「実家を相続することになったけれど、正直いらない」——そう感じたとき、多くの人が罪悪感を抱いてしまう。しかし、遠方に住んでいて管理できない、老朽化していて活用の見込みがない、既に自分の持ち家があるなど、親の家を「いらない」と感じる理由は正当なものであることが多い。この記事では、感情論ではなく制度上の選択肢として、親の家を相続したくないときに取れる方法を整理する。

なぜ「親の家がいらない」と感じるのか

よくある理由

  • 遠方に住んでいて管理や維持が現実的に難しい
  • 老朽化が進んでおり、解体や修繕に多額の費用がかかりそう
  • 既に自分の持ち家があり、住む予定がない
  • 兄弟姉妹との共有名義になり、権利関係が複雑になることを避けたい
  • 田舎や過疎地にあり、売却も賃貸も見込みが薄い

これらはいずれも特別な事情ではなく、相続の現場でよく聞かれる悩みである。「親が大切に住んでいた家だから」という感情と、「実際に管理・維持するのは負担が大きい」という現実の間で板挟みになる人は多い。

放置すると何が起きるか

「いらない」と感じたまま何もせず放置すると、次のような問題が生じることがある。

  • 空き家として劣化が進み、倒壊や不法投棄などのリスクが高まる
  • 「特定空家等」に指定されると、固定資産税の住宅用地特例が解除され、税額が最大6倍になる可能性がある
  • 相続登記の義務化(2024年4月〜)により、正当な理由なく相続登記を怠ると10万円以下の過料の対象となる可能性がある
  • 管理不全のまま放置すると、近隣とのトラブルや損害賠償責任が発生するリスクがある

「いらない」と感じることと、「何もしない」ことはまったく別の問題である。放置するほど選択肢は狭まり、負担は増えていく。

親の家がいらないときの5つの選択肢

1. 相続放棄をする

相続放棄をすれば、家を含めた被相続人の財産・負債を一切相続しないことができる。ただし、相続放棄は「家だけを放棄する」ことはできず、預貯金や他の財産もすべて放棄することになる点に注意が必要である。また、相続放棄には「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」という期限があり、家庭裁判所への申述が必要となる。

相続放棄をしても、放棄した人が現に占有している不動産については、一定の管理義務が残る場合がある(民法940条)。「放棄すれば完全に無関係になれる」というわけではない点は理解しておきたい。

2. 売却する

老朽化していても、立地条件によっては買取業者による現状のままでの売却が可能なケースがある。仲介での売却が難しい訳あり物件・築古物件であっても、買取を専門とする不動産会社であれば、解体やリフォームをせずに買い取ってもらえることが多い。相続した家を「資産」として現金化する選択肢である。

3. 相続土地国庫帰属制度を利用する(土地のみ)

2023年4月にスタートした相続土地国庫帰属制度は、相続した土地を一定の条件のもとで国に引き取ってもらえる制度である。ただし建物付きの土地は対象外のため、建物がある場合は解体してから申請するか、他の選択肢と組み合わせる必要がある。審査手数料や10年分の土地管理費相当額の負担金が必要になる点にも注意したい。

4. 空き家バンクに登録する

自治体が運営する空き家バンクに登録し、移住希望者や活用希望者とのマッチングを図る方法もある。地域によっては解体費用やリフォーム費用の補助金制度が用意されているケースもあり、売却が難しい地方の物件でも活用の道が開けることがある。

5. 兄弟姉妹で話し合い、代表者が相続して売却・活用する

相続人が複数いる場合、全員が「いらない」と感じているケースも多い。この場合、代表者が相続したうえで売却し、売却代金を法定相続分に応じて分ける「換価分割」という方法が現実的な解決策になることが多い。共有名義のまま放置すると、将来的に権利関係がさらに複雑化するリスクがあるため、早めに方針を決めることが望ましい。

親の家がいらないときの5つの選択肢 一覧図|ハウスドゥ茨城

選択肢を比較する

方法 メリット 注意点
相続放棄 一切の負担を負わずに済む 他の財産も放棄することになる。期限は3か月以内
売却(買取) 現金化でき、早期に手放せる 市場価格より安くなる傾向がある
国庫帰属制度 土地を国に引き取ってもらえる 建物付きは対象外、負担金が必要
空き家バンク 地域の担い手に活用してもらえる マッチングまで時間がかかることがある
換価分割 相続人間で公平に分けられる 代表者を決める話し合いが必要
親の家の相続 判断のための5ステップ|ハウスドゥ茨城

判断のためのステップ

  1. まず相続財産全体(プラスの財産・マイナスの財産)を把握する
  2. 家の現況(築年数、立地、権利関係)を確認する
  3. 相続放棄の期限(3か月)に間に合うかを確認する
  4. 売却・活用が現実的かどうか、不動産会社に相談して査定を受ける
  5. 相続人がいる場合は早めに話し合いの場を持つ

特に重要なのは、相続放棄を検討している場合の3か月という期限である。判断に迷って期限が過ぎてしまうと、単純承認(すべてを相続する)とみなされてしまうため、早めの相談が欠かせない。

費用の目安

  • 相続放棄の申述にかかる費用:収入印紙800円程度+郵便切手代(数百円〜数千円程度)
  • 相続登記の登録免許税:固定資産税評価額の0.4%が目安
  • 国庫帰属制度の負担金:土地の種目・面積により異なるが、宅地であればおおむね20万円程度からが目安
  • 家の解体費用:木造30坪程度で150万〜200万円程度が目安(構造・立地・アスベスト有無等により変動)

いずれも目安であり、個別の状況により変動する。正確な金額は専門家(司法書士、税理士、不動産会社)に確認することをおすすめする。

売却を選ぶ場合、仲介と買取どちらがよいか

親の家を「いらない」と感じつつも売却を選ぶ場合、仲介と買取のどちらを選ぶかも重要な判断ポイントになる。

仲介が向いているケース

立地がよく、リフォームすれば需要が見込める場合は、時間をかけてでも市場価格に近い金額で売却できる仲介が向いている。ただし、内覧対応や近隣への配慮など、相続人側の手間は大きくなる。

買取が向いているケース

老朽化が進んでいる、遠方に住んでいて内覧対応が難しい、早期に現金化して相続人間で分けたい、といった場合は買取が向いている。買取価格は仲介の相場よりも下がる傾向があるが、契約不適合責任が免責となる契約が一般的で、現状のまま引き渡せる点は大きなメリットである。

税金面で押さえておきたいポイント

相続税の申告期限

相続税の申告・納付期限は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内である。家を相続する場合、この期限内に遺産分割の方針(相続するか放棄するか、誰が相続するか)を固める必要がある。

譲渡所得税

相続した家を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、譲渡所得税・住民税が課税される。相続から一定期間内の売却であれば、相続税額の一部を取得費に加算できる「取得費加算の特例」や、被相続人が居住していた空き家を売却した場合の「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」が使える可能性がある。いずれも要件があるため、税理士への確認が必要である。

茨城県内での対応・4店舗体制

当社ハウスドゥは、茨城県内につくば研究学園都市店・県庁水戸店・取手戸頭店・守谷店の4店舗を展開し、「親の家をどうすればいいかわからない」という相談に数多く対応してきた。相続放棄や国庫帰属制度など制度面の相談は司法書士等の専門家と連携しながら、売却が可能なケースについては現状のままでの買取査定にも対応している。「いらない」と感じている家でも、状況によっては現金化できる可能性があるため、まずは一度査定に出してみることをおすすめする。

よくある質問(FAQ)

Q1. 親の家がいらない場合、相続放棄以外に方法はありますか?
A. はい。相続放棄以外にも、売却(買取)、相続土地国庫帰属制度の利用、空き家バンクへの登録、兄弟姉妹間での換価分割など複数の選択肢があります。状況に応じて最適な方法を選ぶことが重要です。

Q2. 相続放棄をすると他の財産も放棄することになりますか?
A. はい。相続放棄は「家だけ」を選んで放棄することはできず、預貯金や他の不動産などすべての相続財産を放棄することになります。

Q3. 老朽化した家でも売却できますか?
A. 買取を専門とする不動産会社であれば、現状のまま(解体やリフォームをせずに)買い取ってもらえるケースが多くあります。まずは査定を受けてみることをおすすめします。

Q4. 相続放棄の期限はいつまでですか?
A. 「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」に家庭裁判所へ申述する必要があります。期限に間に合わないと単純承認とみなされる可能性があるため、早めの相談が重要です。

Q5. 相続放棄をすれば家の管理義務からも完全に解放されますか?
A. 必ずしもそうとは限りません。放棄した人が現に占有している不動産については、一定の管理義務が残る場合があります(民法940条)。詳細は司法書士等の専門家にご確認ください。

Q6. 兄弟姉妹全員が「いらない」と感じている場合はどうすればいいですか?
A. 代表者が相続したうえで売却し、売却代金を法定相続分に応じて分ける「換価分割」が現実的な解決策になることが多いです。早めに話し合いの場を持つことをおすすめします。

まとめ

親の家を「いらない」と感じることは、決して特別なことではない。大切なのは、その気持ちを放置せず、相続放棄、売却、国庫帰属制度、空き家バンク、換価分割といった選択肢の中から、自分の状況に合った方法を早めに選ぶことである。判断に迷う場合は、司法書士や不動産会社などの専門家に相談し、期限のある手続き(特に相続放棄の3か月ルール)を見逃さないようにしたい。

無料相談フォーム

この記事に関するご相談はこちらから。秘密厳守で対応いたします。

    物件種別(必須)

    物件のご住所(必須)

    マンション名(マンションの方のみ)

    お名前(必須)

    お電話番号(必須)

    メールアドレス(必須)

    ご希望の相談方法(任意)

    ご来店・訪問をご希望の方は、日時をご指定ください

    第1希望日時(任意)


    第2希望日時(任意)


    備考(任意の補足)