茨城県は「不動産」より先に「農業」で全国上位に来ることが多い県です。農業産出額は全国3位、れんこん・メロン・ピーマンなど全国シェア1位の農産物が7品目——ここまでは知られていても、「食料自給率」という切り口で茨城県を見たことがある方は少ないのではないでしょうか。

この記事では、農林水産省が2025年10月に公表した最新の一次データだけを使って、茨城県の食料自給率を数字で整理します。そして、自給率の高さの裏側にある「使われていない農地」の存在まで踏み込みます。農産物の品目や産地の詳しい話は、別記事「茨城県の特産品・農産物|全国1位の7品目」にまとめていますので、そちらもあわせてご覧ください。

目次
  1. 茨城県の食料自給率は70%|全国13位(令和6年度概算値)
    1. 食料自給率(カロリーベース)とは
    2. 茨城県の食料自給率の推移(カロリーベース)
  2. 全国順位13位の顔ぶれ|上位県・下位県との比較
  3. 関東1都6県では栃木に次ぐ2位|東京都0%・神奈川県2%との差
  4. 生産額ベースでは129%|カロリーベースとの違い
    1. 生産額ベース自給率とは
    2. 茨城県は129%で全国18位、前年度比+18ポイント
  5. なぜ茨城県の自給率はここまで高いのか
    1. 耕地面積15万8,300ha・全国3位
    2. 全国シェア1位の農産物が7品目
  6. 【不動産の視点】高い自給率の裏にある「使われていない農地」
    1. 荒廃農地11,392ha・全国8位
    2. 担い手への農地集積率41.3%・全国25位
    3. 「自給率が高い」と「農地が有効活用されている」は別の話
  7. 農地・田畑つきの実家を相続・売却するときの3つの選択肢
    1. 農地の売買には農地法の許可が必要
    2. 市街化調整区域かどうかで対応が変わる
    3. 空き家バンク・自社買取という選択肢
  8. 茨城県内で不動産売却・買取をご検討の方へ
    1. 茨城県内4店舗のご案内
  9. よくある質問
    1. Q1. 茨城県の食料自給率が全国13位というのは、あまり知られていない気がします。なぜですか?
    2. Q2. カロリーベースと生産額ベースで順位や数値が違うのはなぜですか?
    3. Q3. 食料自給率が高い県ほど、農地はすべて有効活用されているのですか?
    4. Q4. 実家の周りに田畑が広がっている場合、売却時に何を確認すればよいですか?
    5. Q5. 茨城県の中でも自給率に地域差はありますか?
    6. Q6. 荒廃農地とはどのような農地のことですか?
  10. まとめ|数字で見ると、茨城県は「隠れた食料基地」

茨城県の食料自給率は70%|全国13位(令和6年度概算値)

農林水産省が2025年10月10日に公表した「令和6年度食料自給率」によると、茨城県のカロリーベース食料自給率は70%で、全国13位でした。全国平均が38%であることを踏まえると、茨城県は全国平均の1.8倍以上の水準にあることになります。

食料自給率(カロリーベース)とは

カロリーベースの食料自給率は、「1人1日あたりに供給される熱量のうち、どれだけを国産(都道府県産)でまかなえているか」を示す指標です。都道府県別の数値は、全国の1人1日あたり供給熱量(令和6年度は2,248kcal)を分母に、各都道府県産の供給熱量を分子にして算出されます。米・野菜・畜産物など品目ごとの全国生産量を都道府県の生産量に応じて按分し、人口で割って求める仕組みのため、「自給率が高い=生産量が多く、かつ人口が少ない」ほど数値が上がりやすい性質があります。

茨城県の食料自給率の推移(カロリーベース)

過去5年分の推移は次のとおりです(農林水産省「都道府県別食料自給率の推移」より)。

年度 令和2年度 令和3年度 令和4年度 令和5年度 令和6年度(概算値)
茨城県 68% 70% 68% 69% 70%
全国 37% 38% 38% 38% 38%

ここ5年間は68〜70%のあいだで安定しており、令和6年度は前年度から1ポイント上昇しました。全国が横ばいで推移する中、茨城県は一貫して全国平均の約1.8〜1.9倍を維持しています。

全国順位13位の顔ぶれ|上位県・下位県との比較

カロリーベース自給率の全国順位を見ると、茨城県より上位には人口が少なく生産量の多い道県が並びます。

順位 都道府県 自給率
1位 北海道 227%
2位 秋田県 221%
3位 山形県 147%
4位 青森県 126%
5位 新潟県 120%
6位 岩手県 113%
7位 福島県・佐賀県 86%
9位 富山県・鹿児島県 78%
11位 宮城県 77%
12位 栃木県 72%
13位 茨城県 70%

注目したいのは、上位常連の北海道・秋田・山形・新潟・岩手が軒並み人口密度の低い道県である一方、茨城県は人口約286.7万人(令和6年時点)を抱えながら13位に入っている点です。人口の多い都府県の中では、茨城県は実質的に上位グループに位置します。

関東1都6県では栃木に次ぐ2位|東京都0%・神奈川県2%との差

首都圏という枠で見ると、茨城県の立ち位置はさらにはっきりします。

順位 都県 自給率
1位 栃木県 72%
2位 茨城県 70%
3位 群馬県 34%
4位 千葉県 25%
5位 埼玉県 10%
6位 神奈川県 2%
7位 東京都 0%

東京都・神奈川県・埼玉県という人口の多い3都県が軒並み10%以下であるのに対し、茨城県は隣接する千葉県の約2.8倍、埼玉県の7倍にあたる70%を確保しています。首都圏に住む約4,400万人(1都3県)の食料供給を支える生産基地としての役割を、茨城県が栃木県と並んで担っている構図が数字に表れています。

関東1都6県 食料自給率比較 茨城県 全国13位
関東1都6県の食料自給率比較(出典:農林水産省「令和6年度食料自給率」都道府県別データ)

生産額ベースでは129%|カロリーベースとの違い

自給率にはもう一つ、「生産額ベース」という指標があります。茨城県はこちらで見るとさらに際立ちます。

生産額ベース自給率とは

生産額ベースの自給率は、「食料の消費金額のうち、どれだけを国産(都道府県産)の生産額でまかなえているか」を示す指標です。カロリーベースが米・穀物のような熱量の高い品目の影響を受けやすいのに対し、生産額ベースは野菜・畜産・果樹のような単価の高い品目の生産力を反映しやすい性質があります。

茨城県は129%で全国18位、前年度比+18ポイント

令和6年度(概算値)の茨城県の生産額ベース自給率は129%で、前年度(111%)から18ポイントの大幅な上昇でした。全国平均は61%から64%への3ポイント上昇にとどまっており、茨城県の伸び幅は全国平均の6倍にあたります。カロリーベースでは13位でしたが、野菜・畔産・果樹の生産力を反映する生産額ベースでは、茨城県の農業の「稼ぐ力」がより強く表れる結果になっています。

なぜ茨城県の自給率はここまで高いのか

背景にある土台となる数字を、要点だけ押さえておきます。品目ごとの詳しい生産量やシェアは、別記事「茨城県の特産品・農産物|全国1位の7品目」で解説しています。

耕地面積15万8,300ha・全国3位

農林水産省「令和6年耕地面積」によると、茨城県の耕地面積は15万8,300ha(田9万3,900ha・畑6万4,500ha)で全国3位です。農業経営体数は4万4,852経営体で全国1位、東京から40〜160kmという首都圏近郊の立地にもかかわらず、これだけの農地と担い手を抱えている県は他にありません。

全国シェア1位の農産物が7品目

令和5年の農業産出額は4,536億円で全国3位。れんこん・みずな・はくさい・ピーマンほちんげんさい・メロンくりの7品目が収穫量全国1位、かんしょ(さつまいも)が全国2位です。東京中央卸売市場における茨城県産青果物の取扱高は、平成16年から21年連続で全国1位を維持しています。

【不動産の視点】高い自給率の裏にある「使われていない農地」

ここからが、農業の統計だけを見ていては気づきにくい部分です。自給率が高いことは、必ずしも「すべての農地が生かされている」ことを意味しません。

荒廃農地11,392ha・全国8位

農林水産省「令和5年度の荒廃農地面積」によると、茨城県の荒廃農地(耕作をやめて長期間放置され、再生利用が困難または容易でない農地)の面積は11,392haで、全国8位です。これは茨城県の耕地面積15万8,300haの約7.2%にあたります。自給率の高さを支える生産基盤の一方で、東京23区の面積(約6.3万ha)の約18%に相当する農地が、荒廃した状態で残っている計算になります。

担い手への農地集積率41.3%・全国25位

農地中間管理機構の実績データによると、茨城県の担い手(意欲のある農業者)への農地集積率は41.3%で、全国平均60.4%を大きく下回る全国25位です。耕地面積では全国3位という規模を持ちながら、「誰が耕すか」という担い手への集約は全国平均以下にとどまっている、というねじれた状況があります。

「自給率が高い」と「農地が有効活用されている」は別の話

この2つの数字が示すのは、茨城県全体で見れば高い生産力を維持している一方、個々の農地・農家のレベルでは、後継者不在や相続をきっかけに耕作が止まり、荒廃農地や集積の進まない小規模農地として取り残されるケースが少なくないという実態です。私たちが日々の不動産売却・買取のご相談で農地付きの実家や空き家に接する機会が多いのも、この構造と無関係ではありません。

農地・田畑つきの実家を相続・売却するときの3つの選択肢

茨城県内では、住宅の敷地に隣接して田畑がある、あるいは実家そのものが農地に囲まれているケースが珍しくありません。相続や売却を考えるときに押さえておきたい要点を整理します。詳しい手続きは別記事「農地付き空き家の売却|農地法3条・5条と茨城県の実例」で解説しています。

農地の売買には農地法の許可が必要

農地は宅地と違い、自由に売買できません。権利を移転するだけの場合は農地法3条、農地を農地以外に転用する場合は4条(自己転用)・5条(転用目的での権利移転)の許可が必要です。2023年の法改正で下限面積要件は全国で廃止されましたが、農業委員会の許可要件そのものは残っています。

市街化調整区域かどうかで対応が変わる

茨城県内でも、市街化区域と市街化調整区域では農地転用の難易度が大きく異なります。市街化調整区域内の農地は、原則として住宅用地への転用が制限されており、農地のまま売却する、あるいは農業委員会・自治体との事前相談を経て手続きを進める必要があります。

空き家バンク・自社買取という選択肢

「宅地部分だけ売りたいが、隣接する農地の扱いが分からない」というご相談は、茨城県内の店舗でも多くいただきます。市町村の空き家バンクへの登録や、農地を残したまま宅地・建物のみを買い取る自社買取など、地域の実情に合わせた選択肢があります。まずは現状を整理するところから、お気軽にご相談ください。

茨城県内で不動産売却・買取をご検討の方へ

ハウスドゥは茨城県内に4店舗を構え、それぞれが担当エリアの農地・空き家事情に精通しています。農地付きの実家や、田畑に囲まれた住宅の売却・買取についても、地域ごとの実情を踏まえてご提案します。

茨城県内4店舗のご案内

店舗 担当エリアの目安
ハウスドゥ 家・不動産買取専門店 筑波研究学園都市(つくば市) 県南・県西エリア
ハウスドゥ 家・不動産買取専門店 県央・県北・鹿行エリア 県央・県北・鹿行エリア
ハウスドゥ 取手戸頭(取手市) 県南東部エリア
ハウスドゥ 守谷(守谷市) 県南西部エリア

よくある質問

Q1. 茨城県の食料自給率が全国13位というのは、あまり知られていない気がします。なぜですか?

食料自給率のランキングは北海道・東北・北陸など人口が少なく生産量の多い道県が上位を占めやすく、関東地方の県が話題になる機会が少ないためと考えられます。しかし人口280万人を超える県としては、茨城県の70%は際立って高い水準です。

実は、茨城県は「都道府県魅力度ランキング」では長年下位に位置しており、食料自給率などの実力を示す指標とイメージ調査の結果には大きなギャップがあります。詳しくは「茨城県の魅力度ランキングの実像|最下位から46位」で解説しています。

Q2. カロリーベースと生産額ベースで順位や数値が違うのはなぜですか?

カロリーベースは米・穀物など熱量の高い品目の影響を受けやすく、生産額ベースは野菜・畔産・果樹など単価の高い品目の影響を受けやすいためです。茨城県はカロリーベースで70%(全国13位)、生産額ベースで129%(全国18位・前年度比+18ポイント)と、どちらの指標でも高い水準にあります。

Q3. 食料自給率が高い県ほど、農地はすべて有効活用されているのですか?

そうとは限りません。茨城県の荒廃農地面積は11,392ha・全国8位、担い手への農地集積率は41.3%・全国25位で、全国平均を下回っています。県全体の生産力は高くても、個々の農地では後継者不在などによる荒廃・未集積が課題として残っています。

Q4. 実家の周りに田畑が広がっている場合、売却時に何を確認すればよいですか?

まず対象の土地が「農地」として登記・現況ともに扱われているかを確認します。農地であれば農地法の許可(3条・4条・5条)が必要になり、市街化区域か市街化調整区域かによっても手続きが変わります。宅地と農地が一体になっている場合は、分筆や用途の整理が必要になることもあるため、早めに専門家へご相談いただくとスムーズです。

Q5. 茨城県の中でも自給率に地域差はありますか?

都道府県別の食料自給率は市町村単位までは公表されていませんが、耕地面積や農業産出額の実態を見ると、県南(れんこん)、鹿行(メロン・かんしょ・ピーマン)、県西(はくさい)など、地域ごとに生産の中心となる品目が異なります。エリアごとの特徴は別記事「茨城県の特産品・農産物|全国1位の7品目」で詳しく紹介しています。

Q6. 荒廃農地とはどのような農地のことですか?

荒廃農地とは、現に耕作されておらず、耕作の放棄によって荒廃し、通常の農作業では作物の栽培が客観的に不可能になっている農地のことです。茨林水産省の定義では、再生利用が可能なものと、森林化などにより再生利用が困難なものに区分されます。

まとめ|数字で見ると、茨城県は「隠れた食料基地」

一次情報を整理すると、次のような姿が見えてきます。

  • 茨城県のカロリーベース食料自給率は70%で全国13位、全国平均38%の1.8倍以上。
  • 関東1都6県では栃木県(72%)に次ぐ2位。東京都0%・神奈川県2%とは対照的な数字。
  • 生産額ベースでは129%(全国18位)、前年度から+18ポイントと大きく伸びている。
  • 背景には耕地面積15万8,300ha(全国3位)、収穫量全国1位の農産物7品目という生産基盤がある。
  • 一方で荒廃農地は11,392ha・全国8位、担い手への農地集積率は41.3%・全国25位と、農地の使われ方には課題も残る。

茨城県は「食料をつくる力」では全国でも上位に入る一方、その土台となる個々の農地・実家の相続や売却では、荒廃農地・空き家という形で課題が表面化しています。田畑つきの実家や、農地に囲まれた住宅の売却・買取でお悩みの際は、地域の実情に詳しいハウスドゥ茨城県4店舗まで、お気軽にご相談ください。

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まとめ記事:茨城県 人口・地価・暮らしのデータまとめ【2026年】

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