「売る前にホームインスペクションをしたほうがいいと言われたけれど、費用はいくらかかるのか」「追加料金が後から出るのは困る」と悩む売主の方は多いです。結論から言うと、ホームインスペクションの費用には全国一律の価格がなく、何を、どこまで調べるかという見積の条件で決まります。
この記事では、売主の立場で費用を判断するために、調査の種類の違い、費用の目安の読み方、追加費用が出やすい項目、見積を比べるときの確認点、調査結果の使い方までを整理します。金額は国土交通省の資料と調査会社の公開例をもとにした参考値で、2026年11月1日時点で内容を確認しています。実際の費用は必ず見積で確認してください。
- 結論:費用は「見積条件」で決まる。金額より先に範囲を確認する
- ホームインスペクションとは|建物状況調査と民間の住宅診断は別物
- 費用の目安をどう読むか|公的資料と調査会社の公開例
- 追加費用が出やすい5つのポイント
- 見積を比べるときの確認チェックリスト
- 買主から見たインスペクション|中古住宅の購入判断と売主の対応
- 費用は誰が払う? 売主が払う場合の考え方
- いつ、どう依頼する? 売却の流れの中での位置づけ
- 調査結果の使い方|修繕・価格・契約書への書き方
- インスペクションをしない選択もある
- 売却相談で確認する順番
- よくある質問
- 売却の前に調査すべきか迷ったら、ハウスドゥ茨城にご相談ください
- 参考にした公的資料・調査会社の公開情報
結論:費用は「見積条件」で決まる。金額より先に範囲を確認する
国土交通省の「建物状況調査に関するQ&A」(2024年4月1日現在)には、建物状況調査の費用に基準となる価格は設定されておらず、調査実施者ごとに異なると書かれています。標準的な検査内容で「6万円程度〜」が目安とされていますが、木造の戸建てとマンションでは調べる部位や箇所数が違うため、費用も変わりうるとされています。
つまり「相場はいくら」と1つの数字で覚えるより、見積書に何が含まれ、何が含まれていないのかを見るほうが、売主にとっての判断材料になります。
ホームインスペクションとは|建物状況調査と民間の住宅診断は別物
ホームインスペクションは、住宅の専門家が劣化や不具合の状況を調べる調査の総称として使われます。ただし、同じ名前でも中身が異なります。国土交通省のQ&Aでも、「ホームインスペクション」や「住宅診断」と「建物状況調査」は、名称だけでは同じものか判断できないとされています。
| 種類 | 調べる範囲の考え方 | 売主が知っておくこと |
|---|---|---|
| 建物状況調査(宅建業法上の調査) | 所定の講習を修了した建築士が、基準に沿って行う。調べるのは構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防ぐ部分。目視・非破壊が中心で、給排水設備は対象外(オプションで依頼できる場合がある) | 仲介会社が制度の紹介とあっせんの意向確認を行う対象。結果の概要は買主への重要事項説明で扱われる |
| 民間の住宅診断(広い意味のホームインスペクション) | 会社ごとに調査項目が異なる。建物状況調査の項目に加えて、床下・屋根裏の詳細調査などを行う会社もある | 報告書の内容や、調査後に質問できるかなどが会社で違う。法定の建物状況調査に当たるかは各社に確認 |
| 既存住宅売買瑕疵保険の検査 | 保険法人の登録を受けた検査事業者が行う。内容は建物状況調査とほぼ同じ項目とされる | 検査に通っても必ず保険に入れるとは限らない。保険料は別になる場合がある |
費用を比べるときは、まず「自分が頼む調査は上の3つのどれに近いのか」を決めておくと、見積の読み違いを防げます。
費用の目安をどう読むか|公的資料と調査会社の公開例
国土交通省のQ&Aが示している目安
Q&Aでは、標準的な検査内容で「6万円程度〜」が目安と示されています。基準となる費用は設定されておらず、各調査実施者で異なります。この資料は2024年4月1日現在のもので、2026年の現在の価格を示すものではありません。
調査会社の公開例|金額には幅がある
調査会社の公開例として、さくら事務所の解説(SUUMO売却ガイド掲載、2026年6月30日付)では、一戸建て6万円〜15万円前後、マンション5万円前後が目安とされています。一方で、同じテーマを扱う他の解説記事では、これより高い幅を示すものもあります。解説によって金額帯が違うのは、基本調査だけを想定するのか、床下・屋根裏の調査などのオプションまで含めて想定するのかが違うためです。
相場として1つの数字を鵜呑みにせず、「その金額は何を含んだ価格か」を必ず確認してください。

追加費用が出やすい5つのポイント
見積の総額が基本料金より増えやすいのは、次のような場面です。調査会社の公開情報で確認できる例をもとに整理しました。
| 項目 | 追加になりやすい理由 | 見積で確認すること |
|---|---|---|
| 建物の大きさ | 延床面積が大きいと別見積・割増になる会社がある(例:さくら事務所は一戸建て125㎡以上、マンション100㎡以上で別見積) | 面積の上限条件と、超えた場合の算出方法 |
| 築年数 | 2000年より前に建てられた物件は追加費用が発生するケースがあるとされる | 築年による加算の有無 |
| オプション調査 | 床下・屋根裏への進入調査、サーモグラフィカメラ、鉄筋探査などは別料金になる例がある。給排水設備も基本は対象外で、オプション扱いのことがある | 基本料金に含まれる範囲とオプションの一覧 |
| 再検査 | 不具合を修繕したあとに再検査が必要になる場合がある(3万円程度〜とする例) | 修繕後の再検査の費用と、必要になる条件 |
| 保険の検査・保険料 | 売買瑕疵保険に入る場合、検査費用が料金に含まれていても保険料は別途かかる例がある | 検査費用と保険料が別かどうか |
どれも「必ず発生する」ものではありません。ただ、見積を取る時点で聞いておけば、あとから総額が変わる心配を減らせます。
見積を比べるときの確認チェックリスト
- 調査の種類は、宅建業法上の建物状況調査か、民間の住宅診断か
- 調査する人の資格(建築士か、既存住宅状況調査技術者講習の修了者か)
- 基本料金に含まれる調査範囲(外壁・基礎・屋根・小屋裏・床下・設備のどこまでか)
- オプションの種類と、1つずつの料金
- 面積・築年による割増の条件
- 報告書の形式と、受け取るまでの期間
- 調査後に質問や相談ができるか
- 修繕後の再検査の費用
- 立ち会いが必要か、所要時間はどれくらいか
- キャンセルや日程変更のときの扱い
2〜3社に同じ条件(物件の種類・面積・築年・調べたい範囲)で見積を依頼すると、価格の違いが「範囲の違い」なのか「会社の価格設定の違い」なのかが見えてきます。
買主から見たインスペクション|中古住宅の購入判断と売主の対応
中古住宅を購入する側は、建物の状態が見えにくいことが不安の中心になります。東京都の「不動産取引の手引き」でも、専門家による建物状況調査は買主が購入の判断をしやすくなり、購入後のメンテナンスの見通しも立てやすくなると説明されています。
- 買主が自分で建物状況調査をしたい場合は、事前に売主の承諾が必要です
- 売主が先に調査をしていても、買主が自分で依頼したいと希望することがあります。調査会社の解説では、その希望を受け入れることが買主の安心につながるとされています
- 買主が実施するときは、日程の調整や、家の中・外回りの片付けなど、売主側の準備が必要になる場合があります
売主が事前に調査をしておくと、こうした質問や希望に落ち着いて対応しやすくなります。ただし、調査結果を示せば買主の購入が決まるわけではありません。
一戸建てとマンションで調べる場所が違う
一戸建ての建物状況調査では、外壁・基礎・屋根・小屋裏・床下など、建物そのものが中心です。マンションでは、専有部分の床・天井や、共用廊下・エントランス・屋上などの共用部分が調査の対象になる例があります。なお、給排水設備は法定の建物状況調査の対象外で、排水管などの設備の調査は、民間サービスのオプションとして扱われることがあります。マンションの共用部分は管理組合が管理しているため、調査の範囲や進め方は事前に確認が必要です。同じ「ホームインスペクション」でも、物件の種類で費用や調査内容が変わる理由はここにあります。
費用は誰が払う? 売主が払う場合の考え方
国土交通省のQ&Aでは、費用は原則として依頼者(売主や購入希望者など)が負担するのが一般的とされています。買主が調査をしたい場合は、事前に売主の承諾が必要です。
実際の取引では、売主が負担する、買主と折半する、仲介会社が取り決めの中で扱うなど、いくつかの形があります。決まったルールがないため、調査会社に申し込む前に「誰が払うか」を当事者で決めておくことが大切です。なお、国土交通省のQ&Aでは、宅建業者から調査会社のあっせんを受けても、あっせん料は不要とされています。
いつ、どう依頼する? 売却の流れの中での位置づけ
売主が行う場合は、売却活動に入る前後の早い時期が使いやすいタイミングです。結果によって、修繕するか現状で売るかを決める時間が必要になるためです。
- 媒介契約の際、仲介会社が建物状況調査の制度紹介と、調査会社のあっせんを希望するかどうかを確認します(2018年4月から)
- あっせんを受けても、調査を必ず実施する必要はありません。調査内容や費用の説明を受けたうえで判断できます
- 調査は居住中でも可能ですが、動かせない家具や家電で隠れた部分は調べられないことがあります
- 調査時間は建物状況調査で1〜3時間程度が目安とされています(国土交通省Q&A)。オプション調査をつけると長くなります
- 結果は報告書で受け取り、仲介会社を通じて買主に説明される流れになります
調査結果の使い方|修繕・価格・契約書への書き方
調査で不具合が見つかったとき、必ず修繕しなければならないわけではありません。修繕して売る、現状のまま売る、価格や条件で調整するなど、売り方に応じて選べます。ただし、雨漏りやシロアリ被害のように買主の印象に影響しやすい不具合は、扱いを仲介会社と相談して決めておくと安心です。
売却後のトラブルを避けるうえで大切なのは、把握した建物の状態を、契約書や説明で買主に正しく伝えることです。契約不適合責任の考え方は瑕疵と契約不適合責任の違いで、売主に求められる情報の伝え方は売主の告知義務で詳しく解説しています。
既存住宅売買瑕疵保険は、引き渡し後の瑕疵の修補費用を保証する制度です。保険に入るには検査が必要ですが、国土交通省のQ&Aでも、調査をすれば必ず加入できるわけではないとされています。調査できなかった部位や劣化事象があるときは、再調査や修補後の再検査が必要になることがあります。
インスペクションをしない選択もある
実施は任意です。築年数が新しい、立地や条件の面で買い手がつきやすい、買取で現状のまま売る予定である、といった場合には、事前調査の優先度が低いこともあります。一方で、築年数が古い、長く売れていない、買主から建物の状態の不安が出ているといった場合は、調査が役立つことがあります。築20年の一戸建ての資産価値と売却・リフォームの判断基準や1年以上売れない家の対策も参考になります。
調査をするか、費用をかけるか迷うときは、先に売却の査定を受けて、物件の状況と売り方(仲介か買取か)を整理してからでも遅くありません。
売却相談で確認する順番
- 1. 売り方の方向性(仲介か買取か)を決める。買取できるか、価格や時期はどうなるかは個別の査定と条件の確認が必要で、仲介でも高く売れるとは限りません
- 2. 築年数・状態・売出し期間を踏まえ、調査が必要かを仲介会社に相談する
- 3. 調査をする場合は、種類(建物状況調査か民間診断か)と調べたい範囲を決める
- 4. 2〜3社から同条件で見積を取り、チェックリストで比べる
- 5. 費用の負担者と、結果の使い方(修繕・価格・説明)をあらかじめ決める
よくある質問
ホームインスペクションの費用は売主が払うものですか?
決まったルールはありません。国土交通省のQ&Aでは、原則として依頼した人(売主や購入希望者など)が負担するのが一般的とされています。実際には買主との折半や、仲介会社の取り決めで扱いが変わることもあるため、依頼前に負担者を決めておくのが安心です。
費用の相場はいくらですか?
統一価格はありません。国土交通省のQ&Aは標準的な検査内容で「6万円程度〜」を目安としていますが、これは2024年4月1日時点の資料です。物件の種類・面積・築年・オプション・地域で変わるため、複数社の最新の見積を取って比べてください。
建物状況調査とホームインスペクションは同じものですか?
同じとは限りません。宅建業法上の建物状況調査は、所定の講習を修了した建築士が基準に沿って行う調査です。民間の住宅診断はサービスごとに調査範囲が違い、名称だけでは同じか判断できません。依頼前に、何を調べるのかを確認しましょう。
売却前にインスペクションをしないと売れませんか?
実施は任意で、必ず行わなければならないものではありません。築年数や状態、売り方(仲介か買取か)によって、行うメリットが大きいケースと、そうでないケースがあります。
調査で不具合が見つかったら必ず直す必要がありますか?
必ず直さなければならないわけではありません。修繕して売る、現状で売る、価格や条件で調整するなど、売却の戦略によって選べます。不具合を把握したうえで、契約書や説明で買主に正しく伝えることが大切です。
買主が自分でインスペクションをしたいと言ったらどうなりますか?
買主が建物状況調査を行う場合は、事前に売主の承諾が必要です。売主が先に調査をしていても、買主が自分で調べたいと希望することがあります。日程の調整や片付けなどの準備が必要になるため、仲介会社と進め方を決めておくと安心です。
調査すれば既存住宅売買瑕疵保険に必ず入れますか?
必ず入れるわけではありません。検査で一定の条件を満たす必要があり、劣化事象があれば修補後の再検査が必要になることがあります。保険料は検査費用とは別に必要な場合があります。
売却の前に調査すべきか迷ったら、ハウスドゥ茨城にご相談ください
ハウスドゥ茨城(つくば・水戸・取手・守谷の4店舗)では、物件の状態や築年数、売り方に合わせた売却のご相談を承っています。調査会社への依頼が必要かどうかも含めて、状況を整理するところから対応します。インスペクションを行うかは、物件の状況を見てからのご提案になります。お電話は0120-565-072、査定のお問い合わせフォームからもどうぞ。
参考にした公的資料・調査会社の公開情報
国土交通省「宅地建物取引業法における建物状況調査に関するQ&A」(2024年4月1日現在)、東京都住宅政策本部「不動産取引の手引き」既存住宅を売買するときは、SUUMO売却ガイド「不動産売却のホームインスペクション費用相場」(2026年6月30日付)(いずれも2026年11月1日に内容を確認)。金額は参考値で、費用や条件は調査会社・物件ごとに異なります。
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