茨城県は2011年の東日本大震災で広い地域が震度6弱以上を観測した経験を持ちます。昭和56年(1981年)5月31日以前の「旧耐震基準」で建てられた木造住宅は、今なお県内に少なからず残っており、茨城県住生活基本計画でも「耐震性を有しない住宅ストックの解消」が数値目標に掲げられています。この記事では、県内44市町村が実施している耐震診断・耐震改修の補助制度の状況を、ハウスドゥが県公式資料をもとに整理してご紹介します。

目次
  1. 茨城県の耐震診断・耐震改修補助とは|なぜ今取り上げるのか
    1. 昭和56年5月31日という一つの境界線
    2. 令和12年度までに「概ね解消」という県の数値目標
  2. 耐震診断の意味と流れ
    1. 茨城県木造住宅耐震診断士とは何か(県独自の認定制度)
    2. 診断→補強設計→改修という3ステップ
  3. 茨城県44市町村の補助制度カバー状況(令和8年度)
    1. 耐震診断への補助は44市町村中43市町村で実施
    2. 設計・改修をまとめて支援する「総合支援」は29市町村
    3. 耐震シェルター等の部分改修まで支援するのは4市町
    4. 4店舗エリアの状況|守谷市は補助制度が「なし」
  4. 代表的な市町村の補助内容の例|つくば市・水戸市・北茨城市
    1. つくば市|耐震改修費用の5分の4(上限115万円)だが先着2件のみ
    2. 水戸市|設計・改修を一体的に行えば工事費の5分の4(上限115万円)
    3. 北茨城市|耐震診断の自己負担はわずか2,000円、ただし募集はごく少数
  5. 耐震改修工事の実施率から見える茨城県の実情
    1. 耐震改修の内容は「壁の補強」が中心
  6. 耐震診断・耐震改修を進める上での注意点
    1. 補助制度は市町村ごとに窓口・条件が異なる
    2. 申請には期限や予算の上限があることが多い
    3. 制度が無い・使いにくい場合の選択肢
    4. Q7. 補助制度があれば必ず利用できますか?
  7. まとめ|まずはお住まいの市町村の制度を確認することから
  8. よくある質問(FAQ)
    1. Q1. 茨城県で耐震診断・耐震改修の補助が受けられる市町村はどれくらいありますか?
    2. Q2. どんな住宅が補助の対象になりますか?
    3. Q3. 耐震シェルターのような部分的な改修にも補助はありますか?
    4. Q4. 守谷市に補助制度はありますか?
    5. Q5. 茨城県木造住宅耐震診断士とはどんな資格ですか?
    6. Q6. 補助制度を使わずに耐震性が気になる住宅を売却することはできますか?

茨城県の耐震診断・耐震改修補助とは|なぜ今取り上げるのか

耐震診断・耐震改修の補助制度は、茨城県が直接お金を出す制度ではなく、県内の各市町村が個別に実施している制度です。そのため「茨城県で一律にいくらもらえる」という単純な話ではなく、お住まいの市町村によって使える制度の有無や手厚さが大きく異なります。

昭和56年5月31日という一つの境界線

建築基準法の耐震基準は昭和56年6月1日に大きく改正されており、それ以前に建築確認を受けた住宅は「旧耐震基準」、それ以降は「新耐震基準」と呼ばれます。今回ご紹介する補助制度の多くは、この昭和56年5月31日以前に建築された木造住宅を対象としています。ご自宅やご実家がこの基準に該当するかどうかは、建築確認済証や登記簿の新築年月日で確認できます。

令和12年度までに「概ね解消」という県の数値目標

茨城県住生活基本計画では、昭和56年基準が求める耐震性を有しない住宅ストックの比率について、平成30年時点の13.5%から令和12年度までに「概ね解消」するという目標が掲げられています。今回取り上げる市町村ごとの補助制度は、この目標を実現するための実務的な手段のひとつと位置づけられます。

耐震診断の意味と流れ

「耐震診断」と一口に言っても、実際には診断・設計・改修という複数の段階に分かれています。まずはその全体像を押さえておきましょう。

茨城県 耐震化の3ステップ 診断・設計・改修 housedo.group

茨城県木造住宅耐震診断士とは何か(県独自の認定制度)

茨城県では、耐震性能をチェックする専門家として独自に「茨城県木造住宅耐震診断士」を養成・認定しています。一級建築士(資格取得後5年以上)や二級・木造建築士(同10年以上)などが県主催の講習会を受講することで認定される仕組みで、市町村が実施する耐震診断士派遣事業や耐震診断費補助事業を利用する際、この診断士であることが要件となる場合があります。

診断→補強設計→改修という3ステップ

一般的な流れは、まず耐震診断士等が建物の耐震性を調査する「①耐震診断」、診断結果を踏まえて具体的な補強方法や費用を検討する「②補強設計」、実際に壁の補強や基礎の補強、耐震シェルターの設置などを行う「③耐震改修」という3段階です。市町村によっては、このうちどの段階に補助を出すかが異なります。

茨城県44市町村の補助制度カバー状況(令和8年度)

茨城県公式サイトが公表している「耐震診断・補強設計・耐震改修の補助を行っている市町村の一覧」(令和8年度版)をもとに、44市町村の補助制度を集計しました。

茨城県44市町村の耐震補助制度カバー状況グラフ housedo.group

耐震診断への補助は44市町村中43市町村で実施

耐震診断費用への補助は、県内44市町村のうち43市町村で実施されています(令和8年度時点)。旧耐震基準の木造住宅にお住まいであれば、多くの市町村でまず診断費用の補助を受けられる可能性が高いといえます。

設計・改修をまとめて支援する「総合支援」は29市町村

診断だけでなく、補強設計や耐震改修工事の費用までまとめて支援する「総合支援」型の制度を持つ市町村は29市町村にのぼります。水戸市・日立市・つくば市・取手市など、多くの市町村がこのタイプに該当します。

耐震シェルター等の部分改修まで支援するのは4市町

住宅全体の耐震改修ではなく、寝室など一部屋だけを守る「耐震シェルター」等の部分改修まで支援する市町村は、日立市・笠間市・行方市・大洗町の4市町にとどまります。費用を抑えて命を守るための選択肢として、高齢者世帯などに向く制度ですが、対応している自治体はまだ限定的です。

4店舗エリアの状況|守谷市は補助制度が「なし」

ハウスドゥの4店舗エリアで見ると、水戸市は診断・設計・改修・総合支援・部分改修の5区分すべてに制度を持つ最も手厚い自治体のひとつです。つくば市・取手市は診断と総合支援(設計・改修セット)の制度があります。一方で守谷市は、令和8年度時点で5区分すべてが「補助制度なし」となっており、県内では珍しいケースです。守谷市にお住まいで旧耐震基準の木造住宅をお持ちの方は、補助を前提にせず、まずは市の窓口で最新の実施状況をご確認いただくことをおすすめします。

代表的な市町村の補助内容の例|つくば市・水戸市・北茨城市

「補助制度がある」といっても、実際の補助額や募集件数は市町村ごとに大きく異なります。ハウスドゥの店舗があるつくば市・水戸市と、比較的手厚い制度を持つ北茨城市を例に、実際の内容を見てみましょう(いずれも令和8年度時点、金額は目安です)。

つくば市|耐震改修費用の5分の4(上限115万円)だが先着2件のみ

つくば市では、昭和56年5月31日以前に建築された2階建て以下の木造住宅を対象に、耐震改修工事に要した費用の5分の4(上限115万円)を補助する制度があります。令和8年度の受付期間は5月13日から8月31日まででしたが、募集は先着2件のみとなっており、予算の規模は決して大きくありません。制度があること自体は心強い一方、希望すれば必ず使えるとは限らない点に注意が必要です。

水戸市|設計・改修を一体的に行えば工事費の5分の4(上限115万円)

水戸市では、耐震改修設計のみなら設計費の2分の1(上限10万円)、耐震改修工事のみなら工事費の23%(上限50万円)、設計と工事を一体的に行う場合は工事費の5分の4(上限115万円)を補助する制度があります。対象は昭和56年5月31日以前に着工された木造住宅で、耐震診断の結果、上部構造評点が1.0未満と判定されたものです。令和8年度の募集期間は4月1日から11月30日までですが、予算に限りがあるため予定件数に達し次第、期間内でも終了するとされています。

北茨城市|耐震診断の自己負担はわずか2,000円、ただし募集はごく少数

北茨城市では、耐震診断1戸あたりの費用が99,000円かかるところ、自己負担額はわずか2,000円で済む「木造住宅耐震診断士派遣事業」を実施しています。耐震改修についても設計費の3分の1(上限10万円)、工事費の3分の1(上限40万円)の補助があります。市がこれまでに実施した診断117戸のうち、耐震性能が不足していたのは全戸、必要な耐震性が基準の半分以下だった住宅は94%にのぼったとされ、旧耐震基準の住宅の耐震性不足が深刻であることをうかがわせるデータです。ただし令和8年度の募集件数は、診断3戸・改修設計1戸・改修工事1戸といずれも先着順のごく少数にとどまっています。

耐震改修工事の実施率から見える茨城県の実情

制度の有無だけでなく、実際にどれくらいの世帯が耐震改修を行っているのかも見ておきましょう。総務省「令和5年住宅・土地統計調査」によると、2019年以降に耐震改修工事が行われた茨城県内の持ち家の割合は2.2%で、全国平均1.9%をやや上回っています。詳しい持ち家の改修動向は茨城県のリフォーム・リノベーション事情の記事でも取り上げていますので、あわせてご覧ください。

耐震改修の内容は「壁の補強」が中心

全国データでは、耐震改修工事の内容は「壁の新設・補強」が46.0%と最も多く、「金具による補強」38.0%、「基礎の補強」34.5%と続きます(都道府県別の内訳は公表されていません)。壁や基礎という建物の構造にかかわる部分の補強が中心であることがわかります。

耐震診断・耐震改修を進める上での注意点

制度を活用する際に、あらかじめ知っておきたいポイントを整理します。

補助制度は市町村ごとに窓口・条件が異なる

今回ご紹介した44市町村の一覧はあくまで「制度の有無」の整理であり、補助率や上限額、対象となる住宅の要件は市町村ごとに異なります。実際に申請を検討する場合は、必ずお住まいの市町村の担当課(建築指導課、都市計画課など名称は市町村によって異なります)に直接お問い合わせください。

申請には期限や予算の上限があることが多い

多くの市町村の補助制度には、年度ごとの予算枠や申請受付期間が設けられています。予算に達し次第、その年度の受付が終了するケースもあるため、検討している場合は早めに市町村窓口へ相談することをおすすめします。

制度が無い・使いにくい場合の選択肢

守谷市のように補助制度自体がない市町村にお住まいの場合や、旧耐震基準の住宅を所有し続けることに不安がある場合は、耐震改修だけでなく、売却や建て替えも含めた選択肢を検討する余地があります。空き家の管理や活用についての考え方は茨城県の空家等対策の記事でも解説しています。

Q7. 補助制度があれば必ず利用できますか?

A. 必ずしもそうとは限りません。多くの市町村で募集件数や予算の上限が設けられており、先着順で受付を終了する場合があります。実際につくば市では令和8年度の募集が先着2件、北茨城市では診断3戸・改修設計/工事各1戸と、募集件数がごく少数の市町村もあります。検討される場合は早めに市町村窓口へ相談することをおすすめします。

まとめ|まずはお住まいの市町村の制度を確認することから

茨城県内44市町村のうち43市町村が耐震診断への補助を実施しており、旧耐震基準の木造住宅にお住まいの方が最初の一歩を踏み出しやすい環境が整いつつあります。一方で、総合支援や部分改修まで対応している市町村はまだ限られており、守谷市のように制度自体がない自治体も存在します。ご自宅の耐震性が気になる方は、まずはお住まいの市町村の窓口で最新の制度内容をご確認ください。売却や建て替えも含めたご相談は、地域に密着したハウスドゥの各店舗までお気軽にどうぞ。

耐震性が気になるご自宅の売却や建て替え、解体を含めたご相談は、地域に密着したつくば市水戸市取手市守谷市のハウスドゥ各店舗、または解体を伴う場合は解体Do!までお気軽にどうぞ。

よくある質問(FAQ)

Q1. 茨城県で耐震診断・耐震改修の補助が受けられる市町村はどれくらいありますか?

A. 茨城県公式資料(令和8年度版)によると、県内44市町村のうち43市町村が耐震診断費用への補助を実施しています。設計・改修までまとめて支援する「総合支援」型の制度がある市町村は29市町村です。

Q2. どんな住宅が補助の対象になりますか?

A. 多くの市町村で、昭和56年5月31日以前に建築確認を受けた木造住宅が対象とされています。詳しい対象要件は市町村ごとに異なるため、お住まいの市町村窓口でご確認ください。

Q3. 耐震シェルターのような部分的な改修にも補助はありますか?

A. 令和8年度時点で、日立市・笠間市・行方市・大洗町の4市町が耐震シェルター等の部分改修に対応した補助制度を持っています。住宅全体の改修より費用を抑えられる選択肢として位置づけられています。

Q4. 守谷市に補助制度はありますか?

A. 茨城県公式資料(令和8年度版)では、守谷市は診断・設計・改修・総合支援・部分改修のいずれも「補助制度なし」となっています。今後制度が新設される可能性もあるため、検討される場合は市の窓口で最新状況をご確認ください。

Q5. 茨城県木造住宅耐震診断士とはどんな資格ですか?

A. 茨城県が独自に養成・認定している専門家で、一級建築士(資格取得後5年以上)や二級・木造建築士(同10年以上)などが県主催の講習会を受講することで認定されます。市町村の耐震診断士派遣事業などを利用する際、この資格が要件になる場合があります。

Q6. 補助制度を使わずに耐震性が気になる住宅を売却することはできますか?

A. はい、可能です。耐震改修に踏み切るか、現状のまま売却するか、建て替えるかは所有者ご自身の判断になります。旧耐震基準の住宅であっても、地域の実情に詳しい不動産会社に相談することで、状況に応じた選択肢をご案内できます。

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