賃貸マンションやアパートを探すとき、「茨城県の家賃相場は全国と比べて高いのか、安いのか」「県内でも地域によってどれくらい差があるのか」を正確な数字で把握している人は少ないのではないでしょうか。本記事では総務省統計局・茨城県統計課の一次データに基づき、茨城県の賃貸市場の実像を整理します。
この記事でわかること
- 茨城県の借家(賃貸住宅)の1か月あたり家賃の実額と全国比較
- 公営・民営・UR・給与住宅など借家の種類別の家賃差
- 2018年から2023年にかけての5年間の家賃推移
- 県内の地域差(地価・利便性との関係)
- 賃貸市場のデータが不動産の売却・活用にどうつながるか
茨城県の賃貸市場、全体像
借家は住宅全体の26.3%
総務省・茨城県統計課「令和5年住宅・土地統計調査の結果の概要」(2025年3月28日更新)によると、茨城県の総住宅数139万900戸のうち、借家は31万2,000戸で住宅全体の26.3%を占めます。前回(2018年)調査とほぼ同率で、大きな構成比の変化はありません。
借家の内訳をみると、最も多いのが「民営借家」で25万7,000戸(住宅全体の21.6%)。次いで「給与住宅」2万8,700戸(同2.4%)、「公営の借家」2万2,800戸(同1.9%)、「都市再生機構(UR)・公社の借家」3,400戸(同0.3%)の順です。賃貸市場の大部分を民間の賃貸住宅(アパート・マンション)が占めていることがわかります。
持ち家中心の住宅事情
持ち家住宅率は69.4%(2018年比-1.3ポイント)で、全国平均60.9%を8.5ポイント上回ります。茨城県は全国的に見ても「持ち家中心・賃貸は少数派」という住宅事情の県であり、この構造は賃貸物件の需給バランスにも影響しています。
借家の1か月あたり家賃はいくらか
全国平均との差は約2割
茨城県の借家(専用住宅)全体の1か月あたり家賃は47,517円です(2023年調査時点)。2018年(45,231円)と比べて5.1%の増加となっています。
全国平均は59,656円(2023年)であり、茨城県はこれを12,139円、率にして約20.3%下回ります。都市部を含む全国平均との比較では、茨城県の家賃水準は相対的に低い部類に入ります。
1畳あたりの家賃で見ると、茨城県は2,597円(全国平均3,403円)。畳数単価で比べても、全国の76%程度の水準にとどまっています。
借家の種類別・家賃の内訳
借家は運営主体・建物構造によって性格が異なり、家賃水準にも差があります。茨城県の2023年データは以下のとおりです。
| 借家の種類 | 1か月あたり家賃 | 2018年比 | 1畳あたり家賃 |
|---|---|---|---|
| 公営の借家 | 22,330円 | +14.0% | 1,097円 |
| 民営借家(木造) | 49,220円 | +5.3% | 2,501円 |
| 民営借家(非木造) | 53,569円 | +4.5% | 3,083円 |
| 都市再生機構(UR)・公社の借家 | 56,629円 | +10.3% | 2,608円 |
| 給与住宅 | 27,128円 | +9.2% | 1,637円 |

最も家賃が高いのは「都市再生機構(UR)・公社の借家」で56,629円。次いで「民営借家(非木造=主に鉄筋コンクリート造のマンション等)」が53,569円、「民営借家(木造=主に木造アパート)」が49,220円という順です。木造アパートより非木造マンションのほうが高いのは、設備・築年数・立地の違いが反映されていると考えられます。
公営の借家は22,330円と最も低廉ですが、2018年比+14.0%と上昇率は種類別で最大です。低所得世帯・高齢者向けの受け皿である公営住宅の家賃も、じわりと上昇していることがうかがえます。
5年間の推移|家賃はなぜ上昇したのか
上昇率トップは公営の借家
2018年から2023年にかけて、茨城県の借家全体の家賃は45,231円→47,517円へと5.1%上昇しました。全国の上昇率7.1%と比べるとやや緩やかですが、上昇トレンドである点は同じです。
種類別では、公営の借家(+14.0%)とUR・公社の借家(+10.3%)の上昇率が特に高く、民営借家(木造+5.3%、非木造+4.5%)は相対的に穏やかな上昇にとどまっています。前回調査(2013年→2018年)では茨城県の借家全体の家賃はほぼ横ばい(-0.2%)だったため、この5年間で上昇に転じたことになります。
背景として考えられる要因は、①建築資材・人件費の上昇による新築賃貸住宅の家賃転嫁、②つくばエクスプレス(TX)沿線(つくば市・守谷市・つくばみらい市)を中心とした人口増加エリアでの賃貸需要の高まり、③全国的な金利・物価動向の影響、の3点です。ただし、これらは一般的に指摘される要因であり、茨城県特有の要因分析は今回の統計調査には含まれていません。

県内の地域差|家賃相場は一様ではない
市町村別の公式統計は無い
今回の統計調査(住宅・土地統計調査)は都道府県単位の集計が中心で、44市町村別の家賃の公式統計は公表されていません。この点は正直にお伝えします。
ただし、家賃相場と密接に連動する「地価公示」データは市町村別に公表されており(本サイトの関連記事「茨城県44市町村の公示地価ランキング」参照)、地価の高い地域ほど賃貸家賃も高くなる傾向があることは不動産市場の一般的な性質として知られています。国土交通省地価公示2026年のデータでは、県内トップは守谷市(152,130円/m2)で、つくば市・つくばみらい市などTX沿線が上位を占めます。これらのエリアは分譲マンション・賃貸マンションの新規供給も多く、賃貸家賃も県平均を上回ると推測されますが、公式な市町村別家賃統計がない以上、これは「地価との相関からの推測」であり断定はできません。
UR賃貸と地価の関係
一方、UR(都市再生機構)賃貸住宅は、つくば市(研究学園都市として計画的に整備された経緯)や水戸市など都市機能が集積するエリアに団地が多く立地する傾向があり、UR・公社の借家の家賃(56,629円)が種類別で最も高い一因になっていると考えられます。
県北・鹿行エリアなど人口密度が低い地域では、地価水準そのものが県南・県央より大きく低いため(本サイト「茨城県の公示地価の推移」参照)、賃貸家賃も相対的に抑えられている可能性が高いと考えられます。
持ち家率との関係|なぜ茨城県は賃貸が少ないのか
敷地面積の広さと高齢化の影響
茨城県の持ち家住宅率69.4%は、全国平均60.9%を大きく上回ります(本サイト「茨城県の持ち家率・借家率」参照)。持ち家中心の住宅事情は、次の2点と関係していると考えられます。
- 敷地面積の広さ:茨城県は1住宅あたり敷地面積394.15平方メートルで全国1位(本サイト「茨城県の土地の広さ」参照)。戸建て住宅を建てやすい土地環境が、賃貸より持ち家を選ぶ動機になっている可能性があります。
- 単身世帯・高齢化の状況:高齢者のいる世帯の89.9%が持ち家に居住しており、賃貸は9.9%にとどまります(本サイト「茨城県の世帯数と世帯構成の変化」参照)。高齢化が進む中でも「住み替えず持ち家に住み続ける」傾向が強い県民性がうかがえます。
この構造は、賃貸市場の規模が今後急拡大する可能性が低いことも示唆します。人口減少・世帯の小規模化が進む中(本サイト「茨城県の人口推移と将来推計」参照)、賃貸需要は都市部(TX沿線・水戸市周辺)に集中し、その他の地域では横ばいないし緩やかな縮小が見込まれます。
賃貸データが不動産の売却・活用に持つ意味
賃貸か売却か迷ったときの判断材料
賃貸市場の家賃相場データは、次のような場面で実務的な判断材料になります。
- 実家・相続した空き家を貸すか売るかの判断:茨城県の民営借家(木造)家賃は月額49,220円が目安。修繕費・管理の手間・空室リスクを考慮すると、立地によっては賃貸経営より売却のほうが手取りが多いケースも少なくありません。
- リースバック検討時の家賃相場感:自宅を売却して賃貸として住み続けるリースバックでは、想定家賃が売却価格や利回りに直結します(本サイト「リースバックの家賃相場と適正価格」で計算方法を解説)。
- 投資用物件としての収益性判断:賃貸家賃の水準と物件価格(地価公示)を突き合わせることで、大まかな利回りの目安をつかめます。
いずれのケースも、県平均だけでなく市町村単位の地価・需要動向を踏まえた個別判断が必要です。ハウスドゥの茨城県内4店舗(つくば・水戸・取手戸頭・守谷)では、エリアごとの実勢相場を踏まえた無料査定・相談を承っています。
よくある質問
Q1. 茨城県の賃貸の家賃は全国と比べて高いですか、安いですか?
安い部類に入ります。茨城県の借家全体の1か月あたり家賃は47,517円で、全国平均59,656円を12,139円(約20.3%)下回ります(総務省・茨城県統計課「令和5年住宅・土地統計調査」2023年)。
Q2. 市町村別の家賃相場は公表されていますか?
今回の住宅・土地統計調査では、家賃データは都道府県単位までの公表であり、44市町村別の公式な家賃統計はありません。市町村単位の相場感を知りたい場合は、不動産ポータルサイトの掲載賃料や地元不動産会社への相談が実務的な手段になります。
Q3. 民営借家(木造)と(非木造)はどちらが高いですか?
非木造(主に鉄筋コンクリート造のマンション等)のほうが高く、53,569円です。木造(主にアパート)は49,220円で、非木造が木造を4,349円上回ります(2023年・茨城県)。
Q4. 5年前(2018年)と比べて家賃はどれくらい上がりましたか?
茨城県の借家全体で5.1%の上昇です(45,231円→47,517円)。種類別では公営の借家が+14.0%と最も上昇率が高く、民営借家(非木造)は+4.5%と比較的緩やかでした。
Q5. 茨城県はなぜ賃貸より持ち家が多いのですか?
統計上、明確な単一の理由は特定されていませんが、①1住宅あたり敷地面積が394.15平方メートルで全国1位と広く戸建て取得のハードルが低いこと、②高齢者のいる世帯の89.9%が持ち家に居住し住み替えが少ないこと、の2つの傾向が背景として考えられます。持ち家住宅率は69.4%で全国平均60.9%を8.5ポイント上回ります。
Q6. 相続した実家は賃貸に出すべきですか、売却すべきですか?
一概には言えません。茨城県の民営借家(木造)の家賃目安は月額49,220円ですが、これはあくまで県平均です。実際の判断には、立地ごとの賃貸需要、修繕・管理コスト、空室リスク、売却時の想定価格を個別に比較する必要があります。ハウスドゥの店舗では無料査定を通じて具体的な比較をご案内しています。
Q7. UR・公社の借家の家賃が高いのはなぜですか?
統計上の理由分析はありませんが、UR賃貸住宅がつくば市・水戸市など都市機能が集積するエリアに多く立地している傾向があり、これが平均家賃を押し上げている一因と考えられます。2023年のUR・公社の借家の家賃は56,629円で、種類別では最も高い水準です。
まとめ
茨城県の賃貸市場は、①借家全体の家賃は月額47,517円で全国平均より約2割安い、②借家の種類では公営が最も安く、UR・公社が最も高い、③2018年からの5年間で5.1%上昇し全国トレンドと同様に値上がり傾向、④持ち家住宅率69.4%と全国平均を大きく上回り、賃貸より持ち家中心の県民性がある、という4点に整理できます。
市町村別の公式な家賃データは存在しないため、地域ごとの精緻な相場感は地価データや地元不動産会社の実勢情報と組み合わせて把握する必要があります。実家の賃貸活用や売却、リースバックなどを検討する際は、県平均だけでなく個別物件の立地条件を踏まえた査定が欠かせません。
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