高圧線下の土地は評価が下がる?結論と評価減の仕組み
相続や売却の際に「うちの土地の上に高圧線が通っている」と気づき、資産価値への影響を心配される方は少なくありません。結論からお伝えすると、高圧線下の土地は建築制限の内容に応じて相続税評価額が下がります。この評価減は「区分地上権に準ずる地役権」という国税庁の規定に基づくもので、根拠と計算方法を正しく理解しておくことが大切です。この記事では評価減の仕組みと、実際に売却を検討する際の注意点まで解説します。
高圧線下の土地に生じる「区分地上権に準ずる地役権」とは
高圧線(特別高圧架空電線)が土地の上空を通過している場合、電力会社との間で線下補償契約や地役権設定契約が結ばれ、その土地には建築や利用に一定の制限が課されます。この制限を国税庁は「区分地上権に準ずる地役権」と呼び、相続税評価額を計算する際に、この地役権の価額を土地の評価額から差し引くことを認めています。
地役権が登記されていなくても評価減の対象になる
ここで注意したいのは、地役権が法務局に登記されていない場合でも、電力会社との契約によって実質的に建築制限を受けていれば評価減の対象になるという点です。登記の有無ではなく、実際の利用制限の有無で判断されます。相続や売却の前に、電力会社との契約内容を確認しておくことが重要です。
評価減の計算方法|制限の内容で控除割合が変わる
国税庁のタックスアンサーによれば、区分地上権に準ずる地役権の価額は、建築制限の程度に応じて次のように控除されます。
家屋の建築が全くできない場合は50%(または借地権割合)
高圧線の下で家屋の建築が全くできないほど強い制限を受けている部分については、自用地としての評価額の50%、またはその土地に適用される借地権割合のいずれか高い割合を控除できます。地域によって借地権割合は異なるため、両者を比較して高い方を採用する点がポイントです。
家屋の構造・用途等に制限を受ける場合は30%
建築が完全に禁止されるわけではないものの、高さ制限や構造上の制約を受ける場合は、30%の控除が適用されます。制限の程度は電力会社との契約内容や、送電線の電圧・高さによって異なります。
対象になるのは「制限を受けている部分」だけ
評価減が適用されるのは土地全体ではなく、実際に高圧線による建築制限や利用制約を受けている地積(または割合)に限られます。敷地の一部だけが高圧線の下にある場合は、その部分の面積比に応じて控除額を計算します。

もともと建築できない土地は追加の評価減が適用されない
市街化調整区域内の山林や農地、純山林・純原野など、そもそも建物を建てられない土地については、高圧線による追加の評価減は適用されません。これは「建築制限による価値の低下」を評価する制度であるため、元々建築ができない土地には制度の趣旨が当てはまらないためです。所有する土地がこのケースに該当するかどうかは事前に確認しておく必要があります。
倍率地域では二重控除に注意
固定資産税評価額をベースに相続税評価を行う「倍率地域」では、固定資産税評価額そのものに高圧線下であることによる評価の低下要素が、あらかじめ反映されている場合があります。この場合、相続税評価の際にさらに区分地上権に準ずる地役権の控除を行うと、実質的に評価を二重に下げてしまう可能性があります。倍率地域に該当する土地を評価する際は、固定資産税評価額の算定根拠を確認し、二重控除にならないよう注意が必要です。
高圧線下の土地のメリットとデメリット
相続税評価が下がる一方で、実際に土地を所有・活用する上ではメリットとデメリットの両面があります。
メリット:固定資産税・相続税の負担が軽くなる
建築制限が課される分、固定資産税評価額や相続税評価額が下がるため、税負担が軽くなる可能性があります。また電力会社からの線下補償料(地役権設定の対価)を受け取れる場合もあります。
メリット:日照や眺望を遮る高い建物が建たない
周辺に高い建物が建ちにくいため、日当たりや眺望が確保しやすいという声もあります。ただし高圧線自体の存在が景観・心理面でデメリットと感じる人も多く、一概にプラスとは言えません。
デメリット:建築できる建物の高さ・構造に制限がある
木造2階建て程度は建てられても、3階建てやRC造の建物は建てられないなど、用途によっては住宅設計の自由度が下がります。将来の建て替えを考えている場合は事前に電力会社へ確認が必要です。
デメリット:買主から見て売却時に不利になりやすい
相続税評価が下がるということは、裏を返せば市場価値も低く見られがちだということです。買主にとっては「建築制限がある土地」というマイナスイメージが先に立ち、一般の仲介市場では買い手が見つかりにくい傾向があります。
高圧線下の土地を売却する際の注意点
相続や譜渡を機に高圧線下の土地を売却しようとする場合、いくつか押さえておくべき点があります。
電力会社との契約内容を事前に確認する
線下補償契約・地役権設定契約の有無、契約上の建築制限の範囲、補償料の支払い状況などは、買主への説明義務にも関わる重要事項です。売却前に契約書を確認し、内容を整理しておくことをお勧めします。
地役権の登記がある場合は登記事項も確認
地役権が登記されている場合、登記事項証明書で承役地・要役地の範囲や制限内容を確認できます。買主の融資審査や登記手続きにも影響するため、早めに確認しておくと交渉がスムーズになります。
建築制限があっても買取専門店なら相談しやすい
建築制限のある土地は、一般の仲介では「建てられる建物が限られる」という理由で売却が難しくなるケースがあります。自社で直接買い取る買取専門店であれば、制限の内容を踏まえた上で土地活用の見通しを立てやすく、相談から売却までのハードルが下がります。ハウスドゥの4店舗ネットワーク(取手戸頭・守谷・つくば研究学園都市・県庁水戸)では、こうした利用制限のある土地の売却相談も受け付けています。
高圧線下の土地に関するよくある質問
Q1. 高圧線下の土地は必ず建築できない?
いいえ、制限の程度は送電線の電圧や電力会社との契約内容によって異なります。木造2階建て程度なら建てられるケースもあれば、一切建築できないケースもあります。個別に電力会社へ確認する必要があります。
Q2. 線下補償料はどのくらいもらえる?
補償料は電力会社との契約や地域、制限の内容によって個別に決まるため一律の相場はありません。契約時に取り決めた金額が継続的に支払われる場合と、一括で支払われる場合があります。契約書を確認するか、電力会社に問い合わせることをお勧めします。
Q3. 高圧線下の土地は必ず相続税評価が下がる?
建築制限を実質的に受けている場合は評価減の対象になりますが、もともと建築ができない山林・農地などは対象外です。また倍率地域では固定資産税評価額に既に反映されている場合があるため、必ずしも追加で控除できるとは限りません。
Q4. 高圧線下の土地は売却時に価格が下がる?
建築制限がある分、一般的には市場での評価が下がりやすい傾向があります。ただし制限の程度や土地の形状、周辺環境によって影響の大きさは異なります。実際の売却価格は個別の査定で確認することをお勧めします。
Q5. 地役権が設定されているかどうかはどこで確認できる?
法務局で登記事項証明書を取得すれば、登記されている地役権の内容を確認できます。ただし前述のとおり、地役権が登記されていなくても契約上の制限がある場合があるため、電力会社への確認も併せて行うことをお勧めします。
Q6. 高圧線下の土地を相続したが、活用方法に困っている
建築制限のある部分は住宅利用が難しくても、駐車場や家庭菜園、資材置き場などとして活用されている例もあります。売却を検討する場合は、制限の範囲を明確にした上で専門店に相談すると、活用方法を含めた提案を受けられる場合があります。
まとめ|高圧線下の土地は制度を正しく理解して判断する
高圧線下の土地は、建築制限の内容に応じて相続税評価額が50%または30%控除される仕組みがありますが、もともと建築できない土地や倍率地域では注意が必要です。売却を検討する際は、電力会社との契約内容や登記事項を確認した上で、建築制限を踏まえた適切な相談先を選ぶことが大切です。茨城県内で高圧線下の土地や利用制限のある不動産の売却にお悩みの方は、ハウスドゥの4店舗ネットワークへお気軽にご相談ください。
さらに詳しく
形が悪い土地の評価減の仕組みについては「不整形地の売却は難しい?評価減の仕組みと高く売る5つの方法【2026年】」でも解説しています。
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