「親から不動産を生前贈与してもらうことになったけれど、名義変更(登記)の手続きがよくわからない」「登録免許税や不動産取得税がいくらかかるのか不安」——そんな悩みを抱える方は少なくありません。
不動産の生前贈与は、相続と違って贈与者が元気なうちに財産の行き先を確定できる一方、名義変更(贈与登記)には相続とは異なる税金・書類が必要になります。この記事では、不動産を生前贈与で名義変更する際の手続きの流れ、必要書類、登録免許税・不動産取得税・贈与税の計算方法を、2026年時点の制度にもとづいて解説します。
生前贈与による不動産の名義変更とは
生前贈与による不動産の名義変更とは、贈与者(財産を渡す人)が生きているうちに、不動産の所有権を受贈者(財産をもらう人)へ移す手続きのことです。法務局で「贈与を原因とする所有権移転登記」(通称:贈与登記)を行うことで、正式に名義が変わります。
相続との違い
相続による名義変更(相続登記)は、贈与者が亡くなった後にしか行えません。生前贈与は贈与者の意思で贈与のタイミング・相手を選べる点が最大の違いです。ただし、相続登記の登録免許税が原則1,000分の4(0.4%)であるのに対し、生前贈与の登録免許税は1,000分の20(2%)と5倍の差があります。さらに生前贈与では受贈者に不動産取得税もかかりますが、相続では原則非課税です。この税負担の差を理解したうえで、生前贈与を選ぶかどうかを判断する必要があります。
生前贈与で不動産を名義変更する4つのステップ
ステップ1:贈与する不動産の内容を確認する
まず、登記事項証明書(登記簿謄本)や固定資産評価証明書を取得し、対象不動産の所在・地番・面積・評価額を確認します。評価額は登録免許税・不動産取得税・贈与税の計算の基礎になるため、最初に押さえておくべき情報です。
ステップ2:贈与契約書を作成する
贈与者・受贈者双方の合意を証明する「贈与契約書」を作成します。口頭の贈与でも法律上は成立しますが、登記や税務申告の際に贈与の事実を証明する書面が必要になるため、必ず書面で残します。実印での押印・印鑑証明書の添付が一般的です。
ステップ3:必要書類をそろえて法務局へ登記申請する
贈与契約書と登記に必要な書類一式をそろえ、不動産の所在地を管轄する法務局へ申請します。申請から登記完了までは、書類に不備がなければおおむね1〜2週間程度です。
ステップ4:不動産取得税・贈与税の申告と納付
登記完了後、受贈者には不動産取得税(都道府県税)と贈与税(国税)の申告・納付義務が生じます。不動産取得税は登記後しばらくして納税通知書が届く方式が一般的ですが、都道府県によって時期が異なるため、管轄の県税事務所に確認しておくと安心です。
生前贈与の名義変更に必要な書類チェックリスト
贈与登記に必要な書類は、贈与者・受贈者それぞれで異なります。
贈与者(渡す人)が用意する書類
- 登記済権利証または登記識別情報通知
- 印鑑証明書(発行後3か月以内)
- 固定資産評価証明書(最新年度のもの)
- 実印
受贈者(もらう人)が用意する書類
- 住民票(本籍・マイナンバーなしのもの)
- 認印(実印でなくても可の場合が多い)
共通で必要な書類
- 贈与契約書
- 登記申請書
- 登記原因証明情報(贈与契約書で兼ねることも可能)
住所変更・氏名変更を経ている場合は、変更の経緯がわかる戸籍の附票や住民票の除票が追加で必要になることがあります。事前に法務局や司法書士へ確認しておくと手戻りを防げます。
登録免許税はいくら?計算方法を解説
生前贈与による所有権移転登記にかかる登録免許税の税率は、固定資産税評価額の1,000分の20(2%)です。
計算式
登録免許税=固定資産税評価額×2%
計算例
固定資産税評価額2,000万円の土地を生前贈与した場合、登録免許税は2,000万円×2%=40万円です。同じ評価額の不動産を相続で名義変更する場合は2,000万円×0.4%=8万円となり、生前贈与の方が32万円多くかかる計算になります。
不動産取得税はいくら?税率と軽減措置
生前贈与で不動産を取得すると、受贈者に不動産取得税(都道府県税)が課されます。相続による取得は原則非課税ですが、生前贈与は課税対象になる点が大きな違いです。
税率
不動産取得税の標準税率は、土地・住宅が3%です(令和9年3月31日までの特例税率)。宅地については課税標準額が評価額の2分の1に軽減される特例があります。
計算例
評価額1,000万円の宅地を生前贈与した場合、課税標準は1,000万円×1/2=500万円となり、不動産取得税は500万円×3%=15万円です。
免税点に注意
土地は課税標準額16万円未満、家屋(贈与・売買等)は34万円未満であれば不動産取得税は課税されません。評価額の低い土地では課税対象外になるケースもあるため、固定資産評価証明書で確認しておきましょう。

贈与税はいくら?暦年課税と相続時精算課税の選び方
不動産の名義変更にあわせて必ず確認しておきたいのが贈与税です。2026年時点では「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つの制度があり、どちらを選ぶかで税額が大きく変わります。
暦年課税:年110万円まで非課税
暦年課税は、1年間(1月1日〜12月31日)にもらった財産の合計が110万円以下であれば贈与税がかからない制度です。不動産のような高額資産を一度に贈与すると110万円を超えるため、通常は贈与税が発生します。なお、2024年の税制改正により、相続開始前に贈与した財産を相続財産に加算する「生前贈与加算」の対象期間が、相続開始前3年以内から7年以内へ延長されている点にも注意が必要です。
相続時精算課税:年110万円の基礎控除+2,500万円まで贈与税ゼロ、ただし相続時に精算
相続時精算課税は、60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与について選択できる制度です。2024年の改正で年110万円の基礎控除が新設され、この基礎控除内の贈与は相続財産に加算されません。基礎控除を超えた部分は累計2,500万円まで贈与税がかからず、それを超えた部分は一律20%課税されます。ただし、基礎控除を超えて非課税とした分は、贈与者が亡くなったときに相続財産へ加算され、相続税として精算されます。一度この制度を選択すると、同じ贈与者からの贈与について暦年課税へ後から変更できない点に注意してください。
自分で手続きする場合と司法書士に依頼する場合の費用比較
贈与登記は法律上、本人が申請することも可能です。自分で行えば司法書士報酬(相場5万〜10万円程度)を節約できますが、平日に法務局へ出向く時間や書類作成の手間がかかります。書類の不備で補正・再提出になると、想定より時間がかかることもあるため、初めて手続きする場合は司法書士へ相談するのも選択肢の一つです。
生前贈与でよくある失敗と注意点
失敗例1:贈与税と登録免許税・不動産取得税を合算すると想定より高額になる
生前贈与は「相続税対策になる」というイメージが先行しがちですが、登録免許税・不動産取得税・贈与税を合計すると、評価額によっては数十万円〜百万円規模の負担になることがあります。実行前に必ず概算額を計算しておきましょう。
失敗例2:小規模宅地等の特例が使えなくなる
自宅の土地を生前贈与してしまうと、相続時に評価額を最大80%減額できる「小規模宅地等の特例」が使えなくなる場合があります。特例の詳しい要件は別記事で解説していますので、あわせてご確認ください。
失敗例3:一度贈与すると原則取り消せない
生前贈与は、贈与契約が成立し登記まで完了すると、当事者の合意なしに取り消すことは原則できません。将来的に売却や活用の予定がある不動産は、贈与する前によく検討しておく必要があります。
茨城県内で生前贈与の不動産についてお悩みの方へ
ハウスドゥでは、茨城県内4店舗(取手戸頭・守谷・つくば研究学園都市・県庁水戸)で、生前贈与や相続に関わる不動産のご相談を承っています。「生前贈与するか、相続まで待つか迷っている」「贈与を受けた不動産をこの先売却するかもしれない」といった段階でも、登記や税金の概算を踏まえたうえでご相談いただけます。買取・仲介どちらの視点からも中立にアドバイスできるのが、地域密着でやってきた私たちの強みです。
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よくあるご質問
Q. 生前贈与の名義変更は自分でもできますか?
可能です。登記申請自体は本人でも行えますが、書類の不備があると補正が必要になるため、時間に余裕を持って進めるか、司法書士への依頼も検討しましょう。
Q. 生前贈与の登録免許税はどうやって計算しますか?
固定資産税評価額×2%(1,000分の20)で計算します。評価額は固定資産評価証明書で確認できます。
Q. 生前贈与で不動産取得税はかかりますか?
はい、かかります。相続による取得は原則非課税ですが、生前贈与による取得は不動産取得税(標準税率3%、宅地は課税標準1/2の軽減特例あり)の対象です。
Q. 暦年課税と相続時精算課税、どちらを選べばいいですか?
将来値上がりが見込める不動産や、早期に確実に資産を移したい場合は相続時精算課税、少額を長期間かけて贈与したい場合は暦年課税が向いているとされます。ご自身の状況によって有利不利が変わるため、税理士への相談をおすすめします。
Q. 生前贈与した不動産を後で売却できますか?
可能です。ただし贈与を受けてからの所有期間によって譲渡所得税の税率(短期・長期)が変わります。売却を見据えている場合は、贈与のタイミングもあわせてご相談ください。
Q. 必要書類はどこで取得できますか?
印鑑証明書・住民票は市区町村役場、固定資産評価証明書は不動産所在地の市区町村(東京23区は都税事務所)、登記事項証明書は法務局で取得できます。
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