「茨城県 大学」と検索すると、真っ先に名前が挙がるのが筑波大学です。しかし茨城県内には、筑波大学以外にも国立・公立・私立の大学、高等専門学校、そして生徒数で見れば大学を上回る規模の専修学校(専門学校)が広く分布しています。
本記事では、茨城県公式統計や文部科学省・各大学の公式データという一次情報にもとづき、茨城県内の高等教育機関の分布を整理します。単なる学校紹介にとどまらず、「大学・専門学校の立地が、なぜ不動産市場にとって意味を持つのか」という住まいの接点まで踏み込みます。進学・就職で茨城県への転入を考えている方、大学周辺の物件を探している方、そして子や孫の進学を機に実家の今後を考え始めた方に向けた内容です。
茨城県は「研究学園都市」を擁する教育県
茨城県は、東京都・大阪府などの大都市圏を除けば、全国でも有数の高等教育・研究機関の集積地です。その象徴が、つくば市を中心とした筑波研究学園都市です。
筑波研究学園都市の規模
つくば市公式サイト(2026年5月28日更新)によると、筑波研究学園都市の計画区域は面積約28,372ヘクタール(東京23区の約2分の1に相当)、計画人口35万人(研究学園地区10万人・周辺開発地区25万人)とされています。令和2年国勢調査時点の人口は約24.2万人(研究学園地区約7.7万人・周辺開発地区約16.4万人)です。
令和8年4月現在、立地する研究・教育機関は31機関、民間を含めると研究機関は約160、研究者は14,000人を超えるとされています(出典:つくば市公式「筑波研究学園都市とは」)。この研究者・学生の集積が、つくば市の人口動態や住宅需要に独自の色合いを与えています。
茨城県の高等教育機関の全体像
本記事で扱う高等教育機関は、大きく4種類に分かれます。
- 大学(4年制・国立/公立/私立)
- 短期大学
- 高等専門学校(高専)
- 専修学校(専門学校・各種学校)
それぞれ設置目的や在学期間、卒業後の進路が異なり、周辺エリアの住宅需要への影響の出方も異なります。順に見ていきます。
茨城県内の4年制大学一覧
国立大学
茨城県内の国立大学は、筑波大学・筑波技術大学(いずれもつくば市)、茨城大学(本部:水戸市)の3校です。
筑波大学(つくば市天王台)は、2025年5月1日時点で学部学生9,573人・大学院生7,111人、合計16,684人が在籍する総合大学です(出典:大学ポートレート)。茨城県内の大学の中で最大規模であり、つくば市の人口・世帯構成に大きな影響を与えています。
筑波技術大学(つくば市)は、障害のある学生の高等教育に特化した国立大学で、全国的にも珍しい設置形態です。
茨城大学は本部を水戸市文京に置き、日立市(工学部)、阿見町(農学部)にもキャンパスを持つ複数拠点型の大学です。2025年5月1日時点で学部学生6,782人・大学院生1,253人が在籍しています(出典:茨城大学「大学に関する基礎データ2025年度」)。5学部1学環を擁し、県央・県北エリアの学生の受け皿となっています。
私立大学
文部科学省の公式リンク集(私立大学一覧)に掲載されている茨城県内の私立大学は、以下の通りです。
- 茨城キリスト教大学(日立市大みか町)
- 流通経済大学 龍ケ崎キャンパス(龍ケ崎市。本部は千葉県)
- 常磐大学(水戸市見和)
- つくば国際大学(土浦市・つくばみらい市)
- 日本国際学園大学(取手市)
- 日本ウェルネススポーツ大学
- アール医療専門職大学
このうち常磐大学は、併設の常磐短期大学と合わせて2025年5月1日時点で2,990人が在籍しています(出典:常磐大学公式「数字で見る常磐大学」)。水戸市内で最大規模の私立高等教育機関です。
私立大学は、水戸市・日立市・龍ケ崎市・取手市・土浦市など、県内の主要都市に分散して立地している点が特徴です。つくば市に国立大学が集中する一方、私立大学は県央・県南・県北の各拠点都市に配置されており、進学のために転居する層の受け皿が県内に広く分布していることが分かります。

短期大学
茨城県内の短期大学については、文部科学省の一次資料で確認できたのは常磐短期大学(水戸市、常磐大学と同一法人)です。全国的に短期大学は定員縮小・4年制への転換が進んでおり、茨城県も例外ではないとみられますが、県内短大の網羅的な最新リストは本記事作成時点で一次資料として特定できませんでした。この点は正直に「未確認」として記載します。
高等専門学校(高専)
茨城県内の国立高専は茨城工業高等専門学校(ひたちなか市中根)の1校です。本科は国際創造工学科の1学科制で、5年間の一貫教育により実践的な技術者を養成しています。ひたちなか市・水戸市周辺の製造業・研究機関への人材供給拠点としての役割を担っています。
専修学校(専門学校)は生徒数で見ると大学に匹敵する規模
「大学」というと4年制大学をイメージしがちですが、茨城県内で実際に多くの生徒が学んでいるのは専修学校(専門学校)です。
茨城県公式統計が示す専修学校の実態
茨城県「令和7年度茨城の学校統計(学校基本調査結果報告書)」(令和7年5月1日現在)によると、県内の専修学校数は67校(公立3校・私立64校)、生徒数は10,649人(男4,375人・女6,274人)です。
課程別の内訳は次の通りです。
- 高等課程:449人(4.2%)
- 専門課程:9,962人(93.6%)
- 一般課程:238人(2.2%)
全体の9割超を、高校卒業後に進学する「専門課程」の生徒が占めています。教員数(本務者)は812人です。
このほか各種学校(専修学校の基準を満たさない教育施設)は10校、生徒619人がすべて私立で運営されています。

専門学校の分野の傾向
専修学校の一次統計は課程別の内訳までが公表の中心で、分野別(医療・美容・工業・情報など)の県公式集計は本記事作成時点では確認できませんでした。民間の進学情報サイトでは医療・福祉系、美容系、情報系などの分野が多いとする掲載がありますが、これらは学校の掲載申込みベースの情報であり、県公式統計と基準が異なる点に注意が必要です。
大学・専門学校の立地が住宅市場に与える影響
ここからは、これまで見てきた高等教育機関の分布が、茨城県の住宅市場にどう関わるのかを整理します。
学生宿舎という「見えにくい受け皿」
大学周辺の住宅需要というと真っ先に賃貸アパートが思い浮かびますが、実際には大学自身が学生宿舎という受け皿を用意しているケースがあります。筑波大学の公式データでは、平砂宿舎694人、追越宿舎649人、一の矢宿舎1,022人、春日宿舎174人、グローバルヴィレッジ500人など、合計3,000人を超える定員の学生宿舎があり、新入生の約4割が入居するとされています(出典:筑波大学ポートレート)。
これは、大学の規模がそのまま民間賃貸市場の需要増につながるわけではなく、大学自身が受け皿の一部を担っている実態を示しています。大学周辺で賃貸経営や物件購入を検討する際は、この「大学が用意する宿舎の定員」も踏まえて需要を見積もる必要があります。
民間賃貸サイトの物件数は公的統計ではない
不動産情報サイトでは「つくば駅周辺の学生向け物件◯件」といった掲載数が示されることがありますが、これは各サイトに掲載された物件の件数であり、公的な需要統計ではありません。本記事では、公的統計で裏付けが取れない数字は「参考値」として扱い、断定は避けています。
少子化のなかでの高等教育機関の位置づけ
茨城県公式統計では、高等学校の生徒数が11年連続で減少している一方、専修学校の生徒数は前年度比+1,035人増加しています(令和7年度学校基本調査)。これは、高校卒業後の進路として専門学校を選ぶ生徒が増えていることを示唆しています。
一方、大学の定員割れ・統廃合については、全国的な報道はあるものの、茨城県内の特定の大学に関する一次資料は本記事作成時点で確認できませんでした。この点も推測を避け、「未確認」と明記します。
エリア別に見る大学・専門学校と住まいの関係
つくば市:研究者・学生の集積エリア
筑波大学・筑波技術大学に加え、多数の研究機関が立地するつくば市は、単身赴任・研究者・学生といった多様な世帯構成が同居するエリアです。つくばエクスプレスの開通以降、地価・住宅需要ともに県内で突出した伸びを見せてきました(詳しくは「茨城県の公示地価の推移」の記事もご参照ください)。
水戸市:茨城大学・常磐大学を擁する県央の拠点
茨城大学の本部と常磐大学が立地する水戸市は、県庁所在地としての機能に加え、教育機関の集積地としての性格も持ちます。
日立市・ひたちなか市:製造業と技術者教育の拠点
茨城キリスト教大学(日立市)、茨城工業高等専門学校(ひたちなか市)は、日立製作所をはじめとする県北の製造業集積と結びついた技術者教育の拠点です。
取手市・龍ケ崎市・土浦市:県南の私立大学群
日本国際学園大学(取手市)、流通経済大学(龍ケ崎市)、つくば国際大学(土浦市)など、県南エリアには私立大学が分散して立地しています。これらのエリアは常磐線沿線で東京へのアクセスも比較的良く、進学・通学の両面から選ばれる傾向があります。
進学・転居を機に不動産を考えるタイミング
大学・専門学校への進学は、本人だけでなく家族の住まいにも影響を及ぼす出来事です。子や孫の進学を機に「実家をどうするか」を考え始める方、逆に大学周辺での賃貸・購入を検討する方、それぞれに接点があります。
実家が空き家化する前に検討したいこと
進学・就職で子どもが親元を離れたのち、将来的に実家が空き家になるケースは茨城県内でも増加傾向にあります(詳しくは「茨城県の空き家率・世帯数データ」の記事もご参照ください)。早めに売却・賃貸・管理のいずれの方針を取るか検討しておくことで、後々の負担を軽減できます。
相続のタイミングと重なりやすい進学期
子や孫の進学と、親世代の高齢化・相続の検討時期が重なることは珍しくありません。進学費用の捻出のために実家の売却を検討する、あるいは空いた部屋の活用を考える、といった相談も実務では多く見られます。
よくある質問
Q. 茨城県内で一番学生数が多い大学はどこですか?
A. 筑波大学(つくば市)です。2025年5月1日時点で学部9,573人・大学院7,111人、合計16,684人が在籍しており、県内最大規模です(出典:大学ポートレート)。
Q. 茨城県に私立大学はいくつありますか?
A. 文部科学省の私立大学一覧(茨城県分)によると、茨城キリスト教大学・流通経済大学(龍ケ崎キャンパス)・常磐大学・つくば国際大学・日本国際学園大学・日本ウェルネススポーツ大学・アール医療専門職大学の7校が掲載されています。
Q. 茨城県の専門学校は何校ありますか?
A. 茨城県「令和7年度学校基本調査」によると、専修学校は67校(公立3校・私立64校)、生徒数は10,649人です。このうち93.6%が高校卒業後に進学する専門課程の生徒です。
Q. 茨城県内に高専はありますか?
A. 茨城工業高等専門学校(ひたちなか市)の1校があります。国際創造工学科の1学科制で、5年間の一貫教育を行っています。
Q. 大学周辺の物件は賃貸需要が見込めますか?
A. 大学によっては学生宿舎を自前で用意しており、必ずしも民間賃貸の需要増に直結するとは限りません。例えば筑波大学は3,000人超の定員の学生宿舎を持ち、新入生の約4割が入居するとされています(出典:筑波大学ポートレート)。個別の需要判断には、その大学の宿舎定員や周辺の物件供給状況を合わせて確認することをおすすめします。
Q. 実家が大学進学で空き家になりそうな場合、どう相談すればよいですか?
A. 空き家になる前の段階でも、売却・賃貸・管理いずれの選択肢についても無料査定・相談を承っています。県内4店舗(つくば・水戸・取手戸頭・守谷)のネットワークで、エリアの実情に応じたご提案が可能です。
まとめ
茨城県内の高等教育機関は、国立の筑波大学・筑波技術大学・茨城大学、私立大学7校、高専1校、そして生徒数で大学に匹敵する規模を持つ専修学校67校まで、県内の各拠点都市に分散して立地しています。特につくば市は、研究学園都市として全国でも有数の研究者・学生の集積エリアです。
進学・就職による転居、そして親世代の高齢化・相続は、多くのご家庭で同じ時期に重なって訪れます。実家の今後や、大学周辺エリアでの住まい探しについて迷われた際は、地域の実情を知る地元の不動産会社にご相談ください。
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