得)が出た場合、所有期間が5年を超えていれば税率20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)、5年以下なら39.63%の譲渡所得税がかかります。自分が住んでいた住宅を売る場合は、譲渡所得から最大3000万円を控除できる特例(居住用財産の3000万円特別控除)が使える場合があります。
売渡請求による売却でも控除は使えるか
売渡請求に基づく売却であっても、実質的には区分所有権の譲渡にあたるため、居住用財産としての要件を満たせば3000万円特別控除の対象になり得ます。ただし個別の要件確認が必要なため、税理士へ相談することをおすすめします。
11. 費用負担で後悔しないための事前確認ポイント
建て替えの話が出た段階で、概算費用・スケジュール・自分が使える資金の3つを早めに整理しておくことが重要です。管理組合の説明会や理事会の議事録を確認し、わからない点は早めに質問することで、決議直前になって慌てる事態を避けやすくなります。
12. 相談先
まずは管理組合の理事会やマンション建替え専門のコンサルタントに相談するのが基本です。あわせて、費用負担が難しく売却を検討する場合は、老朽化マンションの取り扱い実績がある不動産会社にも早めに相談し、選択肢を比較検討することをおすすめします。
13. ハウスドゥ茨城グループが選ばれる理由
ハウスドゥ茨城グループ(水戸・つくば・取手戸頭・守谷の4店舗)は、宅地建物取引業法34条の2第2項に定める査定根拠の明示を徹底し、老朽化マンションや権利関係が複雑な物件の相談実績を積み重ねてきました。仲介・買取・リースバックの3つの方法から、状況に応じた提案を行っています。
なお、建て替え決議に至る前の段階で「毎月の修繕積立金の値上げ」自体に負担を感じている方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
マンション修繕積立金の相場はいくら?値上げの理由と払えないときの対処法【2026年】
14. よくある質問(FAQ)
Q1. 建て替え決議に反対したら追い出されてしまうのですか?
決議に反対しても、催告に対して建て替えに参加しないと回答(または無回答)した場合、区分所有権等を時価で売り渡すよう請求される可能性があります。ただし時価での買い取りが前提であり、無償で退去させられるわけではありません。
Q2. 売渡請求の時価に納得できない場合はどうすればよいですか?
当事者間の協議で合意できない場合は、裁判所に価格の決定を求める手続きがあります。専門家(弁護士・不動産鑑定士)に相談することをおすすめします。
Q3. 建て替え費用のローンは誰でも借りられますか?
金融機関の審査基準によります。年齢や収入、既存の借入状況によっては希望額を借りられないこともあるため、早めに複数の金融機関へ相談しておくと安心です。
Q4. 建て替え決議前に売却すると住宅ローンはどうなりますか?
売却代金でローン残債を完済するのが基本です。残債が売却額を上回る場合は、事前に金融機関と協議が必要です。
Q5. 建て替えではなく大規模修繕で済ませることはできますか?
建物の状態や耐震性次第では、建て替えでなく大規模修繕で延命する選択肢もあります。管理組合の総会で、建て替えと修繕のどちらを選ぶか議論されるのが一般的です。
Q6. 老朽化マンションでも査定してもらえますか?
ハウスドゥ茨城グループでは、老朽化が進んだマンションや建て替え計画が進行中の物件についても無料査定を受け付けています。まずは現状をご相談ください。
15. まとめ
マンションの建て替え費用は数百万円規模になることがあり、負担が難しい場合は決議前の売却・売渡請求への対応・融資の活用・補助制度の確認・敷地売却制度の検討という5つの選択肢があります。費用や資金計画に不安がある場合は、決議が進む前に早めに情報を集め、専門家や不動産会社に相談することが後悔しない選択につながります。
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