「実家の登記簿を取ってみたら、建物の記載がなかった」「固定資産税の納税通知書は届くのに、法務局で調べると建物が出てこない」——茨城県内でハウスドゥ4店舗を運営する当社には、こうした「未登記建物」に関するご相談が相続や空き家の売却の場面で少なくありません。未登記のまま放置すると、いざ売却しようとしたときに買主の住宅ローンが組めない、契約そのものが進まないといった事態になりかねません。この記事では、未登記建物とは何か、なぜ生まれるのか、固定資産税はどう扱われるのか、そして茨城県内で売却するときにどう対処すればよいかを、不動産会社の実務目線で解説します。
未登記建物とは|登記簿に建物の記載がない状態
未登記建物とは、法務局が管理する不動産登記簿(登記記録)に、その建物の情報が一切記録されていない状態を指します。土地は登記されているのに、その上に建つ建物だけが登記簿に存在しないというケースが典型です。所有者本人が「うちの家はちゃんと登記してある」と思い込んでいて、実は未登記だったと後になって判明することも珍しくありません。
未登記建物が生まれる3つのパターン
茨城県内の物件でよく見られるのは、次の3パターンです。
- 新築時に表題登記をしていない……建築時にそもそも登記手続きを行わなかったケース。昭和期に建てられた古い家屋に多い傾向があります。
- 相続した際に名義変更(相続登記)がされていない……建物自体は登記されているものの、所有者が亡くなった後に相続人への名義変更が行われず、何代も前の名義のまま放置されているケース。
- 増改築部分だけが登記されていない……建物本体は登記済みだが、増築した部分の床面積が登記簿の内容と一致していないケース。

この記事では主に1つ目、「建物そのものの表題登記が存在しない」ケースを中心に解説します。相続による名義未変更(相続登記の未了)については、別記事「相続登記義務化で過料10万円は本当?」でも詳しく取り上げていますので、あわせてご参照ください。
なぜ未登記のままになるのか
建物を新築、または未登記の建物の所有権を取得した場合、その取得の日から1か月以内に「建物表題登記」を申請することが不動産登記法第47条で義務付けられています。申請を怠ると、同法第164条により10万円以下の過料の対象になり得ます。それでも未登記のまま何十年も経過している建物が実際には数多く存在します。理由としては、住宅ローンを利用せず自己資金や親族間融資で建てたため金融機関から登記を求められなかった、増築時に登記の変更手続きが漏れた、相続の際に建物の存在自体が忘れられていた、といった事情が重なっているケースが大半です。
未登記建物のまま放置する4つのリスク
①買主が住宅ローンを利用できない
金融機関は住宅ローンの担保として建物に抵当権を設定しますが、抵当権は登記簿に記録して初めて第三者に対抗できます。建物が未登記のままでは抵当権を設定できないため、買主が住宅ローンを利用しての購入ができません。これは売却活動における最大のボトルネックです。現金一括で購入できる買主か、投資家・買取業者に対象が絞られてしまいます。
②所有権を第三者に主張しにくい
登記には「対抗要件」としての役割があります。未登記のままでは、万が一二重譲渡のようなトラブルが起きた場合に、自分の所有権を法的に主張することが難しくなります。
③将来売却するときにさらに敬遠される
未登記のまま取引を重ねると、次に売るときにはさらに所有関係が複雑になります。「誰が最初の所有者か」を遡って証明する必要が生じ、時間が経つほど手続きの難易度が上がっていきます。
④相続時に手続きが複雑になる
未登記建物を相続する場合、通常の相続登記の前提となる「登記簿上の所有者」が存在しないため、まず表題登記を行ってから相続人名義の保存登記をする、という余分な手順が必要になります。相続人が複数いる場合は、遺産分割協議書の内容と整合させる必要もあり、司法書士・土地家屋調査士のどちらにも依頼が必要になるケースが一般的です。
固定資産税はどうなる?|未登記でも課税される
「登記していないなら固定資産税もかからないのでは」と誤解されることがありますが、これは誤りです。固定資産税は登記の有無にかかわらず、市町村が独自に建物の現況を調査して課税する「現況課税」が原則です。未登記の建物は、法務局の登記簿ではなく市町村が管理する「家屋補充課税台帳」に登録され、そこに記録された所有者(または現に所有している者)に対して毎年課税されます。
名寄帳で「未登記」を確認できる
相続した実家の建物が登記されているかどうかを調べるには、市町村役場で「名寄帳(なよせちょう)」を取得するのが確実な方法です。名寄帳の家屋番号欄が空欄になっていたり、「未登記」と表記されていたりする場合は、その建物が登記簿に存在しない可能性が高いといえます。茨城県内の各市町村役場の税務課(資産税課)で、固定資産税評価証明書とあわせて取得できます。
固定資産税の名義変更だけでは登記の代わりにならない
市町村の窓口で「現所有者申告」や課税台帳上の名義変更の手続きをしても、それはあくまで納税義務者を明確にするための市町村内部の手続きにとどまります。法務局の登記簿に建物を登録する「表題登記」とは全く別の制度であるため、固定資産税の名義変更を済ませただけで安心してしまうと、いざ売却する段階で「登記簿に建物がない」という事実に変わりはありません。
未登記建物を売却する3つの方法
方法1:登記を済ませてから仲介で売る
最も一般的で、買主の選択肢を狭めない方法です。土地家屋調査士に依頼して「建物表題登記」を行い、続けて司法書士に依頼して「所有権保存登記」を行います。この2つの登記が完了して初めて、買主は住宅ローンを利用でき、通常の仲介での売却活動が可能になります。
方法2:未登記のまま、事情を明示して売る
買主が現金で購入できる場合や、建物の資産価値をあらかじめ低く見積もって土地値に近い価格で取引する場合は、未登記のまま売買契約を結ぶことも法律上は可能です。ただし、契約書に「未登記であること」「登記に関する責任の所在」を明確に記載しておかないと、後々のトラブルの原因になります。この方法は買主が限定されるため、一般の仲介市場では成立しにくいのが実情です。
方法3:建物を解体し、更地として土地を売る
建物の資産価値がほとんど無く、登記費用をかけてまで残す必要がないと判断される場合は、解体して更地にしてから土地として売却する方法もあります。この場合、建物の登記自体が不要になります(建物が滅失すれば「建物滅失登記」を行い、登記簿上の建物を消滅させます)。ただし、更地にすると住宅用地の固定資産税の軽減特例が外れ、税額が上がる点には注意が必要です。解体費用の目安や茨城県内市町村の解体補助金制度については、姉妹サイト「解体Do!茨城」で詳しく解説しています。

3つの方法をどう選ぶか|判断のポイント
迷ったときは、次の3つの視点で判断します。
- 買主層を広げたいか……住宅ローンを使う一般の買主に売りたいなら方法1(登記してから売る)一択です。
- 時間をかけられるか……登記完了までは早くても1〜2か月程度かかります。相続の分割協議が長引いている場合は、先に方法3(解体して更地)を検討したほうが早く現金化できることもあります。
- 建物にまだ利用価値があるか……老朽化が進み解体前提であれば、登記費用をかけずに方法3を選ぶ方が合理的な場合があります。
建物表題登記の流れと期間の目安
登記して売却する場合の標準的な流れは次のとおりです。
- 土地家屋調査士へ相談・現地調査の依頼
- 建物の位置・形状・床面積を測量し、建物図面・各階平面図を作成
- 必要書類(所有権を証明する書類、建築確認済証、工事完了引渡証明書、相続関係書類など)を収集
- 法務局へ建物表題登記を申請(通常2〜3週間程度で完了)
- 司法書士へ引き継ぎ、所有権保存登記を申請(通常1週間程度)
- 登記完了後、通常の仲介での売却活動を開始
相続が絡む場合や必要書類(建築確認済証など)が見つからない場合は、市町村の家屋台帳や航空写真、固定資産税評価証明書などで建築時期を推定する追加調査が必要になり、その分期間が延びる傾向があります。
登記にかかる費用の目安
費用はあくまで目安です。建物の規模や調査の難易度、依頼する専門家によって変動するため、正式な見積りは土地家屋調査士・司法書士に直接ご確認ください。
| 手続き | 担当する専門家 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 建物表題登記 | 土地家屋調査士 | 8万円〜15万円程度(一般的な戸建て) |
| 所有権保存登記 | 司法書士 | 3万円〜5万円程度(報酬)+登録免許税(固定資産税評価額の0.4%) |
| 必要書類が揃わない場合の追加調査 | 土地家屋調査士 | 数万円〜(内容により大きく変動) |
登録免許税は所有権保存登記の際に法務局へ納付する税金で、建物の固定資産税評価額に0.4%を掛けて算出します(住宅用家屋の軽減税率の対象になる場合はさらに低くなることがあります)。評価額が低い古い建物であれば、登録免許税自体は数万円程度に収まることが多いです。
必要書類が見つからないときはどうするか
古い未登記建物では、建築確認済証や工事完了引渡証明書が手元に残っていないケースが多くあります。この場合は、次のような代替書類・手続きで対応します。
- 固定資産税課税明細書・名寄帳(いつから建物が存在していたかの証明に使う)
- 建築時の請負契約書・領収書
- 近隣住民や工事関係者による「上申書」(建築時期や所有者を証明する書類として法務局に提出することがある)
- 市町村発行の建物存在証明(自治体によって呼称や取扱いが異なるため要確認)
どの書類が使えるかは物件ごとの事情によって異なり、最終的な判断は法務局・土地家屋調査士に委ねられます。書類が全く無い場合でも、上申書などの代替手段で登記できることがあるため、「書類が無いから諦める」前に専門家へ相談することをおすすめします。
相続と未登記建物|3年以内の相続登記義務化との関係
2024年4月1日から相続登記が義務化され、不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記を申請することが義務付けられました(正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になり得ます)。ただし、この義務化はあくまで「登記簿上に存在する不動産の名義変更」を対象にしたものです。建物そのものが未登記(表題登記が無い)の場合は、まず表題登記を行わなければ、そもそも名義変更(相続を原因とする所有権保存登記)ができません。相続をきっかけに古い実家の登記簿を確認したら建物の記載が無かった、というご相談は、この2つの制度の違いを理解していないと混乱しやすいポイントです。相続登記義務化そのものの詳しい期限・罰則については「相続登記義務化で過料10万円は本当?」で解説しています。
未登記建物と空き家問題|放置するとどうなるか
未登記のまま空き家として放置すると、通常の空き家問題(倒壊リスク・近隣トラブル・固定資産税の軽減特例の喪失リスクなど)に加えて、「売ろうとしても買主の融資が使えない」という追加のハンディキャップを抱えることになります。相続人が複数いる場合は、遺産分割協議がまとまらないまま放置期間が延びるほど、関係者の数がさらに増えて手続きが複雑化する傾向があります。空き家全般の放置リスクについては「空き家3年放置で罰金100万円は本当?」で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
買取業者になら未登記のままでも相談できる
「登記の手間や費用をかけてまで売るほどの価値があるか分からない」「相続人がまだ揃わず、時間をかけられない」という場合は、不動産買取業者に相談するという選択肢があります。買取であれば、現金決済であるため未登記の状態でも交渉のテーブルに乗せやすく、登記手続きを買主側(または業者側)で引き受ける形で進められることもあります。当社ハウスドゥは茨城県内に4店舗(つくば市・水戸市・取手市・守谷市)を構え、未登記建物・相続前の空き家・老朽化した建物の買取実績があります。まずは現状のまま、無料相談・査定でご状況をお聞かせください。
茨城県内の相談窓口|お近くの店舗へ
未登記建物の売却は、登記の専門知識と地域の相場感の両方が必要になるため、お近くの店舗にまずご相談いただくことをおすすめします。
- つくば市・県南エリア:ハウスドゥ つくば研究学園都市
- 水戸市・県央エリア:ハウスドゥ 水戸
- 取手市・県南東エリア:ハウスドゥ 取手戸頭
- 守谷市・県西エリア:ハウスドゥ 守谷
解体を前提とした更地売却をご検討の場合は、姉妹サイト「解体Do!茨城」で市町村ごとの解体補助金情報もあわせてご確認いただけます。
ハウスドゥブランドについて
ハウスドゥは全国に加盟店を展開する不動産流通のフランチャイズブランドで、テレビCMでは元プロ野球選手・古田敦也さんがイメージキャラクターを務めています。「新品同様」「リースバック」など独自のサービスで知られ、茨城県内ではつくば市・水戸市・取手市・守谷市の4店舗を、トーマン(知事免許)・JOB HOPE(知事免許)の2社が運営しています。未登記建物のような登記の専門知識が必要な案件も、提携する土地家屋調査士・司法書士とともに対応いたします。
まとめ|未登記建物は「まず調べる」ことから
未登記建物は、放置していても固定資産税の課税が止まるわけではなく、売却時には買主の住宅ローンが使えないという大きな制約を生みます。まずは名寄帳を取得して建物が登記されているかどうかを確認し、登記して売るか、未登記のまま特殊な条件で売るか、解体して更地にするかを、費用と時間のバランスで判断することが重要です。判断に迷う場合は、登記の専門家と不動産会社の両方の視点が必要になるため、早めにご相談ください。
よくある質問
Q. 未登記建物はそのまま売買できますか?
A. 法律上は未登記のままでも売買契約自体は可能です。ただし、買主が住宅ローンを利用できないなど制約が大きいため、一般の仲介市場で売る場合は登記を済ませてからの売却が現実的です。
Q. 未登記建物でも固定資産税はかかりますか?
A. かかります。固定資産税は市町村が建物の現況を独自に調査して課税する「現況課税」が原則のため、登記の有無にかかわらず、家屋補充課税台帳に基づいて毎年課税されます。
Q. 自分の家が未登記かどうか、どうやって調べればよいですか?
A. 市町村役場の税務課(資産税課)で「名寄帳」を取得し、家屋番号の欄が空欄または「未登記」となっていないかを確認するのが確実です。あわせて法務局で登記事項証明書を請求し、建物の記載があるかどうかも確認しましょう。
Q. 未登記のまま登記しないとどうなりますか?
A. 不動産登記法上、建物の所有権取得から1か月以内に表題登記の申請義務があり、怠ると10万円以下の過料の対象になり得ます(不動産登記法第164条)。ただし実際に過料が科されるケースは多くはないとされています。とはいえ登記が無いままでは売却時の制約が大きいため、早めの対応をおすすめします。
Q. 増築した部分だけ登記されていない場合はどうすればよいですか?
A. 建物表題部の「表示変更登記」を土地家屋調査士に依頼し、増築部分の床面積・構造を登記簿に反映させます。登記簿の床面積と固定資産税の課税床面積が食い違っている場合、この手続きが未了であることが多いです。
Q. 建築確認済証などの書類が見つからなくても登記できますか?
A. 書類が無くても、固定資産税の課税明細や近隣関係者の上申書など代替資料で登記できる場合があります。最終的な可否は法務局・土地家屋調査士の判断によるため、書類が無いからと諦めずにまず相談することをおすすめします。
Q. 未登記建物は解体してから売ったほうがよいですか?
A. 建物にほとんど資産価値が無く、登記費用をかけてまで残す必要が薄い場合は、解体して更地で売る方法も選択肢になります。ただし更地にすると住宅用地の固定資産税軽減特例が外れ、税額が上がる点に注意が必要です。登記費用と解体費用、それぞれのケースでの想定売却価格を比較したうえで判断することをおすすめします。
Q. 未登記建物でも買取業者に相談できますか?
A. ご相談いただけます。買取であれば現金決済のため未登記の状態でも交渉を進めやすく、登記手続きの一部を買主側で引き受ける形で進められることもあります。まずは現状のままご相談ください。




