「あなたの持っている土地を高値で買い取ります」という電話や手紙が突然届いたとき、すぐに信じてしまってよいのでしょうか。過去に原野や山林を購入した方、あるいはそうした土地を相続した方に対して、売却の話を持ちかけながら費用を支払わせる「原野商法の二次被害」が、国民生活センターから繰り返し注意喚起されています。
この記事では、国民生活センターの公表資料をもとに、二次被害の代表的な3つの型、請求されやすい名目、不審に感じたときの相談先を整理します。あわせて、使い道のない土地を手放す正規の方法を扱った記事もご紹介します。
結論:「土地を買い取る」と言われても、お金を払う前に必ず相談する
国民生活センターは、「土地を買い取る」「お金は後で返す」などと言われても、きっぱり断ること、根拠がはっきりしない請求にはお金を支払わず毅然と対応すること、おかしいと気づいたり、トラブルにあったりしたら消費生活センター等に相談することをアドバイスしています。
相談先に迷ったら、消費者ホットライン「188(いやや!)」です。お住まいの自治体の消費生活センター等につないでもらえます。契約書にサインしたあとでも、支払いの前後でも、まず相談してください。
原野商法の二次被害とは?
もともとの「原野商法」とは
原野商法とは、一般に、将来値上がりする、宅地として開発されるなどと説明して、ほとんど利用価値のない原野や山林などを売りつける商法のことです。国民生活センターが紹介している2023年の相談事例でも、数十年前に「宅地造成するから」と勧められて山林を購入したものの、その後も宅地ができる様子はなく、そのまま所有していたという方が登場します。
「二次被害」とは
二次被害とは、過去に原野商法のトラブルにあった消費者や、その原野を相続した消費者が、再びトラブルにあうことです。国民生活センターは、2018年1月25日の公表で「依然として全国の消費生活センター等に寄せられている」と説明しています。
最近の傾向として挙げられているのは、「あなたの持っている土地を高値で買い取る」といった電話勧誘をきっかけに、「手続き費用」「税金対策」といった名目でお金を請求する手口です。契約内容の詳細を説明しないまま、実際には売却と同時に新たな原野等の購入契約までさせている例が目立つとされています。
相談件数と被害にあいやすい人の特徴
国民生活センターが2018年1月に公表した分析(2007年4月1日以降に受け付け、2017年12月31日までにPIO-NETに登録された8,512件が対象)では、次の点が示されています。
- 2017年度(12月31日までの受付分)の相談件数は1,196件で、前年同期と比べて約1.8倍となった
- 契約当事者の年代は70歳代が約4割でもっとも多く、60歳以上が全体の約9割を占めた
この数字は2018年の公表時点のものです。最新の件数ではないため、現在の相談状況は国民生活センターや各地の消費生活センターの公表情報でご確認ください。それでも、高齢の方や、ご両親の土地を相続したご家族が狙われやすいことは、2023年の注意喚起(見守り新鮮情報 第457号)でも変わらず示されています。
二次被害の代表的な3つの型
国民生活センターは、相談事例を次の3つの型に分けて紹介しています。図で全体像を確認しておきましょう。

①売却勧誘-下取り型
「土地を買い取る」と持ちかけて、手続き費用や税金対策の名目でお金を支払わせ、実際には原野等の売却と同時に別の土地を購入する契約をさせる型です。国民生活センターの相談事例には、次のような内容が並んでいます。
- 雑木林を買い取ると勧誘され、節税対策と言われてお金を支払ったが、実際は原野の購入と売却の契約だった
- 山林を売却する際の担保としての土地と説明されたが、別の山林の購入契約だった
- 子に迷惑をかけたくなく原野を売却したが、新たな土地の契約をさせられていた
- 宅地建物取引業の免許を持つ業者だというので信用したが、契約後に連絡が取れなくなった
②売却勧誘-サービス提供型
「購入したい人がいる」と説明して、売却のための調査や整地、測量、媒介(仲介)といったサービス代金を先に払わせる型です。国民生活センターの事例には、山林を購入したい人がいると説明され、調査と整地の費用を支払ったというケースがあります。2023年の事例では、180万円で売却するので媒介手数料20万円を先払いするよう求められ、すぐに支払ったものの、その後連絡が取れなくなったという80歳代の方の相談が紹介されています。
③管理費請求型
覚えのない管理業者から、別荘地の管理費20年分を支払うようにという通知が届く型です。国民生活センターの事例には、管理費の支払督促に異議申立てをしないようそそのかされ、仮差押えがされたという深刻なものも含まれます。請求の根拠が不明なまま支払いを求められたら、そのまま応じてはいけません。
請求されやすい名目と、支払う前に確認したいこと
国民生活センターの公表資料に出てくる請求の名目を整理すると、測量費、整地費、調査費用、手続き費用、税金対策、媒介手数料、管理費などがあります。「土地を売るためにかかる費用」「売却を進めるために必要な経費」といった説明をされても、次のことを確認してください。
- 誰が、何の契約に基づいて請求しているのか(契約書や請求書に根拠が書かれているか)
- 売却の契約だけでなく、別の土地の購入契約がセットになっていないか
- 買主や売却の見込みが、書面などで具体的に示されているか
- 「今日中に」「今だけ」と、考える時間を与えずに契約や支払いを急がせていないか
国民生活センターは、土地の売却のためと言われて何らかの名目で金銭を請求されたら、契約する前に家族や周りの人に相談すること、少しでも不審に感じたらきっぱり断ることを助言しています。一般に、不動産の仲介手数料は売買が成立したあとに支払うものです。売却が決まる前に「先に払ってください」と言われた場合は、特に注意が必要です。
勧誘や書面に見られる問題点
国民生活センターは、相談事例から見えた問題点として、次のような点を挙げています。
- 契約の重要な部分についてウソの説明をしている(売却の契約に土地の購入契約がセットになっていることを気付かせない、など)
- 「子供に迷惑をかけたくない」という消費者の気持ちに付け込んでいる
- 売却する土地に、あたかも価値があるかのようなセールストークを行っている
- 渡される書面が宅地取引と誤認させる内容だったり、特定商取引法に定める記載事項が足りなかったり、「クーリング・オフはできない」と誤認させる記載があったりする
- 請求の根拠が不明で、通知をしても対応されず、業者と連絡がつかなくなる
また、「宅地建物取引業の免許を持っていても、安易に信用しないようにしましょう」とも注意されています。免許の有無だけで安心せず、契約の中身そのものを確認することが大切です。
困ったときの相談先
消費者ホットライン188
消費者ホットライン「188」は、お住まいの自治体の消費生活センター等につないでもらえる全国共通の番号です。国民生活センターも、困ったときはお住まいの自治体の消費生活センター等に相談するよう案内しています。
家族や周りの人への相談
国民生活センターは、土地の相続や処分については、様々な情報を集め、焦らずに家族でよく話し合うよう勧めています。また、周りの人も、高齢の方がトラブルにあっていないか気を配ることが大切だとしています。ご両親が所有する土地について、ご家族で一度話題にしておくだけでも、被害の予防につながります。
契約してしまったあとでも
すでに契約書にサインしたり、お金を支払ったりしてしまった場合も、あきらめずに消費生活センター等へ相談してください。クーリング・オフの対象になるか、書面に不備はないかなどは、契約の内容や時期によって異なります。個別の判断は、消費生活センターや弁護士などの専門家にご確認ください。
使い道のない土地を「正規の方法」で手放すには
二次被害の背景には、「使わない土地を手放したい」という気持ちがあります。だからこそ、慌てて見知らぬ業者に頼る前に、どんな選択肢があるのかを知っておくことが予防になります。ハウスドゥ茨城の関連記事も参考にしてください。
- 土地を自治体に無償譲渡できる?できない?断られる理由と手放す5つの方法:自治体への寄附が難しい理由と、ほかの手放し方を解説しています。
- 相続土地国庫帰属制度|申請の流れと費用:相続した土地を国に引き取ってもらう制度の流れと費用です。
- 負動産とは?処分方法5選・相続放棄・国庫帰属・買取を解説:使い道のない不動産の処分方法を比較しています。
- 悪質な不動産買取業者の手口7選と公的な確認法:買取業者を選ぶときの確認ポイントです。
土地の売却そのものを相談したい場合は、不動産会社の査定を受けて、売却の見込みや費用の条件を書面で確認しましょう。売却が決まる前に調査費や手数料の先払いを求められたり、売却と同時に別の土地の購入を勧められたりしたときは、その場で契約せず、いったん持ち帰って消費生活センター等へご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 原野商法の二次被害とは何ですか?
過去に原野商法のトラブルにあった方や、その原野を相続した方が、「土地を買い取る」などの勧誘をきっかけに、再びお金を支払わされるトラブルのことです。国民生活センターは、売却勧誘(下取り型・サービス提供型)と管理費請求型の3つの型に分けて注意喚起しています。
Q. 「土地を買い取る」という電話がかかってきたらどうすればよいですか?
国民生活センターは、「土地を買い取る」「お金は後で返す」などと言われても、きっぱり断るよう助言しています。その場で返事をせず、家族や周りの人に相談し、不審に感じたら消費者ホットライン188から消費生活センター等に相談してください。
Q. 測量費や手続き費用を先に払ってほしいと言われました。払うべきですか?
売却のためと言われて何らかの名目で金銭を請求されたら、契約する前に家族や周りの人に相談し、少しでも不審に感じたらきっぱり断ることが大切だと、国民生活センターは助言しています。根拠がはっきりしない請求には、お金を支払わないようにしましょう。
Q. 宅地建物取引業の免許を持つ業者なら安心ですか?
国民生活センターは、免許を持っていても安易に信用しないよう注意しています。実際に、免許を持つ業者だと説明されて信用したものの、契約後に連絡が取れなくなったという相談事例が紹介されています。免許の有無だけでなく、契約の内容や請求の根拠を確認してください。
Q. すでに契約してお金を払ってしまいました。どこに相談すればよいですか?
お住まいの自治体の消費生活センター等に、消費者ホットライン188からご相談ください。契約書、請求書、振込の控え、やり取りの記録を手元にまとめておくと、相談がスムーズです。
Q. 使わない土地は、どうやって手放せばよいですか?
不動産会社への売却相談のほか、自治体への寄附、相続土地国庫帰属制度の利用などの選択肢があります。ただし、それぞれ条件や費用が異なります。この記事の関連記事をご覧のうえ、まず専門家や窓口に相談してください。
まとめ
原野商法の二次被害は、「土地を買い取る」「高く売れる」といった言葉で期待を持たせ、測量費、整地費、手続き費用、媒介手数料、管理費などの名目でお金を支払わせる手口です。相談の中心は高齢の方ですが、ご両親の土地を相続したご家族も他人事ではありません。
契約や支払いの前に、家族や周りの人へ相談し、不審に感じたら消費者ホットライン188へ。使わない土地の売却や手放し方で迷っているときは、ハウスドゥ茨城(0120-565-072)にもお気軽にご相談ください。
※この記事は、国民生活センターの公表資料をもとに、一般的な情報をまとめたものです。個別の契約や請求が不当かどうかの判断は、消費生活センターや弁護士などの専門家にご確認ください。
参考にした公的資料
- 国民生活センター「より深刻に!「原野商法の二次被害」トラブル」(2018年1月25日公表)
- 国民生活センター 見守り新鮮情報 第457号「土地売却のため? 金銭を請求されたら要注意 原野商法の二次被害」(2023年7月25日公表)
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