茨城県内で住宅を買う・売るとき、意外と見落とされがちなのが上下水道の整備状況です。上水道はほぼ全県で普及していますが、下水道は市町村ごとの差が非常に大きく、古い家や郊外エリアでは今でも単独処理浄化槽や汲み取り式が残っています。本記事では茨城県公式の一次データから、上下水道の普及率と地域差、住宅取得時の実務論点を整理します。
茨城県の上水道普及率
県全体の水道普及率は95.3%
茨城県公式「施設別普及状況」によると、令和7年3月31日現在、県人口2,796千人に対する水道の普及率は95.3%です(茨城県政策企画部水政課水道、2026年5月7日更新)。全国平均(令和3年度時点で約98%前後)と比べるとやや低めですが、県内のほとんどの地域で上水道が使える状況にあります。
上水道が無い地域は井戸水・専用水道
普及率95.3%の残り約4.7%の地域では、井戸水や専用水道(自家用の水道施設)に依存しています。特に山間部や集落が小さいエリアでは、上水道の配管が届いていないケースがあり、中古住宅を購入する際は水道の種類(上水道・簡易水道・専用水道・井戸水)を必ず確認する必要があります。
茨城県の下水道(汚水処理)普及率
県全体は89.0%、全国順位30位
茨城県公式「令和6年度汚水処理人口普及率について」によると、令和6年度末の茨城県の汚水処理人口普及率は89.0%(令和5年度末88.1%から+0.9%)です。全国平均93.7%と比べると4.7ポイント低く、全国順位は47都道府県中30位です。総人口2,837,847人のうち、汚水処理が可能な人口は2,526,530人です。
処理方式の内訳:下水道66.0%・浄化槽17.6%
茨城県の汚水処理人口普及率89.0%の内訳は、公共下水道66.0%・農業集落排水施設等5.1%・合併処理浄化槽17.6%・コミュニティプラント0.3%です。県内では公共下水道よりも面積で見ればカバー率が低く、多くの住宅が個別の浄化槽で汚水処理をしている実態がうかがえます。

市町村別に見る下水道整備の地域差
普及率が高い市町村
茨城県公式「令和6年度市町村別汚水処理人口普及率」によると、普及率が特に高いのは守谷市100.0%・五霞町99.6%・日立市99.4%・利根町95.6%・東海村95.7%・つくば市94.4%などです。これらは比較的新しい住宅地開発が進んだ地域や、コンパクトな町域で下水道整備が完了している地域という共通点があります。
普及率が低い市町村
一方で普及率が低いのは大子町62.8%・行方市67.6%・鉾田市68.5%・八千代町69.5%・下妻市69.1%・桜川市71.6%などです。県北・県西・鹿行エリアの一部市町村では、まだ下水道や合併処理浄化槽への転換が進んでいない住宅が相応に残っていることを示しています。神栖市も75.9%と県平均を下回ります。
住宅取得・売却で確認すべき実務論点
浄化槽には維持管理費がかかる
公共下水道が無い地域の住宅では、合併処理浄化槽や単独処理浄化槽が設置されています。浄化槽は保守点検・清掃・法定検査が必要で、年間数万円程度の維持費が発生します。中古住宅を購入する際は、水道と同様に排水方式(公共下水道/合併処理浄化槽/単独処理浄化槽/汲み取り)を必ず確認し、浄化槽の場合は設置年数や法定検査の実施状況も聞いておくと安心です。
単独処理浄化槽は将来の交換対象になりやすい
単独処理浄化槽はし尿のみを処理しトイレ以外の排水は未処理のまま流すため、水質汚濁防止の観点から浄化槽法の改正で新設が禁止されています。古い住宅で単独処理浄化槽が設置されている場合、将来的に合併処理浄化槽への交換や公共下水道への接続が必要になる可能性があり、売却時には買主への説明事項になります。
下水道未整備エリアは古家の解体・建て替えでも影響
下水道が整備されていない地域で古い空き家を解体し新築を建てる場合、合併処理浄化槽の設置費用(数十万円〜100万円程度)が別途発生します。解体・建て替え・売却のいずれを選ぶ場合でも、対象エリアの汚水処理方式を事前に把握しておくことで、想定外のコストを避けられます。
茨城県内で住宅を探す・売る際の視点
普及率の高いエリアは資産性が安定しやすい
下水道普及率が高い守谷市・つくば市・日立市・東海村などは、生活インフラの利便性が資産価値の安定に寄与しやすい傾向があります。一方、普及率が低いエリアでも、浄化槽の維持管理が適切であれば生活に支障はなく、価格面でのお得感がある場合もあります。
売却時はインフラ情報も強みとして提示できる
公共下水道に接続済みの住宅は、買主にとって「浄化槽の維持費がかからない」という分かりやすいメリットになります。売却を検討する際は、上下水道の接続状況を整理して提示することで、古い住宅でも安心材料として訴求できます。
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まとめ
茨城県の上水道普及率は95.3%とほぼ全域で使えますが、下水道(汚水処理)普及率は89.0%・全国30位で、市町村ごとの差が大きいのが実態です。守谷市・日立市・東海村などは95%以上、大子町・行方市・鉾田市などは70%未満と、同じ県内でも大きな地域差があります。住宅の取得・売却では、水道の種類だけでなく排水方式(公共下水道か浄化槽か)まで確認することが、想定外のコストを避ける近道です。
よくある質問(FAQ)
茨城県の下水道普及率は全国と比べて高いですか、低いですか?
低めです。令和6年度末の茨城県の汚水処理人口普及率は89.0%で、全国平均93.7%より4.7ポイント低く、全国順位は30位です(茨城県公式データ)。
茨城県で下水道普及率が最も高い市町村はどこですか?
令和6年度末データで守谷市100.0%が県内最高です。五霞町99.6%・日立市99.4%・東海村95.7%・利根町95.6%・つくば市94.4%も高い水準です。
浄化槽が設置されている中古住宅を買うときの注意点は?
合併処理浄化槽か単独処理浄化槽かを必ず確認してください。単独処理浄化槽はトイレ以外の排水を未処理のまま流すため、新設が認められておらず、将来的に交換や公共下水道への接続が必要になる可能性があります。浄化槽の保守点検・清掃・法定検査には年間数万円程度の維持費もかかります。
下水道が無い地域で家を建て替えると追加費用はかかりますか?
かかります。公共下水道が無い地域では合併処理浄化槽の設置が必要で、費用は数十万円〜100万円程度が目安です。解体・建て替えを検討する際は事前に対象エリアの汚水処理方式を確認しておくと想定外のコストを避けられます。
茨城県の上水道が使えない地域はありますか?
県全体の水道普及率は95.3%で、残り約4.7%の地域は井戸水や専用水道に依存しています。山間部や集落規模が小さいエリアで配管が届いていないケースがあるため、中古住宅購入時は水道の種類を確認することをおすすめします。
下水道が整備されている住宅は売却時に有利になりますか?
公共下水道に接続済みであることは、買主にとって「浄化槽の維持費がかからない」という分かりやすいメリットになります。売却時にインフラの接続状況を整理して提示すると、安心材料として訴求できます。
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