つくば・水戸・取手・守谷。ハウスドゥが茨城県内で運営する4店舗の担当エリアを地図で見渡すと、共通する背景にひとつ、他県にはあまり見られない資産がある。県のほぼ中央、小美玉市に位置する茨城空港だ。市町村単位の切り口では語れない「茨城県という単位」だからこそ扱える資産であり、今回は開港から15年で変化してきたこの空港と周辺地域の姿を、公式統計と一次情報だけを頼りに整理する。
茨城県にもうひとつの空の玄関口 — 茨城空港とは
茨城空港は茨城県小美玉市与沢1601番55号に位置する。水戸市中心部から車で約30分、つくば市中心部から約40〜55分という、県のほぼ中央にあたる立地だ。運営は空港ビル管理事務所(公益財団法人茨城県開発公社)が担い、ホームページ運営は茨城県営業戦略部空港振興課が事務局を務める茨城空港利用促進等協議会が担当している。
開港の経緯 — 百里飛行場という軍民共用空港
茨城空港は2010年3月11日、航空自衛隊百里基地との共用空港として開港した。開港当初は年間約20万人が利用する空港であったが、コロナ禍前の2019年度(令和元年度)には約78万人が利用する空港へと成長している(茨城県「茨城空港将来ビジョン(案)」概要版より)。滑走路や誘導路を自衛隊機と民間機が共用する形態であるため、運航時間帯や保安上の制約など、一般的な空港とは異なるルールのもとで運用されている点は押さえておきたい。
立地 — 小美玉市、県のほぼ中央
空港の立地する小美玉市は、水戸市・笠間市・茨城町・鉾田市・石岡市などに囲まれた県中央部の自治体だ。空港から700mの距離には、小美玉市が運営する直販所・イベント施設「空のえき そ・ら・ら」があり、県はこの施設と空港との連携強化を将来ビジョンに明記している。
旅客数の推移 — 開港初年度20万人から83万人へ
年度別旅客数の推移
茨城空港公式サイト「旅客実績」によると、年度別の旅客数(国内線・国際線合計)は以下の通り推移してきた。
| 年度 | 国内線(人) | 国際線(人) | 合計(人) |
|---|---|---|---|
| 平成21年度(開港年度) | 666 | 7,840 | 8,506 |
| 平成22年度 | 96,098 | 106,972 | 203,070 |
| 平成27年度 | 403,700 | 150,650 | 554,350 |
| 平成30年度 | 594,853 | 165,549 | 760,402 |
| 令和元年度(コロナ前ピーク) | 635,279 | 140,723 | 776,002 |
| 令和2年度(コロナ直撃) | 208,570 | ― | 208,570 |
| 令和4年度 | 595,393 | 1,143 | 596,536 |
| 令和6年度 | 709,928 | 66,135 | 776,063 |
| 令和7年度(過去最多) | 751,738 | 82,527 | 834,265 |
出典:茨城空港公式サイト「旅客実績」(2026年8月時点の公表値)。開港から令和7年度末までの累計利用者数は872万3,652人(国内線732万843人・国際線140万2,809人)に達している。

令和7年度は過去最多83万4,265人
令和7年度(2025年4月〜2026年3月)の旅客数は83万4,265人で、統計のある平成21年度以降で過去最多を更新した。内訳は国内線が75万1,738人(前年度比+5.9%)、国際線が8万2,527人(前年度比+24.8%)で、国内線・国際線ともに前年度を上回った。スカイマークの福岡便が2025年3月30日から1日1往復から2往復に増便されたことや、国際線の需要回復が主な要因とみられる。
現在の就航路線(2026年8月時点)
国内線4都市 — 直行便と乗継便
国内線は札幌(新千歳)・神戸・福岡・那覇の4都市への直行便があり、いずれもスカイマークが運航している。福岡便は2025年3月30日から1日1往復から2往復に増便された。さらに乗継便を利用すれば、神戸または那覇での乗り継ぎで宮古(下地島)・長崎・鹿児島とも結ばれている(茨城県「茨城空港将来ビジョン(案)」より)。就航先一覧のページに長崎・鹿児島・宮古の名前が並ぶのは、この乗継便によるものだ。
国際線 — 清州便・仁川便中心、台北・上海便は運休中
国際線は韓国のLCC・エアロKによる清州便・仁川(ソウル)便が中心となっている。ただし清州便は2026年4月9日から8月29日まで運休しており、公式発表(2026年8月7日付)によれば2026年9月1日から火・木・土曜の週3往復で運航再開の予定だ。かつて定期便化が目指されていた中国・上海(浦東)便、台湾・台北(桃園)便は、2026年8月時点でいずれも運休している。国際線の就航先は年によって増便・運休を繰り返してきた経緯があり、「就航先一覧」に載っている都市がすべて現在運航中とは限らない点は、正確に理解しておく必要がある。
茨城県内からのアクセス比較
車でのアクセス早見表
| 出発地 | 所要時間の目安 | 経由ルート |
|---|---|---|
| 水戸IC | 約30分 | 常磐道→北関東道→東関東道水戸線 |
| 土浦北IC | 約30〜45分 | 常磐道(石岡小美玉スマートIC経由/千代田石岡IC経由) |
| つくば中央IC | 約40〜55分 | 圏央道→常磐道(石岡小美玉スマートIC経由/千代田石岡IC経由) |
| 桜川筑西IC(筑西市) | 約60分 | 北関東道→東関東道水戸線 |
| 鹿嶋市内 | 約60分 | 県道18号等(一般道) |
| 久喜白岡JCT(埼玉方面) | 約90分(約78km) | 圏央道 |
出典:茨城空港公式サイト「車でのアクセス」各方面別ページ(水戸・土浦石岡・つくば・筑西・鹿嶋の各方面)。所要時間はいずれも公式サイト記載の目安であり、時間帯や交通状況により変動する。

高速バスでのアクセス
水戸駅からは高速道路ルートで約40分(大人1,500円)、一般道ルートで約70分(大人1,190円)のバスが運行しており、1日約12便が設定されている(茨城県「茨城空港将来ビジョン(案)」より)。石岡駅からは約35分・1日約10便で、2026年4月30日からは直行バスの試験運行も始まった。東京駅からは約120分かかる上、火・土・日曜1便、木曜2便のみと本数が少ない。一方、つくばセンター発着の空港連絡バスは2020年4月6日以降、全便運休が続いている(2026年8月時点、公式サイトで確認)。つくば方面から利用する場合は、事前予約制の乗合タクシー(関鉄土浦タクシー)や自家用車でのアクセスが現実的な選択肢になる。
空港がもたらした周辺地域の変化
小美玉市新まちづくり構想と「そ・ら・ら」
空港が立地する小美玉市は2023年3月、空港を生かして賑わいや交流を創出する「小美玉市新まちづくり構想」を発表した。空港から700mの距離にある直販所・イベント施設「空のえき そ・ら・ら」との連携強化は、茨城県が2025年7月に策定した「茨城空港将来ビジョン」にも明記されている取り組みだ。県道路網の記事で扱った境町・坂東市・常総市の物流施設集積とはやや異なる文脈だが、いずれも高速道路網が交わる県中央〜県西エリアで地域振興の動きが同時並行していることは押さえておきたい。
「首都圏第3の空港」構想と規模の現実
茨城県が2025年7月に策定した「茨城空港将来ビジョン」は、①茨城県や近隣県の成長を支える観光・ビジネス拠点、②羽田・成田とともに関東圏3つ目の空港として国内外の航空需要に対応する空港、③災害時に茨城県や周辺県の対応拠点となる空港、という3つの役割を掲げている。もっとも、規模感には正直な認識が必要だ。航空経営研究所主席研究員・橋本安男氏の分析(ビジネスジャーナル、2025年9月掲載)によれば、2024年度の国内空港の国際線旅客数ランキングにおいて、茨城空港の国際線旅客数は約7万人弱にとどまり、成田空港の国際線旅客数のわずか0.2%程度に過ぎない。将来ビジョンでは国際線旅客数を2030年代に50万人、2040年代に60万人まで増やす目標を掲げているが、令和7年度実績の国際線8万2,527人との間には大きな開きがある。「首都圏第3の空港」という看板と、現在地としての規模には距離があるというのが実情だ。
生活者から見た「空港がある県」という住環境の特徴
共用空港ゆえの運用と安全への配慮
茨城空港は自衛隊機と民間機が同じ滑走路を使う軍民共用空港であるため、一般的な空港とは異なる制約がある。将来ビジョンでも「旅客や航空会社が利用しやすい運用時間帯の確保」を今後の課題のひとつとして挙げており、騒音や地域の意向を踏まえながら協議を進める方針が示されている。周辺での暮らしを考える上では、こうした運用上の特性も踏まえておく必要がある。
空港が近いことは住まい選びの決め手になるか
実際のところ、空港そのものの利用頻度は年に数回という人が大半で、「空港が近い」ことが住宅選びの最優先事項になるケースは多くない。一方で、県内のどこに住んでいても車で1時間前後の範囲に全国主要都市へのアクセス手段がある、という選択肢の広さは、他県にはあまりない安心材料といえる。既存記事茨城県の平均通勤時間と都心アクセスで扱ったTX・常磐線による都心アクセスに加え、空という第三の選択肢が茨城県の立地の幅を広げている構図だ。
住まい・不動産への接点
空港周辺エリアの公示地価
空港が立地する小美玉市の2026年公示地価は平均16,534円/m2で、県平均39,887円/m2(茨城県の公示地価の推移参照)と比べるとまだ低い水準にある。空港の立地そのものが周辺地価を大きく押し上げているわけではなく、茨城県44市町村 公示地価ランキングで見た通り、県内では守谷市・つくば市などTX沿線の伸びの方が顕著だ。空港周辺は地価という尺度よりも、県全体のアクセス資産としての役割で評価すべきエリアといえる。
物流拠点としての結節性
圏央道・北関東道・東関東道水戸線が交わる結節点という立地は、茨城県の高速道路網で扱った物流施設集積(境町・坂東市・常総市)とも地理的に近い。空港自体の貨物取扱いは上海路線での衣類・雑貨等にとどまり(将来ビジョンより)、羽田・成田に比べると小規模だが、フォワーダー等の輸送ニーズを見据えた航空貨物需要の掘り起こしが今後の課題として将来ビジョンに挙げられている。
つくば市・土浦市方面での売却相談はハウスドゥ つくば研究学園都市、水戸市・笠間市方面はハウスドゥ 家・不動産買取専門店 県庁水戸、取手市方面はハウスドゥ 取手戸頭、守谷市方面はハウスドゥ 守谷が窓口となる。県内の解体工事に関するご相談は解体Do!でも承っている。
よくある質問
茨城空港はいつ、どのように開港しましたか?
茨城空港は2010年3月11日、航空自衛隊百里基地との共用空港として開港しました。開港当初の年間利用者数は約20万人でしたが、令和7年度(2025年度)には83万4,265人まで成長しています。
2026年8月時点で、茨城空港にはどんな路線が就航していますか?
国内線は札幌(新千歳)・神戸・福岡・那覇の4都市への直行便(スカイマーク運航)があり、乗継便で宮古・長崎・鹿児島とも結ばれています。国際線はエアロK運航の清州便・仁川便が中心ですが、清州便は2026年4月9日から8月29日まで運休しており、9月1日から週3往復で運航再開予定です。台北便・上海便は2026年8月時点で運休しています。
茨城県内から茨城空港へはどのくらいの時間で行けますか?
車の場合、水戸ICから約30分、土浦北ICから約30〜45分、つくば中央ICから約40〜55分、筑西市の桜川筑西ICから約60分が目安です。高速バスは水戸駅から約40分(1,500円)、石岡駅から約35分で運行していますが、つくばセンター発着のバスは2020年4月以降運休が続いています。
茨城空港は自衛隊の基地と同じ場所にあるのですか?
はい。茨城空港は航空自衛隊百里基地と滑走路を共用する「軍民共用空港」として2010年に開港しました。運用時間帯などは自衛隊との調整の上で決められています。
茨城空港の利用者数は今後も増えるのでしょうか?
茨城県が2025年7月に策定した「茨城空港将来ビジョン」では、国際線旅客数を2030年代に50万人、2040年代に60万人まで増やす目標を掲げていますが、令和7年度の国際線実績は8万2,527人にとどまっており、目標との開きは大きいのが実情です。増便や新規路線誘致の取り組みが続けられています。
茨城空港の近くに住むメリットはありますか?
車で1時間前後の範囲に空港があることで、出張や旅行の選択肢が広がる点はメリットです。一方で空港自体の利用頻度は多くの人にとって年数回程度であり、住まい選びでは地価や生活利便性など他の要素と合わせて総合的に判断することをおすすめします。
まとめ
茨城空港は開港から15年で、年間20万人の利用から83万人超へと成長した。国内線4都市への直行便と、増減を繰り返しながら再開へ向かう国際線、そして水戸・土浦石岡・つくばから1時間圏内という県内アクセスの広がりは、市町村単位では語れない「茨城県という単位」だからこそ持てる資産だ。一方で「首都圏第3の空港」という将来ビジョンの看板と、成田空港の0.2%程度という現在の規模の間には、まだ大きな距離がある。空港周辺の地価がTX沿線ほど伸びていない現実も含め、誇張せず実態を見極めることが、茨城県内の不動産を検討する上でも欠かせない視点になる。空港のあるなしにかかわらず、茨城県内の売却・査定に関するご相談は、お近くの店舗までお気軽にどうぞ。
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