結論:中間検査とは、建築基準法に基づき、建物の工事の途中(特定工程の終了時)に行う検査のことです。全国一律の特定工程は「3階建て以上の共同住宅の2階の床とその梁の配筋工事」で、このほか各自治体(特定行政庁)が地域に応じて工程を追加指定しています。申請は特定工程の工事が終わった日から4日以内が原則で、合格すると「中間検査合格証」が交付されます。
この記事では、中間検査の意味・対象となる建物・特定工程・申請の流れ・必要書類・忘れた場合の対応を整理したうえで、のちに家や土地を売却するときに「合格証・検査済証」がどう影響するのかまで、初めての方にも分かるように説明します。船舶の中間検査との違いにも触れています。
中間検査とは?まず押さえたい基本
中間検査とは、建築工事の途中段階で、構造上重要な部分が建築基準法の基準どおりに施工されているかを確認する検査です。完成してしまうと壁や床の中に隠れて見えなくなる鉄筋・柱・梁などの工事を、隠れる前にチェックするために設けられています。平成10年の建築基準法改正で導入された制度で、建築確認、完了検査と並ぶ「建築の3つの手続き」の一つです。
建築確認・中間検査・完了検査の違い
| 手続き | タイミング | 交付される書類 |
|---|---|---|
| 建築確認 | 着工前 | 確認済証 |
| 中間検査 | 特定工程の終了時(対象工事のみ) | 中間検査合格証 |
| 完了検査 | 工事完了時 | 検査済証 |
確認済証と検査済証の違いは建築確認済証とは?検査済証との違いで詳しく解説しています。

なぜ中間検査が必要なのか
鉄筋の本数や配置、接合部の施工状況は、コンクリートを打設したり壁や床を張ったりすると外から確認できません。完了検査だけでは見えない部分の施工不良を防ぐため、工事の途中で検査をはさむ仕組みになっています。
中間検査が必要な建物・特定工程とは
中間検査は、すべての建築工事で必要なわけではありません。「特定工程」を含む工事が対象で、特定工程には全国一律のものと、特定行政庁(都道府県や一部の市)が地域の実情に合わせて指定するものがあります。
全国一律の特定工程
全国一律で定められている特定工程は、階数が3以上の共同住宅の、2階の床およびこれを支える梁に鉄筋を配置する工事の工程です。これに該当する新築工事は、必ず中間検査の対象になります。
特定行政庁が指定する特定工程
これに加えて、特定行政庁が「区域・用途・構造・規模」を指定して特定工程を追加します。たとえば、木造や鉄骨造の住宅の構造部分(基礎の配筋や柱・梁の接合部、鉄骨の工程など)を指定している自治体もあります。指定内容は自治体ごとに異なり、年度によって見直されることもあるため、必ず建築予定地を管轄する特定行政庁で確認してください。茨城県内の窓口の考え方は特定行政庁とは?建築主事との違い・茨城県の窓口にまとめています。
中間検査が不要なケース
特定工程を含まない工事は、中間検査は不要です。「確認申請 中間検査 不要」と検索される方が多いのは、小規模な木造住宅や増築などでは対象外となる場合があるためです。ただし、対象かどうかは建築確認の段階で決まっているため、自己判断はせず、確認済証や設計図書で確認しましょう。
中間検査の申請の流れと期限
中間検査の申請は、建築主(実際には設計者・施工会社が代行することが多い)が行います。流れは次のとおりです。
ステップ1:特定工程の工事を終える
鉄筋の配筋など、特定工程にあたる工事が終わった段階で、後の工程(コンクリート打設・壁や床の施工など)に進まずいったん止めます。
ステップ2:4日以内に中間検査を申請する
特定工程の工事を終えた日から4日以内に到達するように、検査機関(特定行政庁または民間の指定確認検査機関)へ申請します。申請書、確認済証の写し、工事写真やチェックシートなどを添えるのが一般的です。申請書の書き方(第4面の記載例など)は、検査機関が公開している記入例を参考にします。
ステップ3:検査(4日以内)と合格証の交付
検査は、申請を受理した日から4日以内に行われます。合格すると中間検査合格証が交付されます。合格証が交付されるまでは、特定工程より後の工事を進めてはいけません。
ステップ4:後の工程へ進み、完了検査を受ける
合格後に残りの工事を進め、工事が完了したら、完了日から4日以内に完了検査を申請します。完了検査に合格すると検査済証が交付されます。
中間検査の必要書類・手数料・日数
必要書類は、検査機関や特定行政庁によって細かく異なりますが、一般的には次のようなものです。
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 中間検査申請書 | 建築主の情報・工事内容・特定工程の完了日など |
| 確認済証の写し | 建築確認で交付された書類 |
| 工事写真・チェックシート | 配筋状況などの記録(検査機関の書式) |
| 委任状 | 設計者・施工会社が代理申請する場合 |
手数料は、建物の規模や検査機関によって異なるため、具体的な金額は申請先に確認してください。検査の予約は、民間の指定確認検査機関(ERIなど)では電話や専用システムで受け付けている場合が多く、検査当日に配筋の状態を確認できるよう、現場に設計図書を備えておきます。
中間検査を忘れた・飛ばした場合はどうなる?
対象工事で中間検査を受けずに後の工程へ進むと、法令違反となり、罰則の対象になり得ます。また、完了検査で検査済証が交付されない原因にもなります。「申請を忘れた」「合格証をもらう前に先の工事をしてしまった」というケースでは、早めに設計者・施工会社・特定行政庁へ相談し、是正の方法(工事写真による確認、構造の調査など)を確認することが重要です。
建築主としては、着工前に「うちの工事は中間検査の対象か」「申請と立会いは誰が行うか」「合格証は誰が保管するか」の3点を書面で確認しておくと、後のトラブルを避けられます。
中間検査合格証・検査済証と家の売却の関係
ここからは、将来その家や土地を売却するときに、検査関連の書類がどう影響するかを見ていきます。
売却時にそろえたい書類

確認済証・(対象工事の場合は)中間検査合格証・検査済証は、建物が適法に建てられたことを示す書類です。買主や金融機関は、これらの書類で建物が建築基準法に適合しているかを確認します。売却時に提示できる状態にしておくと、話が進めやすくなります。
書類がない場合の影響
検査済証がないと、買主が住宅ローンを組みにくくなる場合があります。また、建築時の手続きが不明な建物は、増改築や建替えの計画にも影響することがあります。ただし、書類がないからといって売却できないわけではなく、売却方法や価格の調整で対応できる場合も少なくありません。
建築基準法に適合しているかどうかが気になる物件の考え方は増築できない家とは?既存不適格・再建築不可、登記と建築の記録の関係は建物の登記とは?・未登記建物の売却も参考になります。
合格証・検査済証をなくしたときの調べ方
合格証や検査済証は再発行できないのが原則です。ただし、特定行政庁や検査機関で建築計画概要書の閲覧や「台帳記載事項証明書」の交付を受けられる場合があり、これで検査の実施記録を確認できることがあります。取得できる範囲は窓口によって異なるため、先に問い合わせてから動きましょう。
売却前に不動産会社へ相談するメリット
書類が不足している物件でも、査定の段階で状況を整理しておくと、売却方法(仲介か買取か)を選びやすくなります。査定の種類は不動産の査定とは?机上・訪問・AI・一括査定の違いで解説しています。
建築基準法第7条の3の根拠と、令和7年4月の改正のポイント
中間検査は、建築基準法第7条の3に定められた手続きです。建築物の工事のうち特定工程を含むものは、その工程の工事を終えた段階で、建築主が検査を申請しなければなりません。施行令では、全国一律の特定工程を「階数が3以上の共同住宅の床およびはりに鉄筋を配置する工事の工程のうち、2階の床とこれを支えるはりに鉄筋を配置する工程」と定めています。建物の安全性や防災性能を確保するための制度で、共同住宅の規模(階数や床面積〈平方メートル〉)が判断の目安になります。
中間検査で確認される主な部材と提出書類
検査では、鉄筋や耐力壁、柱・梁などの主要な構造部材の配置や接合部が、設計図書どおりに施工されているかを中心に確認します。提出する書類は、申請書、確認済証の写し、工事写真、工事監理者の報告などが一般的で、電子申請に対応している検査機関もあります。屋根や設備、防災に関わる項目は、完了検査や消防の検査で確認されることが多く、中間検査では構造部分が中心です。
令和7年4月1日施行の改正(4号特例の縮小)と中間検査
令和7年4月1日に、建築基準法の改正(いわゆる4号特例の縮小)が施行され、木造2階建てなど(新2号建築物)の確認申請の扱いが変わりました。確認申請が必要になる範囲が広がったため、特定行政庁が指定する特定工程の対象となる住宅が出てくる場合もあります。建設予定地で中間検査が必要になるかどうかは、必ず管轄の特定行政庁と設計者に確認してください。なお、条文の細かな部分や除外規定は改正されることがあるため、最新の内容は国土交通省や特定行政庁の案内で確認しましょう。
船舶の中間検査との違い
「中間検査」は、船舶の検査制度にも同じ名前があります。船舶の中間検査は、船舶安全法などに基づき、船舶を安全に運航するために行う定期的な検査の一つで、建築基準法の中間検査(工事途中の検査)とは別の制度です。この記事で説明している中間検査は、建築・不動産に関するものです。
よくある質問(FAQ)
Q. 中間検査は新築の戸建てでも必ず受けるのですか?
A. いいえ、必ずではありません。中間検査は「特定工程」を含む工事だけが対象です。全国一律の特定工程は「3階建て以上の共同住宅の2階の床とそれを支える梁の配筋工事」で、戸建て住宅が対象になるかどうかは、特定行政庁(自治体)が地域ごとに指定する内容によって決まります。対象かどうかは建築確認申請の段階で分かります。
Q. 中間検査の申請はいつまでにすればよいですか?
A. 特定工程の工事が終わった日から4日以内に、検査機関に届くよう申請するのが原則です。工事の途中で申請を忘れると、後の工程に進めなくなるため、着工前に工務店・設計者と申請の担当者とタイミングを確認しておくと安心です。
Q. 中間検査を受けなかった場合はどうなりますか?
A. 対象工事で中間検査を受けずに後の工程へ進むと、建築基準法に違反する状態となり、罰則の対象になり得ます。また、完了検査で検査済証が交付されない原因にもなります。心当たりがある場合は、設計者や施工会社、特定行政庁に早めに相談してください。
Q. 中間検査合格証をなくしてしまいました。再発行できますか?
A. 合格証そのものの再発行は原則できませんが、特定行政庁や検査を行った機関で「台帳記載事項証明書」などを取得できる場合があります。取得できる範囲は窓口によって異なるため、先に問い合わせて確認しましょう。
Q. 中間検査と完了検査の違いは何ですか?
A. 中間検査は工事の途中(特定工程の終了時)に行う検査で、合格すると「中間検査合格証」が交付されます。完了検査は工事が終わった後に行う検査で、合格すると「検査済証」が交付されます。どちらも建築基準法に適合しているかを確認する検査です。
Q. 中間検査合格証がないと家は売れませんか?
A. 合格証がないこと自体で、直ちに売却できなくなるわけではありません。ただし、対象工事であるにもかかわらず検査の記録が確認できないと、買主の住宅ローン審査や契約条件に影響する場合があります。まずは書類と台帳記載事項証明書で状況を確認し、不動産会社に相談しましょう。
Q. 船舶の中間検査と建築の中間検査は同じものですか?
A. いいえ、別の制度です。船舶の中間検査は船舶安全法などに基づく定期的な検査の一つで、建築基準法の中間検査(工事の途中に行う検査)とは目的も根拠も異なります。この記事では建築の中間検査を解説しています。
まとめ|中間検査の確認は「着工前」が大切
中間検査は、特定工程がある工事だけが対象で、申請は特定工程の終了から4日以内が原則です。対象かどうかは自治体の指定で変わるため、着工前に確認し、合格証や検査済証は大切に保管しておきましょう。将来の売却時にも、これらの書類が役に立ちます。
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