「うちの子は何小学校・何中学校に通うことになるんだろう」——茨城県内で住まいを探す子育て世帯や、これから茨城県に引っ越しを検討している方から、当社にもこうした質問をいただくことがあります。公立小中学校は、原則として住んでいる場所(住所)によって通う学校が決まる「学区(通学区域)」という仕組みがあるためです。この記事では、茨城県内の公立小学校・中学校の学校数の実数を最新の公的統計から確認したうえで、学区という制度の基本的な考え方、少子化に伴う統廃合の動向、44市町村を横断した傾向を一次情報で整理し、住まい選びとの関係まで解説します。
1. 茨城県の小中学校数の全体像
1-1. 令和7年度時点の学校数と在学者数
茨城県政策企画部統計課が2026年3月3日に公表した「令和7年度茨城の学校統計(学校基本調査結果報告書)」によると、茨城県内の学校数と在学者数は次のとおりです。
| 区分 | 学校数 | 内訳 | 在学者数 | 前年度比 |
|---|---|---|---|---|
| 小学校 | 433校 | 公立426校・私立7校 | 児童124,098人 | 学校数▲5校/児童数▲3,385人 |
| 中学校 | 215校 | 公立204校・私立11校 | 生徒66,681人 | 学校数▲8校/生徒数▲1,421人 |
| 義務教育学校 | 16校 | 公立のみ | 在学者10,599人 | 学校数は前年度と同数/在学者+127人 |
出典:茨城県政策企画部統計課「令和7年度茨城の学校統計(学校基本調査結果報告書):調査結果の概要1」(2026年3月3日掲載)

1-2. 児童・生徒数は減少が続く一方、学校数の減り方は緩やか
児童数は昭和58年度から43年連続で減少しており、令和7年度も前年度より3,385人少ない124,098人でした。生徒数(中学校)も14年連続の減少で66,681人です。一方で学校数の減少は、小学校が1年間で5校、中学校が8校にとどまっています。児童・生徒数が毎年数千人単位で減っているのに対し、学校数の減少は年間数校〜十数校程度というペースの違いがある点は、後述する「1校あたりの児童・生徒数が徐々に小規模化している」という傾向の裏返しでもあります。
1-3. 学校数の過去最高値との比較で見る変化の大きさ
同資料によると、茨城県内の小学校数の過去最高は昭和31年度・32年度の654校、中学校数の過去最高は昭和23年度の417校でした。令和7年度の433校・215校は、いずれもピーク時の6〜7割程度の水準です。長期的に見れば、茨城県の学校数は一貫して減少基調にあり、令和7年度もその延長線上にあるといえます。
1-4. 義務教育学校という新しい形
あわせて押さえておきたいのが「義務教育学校」の存在です。これは小学校と中学校の課程を1つの学校で一貫して行う学校種で、茨城県内には16校(令和7年度時点)あります。統廃合の一形態として、隣接する小学校・中学校を1つの義務教育学校に再編する市町村もあり、後述する統廃合の動向とあわせて押さえておく価値があります。
2. 「学区(通学区域)」とは何か
2-1. 公立小中学校は原則、住所で通う学校が決まる
公立の小学校・中学校は、原則として住んでいる住所によって通うべき学校(指定校)が決まります。この、各学校ごとに設定された通学の範囲のことを一般に「学区」「校区」、制度上は「通学区域」と呼びます。市町村教育委員会は、設置する小・中学校が2校以上ある場合、就学予定者が就学すべき学校を指定することとされており、多くの市町村ではあらかじめ町丁目・大字単位などで通学区域を定め、これに基づいて指定校を決めています(出典:文部科学省「就学すべき学校の指定の変更や区域外就学について」)。
2-2. 私立・国立は学区の対象外
この学区の仕組みが適用されるのは公立の小中学校です。私立の小中学校(茨城県内には私立小学校7校・私立中学校11校が存在、前掲の学校基本調査より)や国立大学附属の小中学校は、通学区域に縛られず、学校ごとの入学試験や選考によって入学者を決めるのが一般的です。「学区」という言葉を聞くと窮屈に感じるかもしれませんが、それはあくまで公立校の話であり、私立・国立を選べば学区の制約は基本的に受けません。
2-3. 指定校変更・区域外就学という例外制度
住所で決まる指定校に絶対に通わなければならないわけではありません。文部科学省の説明によれば、いじめへの対応、通学の利便性、部活動等の学校独自の活動などを理由とする場合や、市町村教育委員会が相当と認めるときは、保護者の申立てにより、市町村内の他の学校に指定を変更できる「指定校変更」という制度があります。また、住所の存する市町村教育委員会との協議に基づき、他の市町村の教育委員会が受け入れを承諾した場合には、市町村をまたいで就学先を変更する「区域外就学」も可能とされています。各市町村教育委員会は、こうした変更ができる場合の要件や手続きをあらかじめ定めて公表することが求められています。実際の要件・手続きは市町村ごとに異なるため、検討する場合は転居予定先の教育委員会へ個別に確認するのが確実です。

2-4. 中学受験・学校選択制という別の道
学区外の学校に通う方法としては、指定校変更のほかに「中学受験」(私立中学校や、県立の中高一貫校・中等教育学校への進学)という選択肢もあります。前掲の学校基本調査では、茨城県内に中高一貫教育校(併設型18校・連携型2校)や中等教育学校6校が存在することが確認できます。また、一部の自治体では「学校選択制」という、あらかじめ定められた範囲内で保護者・児童生徒が通学校を選べる制度を導入している例もありますが、これは全国的にも導入市町村が限られる制度であり、茨城県内での具体的な導入市町村数は本記事執筆時点の一次資料からは確認できませんでした。導入の有無は市町村ごとに異なるため、断定を避け、検討する場合は各市町村教育委員会への確認をおすすめします。
3. なぜ学区という制度があるのか
3-1. 「近くの学校に通える」を保証する仕組み
学区制度の基本的な役割は、子どもたちが安全に、かつ過度な通学負担なく学校に通えるようにすることです。あらかじめ校区が決まっていることで、極端に遠い学校に割り振られる事態や、市町村内の学校間で申込みが偏って一部の学校だけが定員オーバーになる事態を防ぎやすくなります。
3-2. 地域コミュニティとの結びつき
学区は単なる通学範囲の区分にとどまらず、自治会・子ども会・PTA・地域の防災訓練など、地域コミュニティの単位としても機能してきた歴史があります。茨城県教育委員会が推進する「コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)」のように、学校と地域が連携する取り組みも、多くの場合この学区を土台にしています。
3-3. 学区は変わることもある
学区は一度決まったら未来永劫変わらないものではありません。市町村内で大規模な宅地開発があり児童数が急増した場合や、逆に統廃合で学校そのものが再編された場合には、教育委員会の判断で通学区域が見直されることがあります。次章で扱う統廃合は、まさにこの学区が変わる代表的な局面です。
4. 少子化と学校統廃合の動向
4-1. 茨城県教育委員会の適正規模・適正配置の考え方
茨城県教育委員会は「公立小・中学校の適正規模について(指針)」(平成20年4月作成)の中で、「急激な少子化の進行に伴い、本県において学校の小規模化や複式学級が増加しており、今後の人口統計からもその傾向は加速していく」と明記しています。そのうえで、学校の適正規模・適正配置については「設置者である市町村がそれぞれの歴史や地域との関わりを考慮しながら主体的に判断するべきもの」とし、県としては児童生徒のより良い教育環境や学習環境、人間関係の構築などの観点から、望ましい学校の目指すべき姿を示す立場を取っています(出典:茨城県教育委員会公式サイト「公立小・中学校等の適正規模・適正配置」)。つまり、統廃合を最終的に決めるのは各市町村であり、県は基準・指針を示す役割にとどまります。
4-2. 前掲の学校数減少はすでに統廃合の結果を含んでいる
1章で見た「小学校が1年で5校減、中学校が1年で8校減」という数字は、児童・生徒がいなくなって自然に休校・廃校になったケースだけでなく、複数の学校が1つに統合された結果としての減少も含まれています。茨城県教育委員会は「学校統合事例・小規模校における特色ある取組に関する事例」というページも公開しており、県内市町村の統合事例が蓄積されていることがうかがえます。
4-3. 具体例:中学校統合の動き
報道(日本工業経済新聞、2025年)によれば、県内のある市では4つある中学校を2段階で統合する計画が進められており、まず2校を統合したうえで、将来的に4校すべてを1校に統合する方向性が示されています。こうした複数段階での統合計画は、児童生徒数の推移を見ながら地域の合意形成を図る、統廃合の典型的な進め方の一つといえます。個別の市町村ごとの統廃合スケジュールは常に更新されるため、特定エリアへの転居を検討する際は、その時点の最新情報を当該市町村の教育委員会に確認することが重要です。
4-4. 統廃合が学区・通学方法に与える影響
学校が統合されると、通学区域が広がることが一般的です。これに伴い、従来は徒歩通学だった地域でもスクールバスが導入されるなど、通学方法そのものが変わるケースもあります。統廃合を検討している、あるいは決定した地域では、学区の見直しとあわせて通学支援の内容も市町村の公表資料で確認しておくと安心です。
5. 44市町村で見る傾向(一般的な傾向・比較の視点)
5-1. 人口が多い市町村ほど学校数は多い傾向
学校数は基本的にその市町村の児童・生徒数(≒人口規模)に比例します。前掲の学校基本調査では市町村別の学校数一覧までは本記事で直接確認できていませんが、一般論として、つくば市・水戸市など人口規模の大きい市は学校数も多く、町村部では小学校・中学校が数校、場合によっては1校のみという地域もあると考えられます。市町村別の正確な学校数を確認したい場合は、茨城県統計課が公表する「令和7年度茨城の学校統計」の統計表(市町村別データを含む)を直接参照することをおすすめします。
5-2. TX沿線などの人口増加エリアでは新設・増築の動きも
本サイトの別記事「茨城県のつくばエクスプレス沿線|地価上昇と人口動態」で扱った通り、つくば市・つくばみらい市・守谷市は令和7年国勢調査で人口増加率トップ3を占めるTX沿線の自治体です。こうした人口急増エリアでは、既存校の教室不足への対応として増築や、開発地区での新設校設置が検討される傾向があります。一方で県北・県西の一部市町村など人口減少が続くエリアでは、複式学級の増加や統廃合の検討が進む傾向にあり、同じ茨城県内でも学校を取り巻く状況は地域によって対照的です。
5-3. 「学校数が少ない=教育環境が悪い」ではない
学校数の少なさだけを見て教育環境の良し悪しを判断するのは早計です。小規模校には、教員の目が行き届きやすい、児童生徒同士の関係が密になりやすいといった特色ある取組がしやすい面もあり、茨城県教育委員会も「小規模校における特色ある取組」を事例として紹介しています。学校数や規模だけでなく、通学距離・スクールバスの有無・地域の教育方針なども含めて総合的に検討することが大切です。
6. 生活者・住まい選びの視点から見る学区
6-1. 引っ越し前に学区を確認する方法
転居を検討する際、候補となる住所の学区(指定校)を事前に確認したい場合は、転居予定先の市町村教育委員会の学務担当窓口に問い合わせるのが最も確実です。多くの市町村は公式サイトで町丁目・大字ごとの通学区域一覧を公開しており、住所を入力すると指定校が分かるシステムを用意している市町村もあります。中古住宅や土地の購入・賃貸を検討している場合は、契約前に指定校を確認しておくと、入学後の「思っていた学校と違った」というミスマッチを避けられます。
6-2. 「人気の学区」という視点への注意
不動産情報サイトなどでは「〇〇小学校区は人気」といった表現を見かけることがありますが、学区の人気度や評判は主観的な要素が大きく、公的な評価指標として一次資料から確認できるものではありません。学区を理由に住まい選びをする場合は、うわさや評判だけに頼らず、通学距離・学校の規模・統廃合計画の有無など、客観的に確認できる情報を優先することをおすすめします。
6-3. 子どもの成長段階と住み替えのタイミング
就学前後、あるいは中学進学のタイミングで住み替えを検討する子育て世帯は少なくありません。本サイトの別記事「茨城県の保育所・認定こども園の状況」でも触れたとおり、住まい選びは保育・教育環境と切り離せないテーマです。小中学校の学区も、その延長線上にある重要な検討材料の一つといえます。
7. 住まい・不動産への接点
7-1. 学区は不動産の「告知義務」の対象ではないが、購入判断材料になる
指定校区がどこかという情報自体は、不動産取引における法定の重要事項説明の必須項目ではありません。しかし、子育て世帯にとって学区は住まい選びの実質的な決め手になることが多く、売却をお考えの方にとっても「最寄りの小中学校」「学区内の主な教育施設」を分かりやすく伝えることは、購入検討者に安心感を与えるポイントになります。
7-2. 実家じまい・住み替えのご相談
お子さんの就学・進学を機に住み替えを検討されている方、あるいは実家じまいで売却をお考えの方は、地域の学区事情も踏まえたご相談をハウスドゥの4店舗(つくば・水戸・取手・守谷)で承っております。査定のお申し込みはhousedo.group/soudan/からどうぞ。
7-3. エリアごとの店舗案内
つくば市周辺での売却・購入のご相談はハウスドゥ つくば研究学園都市、水戸市周辺はハウスドゥ 家・不動産買取専門店 県庁水戸、取手市周辺はハウスドゥ 取手戸頭、守谷市周辺はハウスドゥ 守谷が担当しております。空き家・実家じまいのご相談は解体Do!もあわせてご利用ください。
7-4. あわせて読みたい(group内関連記事)
- 茨城県の保育所・認定こども園の状況【2026年】
- 茨城県の子育て支援制度まとめ|県事業を整理【2026年】
- 茨城県の合併市町村の歴史|85→44市町村の経緯
- 茨城県の外国人住民数の推移|賃貸・売買の新しい買主層【2026】
- 茨城県のつくばエクスプレス沿線|地価上昇と人口動態【2026年】
8. よくある質問
Q1. 茨城県内の公立小学校・中学校はそれぞれ何校ありますか?
A. 茨城県政策企画部統計課「令和7年度茨城の学校統計」によると、令和7年度時点で小学校は433校(公立426校・私立7校)、中学校は215校(公立204校・私立11校)です。小学校は前年度より5校、中学校は8校減少しています。
Q2. 「学区」とはどういう意味ですか?
A. 公立の小学校・中学校は、原則として住んでいる住所によって通うべき学校(指定校)があらかじめ決められています。この学校ごとの通学範囲のことを一般に「学区」「校区」、制度上は「通学区域」と呼びます。私立・国立の学校はこの仕組みの対象外です。
Q3. 指定された学区の学校以外に通うことはできますか?
A. 文部科学省の説明によれば、いじめへの対応や通学の利便性など特別な事情がある場合、保護者の申立てにより市町村内の他の学校に変更できる「指定校変更」という制度があります。市町村をまたぐ場合は「区域外就学」という手続きもあります。具体的な要件・手続きは市町村ごとに異なるため、教育委員会への確認が必要です。
Q4. 茨城県内で学校の統廃合は進んでいますか?
A. 茨城県教育委員会は「急激な少子化の進行に伴い、学校の小規模化や複式学級が増加しており、今後もその傾向は加速していく」としています。統廃合を最終的に判断するのは各市町村で、実際に複数校を段階的に統合する計画を進めている市もあります。統廃合の有無・時期は市町村・地域によって異なります。
Q5. 引っ越し先の学区を事前に知る方法はありますか?
A. 転居予定先の市町村教育委員会の学務担当窓口に問い合わせるか、市町村公式サイトで公開されている通学区域一覧を確認する方法があります。契約前に指定校を確認しておくと、入学後のミスマッチを避けられます。
Q6. 学区が広い・学校数が少ない地域は教育環境として不利ですか?
A. 一概にそうとはいえません。小規模校には教員の目が行き届きやすいなどの特色があり、茨城県教育委員会も小規模校の特色ある取組を事例として紹介しています。学校数だけでなく、通学距離やスクールバスの有無、地域の教育方針も含めて総合的に検討することをおすすめします。
9. まとめ
茨城県内の公立小学校は433校、中学校は215校(令和7年度・茨城県統計課調べ)で、いずれも児童・生徒数の減少とともに緩やかな減少傾向にあります。公立小中学校は原則として住所によって通学区域(学区)が決まりますが、指定校変更や区域外就学といった例外的な制度も用意されています。少子化に伴う統廃合の判断は市町村が主体的に行うものであり、地域によって状況は大きく異なります。茨城県内での住まい選びの際は、学区や学校の統廃合動向も含めて、転居予定先の市町村に最新情報を確認することをおすすめします。ハウスドゥの4店舗(つくば・水戸・取手・守谷)では、こうした地域データも踏まえながら、住み替え・売却のご相談を承っております。
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