相続した実家や空き家を売却しようとしたら、家具や家電、故人の遺品などの「残置物」がそのまま残っていた——という相談は珍しくありません。残置物の撤去費用は誰が負担するのか、税金の計算上どう扱われるのかを知っておくと、売却の段取りがスムーズになります。
残置物とは|家財・ゴミとの違い
残置物とは、退去や相続の際に建物内に残された家具・家電・衣類・生活用品などの動産を指します。単なる「ゴミ」と違い、まだ使用できる家財や、思い出の品として仕分けが必要なものが混在している点が特徴です。不動産の売買では、残置物の有無が引き渡し条件に影響するため、契約書に「残置物の有無・撤去義務」を明記しておく必要があります。
残置物撤去費用の相場【2026年】

間取り別の費用目安(1K〜4LDK)
残置物撤去費用は、部屋数・荷物の量・立地条件(トラックの横付け可否や階数)によって変動しますが、一般的な目安は次のとおりです。1K・1DKで3万円〜10万円、2DK・2LDKで8万円〜20万円、3LDK・4LDKで15万円〜40万円程度が相場です。
ゴミ屋敷化した場合の費用
長期間放置されて残置物が大量に堆積し、いわゆる「ゴミ屋敷」化している戸建てでは、30万円〜100万円以上かかることもあります。害虫駆除や特殊清掃が必要になるケースでは、さらに費用が上乗せされる点にも注意が必要です。
残置物の撤去費用は誰が払う?
賃貸物件(原状回復義務との関係)
賃貸物件を退去する場合、借主には原状回復義務があるため、原則として借主が残置物を撤去する費用を負担します。ただし、借主と連絡が取れないまま退去した「夜逃げ」のようなケースでは、貸主が先に費用を立て替えて撤去せざるを得ないことがあります。
相続した空き家の場合
相続した実家を売却する場合、残置物の撤去費用は相続人(売主)が負担するのが一般的です。相続人が複数いる場合は、遺品整理の進め方や費用負担について事前に話し合っておくとトラブルを避けられます。
競売物件の場合
競売で不動産を落札した場合、前所有者が残した残置物の扱いには注意が必要です。占有者がいる場合は法的な明け渡し手続きが必要になることもあり、個人で対応するより専門家に相談する方が安全です。
残置物撤去費用は譲渡費用になる?税金の扱い
原則は譲渡費用に含まれない
不動産を売却した際の譲渡所得の計算では、仲介手数料や建物の取り壊し費用、賃貸物件を売るために支払った立ち退き料などは「譲渡費用」として控除できますが、残置物(家財・ゴミ)の撤去費用は、国税庁のタックスアンサーに明記された典型的な譲渡費用の項目には含まれていません。原則としては家事費(生活上の費用)に近い扱いとなり、そのままでは控除の対象にならない点に注意が必要です。
認められる可能性があるケース
ただし、売買契約上「残置物を撤去した状態で引き渡す」ことが条件になっており、その撤去が売却を成立させるために直接必要だったと説明できる場合は、譲渡費用として認められる余地があるとする見解もあります。判断が分かれる部分のため、確定申告の際は撤去費用の領収書を保管したうえで、税務署や税理士に個別に確認することをおすすめします。
撤去費用を安くする5つの方法
- ①自分で仕分けできるものは処分する:粗大ゴミとして自治体に出せるものは事前に処分し、業者に依頼する量を減らす
- ②複数業者から相見積もりを取る:同じ量でも業者によって数万円単位で差が出ることがある
- ③買取できるものは買取に出す:家電・家具・骨董品などは買取と相殺できる場合がある
- ④閑散期に依頼する:引っ越しシーズン(3〜4月)を避けると料金が下がりやすい
- ⑤残置物ありのまま買取業者に売却する:撤去費用そのものをかけずに済む方法として検討する価値がある
残置物撤去業者の選び方
一般廃棄物収集運搬業の許可確認
家庭から出る残置物を収集運搬するには、自治体から交付される「一般廃棄物収集運搬業」の許可が必要です。無許可の業者に依頼すると不法投棄に加担してしまうリスクもあるため、見積もり時に許可番号を確認しましょう。
見積もりで確認すべきポイント
見積もりを取る際は、トラックの台数・作業員の人数・追加料金の有無(階段作業費・特殊清掃費など)を明確にしてもらいましょう。「一式〇〇円」という曖昧な見積もりだけでなく、内訳を提示してもらうことでトラブルを防げます。
残置物ありのまま売却・買取する選択肢

相続した空き家を「残置物を全部片付けてから売る」のではなく、残置物がある状態のまま買取してもらう方法もあります。仕分けや撤去の手間・費用をかけずに済むため、遠方に住んでいる相続人や、時間を確保しにくい方にとって有力な選択肢です。
茨城県内での対応・ハウスドゥ4店舗体制
ハウスドゥでは、茨城県内4店舗(つくば研究学園都市店・県庁水戸店・取手戸頭店・守谷店)の買取専門ネットワークにより、残置物がそのまま残った空き家・実家の買取査定に対応しています。撤去費用をかけずに売却したい方は、まず現状のままで査定を依頼することをおすすめします。
残置物の分別区分と処分ルール|冷蔵庫など家電は別ルートが必要
残置物の撤去費用が想定より膨らむ最大の理由は、「分別」の手間と処分ルールの違いです。家の中の物は、まとめて同じ方法で処分できるわけではありません。分別を正しく行うと、処分費を抑えやすく、後から追加請求が発生するリスクも下げられます。
| 区分 | 主な品目 | 処分の考え方 |
|---|---|---|
| 家電リサイクル対象品 | 冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機、エアコン、テレビ | 家電リサイクル法に基づき、リサイクル料金と収集運搬料金を負担して引き渡す |
| 粗大ごみ・家具 | タンス、ベッド、ソファ、食器棚など | 自治体の粗大ごみ収集か、許可業者による回収を利用する |
| 可燃・不燃ごみ | 衣類、食器、小物、日用品 | 自治体の分別ルールに従う(量が多い場合は業者へ) |
| 処分に注意が必要な物 | スプレー缶、灯油、バッテリー、パソコン、仏壇など | 自治体や専門窓口の案内を確認し、個別に処理する |
| 価値がある可能性のある物 | 貴金属、骨董品、楽器、書類・通帳など | 処分前に必ず確認し、相続人間で取り扱いを決めておく |
とくに冷蔵庫は中身の処理も必要になるため、事前に空にして電源を切っておくと搬出がスムーズです。家電4品目は一般のごみとして出せないため、見積もりの際に「家電リサイクル料金が含まれているか」を必ず確認してください。なお、リサイクル料金は品目やメーカーで異なります。
搬出作業の流れと、費用が増えやすい状況
残置物撤去は、見積もり・仕分け・搬出・清掃の順に進むのが一般的です。このうち費用差が出やすいのが「搬出」です。作業員の人数や作業時間が増えると、同じ荷物量でも見積額が変わります。
搬出で追加費用が発生しやすいケース
次のような状況では、搬出の負担が大きくなり、費用が加算される場合があります。
- エレベーターがない集合住宅の上階で、階段での運び出しが必要な場合
- 前面道路が狭く、トラックを家の近くに停められない場合
- 大型の家具や金庫、ピアノなど、特別な搬出方法が必要な物がある場合
- 足の踏み場がないほど荷物が多く、仕分けに時間がかかる場合
- 虫・悪臭・カビなどが発生しており、消臭や清掃が別途必要な場合
見積もりを依頼するときは、搬出経路や駐車スペースの状況を写真などで共有しておくと、現地確認後の追加請求を避けやすくなります。物が極端に多い場合の考え方は、ゴミ屋敷レベルチェックの記事も参考にしてください。
遺品整理・生前整理・不用品回収サービスの使い分け
残置物の片付けを依頼できるサービスには、遺品整理、生前整理、不用品回収などがあります。名称が似ていても、得意分野と対応範囲が異なります。目的に合うサービスを選ぶことが、費用と手間の節約につながります。
| サービス | 向いている場面 | 確認したい点 |
|---|---|---|
| 遺品整理 | 相続した家で、仕分けと供養・形見分けも含めて進めたい | 仕分けの方法、貴重品の取り扱い、供養の有無 |
| 生前整理 | 所有者が元気なうちに、住み替えや売却に備えて整理したい | 本人の意向の確認方法、作業の進め方 |
| 不用品回収 | 不要な物をまとめて早く撤去したい | 廃棄物の収集運搬に関する許可、料金の内訳 |
遺品整理を相続放棄の前に進めてよいかは、法的な判断が必要です。処分の仕方によっては、相続を承認したとみなされる可能性があるため、迷う場合は専門家に確認してから着手してください。詳しくは遺品整理は相続放棄の前にやってよい?で解説しています。空き家全体の片付け業者の選び方は空き家の片付けはどこに頼む?も参考になります。
解体前の残置物はどうする?解体後の売却との関係
古い空き家を解体して更地で売却する場合も、残置物の扱いは重要です。解体工事の見積もりには、建物本体の解体費用は含まれていても、家財の処分費用が別扱いになっていることがあります。残置物が残ったまま解体に入ると、解体後に追加費用が発生したり、工期が延びたりする場合があります。
解体を検討する際は、次の3点を事前に確認しておきましょう。
- 解体費用の見積もりに、残置物(家財)の撤去・処分が含まれているか
- 残置物を先に撤去する場合の時期と、その費用の負担者
- 解体後の土地を売却する場合の、売却時期と費用の見通し
解体を行わず、残置物と建物をそのまま買い取ってもらう方法もあります。どちらが手元に残る金額が多くなるかは、建物の状態や荷物の量によって変わります。複数の方法を比較したうえで判断してください。
売買契約で残置物をどう扱うか|重要な確認事項
残置物がある状態で売却する場合は、売買契約書で取り扱いを明確にしておくことが重要です。口頭の約束だけで進めると、引き渡し後に「残された物は誰が処分するのか」でトラブルになるおそれがあります。契約前に、次の点を不動産会社と確認してください。
- 引き渡し時に残置物を撤去するのか、現状のまま引き渡すのか
- 現状のまま引き渡す場合、残置物の所有権を放棄し、買主側で処分することに合意しているか
- 残置物に価値のある物や、個人情報が含まれる書類が混ざっていないか
- 撤去費用を売買代金から調整するのか、売主が別途負担するのか
ここでいう取り扱いは契約ごとに異なり、一律の決まりがあるわけではありません。具体的な契約内容は、仲介か買取か、買主がどのような立場かによっても変わるため、必ず担当者に確認して書面で残しておきましょう。
残置物がある家で起こりやすい一般的なケースと進め方
以下は、実際の取引事例ではなく、残置物の相談でよくある状況を整理した「想定ケース」です。ご自身の状況に近いパターンを探す参考にしてください。
ケース1|遠方に住む相続人が、実家の片付けに通えない
平日は仕事があり、現地に何度も通うことが難しい場合です。この場合は、仕分けから搬出までを一括で依頼できる業者を使うか、残置物ありのままの買取を相談する方法が現実的です。現地に行く回数を減らせるかどうかを、依頼先を選ぶ基準にしてください。
ケース2|貸していた物件の入居者が、荷物を残して退去した
残された物を、所有者が勝手に処分すると問題になる場合があります。まずは契約内容と状況を整理し、必要に応じて専門家へ相談してから進めてください。
ケース3|競売や差押えを経て取得した物件に家財が残っている
取得後の家財の扱いは、手続きの状況によって判断が分かれます。自己判断で処分せず、手続きの確認を優先してください。差押え後の流れは差し押さえ解除の方法の記事で整理しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 残置物を片付けずに不動産会社に相談してもいいですか?
A. 問題ありません。多くの買取業者は残置物がある状態でも査定・買取に対応しています。無理に自分で片付ける前に、まず現状のまま相談することをおすすめします。
Q2. 遺品の中に価値がありそうな物がある場合はどうすればいいですか?
A. 骨董品・貴金属・楽器などは、遺品整理業者や買取専門店で査定してもらうことで、撤去費用の一部を相殺できる場合があります。処分前に一度査定に出すことをおすすめします。
Q3. 残置物撤去費用の相場より高い見積もりを提示されたら?
A. 複数業者から相見積もりを取り、内訳(人件費・処分費・車両費)を比較しましょう。極端に高い場合は、一般廃棄物収集運搬業の許可の有無も確認してください。
Q4. 残置物の撤去は自分でやってもいいですか?
A. 少量であれば自治体の粗大ゴミ回収を利用して自分で処分することも可能です。ただし、大量の場合や重量物がある場合は、無理をせず業者に依頼する方が安全です。
Q5. 残置物撤去費用の領収書はいつまで保管すればいいですか?
A. 確定申告で経費計上を検討する可能性があるため、少なくとも売却した年の確定申告期限から5年程度は保管しておくことをおすすめします。
Q6. 残置物がある空き家は売れにくいですか?
A. 一般の個人向け市場では敬遠されやすい傾向がありますが、買取専門業者であれば残置物ありのまま買い取るケースも多く、売却自体が難しいわけではありません。
物が多く片付けが追いついていない状態の目安はゴミ屋敷レベルチェック|片付けと売却、今すぐできる対処法【2026年】で解説しています。
Q7. 冷蔵庫や洗濯機は、他の残置物と一緒に処分できますか?
A. 冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機、エアコン、テレビは、家電リサイクル法の対象です。通常のごみとは別に、リサイクル料金と収集運搬料金を負担して引き渡す必要があります。業者に依頼する場合は、見積もりにこれらの費用が含まれているかを確認してください。
Q8. 解体する場合でも、残置物は先に片付けておく必要がありますか?
A. 解体工事の見積もりに家財の処分が含まれるかは、業者や契約内容によって異なります。含まれていない場合は、解体前に別途撤去が必要になることがあります。契約前に、残置物の撤去を誰がいつ行うのか、費用を誰が負担するのかを確認しておきましょう。
Q9. 遺品整理業者と不用品回収業者は何が違いますか?
A. 遺品整理業者は、仕分け・形見分け・供養なども含めて対応する点が特徴です。不用品回収業者は、不要な物をまとめて撤去することが中心です。どちらを選ぶ場合も、廃棄物の収集運搬に必要な許可の有無と、料金の内訳を確認してください。
まとめ
残置物撤去費用は間取りや荷物の量によって数万円〜100万円以上まで幅があり、原則として売主・相続人が負担します。税務上は建物の取り壊し費用や立ち退き料と異なり、譲渡費用として自動的に認められるわけではない点に注意が必要です。撤去の手間や費用をかけたくない場合は、残置物がある状態のまま買取を依頼できる不動産会社に相談するのも有効な選択肢です。
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