結論:表題登記とは、建物や土地の「物理的な状況」を登記簿の表題部に初めて記録する登記です。新築建物は所有権を取得した日から1か月以内の申請が義務で、費用の中心は土地家屋調査士への報酬(目安8万〜12万円前後)です。登録免許税はかかりません。
家を建てた、あるいは建売住宅を買ったという方は、「表題登記」という言葉を一度は耳にしているはずです。ところが、表示登記や保存登記との違い、必要書類、誰に頼むのかといった点は分かりにくく、売却の際に慌てる方も少なくありません。ハウスドゥ茨城では、不動産売却のご相談の中で登記に関する質問を数多くいただきます。この記事では、専門用語をできるだけかみ砕いて、表題登記の基本を最初から順番に解説します。
表題登記とは?一言でいうと「不動産の身分証明書を初めて作る登記」
表題登記とは、不動産登記簿の「表題部」に、その不動産の所在・地番・種類・構造・床面積・所有者などを初めて記録する登記です。人にたとえるなら、出生届にあたる手続きです。
登記簿は「表題部」「権利部(甲区・乙区)」の3つでできている
登記簿は大きく、表題部と権利部に分かれ、権利部はさらに甲区と乙区に分かれます。表題部は「どんな不動産か」、甲区は「誰の所有か」、乙区は「抵当権など所有権以外の権利」を記録する場所です。

表題部に載る主な項目
建物の場合、表題部には次のような内容が記録されます。所在・家屋番号、種類(居宅・店舗など)、構造(木造・鉄骨造など)、床面積、新築した年月日、そして表題部所有者です。土地の場合は、所在・地番・地目・地積が中心です。
「表題部所有者」と「登記名義人」は違う
表題部に載る所有者を「表題部所有者」といいます。これは権利部の甲区に載る所有者(登記名義人)とは別物で、表題登記の段階ではまだ「所有権が登記された」状態ではありません。所有権を第三者に主張できるようにするには、続けて所有権保存登記を行う必要があります。
表示登記との違い|「表題登記」と「表示登記」を整理する
検索すると「表示登記」「表示の登記」という言葉も出てきます。2005年の不動産登記法の改正前は、表題部に関する登記を「表示に関する登記」と呼んでおり、その名残で今も使われています。整理すると次のとおりです。
- 表示登記(表示に関する登記):表題部に関する登記全般の総称
- 表題登記:表示登記のうち、初めて表題部を作る登記
- 表題部変更登記:増築や地目変更など、表題部の内容が変わったときの登記
- 滅失登記:建物を取り壊したときに、登記簿を閉鎖する登記(詳しくは建物滅失登記の期限・費用で解説しています)
「表題」と「標題」の違い
「ひょうだい」には表題と標題の2つの表記があります。登記の世界では「表題」を使い、「標題」は書籍や文章のタイトルを指す一般的な言葉です。登記の話では常に「表題」と覚えておけば間違いありません。
表題登記が必要になる場面と申請期限(新築は1か月以内)
表題登記が必要になる代表的なケースは、次のとおりです。
- 建物を新築した(注文住宅・建売住宅の新築時)
- 登記されていない建物を取得した(未登記建物)
- これまで登記されていない土地(まれに、埋立地などの新しく生じた土地)を所有した
申請期限と過料
新築した建物の所有権を取得した日から1か月以内に、表題登記を申請する義務があります。怠った場合、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。実際には、住宅ローンを利用する場合は金融機関が融資実行前に登記を求めるため、建築会社が手配して進むことが大半です。
建売住宅の場合はどうなる?
建売住宅を購入した場合、多くは売主(不動産会社)が表題登記と所有権保存登記を済ませたうえで、買主へ所有権移転登記を行います。したがって、買主が改めて表題登記をすることは通常ありません。ただし、購入した建物が未登記だった場合は買主側で対応が必要になることがあります。
表題登記の流れ|申請までの5ステップ
建物の表題登記は、次のような流れで進みます。期間は目安として、依頼から完了まで1〜3週間程度ですが、法務局の混雑状況や物件により前後します。

ステップ1〜2:建物の完成と土地家屋調査士への依頼
建物が完成したら、表題登記の専門家である土地家屋調査士に依頼します。建築会社や不動産会社が提携先を紹介してくれるケースも多いです。
ステップ3:現地調査と図面の作成
調査士が現地で建物の位置・形状・床面積を測り、建物図面と各階平面図を作成します。この図面が登記の根拠になるため、最も専門性が求められる工程です。
ステップ4〜5:法務局への申請と登記完了
図面と必要書類がそろったら、管轄の法務局へ申請します。茨城県内の場合は、水戸地方法務局とその各支局・出張所が窓口です。審査を経て登記が完了すると、登記簿に表題部が作られます。
表題登記の必要書類
一般的に必要とされる書類は次のとおりです。物件や状況により追加書類を求められることがあるため、依頼する調査士に確認してください。
- 建物の表題登記申請書(調査士が作成)
- 建物図面・各階平面図(調査士が作成)
- 建築確認済証・検査済証の写しなど、建築を証明する書類
- 工事完了引渡証明書(建築会社が発行)と、建築会社の印鑑証明書
- 所有者の住民票
- 委任状(調査士に依頼する場合)
登記全般の必要書類については、不動産登記の必要書類|法務局手続き4つのポイントも参考にしてください。
表題登記の費用相場|登録免許税は非課税、報酬が中心
登録免許税はかからない
表題登記そのものには登録免許税がかかりません。次に行う所有権保存登記には、課税されるのが一般的です(住宅用家屋の軽減措置の対象になる場合があります)。
土地家屋調査士への報酬の目安
報酬は建物の規模・構造・地域・事務所によって異なりますが、一般的な戸建住宅では8万円〜12万円前後が一つの目安です。図面の作成や現地調査を含むため、事務所ごとに差が出ます。必ず見積もりを取り、含まれる作業範囲を確認しましょう。
自分で申請すれば費用は抑えられる?
ご本人が申請すること自体は可能で、報酬分を節約できます。ただし、測量や図面作成の専門知識が必要なため、時間と手間を考えると、調査士への依頼を選ぶ方が大半です。
表題登記のあとは「所有権保存登記」|違いと順番
表題登記が終わると、次に権利部の甲区へ所有者を記録する所有権保存登記を行います。保存登記は法律上は任意ですが、住宅ローンで抵当権を設定する場合や、将来売却・相続をする場合に必要となるため、実質的には必須と考えて問題ありません。表題登記=「どんな建物か」、保存登記=「誰のものか」と覚えておくと整理しやすくなります。
売買や相続で名義を変える場面については、所有権移転登記とは?必要な場面と費用・必要書類で解説しています。マンションの場合は登記の考え方が異なるため、マンションの所有権移転登記は戸建てと何が違う?をご覧ください。
表題登記をしていないとどうなる?売却時の注意点
表題登記が未了の建物(未登記建物)は、そのままでは売却時に買主が所有権移転登記を受けられず、住宅ローンの審査も通りにくくなります。相続で取得した古い建物にも、登記されていないものが見つかることがあります。売却を考えている場合は、先に表題登記と保存登記を済ませておく、あるいは買主と費用負担を取り決めたうえで進める必要があります。詳しい進め方は未登記建物の売却|茨城県での注意点と登記の進め方をご覧ください。
表題登記でよくある失敗
「建築会社に任せたつもりが、実は登記が終わっていなかった」というケースや、「増築したのに表題部変更登記をしていない」というケースは意外に多いです。建物の状況と登記簿の記載が違っていないか、法務局で登記事項証明書を取得して確認しておくと安心です。
表題登記の前後で必要になる登記と、司法書士・土地家屋調査士の役割
新築後の登記は、表題登記だけで終わりではありません。住宅ローンを利用する場合まで含めると、次のような順番で手続きが進みます。
- 表題登記:建物の物理的な状況を記録する(土地家屋調査士)
- 所有権保存登記:所有者を権利部の甲区に記録する(司法書士)
- 抵当権設定登記:住宅ローンの担保を乙区に記録する(司法書士)
表題登記の代理を業として行えるのは土地家屋調査士で、保存登記や抵当権設定登記は司法書士の業務です。「登記は司法書士に頼めばすべて済む」と考えてしまいがちですが、表題登記は調査士、権利の登記は司法書士と、専門分野が分かれている点に注意してください。なお、保存登記や抵当権設定登記には登録免許税がかかります。税率は登記の種類や軽減措置の適用によって異なるため、依頼する司法書士に事前に確認しましょう。
表題登記の申請前に確認しておきたい書類と情報
申請は、書類の不備で補正になると完了が遅れます。依頼前に、次の点を一覧にして確認しておくとスムーズです。
- 建築確認済証と検査済証が手元にあるか(紛失している場合は建築会社や自治体に相談)
- 住民票の氏名・住所が、申請書に記載する所有者の情報と一致しているか
- 建築会社から工事完了引渡証明書などの添付資料を受け取れるか
- 土地の地番・所在、建物の構造・種類・床面積など、申請書に書く情報に誤りがないか
- 調査士への報酬や、法務局への提出時期の見積もり・スケジュール
登記の内容は市区町村にも共有されます
法務局で登記が完了すると、その情報は市区町村にも通知され、固定資産税の課税の基礎となる情報として使われます。登記の内容は税金とも無関係ではないため、面積や構造の記載は正確であることが大切です。
増築・取り壊しでも登記が必要|表題部変更登記と滅失登記
表題登記は新築時だけの手続きではありません。増築して床面積が変わったときは「表題部変更登記」、建物を取り壊したときは「建物滅失登記」を、いずれも原則として1か月以内に申請します。売却を予定している方は、登記簿上の情報と実際の建物が一致しているかを事前に確認し、違いがあれば売却前に手続きを済ませておくのが安全です。
マンション(区分建物)の場合
新築分譲マンションでは、表題登記は通常、分譲会社が建物全体についてまとめて行います。購入者は、そのうえで自分の専有部分の所有権保存登記を行うのが一般的な流れです。
ハウスドゥ茨城にご相談ください
ハウスドゥ茨城は、茨城県内でご自宅の売却・買取をお手伝いしている4店舗のグループです。登記が済んでいない建物や、権利関係が複雑な不動産のご相談も承っています。提携の専門家と連携し、状況に合わせた進め方をご提案します。0120-565-072、またはお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 表題登記とは何ですか?
A. 不動産(土地・建物)の所在・種類・構造・床面積・所有者といった物理的な状況を、登記簿の「表題部」に初めて記録する登記です。建物を新築したときに、最初に行う登記になります。
Q. 表題登記と表示登記は同じ意味ですか?
A. ほぼ同じ文脈で使われますが、厳密には別の言葉です。「表示登記」は、表題部に関する登記全般(表題登記・表題部変更登記・滅失登記など)の総称で、「表題登記」はそのうち最初に行う登記を指します。
Q. 表題登記はいつまでに申請しなければなりませんか?
A. 新築した建物の所有権を取得した日から1か月以内に申請する義務があります。怠ると10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
Q. 表題登記の費用はいくらかかりますか?
A. 表題登記そのものに登録免許税はかかりません。土地家屋調査士へ依頼する場合の報酬は建物の規模や地域で異なり、8万円〜12万円前後が一つの目安です。必ず事前に見積もりを取ってください。
Q. 表題登記は自分でもできますか?
A. 法律上、ご本人が申請することは可能です。ただし建物図面・各階平面図の作成には測量や専門知識が必要なため、通常は土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。
Q. 表題登記と所有権保存登記の違いは何ですか?
A. 表題登記は「どんな建物か」を記録する登記(表題部)、所有権保存登記は「誰が所有者か」を記録する登記(権利部・甲区)です。順序としては表題登記が先で、その後に保存登記を行います。
Q. 表題登記をしていない建物は売却できますか?
A. 未登記のままでは買主が所有権移転登記や住宅ローンを組めないため、売却の前に表題登記・保存登記を済ませておくのが一般的です。未登記建物の売却については別の記事で詳しく解説しています。
まとめ
表題登記は、建物の物理的な状況を登記簿に初めて記録する登記で、新築後1か月以内の申請が義務です。表示登記はその総称、保存登記は「誰の所有か」を記録する次のステップです。費用は登録免許税がかからず、調査士への報酬が中心となります。将来の売却や相続でトラブルにならないよう、ご自宅の登記簿の状況を一度確認しておくことをおすすめします。
Q. 表題登記は司法書士に依頼できますか?
A. 表題登記の代理は、原則として土地家屋調査士の業務です。司法書士は、その後の所有権保存登記や抵当権設定登記などの権利の登記を担当します。不動産会社や建築会社が提携先を紹介してくれる場合もありますので、あわせて確認してください。
Q. 建物を増築したときも登記は必要ですか?
A. はい。床面積などが変わる増築をした場合は、原則として1か月以内に表題部変更登記を申請します。取り壊した場合の建物滅失登記も同様に1か月以内が原則ですので、売却前に登記簿と現況を確認しておくと安心です。
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